ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

WHO、警戒水準をフェーズ5へ引き上げ 新型(豚)インフルエンザ

2009年04月30日 | 新型インフルエンザ

新型インフルエンザに関する Q and A

4/29 豚インフルエンザ関連のニュース

*** 毎日新聞、2009年4月30日23時15分

新型インフル:検査試薬開発…6時間で判定 国立感染症研

 国立感染症研究所は30日、新型インフルエンザの感染の有無を約6時間で判定する検査試薬を開発したことを明らかにした。現在は約24時間かかるが、試薬を使えば4分の1に短縮できる。感染研は試薬の検査結果を確認するのに必要な新型ウイルスの遺伝子を米疾病対策センター(CDC)から取り寄せたうえ、試薬とセットにして週明けに各地の地方衛生研究所に配布。全都道府県で迅速に判定できる検査体制が整う見込みだ。

 検査では、患者ののどから採取した粘液を用い、そこに含まれるウイルスの遺伝子の型が新型ウイルスと一致するか調べる。試薬は、米国で公開された新型ウイルスの遺伝子情報を基に開発された。【江口一】

(毎日新聞、2009年4月30日23時15分)

*** 時事通信、2009年4月30日23時3分

日本人女性からA型陽性反応=新型インフル感染を詳細検査-米ロス便・成田

 新型インフルエンザの感染拡大を受け、検疫態勢が強化された成田空港で30日午後、米国から帰国した日本人女性(25)が簡易検査の結果、A型インフルエンザの陽性反応を示した。厚生労働省は詳細検査を行い、新型インフルエンザ感染の有無を調べている。

 検疫が各空港で強化されて以降、新型の豚インフルエンザと同じA型の陽性反応が出たのは初めて。同省は詳細検査の結果を5月1日午前7時に記者会見して発表する。

 同省によると、女性にはせき、鼻水の症状があり、A型インフルエンザの感染を調べる迅速診断キットによる簡易検査を受けた。陽性反応が出たものの、季節性インフルエンザと判別できないため、女性を近くの成田赤十字病院に搬送。遺伝子診断「PCR検査」を実施し詳しく調べている。

 同省幹部は報道陣に対し「初めてのケースなので検査には慎重を期したい」と説明。結果が判明するのは1日未明になるとした。

 最終的な感染の有無は、米国から新型インフルエンザの資料を入手した後、さらに検査を行った上で確定する。

 女性の周辺座席にいた乗客約20人は感染の可能性を否定できないため、空港内の施設で明朝までの待機を求めた。女性が新型インフルエンザに感染したと判断された場合、約20人は感染症法に基づき、指定施設に10日間とどめられる「停留」対象になるとしている。

 女性は30日午後3時半、米ロサンゼルス発の米ノースウエスト1便で帰国した。

(時事通信、2009年4月30日23時3分)

*** 共同通信、2009年4月30日20時1分

WHO警戒水準「6」引き上げも 新型インフル感染13カ国に

 【ジュネーブ30日共同】世界保健機関(WHO)は新型インフルエンザ感染拡大の警戒水準(フェーズ)を「4」から「5」に引き上げたが、30日にはスイスとオランダでも感染が確認され、感染確認は少なくとも13カ国に増加。世界的大流行(パンデミック)の正式認定を意味する「6」への引き上げも現実味を帯びてきた。

 WHOは米国などの保健当局や製薬業界と連携し、新型インフルに有効なワクチン開発に欠かせない、ウイルスの遺伝子構造の全容解明などに全力を挙げる。大流行に対し「歴史上最も備えができている」(チャンWHO事務局長)とされる世界の対応力が試される。

 感染が確認されたのは、死者が多数出ているメキシコをはじめ、北米、中南米、欧州、中東、オセアニアにまたがる。感染の疑い例はアジア、アフリカも含め20カ国で見つかった。

 WHOの警戒水準の定義では、「5」と「6」の間には感染の地理的な拡大以外にほとんど違いはない。「5」への引き上げの理由は、メキシコの隣国である米国で、人から人への感染拡大と一部感染者の症状が比較的重かったことが確認されたことだ。米国では29日、首都圏で初めて疑い例が報告された。

(共同通信、2009年4月30日20時1分)

*** 読売新聞、2009年4月30日15時6分

新型インフル、手抜かりない備え冷静に進めよ

 新型インフルエンザの警戒レベルについて、世界保健機関(WHO)がさらに1段階高い「フェーズ5」に引き上げたのは、世界的な経済・社会への影響を考慮しても、対策が遅れている国々に明確な警告を発する必要があると判断したからだ。

 WHOの指針によると、フェーズ5は「世界6地域のうち、1地域の複数国で流行」と定義されている。今回の場合、南北アメリカ地域で、メキシコと米国の少なくとも2か国で流行が進行していると判断したものだ。

 新型インフルエンザは、WHOなどが強毒性の新型インフルエンザとして警戒してきた「高病原性鳥インフルエンザ」とは異なり、これまでの調査では、弱毒性と考えられている。多くの人が免疫を持たない新型インフルエンザであることもまた事実で、対策をより強化しなければ、われわれ人類は引き返すことのできない事態に直面するだろう。

 WHOのマーガレット・チャン事務局長も「人類全体が危機にさらされる」と警告したが、同時に指摘したように、「私たちは過去のどの時代よりも、新型インフルエンザに備えができている」のも事実だ。

 日本にとって幸いなことは、国内ではまだ感染者が出ていないことだ。政府はすでに国内にウイルスを侵入させないため、フェーズ4の段階から徹底した水際対策に着手している。

 忘れてはいけないことは、国内で患者が発生しない限り、基本的な対策方針もこれまでとまったく変わらないことだ。とはいえ、国内発生を前提に、冷静に手抜かりのない備えをより進める必要がある。 【科学部 本間雅江】

(読売新聞、2009年4月30日15時6分)

****** 毎日新聞、2009年4月30日夕刊

新型インフルエンザ:「フェーズ5」 「大流行直前の兆候」WHO、米の2次感染受け

 【ジュネーブ澤田克己】新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)が世界に拡大している問題で、世界保健機関(WHO)は29日、世界的大流行(パンデミック)に備える警戒レベルを、現行の「フェーズ4」から「パンデミック直前の兆候」を意味する「フェーズ5」に初めて引き上げた。メキシコと米国での人から人への2次感染を重視した。WHOは、各国に高度の警戒を継続し、検疫強化などの対策を取るよう求めた。また、製薬企業にも協力を要請した。マーガレット・チャン事務局長が29日、会見して明らかにした。

 「5」は、6段階ある警戒レベルの上から2番目で「人から人への地域レベルの感染が少なくとも2カ国で起き、大流行直前の兆候がある」段階。メキシコに加え米国からも地域レベルの感染報告があったことを引き上げの理由に挙げた。米ニューヨーク市の高校で、メキシコ旅行から帰った生徒からの2次感染が広がったことを考慮した。

 インフルエンザ対策責任者であるフクダ事務局長補代理は、パンデミックを意味する「6」に触れ「我々はそこへ向かっている」と、WHOが「6」も視野に入れていることを示唆した。

 チャン事務局長は、変異を繰り返すウイルスは「予測不可能」で、「パンデミックがどれだけ深刻なものになるかは最大のなぞだ」と警戒感を表明。「(先進国より)深刻な症状を起こす」と、発展途上国での被害拡大に憂慮を示した。

 一方、「4」に引き上げた際に行った、渡航制限や国境閉鎖は行うべきでない▽季節性インフルエンザワクチンの生産は継続されるべきだ--という勧告は維持すると表明した。

 各国に新型インフルエンザ対策計画の発動を要請するとともに、インフルエンザに似た病気や肺炎の特異な流行に対する監視を続けるよう求めた。また、インフルエンザ治療薬の提供など、製薬企業にも協力を依頼した。

==============

 ■解説

 ◇「国内」想定、体制整備を

 「フェーズ5」は「2カ国以上で人から人への感染が確認され、パンデミック(世界的大流行)の直前の兆候がある」ことを意味する。日本でも感染者が出ることを想定した対策が改めて急務になったと言える。

 新型インフルエンザウイルスは、日本で毎冬に流行する季節性インフルエンザウイルスと同様、「弱毒性」と指摘されている。政府の新型インフルエンザの行動計画は強毒性の鳥インフルエンザを前提に作られており、柔軟に運営することが求められる。また、新型には大半の人に免疫がなく、患者が多発、ピーク時には医療機関に人が殺到し大きな影響が出かねない。現在の水際対策に加え、ワクチン製造や治療手順など体制を整える必要がある。

 一方、WHOのチャン事務局長が「特に途上国で致死性が高くなる可能性がある」と言及したように、現在の感染拡大は軽視できる状況ではない。人から人に感染していく過程で毒性が強くなる恐れもある。強毒になるかどうかを早期発見する体制の強化も急務であり、日本を含めた先進国の役割は大きい。【関東晋慈】

(毎日新聞、2009年4月30日夕刊)

*** 読売新聞、2009年4月30日7時43分

厚労相「引き続き冷静な対応を」

…警戒水準「5」で緊急会見

 世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒水準を「フェーズ4」から「5」に引き上げたことを受けて、舛添厚生労働相は30日朝、厚労省内で緊急記者会見を行い、「フェーズ4に引き上げられた段階で、国・地方自治体をあげて必要な対策を講じている。現時点で国内に患者が発生している状況ではない。国民は引き続き冷静に対応してほしい」と呼びかけた。

 舛添厚労相は国内での感染者発生に備え、院内感染に配慮した発熱外来の準備、新型インフルエンザのワクチン製造などの対策を実施していくことを改めて表明。「今は水際対策に最善を尽くしているが、危機管理としてはウイルスが日本に侵入することを前提している。その時も、国民には冷静に対応していただく」と強調した。

(読売新聞、2009年4月30日7時43分)

*** AFP、2009年4月30日8時20分

WHO、新型インフルの警戒水準を「フェーズ5」に引き上げ

 世界保健機関(WHO)は29日夜(日本時間30日早朝)、メキシコを中心に猛威を振るう新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)への警戒水準をこれまでの「フェーズ4」から「フェーズ5」に引き上げたと発表した。同日、メキシコ以外では初めて、米国で新型インフルエンザによる死者が確認されたことなどを受けたもの。

 WHOのマーガレット・チャン事務局長は会見で、「各国はただちにパンデミック(世界的大流行)対策を実行に移さなければならない」と強調した。

 フェーズ5はパンデミックの一歩手前の状態を意味し、かなりの数のヒトからヒトへの感染があることの証拠があるとされている。

(AFP、2009年4月30日)

*** 朝日新聞、2009年4月30日5時16分

WHO、警戒水準をフェーズ5へ引き上げ 

豚インフルエンザ

 【ジュネーブ=南島信也】新型の豚インフルエンザの感染拡大が世界各国で歯止めがかからない状況を受け、世界保健機関(WHO)のマーガレット・チャン事務局長は29日夜、緊急記者会見し、警戒レベルを「フェーズ4」から「フェーズ5」に引き上げると発表した。メキシコ、米国以外の地域で感染者が増加し、二次感染とみられるケースも増えていることから、引き上げが必要と判断した。

 警戒レベルは27日に「フェーズ4」に引き上げられたばかり。「フェーズ5」は人と動物の混合ウイルスによる地域単位の感染が、1つのWHO管轄地域内の2カ国以上で起きており、大流行(パンデミック)の兆候があると認定された場合に宣言される。

(朝日新聞、2009年4月30日5時16分)


新型インフルエンザに関する Q and A

2009年04月30日 | 新型インフルエンザ

**** 厚生労働省ホームページより引用

新型インフルエンザに関するQ&A
(保健所用:暫定版) 4月28日

-基本情報-

Q 新型インフルエンザとは何ですか?

 新型インフルエンザウイルスとは、動物のインフルエンザウイルスが、人の体内で増えることができるように変化し、人から人へと容易に感染できるようになったもので、このウイルスが感染して起こる疾患を新型インフルエンザといいます。

 今般、メキシコや米国等で確認された豚インフルエンザ(H1N1)を感染症法第6条第7号に規定する新型インフルエンザ等感染症に位置づけたところです。

Q フェーズ3から4に上がったのはどういう意味ですか?

 WHOでは、パンデミックが起こる前からパンデミックがピークを迎えるまでを状況に応じて6つのフェーズに分類して、それぞれの対応等を規定している。

 フェーズ3、は動物からヒトへの新たなインフルエンザ感染があるが、ヒトからヒトへの感染がないかあっても稀である状態で、新型インフルエンザ対策行動計画においては、未発生期に当たります。

 フェーズ4はヒト-ヒト感染が効率的に起こるようになった状態で、新型インフルエンザ対策行動計画においては、国内での新型インフルエンザの発生は認められていない「第一段階(海外発生期)」に当たります。

Q パンデミックがはじまったのですか?

 パンデミックを引き起こすインフルエンザとは、表面の抗原性がまったく異なる新型のウイルスが出現することにより、ほとんどの人が免疫を持っていないため、世界的な大流行となり、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらすものです。

 4月28日、WHOは、インフルエンザのパンデミック警戒レベルを現在のフェーズ3から4へ引き上げました。ただし、これはパンデミックの可能性が高まったことを示唆するが、パンデミックが回避不可能なものであると示すものではないとしています。

Q 通常のインフルエンザと見分けることは可能ですか?

 症状は類似しており見分けることは困難ですが、流行地への渡航歴・感染した豚との濃厚接触・感染者との接触歴等が参考になります。

 症状等から新型インフルエンザに感染していると疑われる場合は、PCR(遺伝子検査)等を行うことにより、確定診断をすることができます。

-旅行関連-

Q 家族が流行国から帰国するのですがどのような手続きを経て帰宅するのでしょうか?

(1) 発症していた場合は隔離されます。

(2) 渡航中に患者や感染が疑われる方と行動を共にしたり機内等において患者に直接触れたり、2m以内で対話する等をした場合は濃厚接触者として停留の対象になります。

(3) 同乗者及び発生国からの入国者については検疫法に基づく健康監視の対象者になります。

Q 流行地から帰ってきたが家族と一緒にいても良いですか?また食事を一緒にすることは避けるべきですか?

 流行地からの帰国者については症状を認めなくとも、10日間は自宅で待機いただき、外出はなるべく控えていただきます。ただし、家族と一緒に食事をしたり、同じ部屋で過ごすことは構いません。

Q 健康監視されていることは秘密にしてもらえますか?

 検疫所と都道府県および保健所の担当者により、厳格に個人情報は保守されますので、御安心ください。

Q 検疫法に基づく健康監視を拒否したら罰則はありますか?

 検疫法に基づく健康監視を拒否した場合には罰則の対象となります。(検疫法第36条 6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金)

-医療関連-

Q 感染した場合、治療することが義務づけられるのですか?

 感染症法においては、国内で感染していることが確認された場合、入院して治療を受けること、また、感染している可能性が高い同居者等やその濃厚接触者は、外出自粛を要請され、保健所へ健康状態を報告することが、定められています。

Q 医療機関に受診している慢性疾患等を有する定期受診患者に特別な配慮は必要でしょうか?

 慢性疾患等を有する定期受診患者については、定期薬の長期処方をしておく等、患者の状態に配慮しながら、まん延期となった場合に医療機関を直接受診する機会が減らせるよう努めてください。

 また、慢性疾患等を有する定期受診患者について、まん延期に発熱した際に、電話による診療により新型インフルエンザへの感染の有無について診断ができた場合には、ファクシミリ等により抗インフルエンザウイルス薬等の処方せんを発行できます。このことをスムーズに実施いただくために事前にかかりつけ医師が了承した上で、その旨をカルテ等に記載しておくよう努めてください。

Q 予防のために何を準備したら良いですか?

 飛沫感染予防のためのマスクと手洗いのための石けんを2週間分程度準備することが望ましいです。

Q 予防のためにタミフルをもらえるのですか?

 タミフルについては、国及び都道府県において十分な備蓄を進めているところですが、新型インフルエンザによる感染が拡大した場合や、予防投与用の備蓄量が一定以下になってきた場合には、予防投与は行わず、治療投与を優先することになっています。

Q タミフルはどこで処方してもらえますか?

 医療機関等において医師が必要と認める場合に、処方せんの発行により処方されます。

-その他-

Q 飲食物・生活必需品は何日分準備したらよいですか?

 パンデミックに備えて、2週間程度備蓄しておくことが望ましいです。

(以上、厚生労働省ホームページより引用)

****** 毎日新聞、2009年4月28日
(最終更新 4月29日 15時05分)

新型インフル:Q&A 症状や感染経路、治療方法は?

 豚インフルエンザの世界各地への流行の広がりで注目される「新型インフルエンザ」。症状や予防法など基礎知識をまとめた。

 ◇ Q 新型インフルエンザとは何ですか?

 A 動物のインフルエンザウイルスが人に感染し、人の体内で増殖できるように変化した後、人から人へと効率よく感染できるようになった未知のウイルスによって発症するインフルエンザです。現在、流行しているインフルエンザとは異なり、人類のほとんどが新しいウイルスに対する免疫を持たないため、簡単に感染しやすく、世界的大流行(パンデミック)につながる恐れがあると警戒されています。今回は豚インフルエンザウイルスの感染が広がり、世界保健機関(WHO)が警戒レベルを引き上げました。想定されていた鳥インフルエンザから変異した新型インフルエンザとは異なりますが、日本政府は新型インフルエンザと認定しました。現代社会は、都市への人口集中、大量輸送交通機関の発達などによって、短期間で世界中にまん延する可能性が高く、WHOや各国政府は、新型インフルエンザの発生に備えた対策を進めてきました。

 ◇ Q 警戒レベル引き上げを受け、どのように行動すべきですか?

 A 現段階では、日本国内での感染者は確認されておらず、パニックになる必要はありません。厚生労働省のホームページなどから正確な情報を入手して、落ち着いて行動してください。

 ◇ Q 新型インフルエンザは、どんな症状が出るのですか?

 A 高熱、頭痛、関節痛などの全身症状のほか、のどの痛みや鼻水など風邪のような症状が出ます。気管支炎、肺炎などが併せて起こり重症化することもあります。重症患者の発生割合は、ウイルスの毒性によって異なります。

 ◇ Q 新型インフルエンザは、どのように感染するのですか?

 A 主な感染経路は飛沫(ひまつ)感染と接触感染です。くしゃみやせきによって、唾液(だえき)や鼻水の細かい粒を吸い込むことと、汚染された手で鼻や目を触ることで感染すると考えられています。

 ◇ Q 新型インフルエンザの感染予防策を教えてください。

 A 厚労省が通常のインフルエンザに有効として挙げている予防策は以下の点です。

 ▽外出後には手洗い、うがいをする▽手洗いはせっけんを用いて15秒以上。水を十分にふき取る▽流行地への渡航、人ごみや繁華街への不要不急な外出をしない▽十分に休養をとり、体力や抵抗力を高め、バランスよく栄養をとる。

 新型が出現した場合も、同様の予防策に努めることが重要です。

 また他人に感染させないためにも、せきやくしゃみの症状がある人は、必ずマスクをつける「せきエチケット」の徹底を呼びかけています。

 ◇ Q 発熱など、発症が疑われる場合はどうすればいいですか?

 A 厚労省は、メキシコや米国から帰国した人などの問い合わせに応じる電話相談窓口(03・3501・9031)を設置しています。各地の保健所なども問い合わせに応じますので、指示に従って指定された医療機関で受診してください。

 ◇ Q 豚肉を食べても大丈夫ですか?

 A 豚肉や豚肉加工品を食べても、感染しません。インフルエンザウイルスは熱に弱く、通常の調理をすれば死滅するからです。WHOのホームページには、豚インフルエンザウイルスは70度で調理すれば死滅すると書かれています。また、万が一ウイルスが付着していても、インフルエンザウイルスは酸に弱いため、胃酸によって活動できなくなるためです。

 ◇ Q 今回の豚インフルエンザに感染した場合の治療法は?

 A WHOなどによると、インフルエンザ治療薬のタミフル(一般名リン酸オセルタミビル)とリレンザ(同ザナミビル)は効果があるとされます。シンメトレル(同アマンタジン)は耐性が確認され、効果が期待できません。

 ◇ Q 新型インフルエンザの発生は以前もあったのでしょうか?

 A 過去に発生した新型インフルエンザには、世界で約4000万人、日本で約39万人が死亡したスペイン風邪(1918年)や、アジア風邪(57年)、香港風邪(68年)があります。10~40年周期で発生するとされ、警戒を求める声が高まっていました。【江口一、永山悦子】

(毎日新聞、最終更新 4月29日15時05分)


豚インフルエンザ関連のニュース

2009年04月29日 | 新型インフルエンザ

コメント(私見):

日本時間28日早朝、WHO(世界保健機関)は豚インフルエンザの警戒水準を「フェーズ4」に引き上げると発表しました。それを受けて、舛添厚生労働相は28日午前7時、メキシコ、アメリカ、カナダの3か国で感染症法で規定する新型インフルエンザが発生したとする声明を発表しました。声明で厚労相は、「正確な情報に基づいた冷静な対応」、「メキシコなどの発生国への渡航を避けることの検討」、「マスクや手洗いといった個人予防策」などを呼びかけました。

政府は28日夜、全閣僚による「新型インフルエンザ対策本部」(本部長・麻生首相)の初会合を国会内で開き、以下の「基本的対処方針」、すなわち、(1) WHOや諸外国の情報収集、国民からの問い合わせへの適切な対応、(2) メキシコへの渡航延期勧告、発生国から入国した感染者の隔離などの水際対策、(3) ワクチンの製造、(4) 発熱相談センターや発熱外来の設置準備など国内発生への備え――の4項目を正式に決めました。

新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)は、WHOの警戒レベルで最高の「フェーズ6」に相当し、20世紀以降3回発生しました。新型インフルエンザはほとんどの人が免疫を持たないため、人から人に急速かつ広域的に感染し、社会、経済に重大な影響を与える可能性があります。1918年に始まった「スペイン風邪」では世界で約4000万人が死亡しました。1957年のアジア風邪では約200万人が死亡し、1968年の香港風邪では約100万人が死亡しました。

今回の新型インフルエンザで、これから警戒レベルがさらに引き上げられていくかどうかはまだ分かりません。もしも今後、警戒レベルが引き上げられた場合には、学校の休校、集会の禁止、通勤を含む外出の制限などがおこなわれる可能性もあります。ここしばらくは状況が刻々と変化していく可能性もありますから、最新の正確な情報に基づいて冷静に対応していくことが重要です。

****** 読売新聞、2009年4月28日

豚インフル、警戒レベル「フェーズ4」に引き上げ…WHO

 【ジュネーブ=金子亨】世界保健機関(WHO)は27日夜(日本時間28日朝)、世界的に広がっている新型の豚インフルエンザについて警戒水準を「3」から「4」に引き上げると発表した。

1240867733_2

 新型インフルエンザの警戒レベルは6段階あり、「4」は世界的な大流行に結びつく可能性を認定するもの。これにより日本を含むWHO加盟国は、インフルエンザに対する国内の準備態勢を強化することを求められる。

 ただ、WHOは、現時点ではインフルエンザ発生国への渡航禁止や、発生国に対して国境を閉ざすことは勧告しないとしている。

(読売新聞、2009年4月28日)

****** 読売新聞、2009年4月28日

新型インフル発生と認定、厚労相が声明発表

 世界保健機関(WHO)が警戒レベルをフェーズ4に引き上げたことを受けて、舛添厚生労働相は28日午前5時50分、メキシコ、アメリカ、カナダの3か国で感染症法で規定する新型インフルエンザが発生したとする声明を発表した。

 世界的な広がりを見せる豚インフルエンザについて日本政府としても新型インフルエンザと認定したもので、政府は今後、同法や検疫法に基づいて、ウイルスの拡大防止のための検疫体制の強化や、新型インフルエンザ対策行動計画に沿った対応を始める。

 声明で厚労相は「正確な情報に基づいた冷静な対応」「メキシコなどの発生国への渡航を避けることの検討」「マスクや手洗いといった個人予防策」を呼びかけた。

(読売新聞、2009年4月28日)

****** 読売新聞、2009年4月28日

新型インフルで政府が基本対処方針、首相「冷静な対応を」

 世界保健機関(WHO)による豚インフルエンザの警戒レベル引き上げを受けて、政府は28日、全閣僚による「新型インフルエンザ対策本部」(本部長・麻生首相)の初会合を国会内で開き、検疫態勢の強化など4項目の「基本的対処方針」を正式に決めた。

 首相は28日夜、首相官邸で記者団に、「『新型』という以上、内容が正確に分かっていない。大変なんだ、という風聞で右往左往しないよう期待したい。一番呼びかけたいのは、冷静な対応だ」と語った。

 対策本部で決めた基本的対処方針は〈1〉WHOや諸外国の情報収集、国民からの問い合わせへの適切な対応〈2〉メキシコへの渡航延期勧告、発生国から入国した感染者の隔離などの水際対策〈3〉ワクチンの製造〈4〉発熱相談センターや発熱外来の設置準備など国内発生への備え――の4項目。

 これを受け、厚生労働省は大型連休中も全国の保健所で相談窓口を開いて対応するよう、各都道府県に要請することを決めた。

(読売新聞、2009年4月28日)

****** 読売新聞、2009年4月29日

新型インフル患者かどうか…全国で「発熱外来」設置準備進む

 新型インフルエンザが国内発生した場合に備え、発熱した人を集中的に診察して新型患者かどうかを見極める「発熱外来」の設置準備が全国各地で進んでいる。

 東京都は28日、都内約60の医療機関に対し、発熱外来の設置準備を要請した。発熱外来では、感染が疑われる患者が出た場合、感染拡大を防ぐため一般外来とは別室で診察する。都は29日からは、発熱外来を設置する医療機関に対し、治療薬のタミフルに加え、医療従事者用の防護服やゴーグルなども配るという。

 都では「混乱を防ぐため」として、発熱外来の医療機関名を公表しない方針。担当者は「新型感染の疑いがあると思った場合、医療機関に駆け込むのではなく、最寄りの保健所に電話で相談してほしい。診察の必要があると判断すれば、保健所が近くの発熱外来を紹介する」と説明している。

 都によると、今回の新型インフルエンザでは、メキシコなど患者の発生地域から帰国して10日以内の人で、38度以上の高熱が出た場合は感染の恐れがあるという。

(読売新聞、2009年4月29日)

****** 共同通信、2009年4月28日

豚インフルエンザ:WHOが警戒レベル引き上げ

 【ジュネーブ27日共同】世界保健機関(WHO)は27日、メキシコや米国で発生した豚インフルエンザの人への大量感染を受け、世界の警戒水準を現行の「3」から「4」に引き上げた。

▽フェーズ4

 フェーズ4 世界保健機関(WHO)が定める6段階の新型インフルエンザ警戒水準のうち、世界的大流行(フェーズ6)の2つ手前の段階。人から人への感染能力が高い新型のウイルスが、地域レベルの集団感染を起こすようになった状態とされる。世界的大流行の危険性は高まっているものの、必ず起こるとは言えないとしている。鳥インフルエンザがアジアなどで限定的に人に感染していたここ数年は「フェーズ3」。人から人への感染が少なくとも2カ国以上で起き、大流行の危険が差し迫った状態になると「フェーズ5」になる。

▽インフルエンザの大流行

 インフルエンザの大流行 新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)は、20世紀以降3回発生。ほとんどの人が免疫を持たないため新型インフルエンザは人から人に急速かつ広域的に感染し、社会、経済に重大な影響を与える。世界保健機関(WHO)の警戒レベルで最高の「フェーズ6」に相当する。1918年に始まった「スペイン風邪」では世界で約4000万人が死亡。57年のアジア風邪では約200万人が、68年の香港風邪では約100万人がそれぞれ死亡した。

(共同通信、2009年4月28日)

****** 朝日新聞、2009年4月28日

豚インフル防止に各国躍起 中国「すみやかに公表」

 豚インフルエンザの感染拡大を受け、世界中の国々が対応に追われている。6年前の新型肺炎(SARS)の流行で多くの死者を出したアジアでは、当局が警戒を強め、空港での検疫を強化。欧州などでも米大陸への渡航自粛を呼びかける動きが出ている。

 ●韓国

 韓国の保健福祉家族省は28日、国内で豚インフルエンザに感染した疑いがあるとした51歳の女性を、病院への隔離が必要で感染の疑いが濃い「推定患者」に格上げした。19日からメキシコ南部を旅行して26日に帰国した。熱、せきや鼻水の症状があり、抗ウイルス薬で治療中。同じ帰国便に乗っていた315人の追跡調査もしているほか、女性と同じ建物にいた40人に抗ウイルス薬を投与した。

 「推定患者」発生を受け、同省は伝染病に関連する国家的危機状況を4段階で表す「国家災難段階」を、最低レベルの「関心(ブルー)」から3番目の「注意(イエロー)」に引き上げた。李明博(イ・ミョンバク)大統領は28日夕、緊急関係閣僚会議を開き、「国民が不安に陥らないよう、情報収集や防疫体制などを徹底してほしい」と指示した。

 ●中国

 中国政府は28日、国務院常務会議で対策を協議。衛生水準が低い農村で発症すれば急速に広がる恐れがあり、温家宝(ウェン・チアパオ)首相は「中国に侵入する可能性は排除できず、警戒を怠ってはならない」と指示した。

 03年にSARSが流行した際には、情報隠しが感染拡大を招いたと批判された。会議では新型インフルエンザの通報制度創設を決め、各部門に「感染が疑われる症例が見つかったら、すみやかに公表する」ことを通知した。

 衛生省は28日、世界保健機関(WHO)北京事務所とも協議。WHO北京事務所の担当者は「現段階では、中国で感染を懸念する具体的な状況にはない」と話した。

 中国は世界有数の豚肉生産国で、約4億4千万頭を飼育する。今後、養豚場や市場で検査を実施する。

 香港では、豚インフルエンザの流行地域から戻った7人に発熱などの症状がみられ、うち3人は無関係と確認され、4人の検査が続いている。03年にSARSが流行した香港では今回も不安が広がり、マスクが品薄だ。

 ●台湾

 台湾も厳戒態勢。27日に豚インフルエンザを最高レベル「第1類法定伝染病」に指定。感染対策指揮センターを設置した。29日朝から米大陸発の航空機について、到着後に乗客が出る前に検疫官が乗り込み、感染の疑いがある者がいないか確認する。

 ●ニュージーランド

 感染者が初めて確認されたニュージーランドでは、住民の間に不安が広がる。オークランドのある住民の話では、風邪がはやり始めた時期とあって感染を心配した多くの市民が病院へ検査に訪れている。この住民の勤務先では全員にタミフルが配られた。

 ●オーストラリア

 オーストラリア保健当局者は28日、国内で計70人が豚インフルエンザに感染した疑いがあるとして検査を受けていることを明らかにした。同当局者によると、各地の空港では米国などから来た航空機に対し、着陸前にパイロットと連絡をとり、症状の出ている乗客、乗務員を確認する作業を始めた。

 ●英国

 英外務省は27日夜、重要な事情以外のメキシコへの渡航は控えるよう勧告した。このため28日朝、格安航空会社トムソンが、ロンドンとマンチェスターからメキシコのカンクンに向かう予定だった2便を取り消した。客には全額払い戻しや、旅行先の変更で対応。メキシコにいる客を帰国させる便も手配する。

 ●スペイン

 2人の感染者が出たスペインでも、外務省が国民に対し、メキシコへの渡航を延期し、米国への渡航も考え直すよう呼びかけている。著名な闘牛士フリアン・ロペス氏は、メキシコで予定していた闘牛の興行を取り消したと27日明らかにした。興行主とも相談のうえ決断したという。

(朝日新聞、2009年4月28日)

****** 毎日新聞、2009年4月28日

豚インフルエンザ:「フェーズ4」 「水際対策」が本格化 「職員足りぬ」成田悲鳴

 豚インフルエンザへの不安がじわりと広がった。新型インフルエンザの世界的大流行に備える警戒レベルが「フェーズ4」に引き上げられた28日、関係機関は水際阻止に向けた動きを本格化させた。航空会社は北米便に積むマスクを倍増。今後、機内食の提供を中止することも検討する。「パニックに陥ることはない」。緊急会見した舛添要一厚生労働相は、国民に冷静な対応を呼び掛けた。

 世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザの警戒レベルを「フェーズ4」へ引き上げたことを受け、成田国際空港(千葉県成田市)の関係機関や県が対応に追われている。

 成田空港検疫所は28日午前11時から、入国管理局や地元医療機関など21団体を集めて緊急会議を開いた。直面する課題は人員確保。機内検疫をメキシコからの到着便だけでなく米国などからの便にも拡大したため、職員不足は必至で、すでに東京や横浜の検疫所が応援の準備を始めている。成田空港には午後1時ごろ、米国・アトランタ発のデルタ航空機が到着し、警戒レベル引き上げ後初の機内検疫を実施する。

 東京入国管理局成田空港支局も、感染者が出ることを想定し、職員のマスクや手袋の着用を決めた。同支局職員は「現場職員に手のアルコール消毒やうがいの徹底も指示した」と話し、現場に緊張感が漂う。

 成田国際空港会社(NAA)は空港検疫所と協議し、メキシコからの便の駐機場所や乗客の誘導方法、患者が出た際の処置などの確認を急いでいる。

 成田国際空港出発ロビーでは、ヨーロッパへ向かう旅行客らが不安そうな表情を浮かべ、薬局でマスクを買い込む姿が見られた。夫婦でドイツへ旅行する埼玉県の薬剤師、村松宣夫さん(61)は「私も医療関係なので、すごく気にしている。マスクやうがい薬で、とにかく自己防衛するしかない」。世界一周旅行に出発する千葉県の花田塁さん(27)は「感染者が確認されたスペインに行くので不安だが、しっかり情報収集したい」と話し、見送りの友人5人からマスクを受け取った。

 邦人が避難のため感染国から帰国する動きも出ており、フェーズ4への引き上げで、この流れが加速する可能性もある。夫がメキシコ人という埼玉県の女性(42)は27日、長女(2)を連れ、ロサンゼルス経由でメキシコから帰国した。「子供が心配で夫を残して帰国した。メキシコではみんなマスクをしている。やはり怖い」と疲れた様子で話した。

 日本航空は北米便に積載するマスクを通常の2倍の200個に増やした。発症の疑いのある乗客とその周囲に配布するという。状況次第では客室乗務員の手袋着用や機内食の提供中止などの対応も検討する。【駒木智一、斎川瞳】

 ●自治体

 WHOが新型インフルエンザの警戒レベルをフェーズ4に引き上げたのを受け、東京都は28日、福祉保健局長を本部長とする「新型インフルエンザ対策本部」を設置、マニュアルに沿った対応を開始することを確認した。

 具体的には、(1)ホームページ開設による都民への情報提供(2)保健所での渡航者に対する健康観察(3)都内約60カ所の医療機関に発熱外来の開設の要請--など。感染症指定医療機関などでの感染予防のため、各機関の職員向けに抗インフルエンザウイルス薬の「タミフル」や「リレンザ」を8000人分配布する。

 千葉県は28日午前6時ごろ、疾病対策課などの担当職員に電話で「フェーズ4」を連絡し、通常より早く出勤させ情報収集などに当たらせている。県の電話相談窓口にはすでに66件の問い合わせがあり、メキシコへの渡航歴がある人や渡航者と接触した人からの相談があった。

 ◇駐在員相次ぎ帰国へ

 ●現地企業

 世界保健機関(WHO)が新型インフルエンザへの警戒レベルを「フェーズ4」へ格上げしたことを受けて、メキシコに社員を派遣している日本企業各社は、駐在員や家族を帰国させるなどの安全確保を始めた。メキシコを含む周辺国への出張自粛を決めた企業も相次いでおり、業務への支障も出始めている。

 駐在員の帰国を決めたのは、メキシコ国内に工作機械の部品工場を持つコマツ。駐在員2人を28日に帰国させる。また、現地で楽器販売拠点を持つヤマハ(駐在員数3人)、三菱商事(同十数人)、丸紅(同8人)、スズキ(同3人)、日本郵船(同2人)、三井化学(同1人)は駐在員の家族の帰国を決めた。商社各社は、現地事務所の業務は続けるものの、「家族にはできるだけすみやかに帰国するよう求めた」(三菱商事)。

 ホンダは、駐在員の家族を帰国させる方向で検討を開始。感染地域がメキシコ以外にも広がっていることを受け、全世界への出張を29日~5月6日の間自粛することも決めた。

 一方、流通大手各社も、豚肉に対する風評被害が広がらないよう、顧客への説明の徹底などに追われている。傘下にイトーヨーカ堂やセブン-イレブンなどがあるセブン&アイ・ホールディングスは28日午前、事業会社ごとに社長をトップとする対策本部を設置し、情報収集を始めた。【秋本裕子、高橋昌紀】

 ◇メキシコツアー中止に

 ●旅行会社

 大手旅行代理店は28日、メキシコへのツアー中止を相次いで決めた。

 近畿日本ツーリスト(東京都千代田区)は6月末まで、メキシコツアーを取りやめた。利用者数は把握できていないが、大型連休期間中は45人に上るという。HIS(新宿区)も同日から中止とし、旅行代金については全額返金するという。期間については「警戒レベルがフェーズ3に引き下げられるまで」と話している。また、JTB(品川区)もすでに6月末までの中止を決めている。対象者は400人で、うち100人が大型連休中の利用者だったという。

 ◇「これまで同様」冷静に

 ●厚労省

 厚生労働省では、新型インフルエンザ対策推進室の職員十数人が徹夜で、WHOが開いた緊急委員会の情報収集などにあたった。一時は「この日のフェーズ引き上げはなし」との連絡も入るなど情報が錯綜(さくそう)する場面も。フェーズ4への引き上げ決定を受けて午前6時前、「新型インフルエンザが発生したことを宣言する」との厚生労働相コメントを出した。

 難波吉雄室長は、政府の行動計画が新型インフルエンザ未発生の「前段階」から、海外での発生に対応する第1段階に移行したことを「これまでと同様に水際対策を徹底する」と冷静に受け止める。

 午前7時から緊急会見した舛添要一厚労相は「フェーズ5に一気に上げる可能性が高いのかなと思っていた。(WHOの見解は)マイルドな表現になったが、警戒の手は緩めてはいけない」と指摘。国民に対して(1)正確な情報に基づく冷静な行動(2)発生国への渡航自粛(3)マスク、手洗い、うがい、人込みを避けるなどの日常的な予防--を求めた。【清水健二、林哲平】

(毎日新聞、2009年4月28日)

****** 時事通信、2009年4月28日

豚インフルと「推定」=アジア初感染者の可能性-韓国

 【ソウル28日時事】韓国保健福祉家族省は28日、メキシコへの旅行後、豚インフルエンザに感染した疑いがあるとしていた女性(51)について、感染の可能性が高い「推定患者」であることを確認したと発表した。

 同省は確認を急ぐ一方、米疾病対策センター(CDC)に通報する。感染が確認されれば、アジアで最初の感染者となる。

 韓国外交通商省もこの日、メキシコでの豚インフルエンザの感染拡大を受け、同国全域を「旅行制限地域」に指定。旅行の中止や延期を促すとともに、滞在中の国民に緊急な用件がある場合を除き早期に帰国するよう勧告した。

 女性は4月19日からメキシコ南部のモレロス地域を旅行した。26日に帰国した後、37.7度の高熱、せきなどの症状を訴え、検査を受けた結果、豚インフルエンザ感染が推定されることが分かった。同省は患者を病院で隔離し、治療を行っている。

(時事通信、2009年4月28日)

****** 共同通信、2009年4月28日

「未報告の死者がいる」 メキシコ医師ら“告発” 

 【ロンドン27日共同】「報告されていない若者の死者がいる」「状況はコントロールされていると言うにはほど遠い」-。英BBC放送は27日までに、豚インフルエンザ感染の震源地メキシコの医師らが生々しい被害実態を“告発”した投稿をウェブサイトやラジオ番組で公開した。

 メキシコ市の呼吸器系疾患専門医アントニオ・チャベス氏は「1日に3人から4人が死亡する事態が2週間以上前から続いている」として、感染者の死亡率は「メキシコ当局の報告より高いのが真実だ」と指摘。20歳から30歳までの若い世代が「望みを失った医師らの目の前で」次々と亡くなっていくことに、深い悲しみに襲われると吐露した。

 さらにメキシコ市の医師グアダルーペさんによると、必要な検査が実施されなかったため豚インフルエンザとは報告されていない若者の死亡ケースが数例あるという。

 南部オアハカのアルバロ・リカルデス氏は「病院で働く友人らは、状況はとても悪く、医師と看護師を含め19人が死亡したと話していた」と説明。また「彼らは本当の状況については口外しないよう言われている」として、当局による情報隠しの可能性も示唆した。

(共同通信、2009年4月28日)


『飯伊緩和ケアセミナー2009』に参加して

2009年04月28日 | 医療全般

4月25日~26日に、『飯伊緩和ケアセミナー2009』(会場:飯田市立病院)に参加しました。受講生は主に飯田下伊那地域の多くの医療機関(病院、診療所)から集まり、医師、看護師、薬剤師など40名でした。

その時の様子は、ファシリテーター(講義や進行補助)として参加していただいた平方眞先生(愛和病院副院長、諏訪中央病院非常勤医師)のブログに詳しく掲載されてました。平方先生は『がんになっても、あわてない』(朝日新聞出版)の著者で、今月1日付で諏訪中央病院から愛和病院に移られたばかりだそうです。

『飯伊緩和ケアセミナー2009』1日目

『飯伊緩和ケアセミナー2009』2日目

2日間朝から晩までわずかな休憩をはさんで、講義、ディスカッション、ロールプレイなどがびっしり詰まっていて、本当に疲れました。多くの新しい知識を学びました。婦人科病棟では緩和ケアを実施している患者さんも多いので、今回、このセミナーに参加できて本当によかったと思いました。ただ、最後は疲れきってしまい、教わったことはあまり身に付いてませんが、これから、毎日の臨床の場で、今回配布された多くの資料や『がん緩和ケア・ガイドブック2008年版』(日本医師会)などを繰り返し読んで、少しずつ身に付けていきたいと思います。機会があったら、また参加してみたいと思いました。

今回、当科からは医師3人が参加しました。本当はもう1人参加する予定でしたが、セミナー1日目の朝に病棟で緊急事態があり、セミナー開始の直前に1人はやむなく参加を断念しました。同様のセミナーは今後も県内各地で開催されますから、今回参加できなかったO先生は、次の機会に是非参加してもらいたいと思います。

がん診療連携拠点病院では、緩和ケアに関する研修会を年1回開催することが義務化され、長野県内では、昨年より、佐久総合病院、長野赤十字病院、信州大学などで、それぞれ第1回目の緩和ケアセミナーがすでに開催され、諏訪赤十字病院でも同様のセミナーが近日中に開催される予定とのことです。

『中信緩和ケアセミナー2009 in 信州大学医学部附属病院』


産科業務と労働基準法

2009年04月25日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

法定労働時間とは、労働基準法において労働者を働かせることができる限度の時間です。法定労働時間は、1日8時間、1週間については40時間となります。それを超える労働は時間外労働となり、割増賃金を支払う必要があります。労働時間は業務に従事していた時間だけではなく、使用者の指揮監督下にあるかどうかでみます。 例えば、準備・整理の時間、仕事待機の時間、出席することが義務づけられた研修の時間なども労働時間に含めます。また、労働基準法では、当直などの時間外勤務は労使が協定を結んだ上で、原則月45時間以内と定めています。

労働基準監督署の基準では、医師の当直(宿直、日直の総称)は、病室の定時巡回など軽度で短時間の業務と定義されています。従来は、医師の当直に対して、時間外、休日労働の割増賃金ではなく、割安な手当が支給されることが常態化していました。今回、奈良地方裁判所は、産科医の夜間や土曜休日の宿日直勤務について、労働基準法上の時間外労働に当たるとの判断を示し、奈良県に割増賃金の支払いを命じました。

周産期医療や救急医療などの医療現場では、通常の業務が24時間365日切れ目なく続いているので、少ないスタッフで業務を遂行していこうとすれば、どうしても長時間・過重労働となってしまいます。

現在稼働している産科施設のほとんどで、労働基準法違反が常態化しています。今後、すべての産科施設で労働基準法を厳格に遵守しなければならないということになれば、(産科施設をセンター化することによって施設あたりの産科医数を増やし、交代勤務制を導入して各勤務帯に複数の産科医を配置するなど)現行の医療システムの大転換が必要になると思われます。

医師の当直勤務は「時間外労働」、割増賃金支払い命じる判決

愛育病院、日赤医療センター: 労働基準法違反で是正勧告

****** 毎日新聞・社説、2009年4月25日

産科医訴訟判決 医療崩壊への警鐘だ

 医療が崩壊するか、医療従事者がつぶれるか。これが今、多くの医療現場で起きている厳しい現実だ。公立病院など多くの医療機関が赤字経営になっている一方、勤務医の過重労働と医師不足が深刻化している。

 そうした中、奈良地裁が産科医の夜間や土曜休日の宿日直勤務について労働基準法上の時間外労働に当たるとの判断を示し、奈良県に割増賃金の支払いを命じた。この判決は勤務医の処遇のあり方に警鐘を鳴らしただけにとどまらず、医療費削減の流れの中で起きている医療崩壊への対応について、国民に問題を提起したものと受け止めるべきだ。

 厚生労働省が07年に病院や診療所1852件の立ち入り調査を行ったところ、8割に労基法違反があり、改善指導した。違反事例では労働時間関係が5割弱、割増賃金が3割強だった。厚労省は割増賃金の支払いに加え、「宿直は週1回、日直は月1回が限度」と指導しているが、多くの医療機関では労務管理が不十分な所が多く、徹底がなされていない。判決は労基法違反の改善を医療機関に迫ったものだ。

 とはいえ、全体の4分の3の公立病院が赤字となっており、これを支える自治体の財政も逼迫(ひっぱく)している。医師に対して労基法に基づいた超過勤務手当を支払った途端に、経営が成りたたなくなって病院閉鎖という事態になることも避けなければならない。労基法違反がない病院運営を目指すべきだが、これは段階的に改善するのが現実的な道だろう。

 当面の改善策と中長期の課題に分けて考えてみたい。当面の課題は違法状態をどう解消するかだ。現在、当直中に医療行為を行った場合には、宿直手当に加え割増賃金を支払うことになっている。まずは、これを医師の宿日直勤務に確実に適用させる指導を徹底することだ。

 今年度予算で、救急勤務医支援事業として過酷な夜間、休日の救急を担う勤務医への手当に対して財政支援(20億円)を行う仕組みが新設された。こうした財政支援の枠をさらに広げることも重要だ。

 中長期の課題は、医療崩壊の背景にある医師不足の解消だ。医師を増やして夜間の交代勤務制を導入することで医師の負担軽減を図るべきだ。特に産科医の不足は社会問題となっている。結婚や育児などで仕事をしていない女性の産科医が働きやすい環境を整備し、短時間勤務などによって職場に復帰できる制度を急いで整備してもらいたい。

 診療報酬の見直しも大きな課題だ。病院勤務医の報酬を手厚くして過酷な勤務に見合う賃金にし、労働環境を改善することが医療崩壊を防ぐことにもつながる。

(毎日新聞・社説、2009年4月25日)

****** 毎日新聞、奈良、2009年4月24日

産科医割増賃金訴訟:判決「問題突き付けられた」 知事、司法判断に疑問も

 県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が宿日直勤務に割増賃金などを求めた民事訴訟で、原告の主張が一部認められたことについて、荒井正吾知事は23日の定例会見で「今まで時間外労働は慣行が先行して法的にはっきりしていなかった。労働基準法の通達と現実が合わず、どう合わせるのかという問題を突きつけられた」と評価した。

 ただ、時間外割増賃金の支払いを命じられたことには「条例で給与や地域手当と計算基礎が決められている。算定基礎は国も同じで、条例で決められたことをいかんと司法が判断できるのか」と疑問を呈した。控訴するかどうかは検討中としている。 【阿部亮介】

(毎日新聞、奈良、2009年4月24日)

****** 読売新聞、長野、2009年4月25日

「当直は時間外労働」判決 県立病院、分娩は「通常勤務」扱い

 産科医の夜間や休日の当直勤務は時間外労働にあたると認めた奈良地裁の判決は、産科医の労働実態の厳しさを改めて浮かび上がらせた。激務に少しでも報いるため、県内の県立病院では、当直勤務時に分娩(ぶんべん)などが入った場合は、通常勤務と見なして超過勤務手当を払うなどの対応をとっている。

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産科医2人が当直勤務に割増賃金を支払わないのは労働基準法に違反するとして、県に未払い賃金の支払いを求めた訴訟で、22日の奈良地裁判決は「(当直勤務でも)分娩や新生児の治療など通常業務を行っている」と認定。県に割増賃金の支払いを命じた。

 総合周産期母子医療センターに指定され、県内の産科、小児科医療の拠点となっている県立こども病院(安曇野市)の場合、常勤産科医6人で年間約200件の分娩を扱っている。夜間や休日は、1人が当直勤務につき、もう1人が緊急時に駆けつけられるように自宅で待機する。当直明けも、そのまま通常勤務をこなすケースがほとんどという。

 年間150~160件の分娩を扱う県立木曽病院(木曽町)の常勤産科医は2人だけ。月1、2回の当直をこなすほか、当直時間帯の緊急事態に備えるため、交互に「拘束態勢」をとっている。拘束時は、病院に15分以内に駆けつけられる場所にいなければならず、飲酒もできないが、手当は特にない。小林和人事務部次長は「医師の負担は大きいがどうしようもない」と話す。

 県は、県立病院での夜間(午後5時15分~翌朝8時30分)と休日の当直勤務については、県立奈良病院と同様、労働基準法上の「断続的な労働」にあたるとして、割安な手当(1回2万円)を支給している。だが、当直時間帯に、分娩や帝王切開などの手術を行った場合は、その時点から時間外の通常勤務に入ったと認定。時間帯などによって、2割5分~6割増しの超過勤務手当を支給している。

 今年3月からは、産科医不足に対応するため、時間帯に関係なく出産に立ち会った主治医に2万5000円、補助をした医師にも6000円の分娩手当を支給している。県病院事業局の北原政彦次長は「赤ちゃんは時間を選んで生まれてこない。勤務の厳しさを考えれば待遇面で手当てすることは産科医確保にとっても重要なこと」と話している。

(読売新聞、長野、2009年4月25日)

****** 読売新聞、2009年4月23日

当直医に割増賃金命令、初の司法判断
…奈良地裁

通常業務と認定

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が、夜間や休日の当直は時間外の過重労働に当たり、割増賃金を払わないのは労働基準法に違反するとして、県に2004、05年分の未払い賃金計約9200万円を請求した訴訟の判決が22日、奈良地裁であった。

 坂倉充信裁判長(一谷好文裁判長代読)は「当直で分娩など通常業務を行っている」と認定し、県に割増賃金計1540万円の支払いを命じた。医師の勤務実態について違法性を指摘した初の司法判断で、産科医らの勤務体系の見直しに影響を与えそうだ。

 同病院産婦人科には当時、医師5人が所属していた。平日の通常勤務以外に夜間(午後5時15分~翌朝8時30分)、休日(午前8時30分~午後5時15分)の当直があり、いずれも1人で担当。労基法上では、待ち時間などが中心の当直は、通常勤務と区別され、割増賃金の対象外とされる。そのため、県は1回2万円の手当だけ支給していた。

 判決で、坂倉裁判長は、勤務実態について「原告らの当直は、約4分の1の時間が、外来救急患者の処置や緊急手術などの通常業務」と認定。待ち時間が中心とは認められないとして、労基法の請求権の時効(2年)にかからない04年10月以降の計248回分を割増賃金の対象とした。

 原告らは、緊急時に備えて自宅待機する「宅直制度」も割増賃金の対象になると主張したが、坂倉裁判長は、宅直については、医師らの自主的な取り決めとして、割増賃金の対象と認めず、請求を退けた。

 奈良県の武末文男健康安全局長は「判決文を詳細に見たうえで、対応を検討したい。厳しい労働環境で頑張っているのは認識している。これまで医師の志に甘えていた」と話している。

医師の当直 夜間や休日の勤務のこと。宿直(夜勤)、日直(休日勤)の総称で、労働基準監督署の基準では、医師の場合、病室の定時巡回など軽度で短時間の業務と定義される。時間外、休日労働の割増賃金ではなく、割安な手当が支給されることが常態化している。

(読売新聞、2009年4月23日)

****** NHKニュース、2009年4月23日

産科医の時間外手当 認める

 奈良県立奈良病院の産婦人科の医師2人が、夜間や休日の当直勤務について、割り増し分の時間外手当が支払われないのは違法だと訴えていた裁判で、奈良地方裁判所は、医師の当直は労働時間に当たるとして、奈良県に対し1500万円余りを支払うよう命じました。医師の当直に時間外の手当を認める判決は初めてだということです。

 この裁判は、奈良県立奈良病院の産婦人科の医師2人が、夜間や休日の当直勤務で出産や緊急の患者の対応に追われているのに、待ち時間の多い仕事という扱いで割り増し分の時間外手当が支払われないのは違法だとして、奈良県に未払いの賃金を支払うよう求めていたものです。奈良地方裁判所の坂倉充信裁判長は、22日の判決で「産婦人科医の夜間・休日の当直では、通常の出産のほか、帝王切開手術など緊急に対応しなければならず、待ち時間の多い勤務とは言えない」として、医師の当直は労働時間に当たると認めました。そのうえで、奈良県に対し、あわせて1500万円余りを支払うよう命じました。判決後の会見で、原告側の藤本卓司弁護士は「産婦人科の過酷な労働が医師不足の背景にあるとされているなかで、深夜・休日の当直勤務を、昼間と同じ労働時間と認めた過去に例のない判決だ」と述べました。奈良県は、おととしの6月から、県立病院の医師が夜間・休日の当直勤務で手術などを行った場合、割り増し分の時間外手当を支給しています。

(NHKニュース、2009年4月23日)

****** 東京新聞、2009年4月24日

周産期指定継続へ 愛育病院 OB雇用 24時間態勢確保

 東京都の総合周産期母子医療センターに指定されている愛育病院(東京都港区)が先月、労働基準監督署から医師の勤務体制の是正勧告を受け、都に指定返上を打診していた問題は、センターを継続することで決着する見通しとなった。愛育病院では、非常勤のOB医師を増やすことにより、緊急治療が必要な妊産婦や新生児の二十四時間態勢での受け入れを可能にした。 

 愛育病院の夜間当直は常勤医と非常勤医が2人一組で担当。当直が可能な常勤医は6人しかおらず、当直は1人平均月6回、時間外勤務は月間約60時間に上っていた。

 労働基準法では、当直などの時間外勤務は労使が協定を結んだ上で、原則月45時間以内と定めているが、同病院は医師側と協定を結んでいなかったため、東京・三田労基署から先月中旬、是正勧告を受けた。

 常勤医の当直勤務を減らすと、2人とも非常勤医による当直が月10日以上になるため、病院は「当直は総合周産期センターの機能に慣れた常勤医が必要」として都にセンターの指定返上を相談。都は「当直は医師が複数いれば問題ない」として継続を要望していた。

 このため病院は、今月17日付で医師側と協定を締結。常勤医の当直は45時間以内になるように月3回程度にする一方、新たに4人のOB医師を非常勤で雇い入れ、常勤医が当直に入れない日にカバーしてもらう。都は近く、都周産期医療協議会に新しい取り組みを報告した上で、指定を継続する。

(東京新聞、2009年4月24日)

****** 東京新聞、2009年4月24日

『現場で経験積みたい』 医師の思い労基署とズレ

 東京都に総合周産期母子医療センターの指定返上を打診し、医療関係者の注目を集めた愛育病院が、都と協議の末、妊産婦と赤ちゃんの“最後の砦(とりで)”を継続する見通しとなった。きっかけは労働基準監督署から医師の“働き過ぎ”を指摘されたことだが、現場の医師からは「医療を実地に学ぶ機会が減り、収入も少なくなる」と不満の声が上がる事態も起きた。【神田要一】

 「産科医は現場で経験を積むことが大事で当直もその一つ。当直が減れば勉強の機会が少なくなる」

 中林正雄病院長は現場の医師の気持ちを代弁した。労基署の是正勧告を受け、今月から常勤医の当直を月三回程度に減らしたところ「大変不評だった」。病院は当直一回につき3万-6万円の手当を支払っており、収入減も不評の一因だった。

 当直明けは午後から休みにするなど、過重な負担にならないように配慮していたため、勤務体制にそれほど不満がなかったという。中林院長は「労基署の勧告通りにやろうとすると、当直は月3回程度しかできず、困るというのが本音」と言う。

 病院は今回、医師側と時間外勤務の協定を結んだ際、規定の月45時間を超えても勤務できるよう特別条項も設けた。ただ、緊急時などに限られ「特別条項があっても従来の体制に戻すわけにもいかない」(大西三善事務部長)と話している。

(東京新聞、2009年4月24日)


静岡県立こども病院の前科長が提訴へ

2009年04月24日 | 地域周産期医療

静岡県立こども病院NICU 新規患者は静岡市内のみ受け入れを継続

静岡県立こども病院NICU、新規患者の受け入れを休止

****** 毎日新聞、静岡、2009年4月24日

損賠訴訟:こども病院の前科長が提訴へ 院長らに慰謝料求め

 県立こども病院(静岡市葵区)の新生児未熟児科の前科長が、不当に退職を迫られたなどとして、院長と、同病院を運営する地方独立行政法人県立病院機構を相手取り、慰謝料などを求める損害賠償請求を静岡地裁に起こすことが23日わかった。県など関係者の説明では、こども病院では、前科長らと病院側が対立。担当医が相次いで辞め、新生児集中治療室(NICU)の新規受け入れを一時、中止する事態に発展した。 【山田毅】

(毎日新聞、静岡、2009年4月24日)

****** 静岡新聞、2009年4月22日

こども病院NICU新患制限 院長が経緯説明

 静岡市内の主要11病院の院長、事務長が集まる公的病院協議会が21日、同市葵区の県立総合病院で開かれた。県立こども病院(同区)の吉田隆実院長が、新生児集中治療室(NICU)が新規患者の制限に至った経緯を説明した。

 吉田院長は「心配、ご迷惑を掛け、おわび申し上げる」と述べ、NICUを担当する新生児未熟児科の常勤医が2人に減員する事態に陥ったことを報告した。院内から医師3人を新たにNICUに配置して5人体制としたものの、当面の受け入れは静岡市内の患者にとどめる方針を説明。「何とか1000グラム以上の子供は他の病院で診るようお願いしたい」などと他病院の理解と協力を求めた。

 今回の対応については「あくまで暫定的」とし、NICUの完全再開に向けて「2カ月の間に医師を確保したい」と述べた。

(静岡新聞、2009年4月22日)

****** 静岡新聞、2009年4月21日

こども病院NICUが5人体制に 院内で3医師確保

 県立こども病院が新生児集中治療室(NICU)の新規患者を制限している問題で、同病院がNICUを担当する新生児未熟児科の医師をこれまでの常勤医2人体制から5人体制に拡充したことが20日分かった。院内で3人の医師を確保して配置した。

 ただ、新患の受け入れ範囲は引き続き静岡市内の患者にとどめる。同病院は6月をめどとしたNICUの再構築に向け、医師確保の努力を継続する。

 新たに配置した3人はほかの診療科の男性医師と男性研修医2人。いずれもNICUの経験があるといい、研修医2人については正規採用した。常勤医2人の負担を軽減し、当直体制を充実できる。

 新生児未熟児科は3月末時点で常勤医4人、研修医3人だったが、人事異動をめぐる混乱で退職意向を示す医師が相次ぎ、現在は常勤医2人体制となっている。このため同病院は当面、院内で支援する方針を示していた。

(静岡新聞、2009年4月21日)


医師の当直勤務は「時間外労働」、割増賃金支払い命じる判決

2009年04月23日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

産科当直に対して、時間外労働としての正当な報酬を支払えという判決がありました。

分娩は昼夜を問わないですし、母体や胎児の異常はいつ発症するのか予測困難です。産科病棟は、いつでも30分以内に緊急帝王切開を実施できるように十分な人員を配置しておく必要があります。いざ帝王切開を実施するということになれば、夜中であっても、産婦人科医、小児科医、麻酔科医、助産師、手術室看護師など大勢のスタッフが必要となります。

産科業務は、忙しい日と暇な日の業務量の差が激しく、業務量を一定にコントロールするのが難しいのが特徴です。暇な日は人員が少なくても済みますが、忙しい日は猫の手も借りたいような状況となり、小人数のスタッフではとても回せません。

病院の産科業務を継続してくためには、いくら暇な日が続いても、いざという時に備えて大勢のスタッフを常に確保しておく必要があり、その人達に正当な報酬を支払っていく必要があります。大勢の人を雇ったのはいいけれど、暇な日ばかりが続いたんでは、人件費ばかりがかさんで病院の経営が成り立ちません。莫大な人件費に見合うだけの適正な患者数が必要となります。労働基準法を遵守し、かつ、病院の経営も健全に維持していくためには、スタッフの数を増やし、それに見合うだけの十分な症例数を確保していく必要があります。

病院の数が多ければ、それだけ病院あたりのスタッフの数も患者数も少なくなってしまい、どの病院の経営も行き詰まり、地域全体の産科医療が崩壊してしまいます。地域の産科医療を守っていくためには、病院あたりの産婦人科医数を増やし、交代勤務制を導入して時間外の勤務をなるべく少なくし、労働環境を改善する必要があります。産婦人科医の総数は急には増えないので、当面は、病院の集約化、拠点化をさらに進める必要があると思います。

20年ほど前に私が現病院に着任した当時、産婦人科は一人医長態勢で、少ないスタッフで連日病院に泊まり込み、昼夜かまわず、がむしゃらに働き通しの毎日でした。労働基準法など全く無視もいいところで、かなり劣悪な労働環境でしたが、当時は、地方の病院はみんな似たりよったりの労働環境で、それほど疑問にも感じませんでした。昔の常識も、今、振り返ってみれば、全く通用しません。今、みんなが当たり前と思っている医療の在り方の常識でも、後から振り返ってみれば、とんでもなく常識はずれの部分がいっぱいあると思います。おかしいところはおかしいと早くみんなで気が付いて、軌道修正していく必要があると思います。

****** 読売新聞、2009年4月23日

割増賃金支払い命令判決「当直は時間外労働」…産科医激務に一石 調査の病院8割、法違反

 「当直は時間外労働にあたる」--。22日、奈良地裁が言い渡した判決は、待機や軽微な勤務を前提に認められている医師の当直について、一部の時間帯は通常業務と変わりない実態があるとして、割増賃金の支払いを命じた。

 医師不足が深刻化する中での初の司法判断は、医療の現場に勤務体系の見直しを迫るものになりそうだ。

 奈良県立奈良病院の産婦人科医の待遇は決して特殊なケースではない。全国周産期医療連絡協議会が2008年、重症の妊婦を24時間態勢で受け入れる全国75か所の「総合周産期母子医療センター」に実施した調査では、97%にあたる73施設が夜間勤務を正規の労働時間にあたらない「宿直」と見なしていた。

1回の手当の平均は約2万3000円。8000円しか支払われない施設もあった。また77%の施設では、当直医が翌日も夕方まで勤務していた。

 労働基準監督署の基準では、そもそも当直は「ほとんど労働する必要がなく、病室の巡回など、軽度で短時間の勤務」とされている。これを前提に、労基署は宿直は週1回、日直は月1回を限度に病院などに許可を出すが、実態は軽度で済まない。医師が当直日に忙しく働いたかどうか、勤務実態を調べて割増賃金を支払うことは多くの病院がしていない。

 緊急手術や急患に対応するために、宿直の医師は仮眠すら取れないケースが多い。前日朝から宿直を経て、翌日の夕方まで連続30時間以上という激務もある。

 日本産科婦人科学会のまとめでは、大学病院に勤務する産婦人科医が病院に滞在する時間は月平均341時間、最長は505時間。過酷な労働環境を反映し、産婦人科医はここ10年で約1割も減少している。

 厚生労働省では、労基署への申告が相次いだことを受け、2002年に当直勤務の適正化を図るため、全国の医療機関に対し、当直勤務の実態を自主点検するよう、各労働局に通達を出した。07年には、立ち入り調査した病院や診療所など1852施設のうち、約8割にあたる1468施設で法違反が見つかった。

 今年3月には東京・三田労基署が、都から総合周産期母子医療センターに指定されている愛育病院に対し、「当直の実態は時間外労働だ」として、残業代を支払うよう是正勧告。同病院は「勧告に従うと、センターが求める産婦人科医の勤務態勢を維持できない」として、同センターの指定返上を打診する事態になった。

改善策「すぐは厳しい」奈良県

 「あまりに過酷な環境をどうにかしてほしいということ。金が目当てではない」。原告代理人の藤本卓司弁護士は判決後の記者会見で、訴えた理由を強調した。

 藤本弁護士は、原告2人が提訴に関して「批判や中傷を浴びた」と、医師が労働条件に声を上げることの難しさを示した。そのうえで、宅直が認められなかったことに「やむを得ずやっていることなのに」と不満を漏らし、「労務管理体制を根本から変えないといけない。その対策が国や自治体に求められる」と話した。

 奈良県では2006、07年、妊婦の救急搬送の受け入れが拒否される問題が起きている。医師不足など、医師を取り巻く劣悪な環境が理由に挙げられる。

 奈良県健康安全局の武末文男局長は判決後、「根底に医師が足りないという問題がある」と述べた。交代勤務制の導入や他病院からの応援医師の配置などの対策を列挙したが、「今すぐにというのは厳しい」と、問題の根深さをのぞかせた。

(読売新聞、2009年4月23日)

****** 毎日新聞、奈良、2009年4月23日

産科医割増賃金訴訟:県、不備認め待遇改善へ

 ◇原告側「労働時間明示、画期的」

 県立奈良病院(奈良市平松)の産婦人科医2人が、夜間や土曜休日の宿日直勤務に対し、割増賃金などの支払いを求めた民事訴訟。奈良地裁の判決は、原告の主張を一部認め、県に厳しい内容となった。判決を受けて、記者会見した武末文男・健康安全局長は「日本の医療のあり方に一石を投じた。判決を重く受け止めます」と述べ、今後、待遇改善に取り組む意向を示した。

 武末局長は「控訴については今後検討したい」と述べたが、「労務管理や勤務状況を把握しなければなかったという点では問題があった」と、不備があったことを認めた。

 一方、これまでの県の取り組みに触れ、宿直勤務や分べん、時間外呼び出しなどへの特殊勤務手当の支給▽同病院産科の産科医や後期臨床研修医3人の増員▽医師の業務負担を軽減する事務員「メディカルクラーク」の導入--などを進めてきたことを強調した。

 原告側は、異常分べんなどに備えて自宅で待機する「宅直」も労働時間に含めるよう主張したが、判決は「病院の指揮命令下にあったとは認められない」として請求を退けた。

 宅直について、武末局長は「根本的には2人当直にできない医師不足がある。また、自分が主治医をしている患者の具合が悪くなったら、どんな場所に居ても呼び出される慣習があった」と指摘。「今後は当直勤務の翌日は休みが取れるような勤務態勢の導入を検討したい」と述べた。

 原告側の藤本卓司弁護士は「宿日直勤務の始めから終わりまでが労働時間だと明示した画期的な判決だ。全国の多くの病院も同じような実態で、国や行政が産科医不足の対策を取ることが求められる」と述べた。【阿部亮介、高瀬浩平】

(毎日新聞、奈良、2009年4月23日)

****** 読売新聞、2009年4月23日

背景に医師不足 産科の悲鳴届いた…奈良地裁判決 2人で2年間に当直313回 50時間勤務も

 産科医の悲鳴が司法に届いた――。奈良地裁が22日、奈良県立奈良病院の当直勤務を時間外労働と認めた判決で、産科勤務医の労働実態の過酷さが改めて浮き彫りになった。こうした問題の背景には、医師を計画的に配置せず、医師の偏在を放置してきた日本の医療体制がある。勝訴した産科医の1人は「産婦人科の医療現場では緊急事態に対応するためスタッフが必要」と訴え、医師不足の抜本的な解決策を求めている。

 今回の訴訟では、産科医が休憩もままならず、ぎりぎりの状況で母と子の命に向き合わなければならない実態が陳述などで明らかになった。原告の1人が2005年12月に経験した土、日、月曜の3日間の連続勤務を振り返ると――。

 土曜夜、1人の妊婦が出血し、その約1時間後に別の妊婦が陣痛を訴えた。日曜の午前4時半頃には、さらに別の妊婦の異常分娩に立ち会った。医師は原告だけ。1人の処置をしている間に、別の妊婦が分娩室にやってくる。

 日曜日は午前9時半前、午後4時前、同7時半前、同10時前にそれぞれ赤ちゃんが生まれ、月曜未明にも赤ちゃんが誕生した。ほかにも原告は、切迫早産や出血などの手当てに追われ、連続する宿直勤務の間に診た妊婦は計13人。立ち会った出産は6件にのぼった。この後、月曜日は夕方まで通常の勤務に就いたという。

 法廷で、原告は宿直明けの体調について「朝のうちは興奮状態で元気かなと思うが、昼ぐらいから、ガクッと疲れる感じ」と陳述。宿直明けの手術の際、エックス線撮影の指示を誤ったこともあったと述べた。

 原告2人が2年間で務めた夜間・休日の当直は計313回、担当したお産は計300件。妊婦からの呼び出しコールが頻繁にあるため、仮眠を取るのも難しく、50時間以上の連続勤務もあった。

 原告の上司も「外科の当直なら、整形外科などを含めた複数の診療科から1人出せばいいが、産婦人科は、産婦人科だけで回さなければならない」と厳しい実態を証言した。

過酷勤務、訴訟リスク・・・「なり手なくなる」

 「お産は24時間ある。産科は診療科の中で最も当直が多く、負担が特に大きい。なり手がなくなるのではないかと危惧している」。岡井崇・昭和大教授(周産期医療)はこう指摘する。

 産科医の減少は、分娩施設の数にも表れている。日本産科婦人科学会の調査(2006年)では、全国の分娩施設は1993年に約4200施設あったが、調査のたびに減少、05年は約3000施設となった。

 約2700病院が加盟する日本病院会は「勤務医、中でも産科、小児科は『訴訟リスク』が大きく、研修医らから敬遠されやすい。結果的に医師が不足し、労働条件も悪化する悪循環が起きている」とする。

 労働基準監督署から、指導を受ける病院も後を絶たない。原告の産科医が勤める県立奈良病院でも、04年に労働時間の是正を求められたが、改善されず、今回の訴訟に発展した。

 現場の産婦人科勤務医の評価はさまざまだ。

 京都市内の病院に勤務する50歳代の男性医師は「現場は医師のボランティア精神と犠牲の上に成り立っている。待遇が改善されれば、医師も増え、医療の充実につながるだろう」と話す。

 一方、石川県内の大学病院の男性医師は「抜本的な解決には、看護師のように3交代制を敷くしかない。それには、お産の拠点施設を配置するなど、医療システムを根本的に変える必要がある」と指摘する。

 厚生労働省監督課は「長時間労働は抑制し、労働基準法を順守するよう監督したい」としている。

(読売新聞、2009年4月23日)

****** 朝日新聞、2009年4月23日

当直医へ時間外手当、1500万円支払い命令 

奈良地裁

 当直勤務時の賃金が一律支給で済まされ、過酷な労働に見合う時間外手当(割増賃金)が支給されていないとして、奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が、04、05年の未払い分として計約9200万円の支払いを県に求めた訴訟の判決が22日、奈良地裁であった。坂倉充信裁判長(一谷好文裁判長代読)は「分娩(ぶんべん)や救急外来など、通常と変わらない業務をしていた」として、産科医としての2人の当直は時間外の支給対象となると認定。県に計約1540万円の支払いを命じた。

Osk200904220095_2

 県は当時、当直1回につき2万円を支給するだけだった。原告の代理人弁護士によると、医師の当直に時間外の支給を命じた判決は全国初。当直勤務に一律支給を導入する例は全国的にあり、各地の病院に影響を与えそうだ。

 訴えていたのは、産婦人科の40代の男性医師2人。夜間や休日の当直業務が、割増賃金として労働基準法で規定された時間外手当の支給対象になるかが争点となった。

 県側は時間外の適用が除外される労基法上の「断続的労働」にあたると主張していたが、判決は断続的労働について「常態としてほとんど労働する必要がない勤務」と指摘。原告の勤務は「1人で異常分娩に立ち会うなど、睡眠時間を十分に取ることは難しい」などとし、医師の当直を断続的労働とした県人事委員会の規則は適用除外の範囲を超えていると判断した。

 そのうえで、賃金など労働債権の時効(2年)となる期間を除いた当直計約250回を対象とし、給与をもとに算出した時給約4200~4400円に割り増し分を加えた手当の支払いを命じた。

 交代で自宅で待機する「宅直」については、「医師間の自主的な取り決め」として時間外と認めなかった。

 県は提訴を受けた後の07年6月から、一律支給を維持しつつも、県立病院の医師が当直中に救急患者の診察や手術をした場合、その実働時間に限り時間外の対象とするように変更している。

 奈良県が今月、医師の当直勤務の手当について全都道府県の状況を調べたところ、37団体から回答があった。定額の当直手当のみは6団体、07年に奈良県が改めたような定額手当と時間外手当のセットが29団体、今回の判決の考え方と同様に当直中の全労働時間を時間外手当としているのは2団体だった。

(朝日新聞、2009年4月23日)

****** 読売聞、2009年4月22日

医師の当直勤務は「時間外労働」、割増賃金支払い命じる判決

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医2人が、夜間や休日の当直は時間外の過重労働に当たり、割増賃金を払わないのは労働基準法に違反するとして、県に2004、05年分の未払い賃金計約9200万円を請求した訴訟の判決が22日、奈良地裁であった。

 坂倉充信裁判長(一谷好文裁判長代読)は「当直で分娩など通常業務を行っている」と認定し、県に割増賃金計1540万円の支払いを命じた。医師の勤務実態について違法性を指摘した初の司法判断で、産科医らの勤務体系の見直しに影響を与えそうだ。

 同病院産婦人科には当時、医師5人が所属していた。平日の通常勤務以外に夜間(午後5時15分~翌朝8時30分)、休日(午前8時30分~午後5時15分)の当直があり、いずれも1人で担当。労基法上では、待ち時間などが中心の当直は、通常勤務と区別され、割増賃金の対象外とされる。そのため、県は1回2万円の手当だけ支給していた。

 判決で、坂倉裁判長は、勤務実態について「原告らの当直は、約4分の1の時間が、外来救急患者の処置や緊急手術などの通常業務」と認定。待ち時間が中心とは認められないとして、労基法の請求権の時効(2年)にかからない04年10月以降の計248回分を割増賃金の対象とした。

 原告らは、緊急時に備えて自宅待機する「宅直制度」も割増賃金の対象になると主張したが、坂倉裁判長は、宅直については、医師らの自主的な取り決めとして、割増賃金の対象と認めず、請求を退けた。

 奈良県の武末文男健康安全局長は「判決文を詳細に見たうえで、対応を検討したい。厳しい労働環境で頑張っているのは認識している。これまで医師の志に甘えていた」と話している。

(読売新聞、2009年4月22日

****** 産経新聞、2009年4月22日

当直医に残業代支払え 「断続的勤務」に該当せず 奈良地裁

 奈良県立奈良病院(奈良市)の男性産婦人科医2人が、夜間宿直や休日などの勤務に対し、正当な労働対価が支払われていないとして、県に平成16~17年の割増賃金未払い分計約9230万円の支払いを求めた訴訟の判決が22日、奈良地裁であり、坂倉充信裁判長は県に計約1500万円の支払いを命じた。

 原告側弁護士や県によると、公立病院では、医師の宿直や休日勤務に一定額の手当の支払いで済ませているケースが大半。こうした勤務にも割増賃金を支払うべきと認定した判決は、産婦人科などで目立つ医師不足や偏在の要因となってきた労働環境をめぐる議論に影響を与えそうだ。

 弁論では、医師らの宿直や休日(宿日直)勤務が、労働基準法や人事院規則にのっとって県が定めた条例で割増賃金を支払う必要がないと定められた「断続的勤務」かどうかが大きな争点となった。

 坂倉裁判長は判決理由で、断続的勤務に該当する宿日直勤務について、「構内巡視や文書・電話の収受など常態としてほとんど労働する必要のない勤務」と判示。同病院の産婦人科医師らの勤務実態は「宿日直の24%の時間、救急患者の措置や緊急手術などの通常業務に従事していた」と認定し、断続的勤務には該当しないと判断した。

 その上で、宿日直中は「奈良病院の指揮命令下にあり、割増賃金を支払うべき対象の労働時間にあたる」と指摘。訴えのうち、時効が未成立の平成16年10月末以降の割増賃金の支払いを命じた。

(産経新聞、2009年4月22日)

****** 読売新聞・社説、2009年4月23日

産科医賃金訴訟 過重労働の改善を急がねば

 産科医の過酷な勤務実態の違法性を指摘した初の司法判断である。

 奈良県立奈良病院の産科医2人が過重労働に対する割増賃金を求めた訴訟で、奈良地裁は夜間と休日の当直は労働基準法上の時間外労働にあたるとして、県に1540万円の支払いを命じた。

 安全な出産のためにも産科医を増やし、労働条件の改善を急がなければならない。医療行政全体に向けた判決とも言えるだろう。

 判決は、「当直」とは「非常事態への待機など、ほとんど労働の必要がない業務」と指摘した。

 その上で、2人の医師は2年間の当直で計300件の分娩や1000件を超える救急患者に対応しており、こうした勤務実態は「労働基準法の規定を超える時間外労働として、割増賃金の支払い義務がある」と結論づけた。

 医療機関は一般に、当直は労働時間に当たらないとし、一定の手当で済ませているのが実情だ。

 県立奈良病院は、1人で当直をし、1回の手当は2万円だ。医師2人はそれぞれ当直が2年間で200日を超えていた。

 また、呼び出しに備える自宅待機(宅直)もあり、2年間でそれぞれ120日を超え、完全な休日は3~4日しかなかった。

 判決は、宅直については「医師間の自主的な取り決めで病院の内規にもなかった」として割増賃金を認めなかった。

 県立奈良病院では宅直に対する手当も支給していない。手当を支給する病院は増えており、宅直も適切に評価すべきだろう。

 全国の産科勤務医も同様の厳しい労働環境を強いられている。日本産婦人科医会の調査では、1か月の当直の平均は5・9回と、他の診療科を大きく上回る。

 産科医不足も深刻だ。10年間で全体の医師数は15%増えたが、産科は11%も減った。医師不足が過重労働に拍車をかけている。

 総合周産期母子医療センターの愛育病院(東京都)は労働基準監督署から医師の勤務実態を改善するよう勧告を受けたため、センター指定の返上を都に打診する事態に発展した。改善に必要な医師確保が困難だからだ。

 奈良では2006年、19病院で受け入れを断られた妊婦が亡くなっている。各地で同様の問題が起きている。お産の現場は危機的な状況にある。

 労働条件が改善されなければ産科医はさらに減少する。開業医が当直に加わるなど、地域医療全体での体制づくりが欠かせない。

(読売新聞・社説、2009年4月23日))

****** 毎日新聞、2009年4月23日

訴訟:産科宿直に割増賃金 「待機時間も労働」--奈良地裁判決

 奈良県立奈良病院(奈良市平松)の産婦人科医2人が、夜間や土曜休日の宿日直勤務に対し低額の手当ですませるのは違法として、04、05年の割増賃金など計約9230万円を支払うよう求めた訴訟の判決が22日、奈良地裁であった。坂倉充信裁判長は、県に時効分などを除く計約1540万円の支払いを命じた。宿日直勤務を時間外労働と認めた初の判断とみられる。

 判決などによると、同病院は県内外からハイリスクの妊婦らを24時間受け入れている。原告は04、05年に1カ月当たり6~12回の宿日直勤務をした。勤務時間は宿直が午後5時15分から翌日午前8時半、日直が土曜休日の午前8時半から午後5時15分だが、その前後も恒常的に勤務が続いていた。

 判決は原告らの宿日直勤務が「分娩(ぶんべん)の回数も少なくなく帝王切開も含まれる。救急医療もまれではない」として労働基準法上、割増賃金を払わなくてよい「断続的労働」とは認めなかった。割増賃金の根拠となる労働時間について「待機時間も労働から離れることが保障されているとはいえない」と宿日直開始から終了までが労働時間に当たると認めた。

 原告側は、自宅で待機する「宅直」も労働時間に含めるよう主張したが、判決は「病院の指揮命令下にあったとは認められない」として請求を退けた。【高瀬浩平、阿部亮介】

(毎日新聞、2009年4月23日)

****** 共同通信、2009年4月23日

産科医当直は「労働時間」 奈良、県に割増賃金支払い命令

 県立奈良病院(奈良市)の産科医2人が、2004年、05年の当直勤務の時間外割増賃金など計約9200万円の支払いを県に求めた訴訟の判決で、奈良地裁(坂倉充信裁判長、異動のため一谷好文裁判長代読)は22日、当直を時間外労働と認め、計約1500万円の支払いを命じた。

 奈良県は当直1回につき2万円の手当を払うのみだった。弁護士によると、医師の当直が労働時間に当たるかどうか争われた訴訟は初めて。当直に定額手当しか支払わない例は全国にあり、ほかの病院にも影響を与えそうだ。

 判決は「産科医は待機時間も労働から離れていたとは言えず、当直開始から終了まで病院の指揮下にあった」と指摘。当直は労働基準法上の時間外労働に当たり、割増賃金支払いの対象になるとして「現実に診療をした時間だけが労働時間」とする県側主張を退けた。

 判決によると、産科医2人は04-05年にかけてそれぞれ約200回、夜間、休日に当直勤務をした。その際、分娩に立ち会うことも多く、異常分娩の時に診療行為をすることもあった。さらに病院での宿直時は睡眠時間を10分取ることは難しく、当直中はポケベルを携帯し、呼び出しに速やかに応じることを義務付けられていた。

 判決は時効となった04年10月以前を除いた分について、手当を支払うよう命じた。

(共同通信、2009年4月23日)

****** 時事通信、2009年4月22日

奈良県に1500万円支払い命令=産科医の時間外手当認める-地裁

 奈良県立奈良病院(奈良市)の男性産婦人科医2人が、県を相手に2004年から2年分の時間外手当約9200万円の支払いを求めた訴訟の判決が22日、奈良地裁であり、坂倉充信裁判長(一谷好文裁判長代読)は約1539万円の支払いを県に命じた。

 判決によると、2人は2004年から2005年にかけ、それぞれ約200回の宿日直勤務に当たったが、県は1回の宿日直勤務に対し、2万円の手当を支払うのみで、労働基準法で決められた時間外手当を支払っていなかった。

 坂倉裁判長は、宿日直勤務中は睡眠などは取れず、勤務が続いていたと判断。「時間外手当を支払う必要がないとはいえない」とし、既に時効の04年1月1日から10月25日までの分を差し引いた手当約1539万を支払うよう命じた。

 産科医らが自主的に行っていた、休日も自宅で待機する宅直勤務については、「病院が命じていたことを示す証拠がなく、待機場所が定められているわけでもない」として時間外手当の請求を認めなかった。

 武末文男奈良県健康安全局長の話 県民が安心して医療が受けられる体制づくりのために、判決を詳細に検討したい。

(時事通信、2009年4月22日)


妊婦水戸へ集中 周辺の産科医負担増 (読売新聞)

2009年04月20日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

茨城県北部・日立地域(人口28万人:日立市・高萩市・北茨城市)の06年の分娩件数は計2257件で、日立製作所日立総合病院がこのうちの半数超の1215件の分娩を取り扱いました。同病院は、07年度まで県内最多の分娩を取り扱っていました。

しかし、08年度初めまで6人いた同病院の産婦人科常勤医が今月より1人だけとなり、分娩取り扱いを休止しました。現在、この地域の分娩取り扱い施設は、北茨城市立病院(常勤医2人、北茨城市)、高萩協同病院(常勤医1人、高萩市)、瀬尾産婦人科医院(日立市)、加茂助産院(日立市)の4施設となりました。

この地域と隣接する福島県や栃木県なども、周産期医療提供体制は非常に厳しい状況にあるようですから、他地域の妊婦さんを受け入れる余地はあまりないと考えられ、同地域の妊婦さんの多くが水戸市内の病院に通院せざるを得ない地理的状況にあるようです。

読売新聞の記事で、水戸済生会総合病院(総合周産期母子医療センター)の産科医負担が今月から急増し始めたと報道されています。産科施設のドミノ倒しにならないように、負担が増えている病院の診療態勢を最大限強化する必要があると考えられます。

日立製作所日立総合病院(日製病院)、地域周産期母子医療センターを休止

日立製作所日立総合病院:産科医1人が残留 分娩を継続へ (毎日新聞)

医師確保険しく 来春産科医0の日製病院

日立総合病院 分娩予約一時中止

****** 読売新聞、茨城、2009年4月19日

妊婦水戸へ集中

周辺の産科医負担増

 「このままでは水戸より北にお住まいの重症のお母さんや赤ちゃんの命は助けられなくなります。誰かの責任だと騒ぐのは簡単ですが、県民一人ひとりが真剣にお産について考えるべきだと思います」。医療関係者から読売新聞水戸支局に先月、窮状を訴える手紙が届いた。ニュースの現状や背景に迫る「現場から」。1回目は産科医不足にあえぐ医療現場を取り上げる。

「近い方が…」

 「赤ちゃんの頭は下がってきてるから様子を見ましょう」。日立市から約30キロ離れた水戸済生会総合病院の産婦人科外来を訪れてきた臨月の女性(29)に、漆川邦医師(36)がエコーの映像を見ながら声をかける。出産間近の女性は診察後、「何かあったらと思うと、病院は近い方がいいんですけどね」とおなかに手をやった。

 日立製作所日立総合病院(日製病院)の産婦人科で、医師の確保が難航、4月以降の分娩(ぶんべん)予約は中止され、出産時に母体や胎児に危険が生じる可能性があるハイリスク分娩を受け入れていた地域周産期母子医療センターが休止した。この影響で、昨年秋頃から総合周産期母子医療センターの水戸済生会総合病院には県北から来院する妊婦が増え始めた。

 4月初旬の午前9時50分頃、水戸市内の開業医から「妊娠30週だが、いつ産まれてもおかしくない。周産期センターで見てほしい」と電話が入った。同院産婦人科には常勤医6人と初期研修医1人がいる。この日の午前中は、3人が外来、3人が手術、産婦人科主任部長の山田直樹医師(42)は病棟を受け持った。電話の直前には、婦人科の入院患者の様子が急変しており、山田医師は受け入れ時間を確認するとすぐに病棟に走った。

 午前11時過ぎ、入院中の妊婦が産気づく。前回の出産で大量出血し、今回もリスクがあると入院していた。赤ちゃんは無事産まれたが、女性は出産後に大出血し、処置に追われた。午後も妊娠高血圧症候群の妊婦が運び込まれたり、早産があったりと、休む間もなく動き続ける。午後9時過ぎ、センターの24床が満床になった。「今は目が離せない人がいる。次に何かあったら全員呼び出しをかけるから」。山田医師は当直の若手医師に声をかけた。

ハイリスク分娩

 同院によると、妊娠22週以降のハイリスクの妊婦で受診、入院している154人のうち県北地域からの妊婦は30人。日製病院が機能していた時は「ほぼゼロ」だったという。漆川医師は「県北の方には早めの入院を勧めている」と話した。高萩市から車で40分かけて来院した妊娠9か月の女性は、ハイリスク分娩の可能性があると診断され、紹介状を持って来院した。「病院に行く途中に高速道路で出産した人をテレビで見たけど、人ごとじゃない」と不安を口にする。

 女性の母親(53)は「一人で運転させて通院させるのは心配。少子化で子供を産みなさいって言われているのに、こんな状況じゃ話にならない」と憤る。

(読売新聞、茨城、2009年4月19日)

****** 毎日新聞、茨城、2009年3月19日

日立製作所日立総合病院:

水戸赤十字病院が産科医派遣 今秋、非常勤で

関係者、分娩再開に期待

 常勤産科医不足を理由に4月以降の分娩(ぶんべん)予約を取りやめている日立市の日立製作所日立総合病院(日製病院)に今秋、水戸赤十字病院(水戸市)から産科医が非常勤で派遣される見通しになった。関係者は分娩再開につながる好材料と期待を寄せている。【八田浩輔】

 日製病院は07年に県内最多のお産を手がけたが、今年度初めに6人いた常勤産科医は派遣元の大学病院の意向で4月から若手1人になる。このため、4月からは分娩だけでなく、リスクの高い妊婦の救急搬送を24時間受け入れる「地域周産期母子医療センター」の機能休止を余儀なくされた。県は問題が表面化した昨年夏から、県央地域で産科医療態勢が比較的整っている水戸赤十字病院に支援を要請していた。

 水戸赤十字病院は今月中旬、秋以降に産科医を派遣する意向を日製病院に伝えた。7人いる常勤産科医を交代で派遣することを想定しており、人選などの詳細は今後調整する。満川元一・副院長兼産婦人科部長は「あれだけの規模の病院が出産をやめる影響は大きい。県内の病院、診療所、産婦人科医会が小さな支援を積み重ねるしかない。我々が端緒となり(分娩再開の)めどをたてたい」と説明する。

 県医療対策課は「地元住民への安心感につながり、これから先の医師確保の呼び水にもなる。早期の分娩再開に向けて支援を続けたい」としている。

(毎日新聞、茨城、2009年3月19日)

****** 東京新聞、茨城、2009年3月19日

『正常分娩再開に前進』 水戸赤十字病院 

秋以降に産科医派遣

 日立市の日立製作所日立総合病院が常勤産科医の引き揚げに伴い、四月以降、出産から新生児医療までを担う周産期センターを休止する問題で、県の要請を受けた水戸赤十字病院(水戸市)が秋以降、日立総合病院に産科医一人を派遣する方針を固めた。県医療対策課は「正常分娩(ぶんべん)の再開に向けては大きな前進」と受け止めている。

 日立総合病院周産期センターは正常分娩から危険な分娩まで1212件(2007年)を扱ってきた実績があるが、派遣元の東京大医学部が常勤産科医4人のうち3人を3月末で引き揚げるため、4月から当面、正常分娩を含む一切の分娩休止を決めている。

 このため、県北地域の産科拠点が一時的に失われるが、秋以降は水戸赤十字病院から常勤医か、非常勤医が毎日派遣される方向で、常時、産科医2人体制が整う見通しとなった。

 周産期センターの再開は難しいが、他にも協力の意思を示している非常勤医4、5人の参加や、院内助産所の開設などにより、秋以降の正常分娩再開を目指す。

(東京新聞、茨城、2009年3月19日)

****** 常陽新聞、2009年3月19日

日立総合病院に秋以降、産科医派遣

水戸赤十字病院から1人

 4月から産科を休止する日立総合病院に、秋以降、水戸赤十字病院から産科医1人が派遣されることが分かった。17日の県議会予算特別委員会で、長谷川修平委員(民主)の質問に答え、橋本昌知事が明らかにした。

 現在、日立総合病院には産科医4人が勤務しているが、3月末で3人が派遣元である東京大の医局に戻る。継続が難しいことから、同院は既に産科の休止を発表していた。このため県は派遣元の大学をはじめ、さまざまなルートでの産科医確保を模索。県内の医療機関に対し、同院への協力、支援を求めてきた経緯がある。

 県医療対策課によると今月12日、以前から調整を続けてきた水戸赤十字病院から、産科医1人を派遣する意向が示されたという。

 具体的な派遣の時期、受け入れる日立総合病院側の体制は未定。派遣に当たっては、水戸赤十字病院の診療体制の見直しや派遣方法など、詰めなければならない問題が多数あることから、秋以降になる見通しとなった。

 橋本知事は委員会で「日立総合病院では、当面、分娩(ぶんべん)取り扱いを停止することに変わりはないが、これを契機に、院内助産所の開設も視野に入れながら、県北地域の分娩を担える体制づくりを進めてほしい」と答弁。「県としては、さらなる医師確保、地域の産科医との協力体制構築など、早期の分娩再開に向けて引き続き強力に支援していきたい」と述べた。

 同課は「産科医が2人になることで、ほかの医師を呼び込みやすくなる」とし、秋以降の産科医確保に期待を寄せている。

(常陽新聞、2009年3月19日)

****** 読売新聞、茨城、2009年3月18日

日製病院へ産科医派遣

今秋以降水戸赤十字から1人

 産科医の確保が難航し、分娩(ぶんべん)予約の受け付けを一時中止している日立製作所日立総合病院(日製病院)に今年秋以降、水戸赤十字病院から産科医1人が派遣される。

 橋本知事が17日の県議会予算特別委員会で、長谷川修平委員の質問に答えた。 日製病院は4人いる産科医のうち3人が派遣元の東京大学に引きあげられる。4月以降に残る産科医1人は、婦人科で外来診療にあたることになっており、秋以降は産科医2人体制となる。

 橋本知事は「これをきっかけに(正常分娩を扱う)院内助産所の開設も視野に入れながら、県北地域の分娩の体制作りを進めていっていただきたい」と述べた。

(読売新聞、茨城、2009年3月18日)

****** 茨城新聞、2009年3月18日

日立総合に産科医派遣 水戸赤十字病院

分娩再開に光 今秋以降1人

 日立製作所日立総合病院(日立市)が4月から産科を休止する問題で、県は17日、水戸赤十字病院(水戸市)が今秋以降、産科医1人を日立総合病院に派遣する意向を示したことを明らかにした。医師派遣が実現すれば、日立総合病院の産科医は2人体制となる。県は「半年後の産科再開に希望が出てきた。院内助産所開設も視野に、県北地域の分娩(ぶんべん)を担える体制づくりを進めてもらいたい」としている。

(茨城新聞、2009年3月18日)

****** 茨城新聞、2008年11月25日

安心お産体制危機

日立病院の分娩「休止」 救急、水戸に負担

 胎児異常や重い妊娠中毒症など危険度の高い出産を引き受ける医療機関として設置されている県北・県央地域の周産期母子医療センターの体制が揺らいでいる。日立製作所日立総合病院(日立市)が医師派遣元の大学から産科医全員の派遣を打ち切られるためだ。その機能が停止すれば、水戸市内のセンターに相当の負担が掛かる。妊婦の受け入れ先がない事態は避けなければならないことから、県内全体の周産期医療体制の見直しを含めた対応が求められそうだ。【水戸支社・小林太一、日立支社・鈴木貴子】

医師引き揚げ

 「誠に恐縮ながら当面の間は新規の分娩(ぶんべん)予約をお断りさせていただきます」。今年八月、日立総合病院のホームページに来年4月以降の出産予約の受け付けを一時休止する知らせが掲載された。医師を派遣していた大学病院から「派遣が難しくなった」と伝えられたためだ。病院側は継続を要請したが、大学側は「全体的に産科医が不足している」として、派遣打ち切りの意向を変えていない。

 同病院は、県北・県央地域のセンターである水戸済生会総合病院と県立こども病院(ともに水戸市)に次いで、主に県北地域を支えるセンターに位置付けられる。新生児集中治療室(NICU)を備え、24時間態勢で危険度の高い出産の受け皿になっている。

県北から妊婦

 水戸済生会総合病院に今夏ごろから、県北地域の妊婦が訪れ始めた。来年4月以降に出産予定の妊婦が目立つという。産婦人科の山田直樹主任部長は「間違いなく日立総合病院の影響が出ている」と指摘する。

 同産婦人科は研修医を含む6人でセンターの機能を維持。隣接の県立こども病院とともに対応する。県立こども病院のNICU稼働率は95%前後で推移。山田部長は「来年4月以降、県北地域のNICUを必要とする患者をすべて受け入れるのは物理的に不可能」という。

80キロ搬送  

 県産婦人科医会の青木雅弘会長は「日立総合病院が産科医を確保できなければ、救急体制は崩れてしまう」と危機感を募らせる。

 同会によると、日立総合病院への昨年度の救急母体搬送件数は53件。このうち、約半数の25件が県北地域内からの搬送だった。危険な状態の妊婦を同地域から水戸市内に運ぶとなれば、移動距離は最大80キロにもなる。青木会長は「統計の数字以上に、地域内で日立総合病院の役割は大きい」と話す。

 日立総合病院は9月に産科医が2人減り、現在は4人体制でセンター機能を維持している。来年4月には、4人全員が大学病院の医局に引き揚げる予定。

 今後の体制について同病院は「産婦人科とNICUを維持してセンターの枠組みを残すことが大前提。最低でも2、3人の常勤医を確保したい」と話す。派遣元の大学病院以外のルートで医師を探すとともに、助産師が正常出産を扱う「院内助産院」の開設も模索する。12月には来春以降の方針を明確にする考えだ。

(茨城新聞、2008年11月25日)

****** 北茨城民報、2008年11月2日

少子化対策を言うなら

北茨城市議会議員 鈴木やす子

 東京都での妊婦死亡のいたましいニュースが報じられました。救急の受け入れを断ったとして、首都の名だたる病院がずらっと並んでいたことも衝撃的でした。

 昨年1月、本紙でも紹介しましたが、日立市で県医師会が主催して「お産をする場所がない!」というフォーラムが開かれました。現役の医師や助産師、行政担当者から、お産をめぐる現状や見通しについての報告がありました。

 日立総合病院(日製病院)の産婦人科主任医長は「大病院に分娩集約が起こり、医師の〝燃え尽き症候群〟」があると警告されました。また、東京在住の医師からは「同じ関東圏でありながら、これほど医療過疎が進んでいる茨城県北の現状にショック」との言葉もありました。

 そして日製病院は、今年の9月からのお産の予約を取りやめました。これが地域に与える影響はどれほどのものか。北茨城市立病院での分娩受入れ数の増加、高萩協同病院での産科再開のいっぽうで、強い危機感がひろがっています。

 久しく少子化対策が叫ばれています。母親にとって出産は、場合によっていのちと引き替えの一大事でもあります。安心して産むことができる場所が確保されていないのでは、二の足を踏んでしまいます。

 今回の事態をまねいた責任について、厚労相と都知事がなすりつけあいをしていることも報じられています。根本原因は、自民・公明の政府が続けてきた医療政策そのものです。

 先に「医療費削減」ありきでは、医師確保もままなりません。政治が、あれこれの弁解をしてるばあいではないはずです。産科医や助産師の増加をはかり、病院の経営上も報われる仕組みをつくることが急がれます。

 「生命を社会に迎える最初の場面が過酷な労働と緊張とストレスにあふれている」とは、医師でもある日本共産党の小池晃参議院議員の言葉です。こんな悲しい現状を一刻も早く変えなければ。

(北茨城民報、2008年11月2日)

*** ほっとメール@ひたち、2007年12月28日
茨城県議会議員・井手よしひろ・活動記録・Blog版

高萩協同病院で来春6月より産婦人科再開

 茨城県県北臨海地域の3市(日立・高萩・北茨城)では、出産のできる産婦人科医療機関が不足し、深刻な問題となってます。この地域で、出産を取り扱っているのは、日立製作所日立総合病院(日立市)、北茨城市立病院、診療所の瀬尾医院(日立市)、助産所の加茂助産院(同)の4施設しかありませんでした。

 このような状況の中、12月27日、高萩市の草間吉夫市長と県北医療センター高萩協同病院の大和田康夫院長が記者会見を行い、来年5月から出産を含む産婦人科の診療を再開することを発表しました。市の働きかけなどで、高萩市出身の渡辺之夫医師(40)が常勤医を引き受けました。大和田院長によると、助産師5人程度を確保し、来年6月から分娩(ぶんべん)の受け付けを再開します。当面は月10件程度の出産を目指すとしていいます。高萩協同病院は、産科医がいた当時は市内で唯一の分娩できる医療機関で、年間200件の出産に携わってきました。しかし、04年10月から医師不在となり、産科は休診。新築された病院は一度も産婦人科の施設が使われずに現在に至りました。

 2005年には出産を取り扱う病院が日立総合病院と瀬尾産婦人科、加茂助産院だけとなってしまった時期もありましたが、北茨城市立病院、高萩協同病院と相次いで産婦人科が再開できることになりました。

 一方、産婦人科医師の退職が懸念されていた日立総合病院は、来年の4月以降も担当医の確保ができる模様で、県北地域の産婦人科の体制は維持できることになりました。

(ほっとメール@ひたち、2007年12月28日)

****** 産経新聞、茨城、2007年12月28日

産科 3年半ぶり再開へ 高萩協同病院

 茨城県高萩市の県北医療センター高萩協同病院(大和田康夫院長)は27日、平成20年5月から産婦人科を再開すると発表した。同市内には現在、産婦人科を持った医療機関がなく、同市の草間吉夫市長は「市内での産婦人科がまたできるのは大きな前進」と歓迎している。

(産経新聞、茨城、2007年12月28日)

****** 時事通信、2009年4月20日

産科医不足、共通の悩み=11カ国・地域、確保策さまざま-日医

 産科医の不足や地域偏在問題を抱えているのは、欧米やアジアなど15の国・地域のうち11に上ることが、日本医師会の調査で20日までに分かった。日本と同様に訴訟の増加など、産科医を取り巻く環境が厳しくなっている実態が浮き彫りとなった。平均勤務時間は日本が最長だった。

 調査は各国の状況を把握し、国内対策に役立てようと昨年17カ国・地域に依頼した。米国、カナダ、韓国、台湾、シンガポール、タイ、フランス、ドイツ、英国、フィンランド、デンマーク、アイスランド、イスラエル、ニュージーランドの医師会から回答があり、日本を含む15カ国・地域で分析した。

 産科医が不足、もしくは地域的に偏在しているとしたのは11カ国・地域。このうち、日本とカナダ、イスラエル、ニュージーランドの4カ国は不足と偏在問題両方に直面していた。将来、両方の問題が生じると予測しているのは、10カ国・地域に上った。

 何らかの対策を取っているのは12カ国・地域。内容は、研修医の数の管理(7カ国)、地方での人員確保のための財政支援(6カ国)、産科医総数のコントロール(5カ国)、外国人医師の採用(4カ国)など。

(時事通信、2009年4月20日)

****** 読売新聞、2009年4月14日

[解説]「周産期」指定返上問題

過重労働医療の危機 診療科別に計画配置必要

 総合周産期母子医療センターの愛育病院(東京都港区)が、労働基準監督署の是正勧告により夜間の常勤医確保が困難として、指定返上を都に打診した。(医療情報部 館林牧子)

 【要約】

 ◇愛育病院は医師の夜間勤務が「時間外労働」と見なされ、是正勧告を受けた。

 ◇産科・救急医不足が背景にあり、抜本的解決には、医師の計画配置が必要だ。

 愛育病院によると、労基署から3月、産科医、新生児担当医の夜間勤務が、労働基準法で定める労働時間を超えているなどとして、指導・是正勧告を受けた。

 医療機関では慣習的に、夜間勤務は労働時間に当たらない「宿直」扱いにしていることが多い。定時の見回り程度の仕事で睡眠も取れるのが建前だ。

 しかし、急患を常時受け入れている同病院の夜間勤務は、睡眠などは取れないのが実態であり、労基法上の「時間外労働」にあたると見なされた。労働時間に含めなければならず、日勤の25%増の割増賃金を支払う必要がある。

 総合周産期母子医療センターは産科医が24時間いることが条件だが、同病院では労基署の指導に従った場合、夜間帯も常勤医が常に勤務することは困難と判断。都に指定の返上を打診した。都からは「夜間は非常勤医でも問題ない」として、総合センター継続の要請を受けており、今月下旬には結論が出される見通し。

 しかし、今回の問題は愛育病院だけの問題にとどまらない。全国周産期医療連絡協議会が昨年、全国75か所の総合センターに行った調査では、97%の施設が、同病院と同様に、夜間勤務を「宿直」扱いとしていた。皇室関係のご出産でも知られる同病院は、比較的医師数も待遇も恵まれた病院であるにもかかわらず、労基署から是正勧告を受けたことが、医療現場には余計にショックを与えた。

 背景には、分娩に携わる産婦人科医の絶対的な不足がある。厚生労働省によると、2006年までの10年間で、全体の医師数は15%増えているのに対し、産科・産婦人科医の数は約1万1300人から約1万人へと11%も減少している。

 さらに、働き盛りの20歳代の産婦人科医の7割、30歳代の5割が女性だが、女性医師の約半数は、自分の出産を機に分娩を扱わなくなることも、産科救急医の不足に拍車をかけている。

 過重労働は現場の疲弊を招き、医師の健康のみならず医療の安全も損なうことにもつながる。杏林大の岡本博照講師(公衆衛生学)が4年前、東京都と大阪府の6か所の救命救急センターの勤務医を調査したところ、平均当直回数は月10回、休日は月に2日だけ。月に1日も休みを取らず、22回も当直勤務をこなしていた医師もおり、労基法とはかけ離れた実態が明らかになった。休日が3日以下の医師は、免疫機能が低下し眠気も強いなど健康上の問題もわかり、岡本講師は「診療内容にも大きな影響を及ぼしかねない」と指摘する。

 愛育病院では、夜間専門の非常勤医師を雇い、現在の当直体制は維持する方針。だが、夜間の非常勤医師は、昼間は別の病院で働いており、病院を昼夜で移るだけで、医師の過重労働の抜本的な解決策にはならない。

 杏林大高度救命救急センターの島崎修次教授は「労基法を守るなら、救命救急センターには今の1・5倍以上の医師が必要だ。医師確保が難しい中で、労基法の順守だけを求められても現場では解決のしようがない」と話す。

 読売新聞が昨年10月公表した医療改革提言では、医師を増やすとともに、地域や診療科ごとに定員を設け、計画的に専門医を養成することを提案している。過酷な勤務実態を改善するには、産科や救急など激務の診療科に適正に医師を配置する仕組みが必要だ。

(読売新聞、2009年4月14日)

****** 毎日新聞、栃木、2009年3月31日

佐野厚生総合病院:12月から産科休止 

周産期医療機関、栃木病院も返上

 リスクの高い妊娠に対応する地域周産期医療機関に認定されている佐野厚生総合病院(佐野市)が、12月から産科を休止することが分かった。また、国立病院機構栃木病院(宇都宮市)も2月に地域周産期医療機関の認定を県に返上していたことが分かった。07年の分娩(ぶんべん)数は、佐野厚生総合病院は540件、国立栃木病院は135件に上る。いずれも産科医の不足による対応で、地域の産科医療に深刻な影響を及ぼしそうだ。

 佐野厚生総合病院は現在3人いる産科医が4月から2人に減る。11月まで予約が入っている分娩には対応するが、それ以降の新規出産は受け入れない。国立栃木病院も医師が減少し、産科は継続するもののハイリスク分娩には対応しない。

 県医事厚生課によると、07年の県内医療機関での分娩は1万8335件。最も多いのは済生会宇都宮病院(宇都宮市)で1248件に上る。

 比較的高度な医療設備とスタッフを抱え、異常妊娠に対応する地域周産期医療機関に認定されているのは、08年度で県内8病院。両病院の産科休止や認定返上により、認定病院は6病院に減り、宇都宮市内では済生会宇都宮病院、両毛地域では足利赤十字病院(足利市)のみになる。【葛西大博】

(毎日新聞、栃木、2009年3月31日)

****** 読売新聞、栃木、2009年3月28日

周産期医療センター 国立栃木認定返上

佐野厚生総合、出産休止へ

 母体や胎児へのリスクが高い出産に対応する「地域周産期母子医療センター」が、現在の8病院から2減となる見通しであることが27日、わかった。国立病院機構栃木病院(宇都宮市中戸祭)が認定の返上を県に申し出たほか、佐野厚生総合病院(佐野市堀米町)が11月末で出産の扱いを休止する方針。いずれも医師不足を理由に挙げている。今後、緊急時や県南部の出産受け入れ体制に大きな影響が出る可能性がある。

 県によると、国立栃木病院は現在2人いる産科常勤医が4月から1人となる見込みで、「医師不足のためハイリスク分娩に対応できない」と2月に返上の申し入れがあった。

 認定返上は2007年11月の佐野市民病院、宇都宮社会保険病院に続いて3件目。

 佐野厚生総合病院は、現在入っている11月までの予約には対応するが、新規の出産受け入れは休止する。同病院によると、2007年度に5人いた産科常勤医が08年度に3人に減少。3月末にはさらに1人が退職することになり、休止を決断したという。今後、新たな医師を確保できない場合は「センター認定を返上するしかない」と話している。

 それぞれの病院の認定返上、出産休止は、27日に開かれた県周産期医療協議会で報告された。

 国立栃木病院は、07年度から出産受け入れを縮小している。

 一方、佐野厚生総合病院は年間約400件の出産を扱っており、佐野市内で出産を扱う医療機関3か所のうち救急搬送に対応できるのは同病院だけ。周辺の病院が受け入れを大幅に拡大しなければ、地元で出産施設が見つからない「お産難民」が発生する可能性もある。

 協議会では、「小児救急や高度な周産期医療を担う足利赤十字病院の負担増は避けられないのではないか」と懸念する声が上がった。

(読売新聞、栃木、2009年3月28日)

****** 下野新聞、2009年3月28日

佐野厚生病院、12月から産科休止 周産期機関返上へ

 合併症などリスクの高い妊婦を受け入れる地域周産期医療機関に認定された佐野厚生総合病院(佐野市)が十二月から産科を休止する方針であることが二十七日、分かった。現在三人の産科常勤医が四月から二人に減るためで、十一月までのお産と産科救急も当面対応する予定という。出産前後の周産期医療体制を支える地域拠点病院がこのまま離脱すれば、弱体化は必至だ。

 同日の県周産期医療協議会で病院関係者が報告した。

 下野新聞社の取材に対し、現在診療している妊婦は責任を持ってお産まで担当するが、四月以降に常勤医が三人に戻らなければ、十一月いっぱいでお産を休止せざるを得ないという。

 佐野厚生のお産件数は、年間四百件近くに上る。産科救急は四月から対応できる範囲が縮小する見通し。また地域周産期医療機関の認定も産科が休止すれば、返上するという。

 県保健福祉部によると、県内でお産に対応する医療機関は減少する一方。三年前には五十カ所だったが、昨年四月には下都賀総合病院(栃木市)のお産休止などで四十四カ所に減った。

 地域拠点病院も今年二月に国立病院機構栃木病院(宇都宮市)が地域周産期医療機関の認定返上を申し出たばかりだった。

 県保健福祉部の担当者は「きょう初めて聞き、えっと思った。救急の対応など今後の状況を、きちんと確認したい」と、驚きを隠さなかった。

(下野新聞、2009年3月28日)


今年度の研修医は計20人 諏訪中央病院 新規採用は8人

2009年04月18日 | 地域医療

コメント(私見):

諏訪中央病院は地方の中規模病院ですが、研修施設として非常に人気があり、毎年、研修医マッチングで全国から多くの志願者を集めてフルマッチング(定員4人)を達成してます。現在、初期研修医と後期研修医とを合わせて20人が在籍しているそうです。研修医の教育には相当力を入れて実績を挙げているようです。

名誉院長の鎌田實先生は作家として超有名です。著書「がんばらない」は、2001年に西田敏行主演でテレビドラマとしても放映されました。

緩和ケア病棟、東洋医学科など、他の病院にはない特色があります。以前、この病院の緩和ケア病棟に患者さんをお願いしたことがあり、その時、何度かこの病院の緩和ケア病棟まで患者さんに会いに行きました。その患者さんの部屋は、角部屋の個室で壁の2面が全面大きな窓になっていて、美しい花が咲き乱れる緑豊かな大きな庭に囲まれ、患者さんのベッドから八ヶ岳の山々を一日中眺められるとても素晴らしい環境でした。

私は、新米医者の頃から長年にわたって漢方薬をいろいろ処方してきましたが、いつまでたっても素人漢方の域を脱することができません。当科の常勤医数がもう少し増えて勤務体制にも余裕ができたら、諏訪中央病院の東洋医学科に通って漢方のちゃんとした研修を受けたいと以前から思ってます。でも、常勤医数は一進一退で、毎年毎年、一喜一憂しているような状況ですから、定年退職になるまで無理かもしれません。

また、諏訪中央病院の産婦人科は、一時期、常勤医がゼロとなってしばらく休止してましたが、昨年4月に常勤医2人で再スタートし、現在は常勤医3人体制となり、分娩や手術もだんだん増えてきているようです。その3人の常勤の先生方とは、県内外のいろんな学会の会場でよくお会いします。今月の京都の日産婦総会の会場でも、部長のK先生、新任のA先生(医長)と偶然お会いして、いろいろと情報交換しました。『研修医の確保は毎年が勝負!今年も互いに負けずに頑張ろう!』と互いの健闘を誓い合いました。

諏訪中央病院、産婦人科再開へ

**** 医療タイムス、長野、2009年4月15日

今年度の研修医は計20人 

諏訪中央病院 新規採用は8人

 諏訪中央病院(濱口実院長)は今年度、初期と後期合わせて計20人の研修医を確保した。同院はここ数年、「教育環境の充実」と「地域医療の実践」を軸に据えた独自の取り組みで研修医の獲得に実績を残しており、地方の中規模研修病院の医師獲得の「成功例」として注目されている。

 研修医の内訳は、初期研修医9人(1年目4人、2年目5人)、後期研修医11人(3年目5人、4年目5人、5年目1人)。初期研修医は1、2年目とも定員の4人を充足している。2年目は東海大との連携による「地域医療研修」プログラムのため、同大研修医が4ヵ月間同院で学ぶ。

 同院では、初期研修医、後期研修医、上級医に17人の指導医が重なるいわゆる「瓦屋根式」の指導体制が整う。

 具体的には、基本的な臨床能力を養うため、数日間かけて県外の医師を招き行う「教育回診」や総合診療など4つのコースを設定した後期研修プログラムの枠を超えた流動的な診療体制、初期・後期研修医が参加する毎朝の合同カンファランスなどがある。今年度の「教育回診」には、音羽病院総合診療科の植西憲達氏ら5氏を招く予定だ。

 2004年度に始まった新医師臨床研修医制度の1期生で、大学卒業後から同院で初期・後期と研修を続けていた斉藤穣、後期研修から残った伊藤誠の両医師が今年度から内科のスタッフに加わった。

(以下略)

(医療タイムス、長野、2009年4月15日)


静岡県立こども病院NICU 新規患者は静岡市内のみ受け入れを継続

2009年04月14日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

静岡県立こども病院NICUは、新規患者の受け入れを全面休止する方針を示していましたが、静岡市内の医療機関と院内の他の診療科の支援で受け入れ態勢を整えることができたので、静岡市内の新規患者に関しては受け入れを継続することを表明しました。

なるべく早い段階で医師を確保し、6~7月をめどに、新規患者の受け入れ制限を解除したいとのことです。今後の動向に注目していきたいと思います。

****** 毎日新聞、静岡、2009年4月15日

県立こども病院:静岡市の患者は新規受け入れ継続--新生児集中治療室

 静岡市葵区漆山の県立こども病院(吉田隆実院長、279床)は13日、静岡市の患者については新生児集中治療室(NICU)への新規の受け入れを続けると発表した。こども病院は先に、担当医の減員に伴い患者の新規受け入れを全面休止すると明らかにしていた。NICUの当直勤務に他の診療科の医師を充てたり、静岡市内の別の病院の支援を受ける。【浜中慎哉】

(毎日新聞、静岡、2009年4月15日)

****** 静岡新聞、2009年4月14日

県立こども病院新患問題 

静岡市内のみ受け入れ

 県立こども病院(静岡市葵区漆山)は13日、一時停止するとしていた新生児集中治療室(NICU)の新規患者の受け入れを、静岡市内の新生児患者については継続して行うことを明らかにした。ほかの地域の患者は、同病院と同様に県から総合周産期母子医療センターの指定を受ける順天堂大静岡病院(伊豆の国市)と聖隷浜松病院(浜松市中区)に受け入れの協力を求める方針を示した。今後は6月を目標に医師を確保し、NICUの態勢を再構築するという。

 人事異動をめぐる混乱などで新生児未熟児科の医師が退職することを受け、13日から新患の受け入れを休止する方針を示していたが、静岡市内の医療機関と院内の支援で受け入れ態勢を整えた。1500グラム以上の外科系や循環器系の疾患患者らは地域に関係なく従来通り受け入れる。

 石川嘉延知事は同日の定例会見で、新患の受け入れ制限という事態を招いたことについて「残念なこと。できるだけ早期に医師が補充されることを期待している」と述べた。一方で、同病院が4月から地方独立行政法人に移行したことを踏まえ、「大きな試練と思うが、新しい体制の下で適切に処理していかなければいけない」とし、当面は見守る考えを示した。

(静岡新聞、2009年4月14日)

****** 中日新聞、静岡、2009年4月14日

新規受け入れ一時停止 県立こども病院の新生児集中治療室

『6月めど医師確保、再開』

 県立こども病院(静岡市葵区)の新生児未熟児科で医師7人のうち5人が異動したり、退職する意向を示している問題を受け、同病院の新生児集中治療室(NICU)は13日、静岡市外からの入院患者の新規受け入れの一時停止を始めた。 【藤川大樹】

 こども病院によると、西部は「聖隷浜松病院」(浜松市)、東部は「順天堂大学医学部付属静岡病院」(伊豆の国市)で診療してもらう。静岡市内の患者については、内科系(小児科)を中心とした他診療科のサポートなどにより、受け入れが可能という。

 病院側は「6月をめどに代わりの医師を確保し、診療を全面再開したい」としており、重症の新生児などを受け入れる「総合周産期母子医療センター」指定についても、県は当面は取り消さない方針。

 一方、外来診療は継続し、1500グラム超の外科系疾患、循環器系疾患の患者も受け入れる。既に入院している患者の診療も続ける。

 石川嘉延知事は13日の定例会見で「早期に医師の補充ができると期待している」と述べた。

(中日新聞、静岡、2009年4月14日)

****** 読売新聞、静岡、2009年4月14日

こども病院 新生児ICU問題 

「静岡市内のみ受け入れ」

 県立こども病院(静岡市葵区漆山)がNICU(新生児集中治療室)の患者受け入れを当面休止すると発表した問題で、同病院は13日、「院内、院外での協力体制が得られた」として、静岡市内の患者に限り受け入れを継続する方針を明らかにした。

 同病院の北村国七郎事務局長の説明によると、病院内で他診療科の医師に当直に入ってもらうことや、市内でNICUを持つ他病院の協力が得られたため、受け入れ休止範囲を狭めることにしたという。こども病院NICUの年間受け入れ数は140~150人で、その半数程度が静岡市の患者という。

 静岡市以外の周辺市町の患者については、同病院と同様、母体や新生児に対する高度な治療を行う「総合周産期母子医療センター」の指定を受けている順天堂大静岡病院(伊豆の国市)、聖隷浜松病院(浜松市中区)に協力を求めるという。

 この問題について、石川知事は13日の記者会見で「できるだけ早期の医師確保を期待したい」と述べたが、人事異動を巡る問題が休止のきっかけになったとの声が院内から出ていることについては、「県立病院機構で適切に対処していくものと確信している」と述べるにとどまった。

(読売新聞、静岡、2009年4月14日)

****** 産経新聞、静岡、2009年4月14日

静岡県立こども病院 患者受け入れ制限発表

 静岡県立こども病院(静岡市葵区漆山)は13日、新生児集中治療室(NICU)への新規患者の受け入れを制限すると発表した。現在は必要な患者は制限を設けず受け入れているが、今後は、静岡市内の患者のうち「こども病院でなければ適切な医療を受けられないような患者」(病院側)のみとし、それ以外の患者は市内の他の医療機関を受診してもらう方針だ。

 県立こども病院は、高度な周産期医療を提供する「総合周産期母子医療センター」に指定された、県中部唯一の医療機関。静岡市外の患者は、同じ指定を受けている順天堂大付属静岡病院(伊豆の国市)と聖隷浜松病院(浜松市)での対処を要請するという。

 同病院は、1000グラム未満で産まれた低体重児や重度疾患を持つ新生児に最先端の医療を提供できる、高度周産期医療の“最後の砦(とりで)”となっているだけに、受け入れ制限は周辺市町の医療機関にも大きな影響を与えそうだ。

 今回の措置の理由は、昨年度は7人いた新生児未熟児科の医師が、今月中にも退職などで2人に減ると見込まれているため。3月に出された同科長の異動内示に反発した周囲の医師らが辞意を示したことが、主な原因という。

 病院側は一時、NICUへの新規受け入れを全面休止すると発表していた。しかし、小児科など別の科の医師で減員分をカバーする態勢を整えたことから「病院として最低限の責務を果たすため、必要な患者の受け入れは何とか行うことにした」と方針を転換した。

 同病院経営室は「新患の制限はあくまでも暫定的な措置。現在、医師の確保に努めており、6~7月をめどにこれまで通りの態勢に戻したい」と話している。

(産経新聞、静岡、2009年4月14日)

****** 静岡第一テレビ、2009年4月13日

NICU受け入れ縮小で再調整(静岡県)

 NICU・新生児集中治療室への新規患者受け入れを13日から休止すると発表していた県立こども病院が受け入れを縮小する方向で再調整していることがわかった。県立こども病院は今月10日の会見で13日からNICUへの新規患者の受け入れを休止すると発表していた。小林副院長によるとその後、病院内で検討した結果、全面休止とするのではなくできる限り患者を受け入れるべきではないか、という意見が強まったことなどから受け入れを縮小する方向で再調整しているという。受け入れの判断については患者の症状や容態などを病院が判断し決めるという。また、入院中の患者からの問い合わせについては個別に説明を行っていると話している。

(静岡第一テレビ、2009年4月13日)


新・地域周産期医療について(自ブログ内リンク集)

2009年04月14日 | 地域周産期医療

11/17 1052機関中 市立堺病院2度目全国一、医師臨床研修先の第1希望率
11/10 榛原総合病院: 医師大量退職 争奪戦に?

10/30 平成21年度 研修医マッチングの結果
10/27 たらい回し問題から1年 妊婦搬送、工夫進むが… 医師不足は変わらず (読売新聞)
10/24 2次保健医療圏広域化へ 10から5に再編 群馬
10/20 地域の病院に医師を派遣する拠点病院「マグネット・ホスピタル」を整備する県の構想
10/15 上田市産院に副院長着任 常勤医2人体制に
10/09 出産時に世界全体で年間200万人の母子が死亡 米研究グループが報告書

09/27 臨床研修の都道府県別来年度定員
09/25 「地域医療をともに考えるシンポジウム」(長野県、上田市、上田地域広域連合)
09/21 上田小県地域の医療体制をどうするのか?
09/16 産婦人科医の状況、「悪化」が半減 (CBニュース)
09/12 上小医療圏: 『産科2次医療提供体制の再構築』という課題
09/10 10年度臨床研修の募集定員  地方大学病院の割合が初めて増加 マッチングで研修医の動き注視
09/04 上田市産院 年内に常勤産科医1人が着任

08/23 急性期病院の勤務医が相次いで離職し、全国各地で医療崩壊が進行中!
08/16 周産期医療、整備指針の改正案 厚労省、都道府県に示す
08/14 産婦人科医療の崩壊をくい止めるために、国が早急に実施すべきことは何か?
08/11 医師不足対策

07/09 妊婦健診と分娩の取り扱いを地域内で分担
07/03 医師の研修制度はいま

06/22 臨床研修6年目 競争激化、質も向上
06/08 東信地域の中核的病院 分娩休止相次ぐ
06/07  「過酷な」勤務実態で産科女医の就労継続困難に (CBニュース)
09/06/02 カンガルーケアで安全指針

05/31 駒ケ根でお産ができる 産婦人科医院来年5月開業 (長野日報)
05/30 レジナビフェア2009 for RESIDENT in 東京
05/28 医師配置、新機関で…厚労省研究班が提言
05/25 長野県・上伊那地域の産科医療

04/18 今年度の研修医は計20人 諏訪中央病院 新規採用は8人
04/16 名古屋市立病院再編、医師不足の特効薬か? (中日新聞)
04/08 助産師と臨床検査技師(超音波検査士)とが協同して担当する妊婦健診の導入効果(第61回日本産科婦人科学会学術講演会・演題)

03/31 後期研修医の新規採用状況
03/23 小諸厚生総合病院、4月以降の分娩の取扱いを休止
03/18 地方における医師不足対策
03/15 臨床研修制度の見直しについて
03/08 帝王切開:周産期センター「30分で手術可能」3割 (毎日新聞)
03/06 飯田市立病院 分娩受け入れ制限を一部解除
03/04 日立製作所日立総合病院(日製病院)、地域周産期母子医療センターを休止
09/03/03 上田市産院の移転改築推進へ準備室

02/24 医師の計画配置と公共の福祉
02/19 新卒医師研修、実質1年に 厚労・文科両省が短縮案
02/16 佐久市立浅間総合病院:産科医6人に増強 分娩予約も月60件超--4月から
02/15 地域に産婦人科の機能を残すために
02/07 周産期医療提供体制立て直しの方策は?
02/04 臨床研修制度の見直し最終案骨子
09/02/01 産科復興に向けた長野県各地域の取り組み

01/31 NICU維持が焦点に/日製病院産科問題 (朝日新聞)
01/23 日立製作所日立総合病院:産科医1人が残留 分娩を継続へ (毎日新聞)
01/18 妊産婦の死亡率3百倍 先進国に比べ、後発途上国
01/15 長野病院の周産期医療回復へ支援制度
01/08 産科医、母親の負担軽減へ 飯田市立病院が助産師外来拡充 (南信州新聞)
01/06 周産期医療の現場
09/01/01 産科医療補償制度、本日より開始

05/12/25~08/12/30
地域周産期医療について


静岡県立こども病院NICU、新規患者の受け入れを休止

2009年04月11日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

静岡県立こども病院に7人いた新生児科医が(いきなり5人減って)2人となってしまい、同院NICUの新規患者受け入れが休止に追い込まれる事態に陥ったとのことです。新生児未熟児科の科長が4月1日付で県立総合病院に移った人事異動が、この事態の直接のきっかけとなったようです。病院当局側の記者会見の後に、同科に残った医師も記者会見をして、人事をめぐる内紛が根底にあることを暴露しました。

詳しい状況はわかりませんが、現場スタッフのモチベーションが下がって、離職者が続出するようになってしまったら、どんな職場でも長続きしません。スタッフのみんながやりがいを感じ、楽しく働けるような職場の雰囲気を創り上げることが大切だと思います。

****** 毎日新聞、静岡、2009年4月11日

県立こども病院:新生児集中治療室、新患受け入れ休止--13日から

 ◇内紛か、担当医激減

 静岡市葵区漆山の県立こども病院(吉田隆実院長、279床)は10日、新生児集中治療室(NICU)の新たな患者の受け入れを13日から休止すると発表した。最高度の医療を提供し、県から「総合周産期母子医療センター」指定を受けているが、担当医が7人から2人に激減したことが理由で「すぐに人材を確保して、6月中にも再開したい」と話している。ただ背景には人事をめぐる内紛があるとされ、県民不在との批判を浴びそうだ。

 こども病院は、最高レベルの医療が必要な出産前後の母親や新生児の入院を受け入れてきた。NICUはベッド数12床。1000グラム未満の低体重児や、重い疾患のある新生児に対処している。

 こども病院の説明にでは、NICUを担当してきた新生児未熟児科長の異動が3月に内示されたことで病院側と同科医師の間で対立が生じた。退職の意思を示す医師が相次ぎ、最終的に5人減員の見通しになった。

 こども病院が新患受け入れの休止を発表したことで、県が「総合周産期母子医療センター」に指定した医療機関は聖隷浜松病院(浜松市)▽順天堂大医学部付属静岡病院(伊豆の国市)--の2院になる。県中部では当面、県指定の機関がなくなる事態となった。

 こども病院の北村国七郎事務部長は10日、取材に「新患への対応は、ほかの指定病院や近隣の病院に協力を願っている。今は、現在いる患者11人の医療体制の維持が最優先だ」と話した。

 医科長の代理人弁護士は「院長が医科長の退職を強要した。辞める医師も病院への不信がある」と訴えた。こども病院側は「院長からは『異動には理由がある』と聞いている」と説明した。 【竹地広憲】

(毎日新聞、静岡、2009年4月11日)

****** 朝日新聞、静岡、2009年4月11日

県立こども病院NICU、新患受け入れ休止

 県立こども病院(静岡市葵区漆山、吉田隆実院長)は10日、新生児集中治療室(NICU)について13日から新たな患者の受け入れを一時休止すると発表した。人事を巡るトラブルなどで、担当の新生児科医7人が2人に減る見通しとなり、診療体制を維持できなくなったためだ。

 同病院によると、NICUは早産や重い疾病などリスクが高い新生児を治療する。担当の新生児未熟児科には3月末まで常勤医5人と研修医2人の計7人がいた。うち5人が4月中ごろまでに人事異動や退職を理由にいなくなるため、12床あるNICUや21床ある後方病床(GCU)で現在の診療を続けられなくなったという。科長の異動を命じた病院側と、それに反対した他の医師との対立が主な原因とみられる。

 休止するのは、これまで他の医療機関などから受け入れてきた分。現在NICUにいる新生児や、院内で出産した新生児の治療については継続する。また、体重1500グラム以上の新生児の治療はNICU以外でも可能なため、受け入れる。同病院は「7月までには医師を確保して、診療体制を回復させる」としている。

 県は昨年12月、同病院を危険の大きい出産に24時間体制で対応する県内三つ目の総合周産期母子医療センターとして指定したばかり。地域の周産期医療の「最後のとりで」として周辺の医療機関から重症の新生児を受け入れてきたが、今回の休止により中部地域への影響が心配される。県厚生部は「一時的に機能が落ちても回復する見込み」として、指定はそのままにする。

 吉田院長は同日、「本来果たすべき役割を果たせず、ご心配をおかけして申し訳ない」と話し、「早期回復に全力を挙げる」とした。また、同病院は担当医の減少について「必要があって異動したが、他の医師とコミュニケーション不足があった」としている。

(朝日新聞、静岡、2009年4月11日)

****** 読売新聞、静岡、2009年4月11日

新生児ICU 新患休止

こども病院 医師5人減で

 県立こども病院(静岡市葵区漆山、243床)は10日、新生児未熟児科の医師が退職などで3月末時点の7人から2人に減る見通しとなったため、NICU(新生児集中治療室)の患者受け入れを13日から当面休止すると発表した。同病院は昨年12月、妊産婦や新生児に対する高度な治療を行う「総合周産期母子医療センター」に指定されたばかりの県中部の拠点病院。県内の周産期医療体制に大きな影響が出るのは確実だ。

 記者会見した吉田隆実院長らによると、新生児未熟児科には3月末時点で常勤5人、後期研修医2人の計7人の医師がいたが、科長が他病院に異動し、常勤医1人は派遣元大学へ戻った。別の常勤医1人も今月中に退職の意向。さらに研修医2人も別の病院に勤務するため退職する見通しという。

 同病院のNICUは12床。体重1500グラム未満の未熟児を年150人前後受け入れ、特に管理の難しい1000グラム未満が年20人程度いる。医師2人では入院中の患者への対応で手いっぱいになるとして、新規患者受け入れの休止を決めた。

 記者会見で吉田院長は「休止は一時的なもの。6月末までに医師を確保し、7月からNICUの受け入れを再開したい」と述べたが、確保の具体的な見通しは立っていないという。一方、これとは別に同科の山口解冬(ときと)副医長(33)も10日に記者会見し、「吉田院長が前科長を異動させたため、十分な体制での診療ができなくなり退職が相次いだ。残りの医師で十分な診療が続けられるかわからない」と訴えた。

 総合周産期母子医療センターはこども病院のほかに、県内では順天堂大静岡病院(伊豆の国市)と聖隷浜松病院(浜松市中区)にある。体重1000グラム未満の新生児が静岡市など県中部で生まれた場合、今後は救急車でも1時間以上かかる両病院に搬送することになる。NICUを持つ静岡市内の病院の新生児科医(36)は、「こども病院に入院させるべき患者を静岡市内の病院にどんどん回すと、地域の周産期医療体制はいずれ崩壊する。患者を振り分けるルールを作るべきだ」と話している。

(読売新聞、静岡、2009年4月11日)

****** 静岡新聞、2009年4月11日

新生児ICU制限に院内のあつれき 

県立こども病院

 県立こども病院(静岡市葵区漆山)の新生児集中治療室(NICU)が新規患者の受け入れを一時的に制限する問題は10日、吉田隆実院長らの会見後に、NICUを担当する新生児未熟児科の医師が突然、会見して病院側を批判する事態となり、病院内のあつれきが表面化した。前同科科長の人事問題をめぐる混乱のしわ寄せが、結果的に県民の医療に及んだ形だ。

 会見した同科医師は、前科長が病院側から「院内外からクレームが多い」として退職を迫られたとし、「クレームを直接聞いたことはない。科長の異動は納得できない」と強調。3月に異動が内示された後、病院側や県に対し、不当人事で実際に異動すれば、同科の診療体制が維持できなくなるとして撤回を求めてきたと説明した。

 吉田院長らは、同科の医師の勤務環境を改善するため、新年度は常勤医の枠を6人から10人に増員する計画だったと説明。前科長の異動について「新体制を考えていたが、調整、コミュニケーションがうまくいかなった」とした。ただ、異動の理由など詳細については、「個人的な問題」として明らかにしなかった。

 同病院は7月の新患受け入れ再開を目指し、全国公募や大学に働き掛けて医師を確保する方針。ただ、医師確保のめどは立っていないという。

(静岡新聞、2009年4月11日)

****** 静岡新聞、2009年4月10日

新生児ICU新患休止、7月再開目指す 

県立こども病院

 県立こども病院(静岡市葵区漆山)のNICU(新生児集中治療室)が新規患者受け入れを当面休止する問題で、吉田隆実院長ら同病院幹部が10日午前、同病院で会見した。吉田院長は「本来、地域の医療機関を支える立場の当院がこのような事態になり大変申し訳ない」と陳謝し、医師確保に努めて6月いっぱい態勢を整え、7月から受け入れを再開したいとの考えを示した。

 新規患者受け入れは13日から休止する。同病院によると、NICUを担当する新生児未熟児科は常勤医6人の枠があるが、3月時点で常勤医5人と研修医2人が勤務。このうち、3月末に常勤医1人と研修医2人が退職。科長が4月1日付で異動となり、常勤医1人が4月半ばの退職の意思を示しているという。

 病院側は医師の退職が相次いだ原因について、勤務環境の厳しさが根底にあると指摘。科長の人事異動をめぐり、「新体制を取るための調整がうまくいかなったことも一因」との見方を示した。

 今後の診療体制については、県内に同病院を含み3施設ある総合周産期母子医療センターのうち、残る2施設に協力を要請し、了解を得たとした。また、すべての新生児の受け入れができなくなるわけではなく、1500グラム以上で、外科系や循環器系の患者は継続して受け入れるとした。

 一方、病院側の会見後、新生児未熟児科の現職医師が会見し、今回の事態は4月1日付で県立総合病院に移った同科長の人事異動が原因と指摘。病院側に責任があるとし、現状の体制では「診療は続けられない」と訴えた。

(静岡新聞、2009年4月10日)

****** 静岡第一テレビ、2009年4月10日

県立子ども病院NICU休止へ(静岡県)

 静岡市葵区にある県立こども病院がNICU・新生児集中治療室の新規患者の受け入れを当面休止することが分かった。静岡市葵区にある県立こども病院の「NICU」はほかの病院で診ることが難しい重い病気を持った新生児の治療などにあたる県中部で唯一の治療室。ここでの治療に当たる新生児未熟児科医が先月まで7人いたが今月半ば以降、退職や人事異動などで2人に減る見込みで、病院は今月13日から新生児未熟児科を休止し、新規患者を当面受け入れない方針を決めた。現在NICUに入院している患者とこの病院で産まれ、リスクの高い新生児は診療を継続する方針。病院は7月以降受け入れを再開できるよう努力したいと話している。

(静岡第一テレビ、2009年4月10日)

**** 静岡県立こども病院ホームページより
http://www.shizuoka-pho.jp/byouin/by-730/bosyu/shinnseiji.htm

新生児未熟児科 医師募集のお知らせ

 静岡県立こども病院では、新生児未熟児科医師を(常勤医師10人まで)増員するため、募集します。
 新生児未熟児医療に興味のある先生方の応募をお待ちしております。

 <特徴>
①静岡県中部において、地域に貢献する新生児医療を提供
②平成20年12月末に県内3番目の「総合周産期母子医療センター」に指定
③増員により各人の負担を軽減した勤務体制を目指す
④新生児・未熟児の領域を超えて、周産期センター、小児集中治療センター、循環器センターや外科系を始めとした全病院的な人的交流が可能

            静岡県立こども病院
            院 長 吉田 隆實

(静岡県立こども病院ホームページより)

****** 産経新聞、静岡、2008年12月28日

「県立こども病院」総合周産期母子センターに指定

 県医療健康局は県立こども病院(静岡市葵区漆山、243床)を総合周産期母子医療センターに指定した。指定は県内3カ所目で、県中部では初。これで県東部、中部、西部の各地域に同センターの整備が完了した。

 総合周産期母子医療センターは、高度な医療を必要とする重篤な患者に対応する3次医療機関で、地域の産科救急医などから搬送されるリスクの高い妊婦や新生児の受け入れ先となる。

(産経新聞、静岡、2008年12月28日)

****** 静岡新聞、2008年12月27日

県立こども病院、総合周産期母子医療センターに

 県は26日、妊娠・出産時の危険性が高い母親や胎児、新生児を常時受け入れる体制を整えた「総合周産期母子医療センター」に、県立こども病院(静岡市葵区、吉田隆実院長)を指定したと発表した。

 指定は25日付。県内の同センター指定は、伊豆の国市の順天堂大静岡病院、浜松市中区の聖隷浜松病院に次いで3カ所目。これで県東、中、西部それぞれへの同センター整備が実現した。

 同センターはハイリスクの母親らの受け入れのほか、地域周産期医療機関からの搬送受け入れ、周産期医療従事者への研修実施などの機能を果たす。指定を受けるには、母体・胎児集中治療管理室6床以上、新生児集中治療管理室9床以上の病床数基準や、産科医師と新生児科医師の常時勤務などの人員基準を満たす必要がある。

 指定により県内の周産期医療システムは一次医療機関である地域の診療所や助産所、二次機関の地域周産期母子医療センターか産科救急受入医療機関に指定されている18カ所の病院、三次機関の同センター3カ所の体制となる

(静岡新聞、2008年12月27日)

****** 静岡県ホームページより
http://www.pref.shizuoka.jp/governor/kensei/2008_09t/01_16.html

平成20年9月 県議会定例会
知事提案説明要旨

【1.当面する県政の諸課題】

(16)周産期医療体制の整備

次に、周産期医療体制の整備についてであります。

切迫早産や胎児異常などによるハイリスクの妊婦や新生児に対し、24時間体制で一貫した高度な医療を提供する総合周産期母子医療センターとして、母子・胎児集中治療管理室などの施設整備が完成した、東部地域の順天堂大学医学部附属静岡病院を、8月に新たに指定いたしました。

また、中部地域においては、施設改修が完了する県立こども病院を、本年中に指定する予定であり、既に指定している西部地域の聖隷浜松病院とあわせ県内3地域すべてに総合周産期母子医療センターが整備されることになります。

県といたしましては、これらのセンターを核に、地域の医療機関との連携により、県民の皆様がいつでも安心して出産していただけるよう、周産期医療体制の一層の充実を図ってまいります。

(静岡県ホームページより)


助産師と臨床検査技師(超音波検査士)とが協同して担当する妊婦健診の導入効果(第61回日本産科婦人科学

2009年04月09日 | 飯田下伊那地域の産科問題

第61回日本産科婦人科学会学術講演会(京都)、2009年4月5日

助産師と臨床検査技師(超音波検査士)とが協同して担当する妊婦健診の導入効果

山崎輝行、松原直樹、小倉寛則、竹内はるか、澤 枝里、宮本 翼、金井 誠、塩沢丹里

           【目的】

 産科施設が相次いで分娩取り扱いを中止し、地域の分娩が飯田市立病院(地域周産期母子医療センター)に集中するようになり、2006年度より当院の分娩件数が従来と比べて約2倍に増加した。
 その対応策として、2006年1月より、当地域にセミオープンシステム(共通カルテ使用による地域連携システム)を導入することにより、地域の分娩に対応してきた。
 しかし、その後も当地域の産婦人科医数は減り続けているため、今後も従来通りにセミオープンシステムを継続・維持していくことが次第に困難となってきた。
 そこで、今回新たな試みとして、産婦人科医の妊婦健診の負担を軽減する目的で、2008年4月より、助産師と臨床検査技師とが協同して担当する妊婦健診(助産師健診)を当院に導入し、その有用性を検討した。

           【方法】

・ 2008年4月より2009年3月までの12か月間、妊婦本人の承諾が得られ、助産師と臨床検査技師による健診(助産師健診)を選択した低リスク妊婦に対して、産婦人科医の担当する従来通りの健診(医師健診)と助産師健診とを交互に実施した。

・ 妊婦健診は完全予約制とし、1健診当たりの予約枠は、医師健診が10分間、助産師健診が40分間とした。

・ 助産師健診の内容:
【助産師】 同時に3名、経験4年以上の助産師(17名)が交替で担当。子宮底長・腹囲・体重・血圧の測定、浮腫の観察、尿検査、レオポルド触診法、NST、内診。
【臨床検査技師】2名(女性)、腹部超音波検査を担当。
児推定体重、羊水量、胎位・胎向、胎児心拍の有無。

・ 助産師健診で母体や胎児などに異常が疑われた場合は、医師が診察する。

・ 助産師健診の実施件数、医師との連携状況、異常の発見状況などを検討した。

・ 妊婦健診を受けた妊婦にアンケートを実施して、患者満足度を調査した。

           【成績】

・ 助産師健診数:2690件(総妊婦健診数の33.4%)

・ 医師による診察や処方を要した件数:786件
(性器出血、帯下増量、外陰部の痒み、破水の疑い、腹部緊張、高血圧、子宮口開大、浮腫、NST異常、インフルエンザ予防接種希望、ダウン症検査希望、超音波検査の異常、感冒、薬の処方希望など)

・ 臨床検査技師の超音波検査での異常報告例(31件)
(子宮内胎児死亡:1例、子宮内発育遅延:4例、羊水過少:3例、羊水過多:1例、脳室拡大:3例、心奇形・不整脈:4件、水腎:12例、停留睾丸:1例など)

・ 無記名アンケートの集計(平成20年10月、妊婦80人)
受診所要時間:長い4%、ちょうど良い96%、短い0%
待ち時間:長く苦痛4%、苦痛ではない96%
助産師外来の環境良い91%、普通9%、悪い0%
助産師の対応良い84%、普通16%、悪い0%
保健指導役に立った84% 、普通16%、不要0%
説明わかり易い90%、普通10%、わかりにくい0%
医師診察がないことへの不安:あり6%、なし94%

           【結論】

・ 助産師と臨床検査技師による妊婦健診を導入することにより、産婦人科医の担当する妊婦健診を3割以上減らすことができた。

・ 臨床検査技師による超音波検査によって、異常妊娠、胎児奇形などが早期に発見された。

・ 助産師と臨床検査技師による妊婦健診の患者満足度は高かった。

・ 助産師と臨床検査技師による妊婦健診の導入は非常に有用であった。

****** 講演後の質疑応答

【質問】 一般に助産師外来だと助産師が超音波検査を担当している場合が多いが、どうして臨床検査技師が超音波検査を担当することになったのですか?

【回答】 助産師の場合は、超音波検査自体の経験がほとんどありませんでした。その点、臨床検査技師の場合は、乳腺、甲状腺、循環器、消化器など産科以外の分野で、超音波検査の十分な経験を積んでいて、産科領域の超音波検査に専従すれば、短期間のうちに高度なレベルにまで達してくれることを期待しました。十分な時間をかけて丁寧に検査をし、実際に多くの異常を発見し、期待には十分応えてくれました。

【質問】 助産師外来では、妊婦1人に40分もかけているとのことですが、助産師や臨床検査技師の負担が大きすぎるということはないのですか?

【回答】 当院の場合、幸い助産師が比較的多く在籍し、さらに2人の臨床検査技師が産科超音波検査に専従しているので、今のところ助産師や臨床検査技師の負担増大という点は特に問題になってません。健診を担当する助産師や臨床検査技師に対するアンケート調査でも、『妊婦さん一人一人に十分な時間をかけられるので、やりがいを感じる』との回答が多くありました。

【質問】 医師の負担が軽減して、医師不足の解消につながりましたか?

【回答】 1年前は当院の常勤産婦人科医が同時に2人減ってしまい、止むを得ず分娩制限の方針を表明し、一時期、非常に危機的な状況に陥りました。医師の負担を少しでも軽減しないと産科休止に追い込まれる可能性が高いという危機感から、切羽詰まって、この助産師外来を始めたわけですが、それから1年間かけて結果的には、何とか産婦人科常勤医の数を元に戻すことができ、分娩制限も一部解除することができました。 


常勤の産婦人科医が着任 国立長野 (医療タイムス)

2009年04月06日 | 地域周産期医療

コメント(私見):

「上小医療圏」(人口:約22万人)では、年間の分娩件数が約1800件あり、その中には一定頻度のハイリスク妊娠や異常分娩が含まれます。現時点では、それらの異常症例の多くが、篠ノ井総合病院や佐久総合病院など近隣医療圏の2次病院に搬送されています。

上小医療圏で必要とされる周産期2次医療提供体制を構築するためには、長野病院の産婦人科、小児科、麻酔科の常勤医を、それぞれ最低でも4~5人づつ配置する必要があると考えられますが、今の御時世でいきなりそれだけの専門医を集めるのは至難の業です。

また、年間約450件の分娩を取り扱っていた小諸厚生病院が突然、今月より分娩の取り扱いを休止したことも重なり、篠ノ井総合病院や佐久総合病院などの負担はますます増大する一方の状況にあるようです。

このまま放置すれば、早晩、周辺の医療圏も巻き込んで、東北信地域の周産期2次医療提供体制が総崩れとなってしまうことも危惧されます。

従って、現時点においては、篠ノ井総合病院や佐久総合病院などの周辺医療圏の2次病院の人員を強化することが緊急の最重要課題と考えられます。

****** 医療タイムス、長野、2009年4月3日

常勤の産婦人科医が着任 国立長野

 国立病院機構長野病院産婦人科の常勤医として斉藤要氏が1日付で着任した。斉藤氏は当面、上田市産院を手伝いながら週3日、婦人科外来を担当する。同院は同日、助産師外来も開設した。

 同院では、4人の産婦人科医を派遣していた昭和大が段階的に医師を引き揚げたため分娩を休止。昨年8月以降は医師1人が残り、3月末まで婦人科の外来診療のみを行っていた。

 斉藤氏は月・水・木曜日を担当。金曜日は、前市産院長で諏訪中央病院産婦人科の甲藤一男氏が外来診療に当たる。

 常勤医が確保できたことで、現在、上小地域から県厚生連篠ノ井総合・佐久総合の両病院などに通っている妊婦についても、分娩先が確保され、主治医の了解がえられれば、同院で検診を受けられるようにしていくという。

 また、斉藤氏は市産院では非常勤として、月曜日の当直、火曜日の外来、木曜日の当直、金曜日の外来を手伝う。これで市産院は常勤医1人、非常勤医3人の体制となり、昨年度の分娩件数479件程度は、維持できるとしている。

 同院は、引き続き産婦人科医の確保に努め、分娩の再開を目指す。

(医療タイムス、長野、2009年4月3日)