ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

地域の周産期医療システムが崩壊するのを阻止するために

2008年02月22日 | 飯田下伊那地域の産科問題

全国的に産科施設数はどんどん減少してますから、施設あたりの分娩件数は増加傾向にあり、将来的に産科を維持していこうとする施設では、産科医、助産師、新生児科医、麻酔科医などの必要数を確保することが急務となっています。

また、日本では、産科業務だけに専念している産婦人科医は少なく、産科業務以外にも、子宮外妊娠破裂などの産婦人科救急への対応、子宮筋腫・子宮内膜症などの婦人科良性疾患の診断・治療、婦人科悪性腫瘍の診断・治療、不妊治療、中高年女性医学(更年期障害や子宮脱などへの対応)等も同時に行っています。要するに、地域の基幹病院は、周産期センター的機能と同時に、産婦人科の救急救命センター的機能、婦人科のがんセンター的機能なども同時に担ってます。従って、地域から産科機能が消滅する時には、同時に、地域から婦人科機能も消滅することを意味します。

手遅れになってしまう前に有効な手を打たないと、地域の基幹病院・産婦人科の絶滅速度は今後もどんどん加速されていくばかりでしょう。

地域の周産期医療システムが崩壊する流れを阻止するためには、全県的な協力体制を構築していく必要がありますし、産婦人科医の再配置(集約化)、地域住民の理解、国や県の強力な支援なども必要だと思います。この問題は、もはや、一医師、一病院、一地域で対応できる問題ではなく、国策によって早急に対応すべき、非常に重要な国家的問題だと思います。

****** 医療タイムス、長野、2008年2月19日

県周産期システム 「今は順調、将来は不安」

県周産期医療対策会議

 県周産期医療対策会議は18日、県立こども病院で開き、県周産期医療システムなどについて検討した。同システムは現在のところ、順調に機能しているものの、産科医不足が深刻化していることを背景に、将来的な体制を不安視する声が上がった。

 同システムは、こども病院を「総合周産期母子医療センター」とし、「地域周産期母子医療センター」として佐久総合、長野、飯田市立、信大、長野赤十字の5病院、「高度周産期医療機関」として14病院をそれぞれ指定。地域の一般産科医療機関との連携を強化し、最適な医療確保を目指して、2000年に運用がスタートした。しかし、当初20病院あった「高度周産期医療機関」が、現在は産科医不足により14病院に減少し、転換期を迎えている。

 同日の会合では長野赤十字病院の菅生元康副院長(産婦人科部長)が、「今までのところは、周産期患者が県外から県内の病院に入ってくる事例はあるが、県内から県外に出て行く事例はない」と県内の周産期医療体制を評価。また、長野市、松本広域の両消防局の担当者からも、奈良県で発生した妊婦の受け入れ先が決まらない事例はなく、「非常にスムーズな状況」との報告があった。

(中略)

 このほか、県内の産科医療について飯田市立病院の山崎輝行婦人科部長は、集約化による効果を紹介。同院では集約化によって危険が予測される妊婦の紹介を早期から受けるようになり、その結果、早期からの全身管理が可能になり、早産などによるNICUへの入院患児が大幅に減ったとした。

(以下略)

(医療タイムス、長野、2008年2月19日)


あれから2年

2008年02月18日 | 大野病院事件

2.18企画 【新小児科医のつぶやき】 

共通メッセージ:

我々は福島大野病院事件で逮捕された産婦人科医師の無罪を信じ支援します

本件は、癒着胎盤という、術前診断がきわめて難しく、治療の難度が最も高く、対応がきわめて困難な事例です。このような対応困難な事例において、外科的治療が施行された後に、結果の重大性のみに基づいて刑事責任が問われることになるのであれば、今後、外科系医療の場において、必要な外科的治療を回避する動きを招来しかねないことを強く危惧します。

上記趣旨に賛同してくださるコメンテーターの方は「私も賛同する」とコメントに付け加えて頂けたらと思います。また、賛同してくださるブロガーの方はブログのタイトルとアドレスも一緒に御記入お願いいたします。

2006/02/19 癒着胎盤で母体死亡となった事例

2006/02/21 今後の周産期医療の方向性について

2007/02/18 あれから1年

福島大野病院事件について(自ブログ内リンク)

【協賛ブログ一覧】 順不同

加藤医師を支援するグループ
http://medj.net/drkato/20080218.html

新小児科医のつぶやき 2.18
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080218
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20080219

天漢日乗
http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2008/02/218_05c5.html
 2年前のこの日、K先生は、胎盤癒着という、極めてまれで難しい症例の産婦さんを担当し、救命できなかった廉で福島県警に逮捕されました。現在も刑事裁判は進行中です。K先生が逮捕されて以降、福島県立大野病院は産科を休止、現在福島県内では、お産の出来る病院が激減しています。これも、この逮捕が与えた影響なのです。少子化の日本では、産科医は貴重な医療資源です。医学的事実を無視した警察の手によって、1人の熟達した産科医が現場から引きはがされているだけでなく、この事件の影響で、全国のお産の現場から、医師が立ち去り、産科志望の若い医師が減っています。わたしはK先生の無罪を信じます。人間は「死を避けられない存在」であり、お産は「母子共に命の危険がある」営みなのです。不幸な病死がすべて、「医師による過失死」だと認められるようなことがあれば、日本のすべての医療現場で、命に関わる治療を懸命に続けている先生達は、やがて立ち去らざるを得なくなるでしょう。日本の医療が崩壊するかどうかは、この裁判の行方にかかっていると言っても、過言ではありません。

勤務医 開業つれづれ日記
http://ameblo.jp/med/entry-10071134731.html
 決して忘れまい。一人の医師がいて、なんら医学的に間違ったことをしていなくても検察に逮捕されたこの日のことを…。

僻地で医療を考える
http://d.hatena.ne.jp/ririnko0406/20080218/1203289041
  まずはじめに、亡くなられた患者様のご冥福をお祈り申し上げます。 しかしながら、亡くなられたのはなぜかの問いには「病気だから」と私は信じますし、逮捕された産婦人科医の「ミス」のせいだとは考えません。 私がその医師であれば間違いなく患者さんは亡くなっておりましたし、救えたと自信を持って言える医師がどれだけいることでしょう。 もちろん、そのような世の中を国民の方々が望むのであれば、そのような方向に向けて我々は自衛いたします。つまり 誰も救えない患者を診たのはたしかに医師にとっても「不幸なこと」であるが、それは国民には関係ない。担当した医師にはきちんと責任を取ってもらう そのような世の中になるのであれば、私は少なくとも医師免許を放り投げ、別の仕事を探します。同じような選択をする医師は多いと考えます。それは結果として日本の医療の崩壊を導くでしょう。 医療には限界があります。どんなに早期で肺癌を手術しても最低1割は再発しますし、心停止後何もせずに10分経過した患者が何の後遺症もなしに退院できる可能性はほぼ0です。しかし、それは医療従事者が手を抜いたわけでもなければミスがあったわけでもありません。しいて言うならば「運が悪かった」それに尽きるのです。患者・医療従事者どちらの運が悪かったのかはあえて申し上げませんが。 人が亡くなる、それも自分の近くの大事な人が亡くなるのはとても辛く、悲しいことです。しかし人間は不死身ではありません。最善を皆が尽くしていたとしても、人は死ぬのです。 私は逮捕された医師は最善を尽くしていたと各種報道から信じます。彼の「無罪」を信じています。

産科医療のこれから
http://obgy.typepad.jp/blog/2008/02/post-1341-29.html

ある産婦人科医のひとりごと あれから2年
http://blog.goo.ne.jp/comment_allez-vous_madame/d/20080218

ロハス・メディカルブログ 福島県立大野病院事件公判傍聴記(全)http://lohasmedical.jp/blog/2008/02/post_1066.php#more

春秋(産科医不当逮捕事件)
http://www.yk.rim.or.jp/~smatu/iken/sankafutotaiho/index.htm

東京日和@元勤務医の日々 忘れない・・・
http://skyteam.iza.ne.jp/blog/entry/486013/

ななのつぶやき 福島県立大野病院事件に思う
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ななのつぶやき 2月18日に記す
http://blog.m3.com/nana/20080218

天国へのビザ 福島県立大野病院・産科医逮捕から2年
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ほねまであいして@奴隷院長の日々 今日は2月18日
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ポンコツ研究日記  2年です・・・
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スクラップブック
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よっしぃの独り言 もう、2年になります
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さあ 立ち上がろうー「美しい日本」にふさわしい外科医とは
医学史上最悪の刑事事件ー医療者のこころの傷は消えない
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読影室の片隅から あれから2年
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やぶ医師のつぶやき 福島大野病院事件から2年
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エレキも医療も整備しなきゃ。
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後期研修医のつれづれ日記
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Toshikun’s Diary あれから2年。
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医療崩壊の現場から
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幻想の断片
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医師不足と言うけれど  あれから2年 不当逮捕
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ステトスコープ・チェロ・電鍵 3回目の2月18日
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いなか小児科医 2月18日_不当逮捕の日
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さよなら独身外科貴族スイング編
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三十六計不如逃
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ザウエリズム 【Zawerhythm】 2.18という記憶
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斑鳩の箱庭
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Dr. Avant ~まだまだ建築&撮影日記?~
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医学処  -医学の総合案内所-
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月の光に照らされて
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備忘録
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志村建世のブログ 福島県立大野病院事件
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医者の常識、世間の非常識~Herr Doktor~
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名古屋に行こまい 
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ふと思うこと
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Natto-bouzuたちの未来へ
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ロボット3号が行く
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雲のように
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女医あずさの想い…あなたに届きますように。
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末端小児科医のへべれけな日々
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Drさいぞうの日記帳
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KAZZ BLOG
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額帯鏡の穴から
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ひねもすのた とりあえず日常かな
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てげてげブログ
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新・眠らない医者の人生探求劇場・・・夢果たすまで
http://blog.goo.ne.jp/amphetamin/d/20080218

Lichの塔
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cyber-starの日記とかなんとか
http://cyberstar1983.blog116.fc2.com/blog-entry-147.html

蒼い森の備忘録
http://plaza.rakuten.co.jp/azurewood/diary/200802180000/

お湯 わいとう?
http://d.hatena.ne.jp/pin_kobe/20080218/p1

琥珀色の戯言
http://d.hatena.ne.jp/fujipon/20080218#p2

東ドラ3 30符4翻7700点
http://d.hatena.ne.jp/tondora/20080218#1203345700

半熟-更新日記
http://d.hatena.ne.jp/halfboileddoc/20080218

Gururiの日記
http://d.hatena.ne.jp/Gururi/20080218

兵庫県整形外科医会
http://hcoa.jp/public/index.php?2.18

guideboard
http://guideboard.wordpress.com/2008/02/18/218/

漂流生活的看護記録
http://eboli.exblog.jp/6809115

[es]
http://genb.dip.jp/es/modules/news/article.php?storyid=92

雑記帳
http://d.hatena.ne.jp/youkiti/20080218/p1

duck-billedの日記
http://d.hatena.ne.jp/duck-billed/20080218/1203351013


国の医療事故調案に反対 医学部長病院長会議

2008年02月16日 | 医療全般

我が国の妊産婦死亡率の推移を見ると、1950年は10万分娩に対して176でしたが、2000年には6.3となりました。また、周産期死亡率(早期新生児死亡率と妊娠28週以後の死産率との合計)の推移を見ても、1950年は出生1,000に対して46.6でしたが、2000年には3.8となりました。 これらのデータから、この五十年間で我が国の分娩の安全性が著しく向上したことがわかります。

しかし、今でも実際には、千人に4人の赤ちゃんが、また1万人に1人の母親がお産で亡くなっているわけですから、現在の医療水準であっても、必ずしも、一般に信じられているように『お産は母児ともに安全』とは限りません。例えば、羊水塞栓症や癒着胎盤などの疾患の場合、非常にまれな発症率ながら、いったん発症すれば、発症直後に母体死亡となる可能性も非常に高いです。それらの致死的疾患がいつどの妊婦に発症するのかの予測は非常に困難です。

担当医がご遺族に対して、『非常に稀な疾患による病死だった』といくら説明しても、実際に分娩時母体死亡が発生した場合には、その原因に関してご遺族に納得していただくのが非常に難しい場合も多く、(大野病院事件のように)警察が刑事事件として医療に介入してくるような事例も増えてきました。

結果が悪ければ担当した医師個人の刑事責任が問われるということになってしまうと、救急、外科、産科などの大きなリスクを伴う診療科に従事する者は、この国から完全にいなくなってしまうでしょう。

医療関連死の原因をめぐる医療機関側と患者側との紛争を回避するためにも、『中立的立場の第三者機関が医療関連死の原因を究明する制度』を早急に整備する必要があると多くの人が考えています。

事故原因を究明する新組織は完全に中立的立場でなければ意味がないので、事故調査委員会のメンバーに遺族代表や病院関係者は絶対に入れてはいけないと思います。今回公表された「全国医学部長病院長会議」の見解に賛同します。

****** 共同通信、2008年2月15日

国の医療事故調案に反対 医学部長病院長会議

 全国80大学の医学部長らで構成する「全国医学部長病院長会議」(会長・大橋俊夫信州大医学部長)は15日、政府が創設を検討している医療事故の原因究明のための新組織(医療事故調)について「事故調査と刑事罰が連動している限り、わが国の医療に壊滅的な影響を与える」として、現在の厚生労働省の原案(第2次試案)に基づく立法化には反対する見解を公表した。

 厚労省が昨年10月に発表した第2次試案は、事故が疑われる患者の死亡事例について、新組織への届け出を医療機関に義務付ける内容。新組織が刑事責任を追及すべきと判断した場合には、警察に速やかに連絡するとしている。

 これに対し同会議は「何が刑事罰の対象になるのかあいまいで、通常の医療行為でも処罰される恐れがある」と批判している。

(共同通信、2008年2月15日)


伊那谷の産科事情

2008年02月15日 | 地域周産期医療

長野県の伊那谷地域(上伊那地方+飯田下伊那地方)では、地域全体で年間におよそ三千件程度の分娩があります。この地域では、長年にわたり多くの分娩を取り扱ってきた施設(平岩ウイメンズクリニック、西沢病院、下伊那赤十字病院、昭和伊南総合病院など)が次々に分娩取り扱いを中止し、最近のわずか1~2年の間に分娩施設が激減してしまいました。

万一、この地域から大量の〝お産難民〟が発生するような事態となった場合には、近隣医療圏でその受け皿を見つけるのは非常に困難です。

この伊那谷地域は、一応、行政的には上伊那医療圏と飯田下伊那医療圏とに別れてはいますが、どちらか一方の医療圏の産科医療が崩壊すれば、他方の医療圏の産科医療にも壊滅的な影響が及ぶことは必至です。

今後、伊那谷から大量の〝お産難民〟を出さないようにするためにも、従来の医療圏の枠を超えて、両医療圏が緊密に連携・協力していく必要があると思います。

****** 朝日新聞、長野、2008年2月14日

伊那中央病院 産科医1人増 4月から信大派遣

 上伊那地域の産婦人科の連携強化病院に位置づけられる伊那中央病院(伊那市)に、常勤の助成産科医1人が4月1日付で着任する。信州大の医局人事で、来月限りで常勤産科医が引き揚げる昭和伊南総合病院(駒ヶ根市)から転属される。

(中略)

 伊那中央は現在、常勤産科医4人で年千件の分娩を扱っている。これで4月から5人体制になるが、昭和伊南が扱っていた分娩も加わるので、分娩室の増設や外来診療棟の増築に着手。一方で医師の負担を減らそうと里帰り出産を断り、妊娠初~中期の妊婦健診はほかの病院や医院で分担する。そうやっても年1200件が上限だという。

(以下略)

(朝日新聞、長野、2008年2月14日)


地域産科医療改善への取り組み

2008年02月12日 | 飯田下伊那地域の産科問題

地域の産科医療が危機的な状況に陥っていることは確かですが、これを一気に解決するような方法などどこにも見当たりません。地域のみんなで共通の問題意識を持ち、みんなでいろいろと工夫を重ね、力を合わせ、現場の状況を少しづつでも改善してゆく不断の努力が大切だと思います。例えば、女性医師が働きやすいフレキシブルな勤務体系を取り入れること、職場環境や待遇を大幅に改善して産科医の離職を減らし、1人でも多くの産婦人科の後期研修医を獲得するように努力すること、病院と診療所の連携を強化すること、助産師に従来よりももっと活躍してもらうことなど、少しずつでも、地域の産科医療が改善の方向に向かうよう不断の努力を積み重ねていくことこそが大切だと思います。

****** 信濃毎日新聞、2008年1月12日

態勢立て直しの動き 現実見据え試行錯誤を

(略)

 05年夏から1年足らずの間に、出産を扱う施設が6施設から3施設に半減した飯田下伊那地方。

 自治体や医療関係者でつくる懇談会の議論を経て、出産を主に飯田市立病院、妊婦健診を周辺の医療機関が担う「連携システム」を打ち出した。妊婦が持ち歩くカルテを作り、どの施設でも対応できるようにするなど先駆的な工夫も取り入れる。

 05年度に年間約500件だった市立病院の出産件数は、06年度は約1000件に倍増。山崎輝行・産婦人科部長(54)は「連携システムで外来の負担が減ったので、何とか乗り切れた」と話す。

 だが、そのシステムも順風ではない。

 地域では3施設が妊婦健診のみを受け持ってきたが、常勤医の退職などで、常時健診を受けられる所が今春以降、1施設になる見通し。5人いる市立病院の産科医も転科などで減少するため、4月からは里帰り出産の受け入れを休止する。

 「システムがあっても動かす人がいなければどうしようもない」と山崎医師。県内の「モデルケース」と期待される連携システムは、医師不足の「壁」に突き当たり、苦闘を続けている。

(中略)

【飯田下伊那地方の連携システム】 飯伊地方では05年以降出産を扱う施設の減少で約850件の受け入れ先がなくなった。このため緊急的に、出産は主に飯田市立病院、妊婦健診を他の医療機関が分担するシステムを構築。県内の産科医、小児科医でつくる県の検討会も07年3月、広域圏ごとの医師の重点配置を提言しており、飯伊のシステムを「周産期医療を崩壊させないためのモデル」と紹介している。

(信濃毎日新聞、2008年1月12日)


お産崩壊、読売新聞

2008年02月08日 | 地域周産期医療

今、周産期医療に従事する者が激減しつつあり、日本中で分娩施設が急激に減っています。医師が集中している東京や大阪などの国の中枢都市でも、分娩施設がどんどん減っています。

本来、人間の分娩は非常に危険なものであり、ほんの数百年前の江戸時代では、産科の最高権威が担当した将軍のお世継ぎの分娩であっても、その多くが母体死亡、死産となっていました。近年の産科学の進歩により、分娩が格段に安全になってきたとは言え、現代においても、人間の分娩に大きなリスクが伴うことには全く変わりがありません。

分娩では一定確率での不良な結果は絶対に避けられず、分娩での不良な結果のたびごとに、殺人者を厳罰に処すのと全く同じ手法で、産科医を厳罰に処していたら、すぐにこの国から産科医は消滅してしまうでしょう。大野病院事件や大淀病院事件などの教訓は、『日本では、今後、マンパワーや設備の不十分な施設で産科を続けていくのは非常に厳しくなってきている!』ということだと思います。これは、今、全国の産科医達が肝に銘じていることです。

地域の産科医療がこの世の中に生き残っていくためには、産科施設の重点化・集約化を進めていくことが絶対条件だと思います。産科施設の重点化・集約化に失敗した地域では、その地域から産科施設が消滅してしまうことは避けられません。いつまでも古い慣習にしがみついていたのではただ滅亡あるのみだと思います。時代の要請に従って、地域の周産期医療システムを根本から変革してゆく必要があると私は考えています。

****** 読売新聞、2008年2月6日

お産崩壊(1) 行き場失う妊婦

受け入れ不能「31回」

 東京都内に住む公務員の大西明実さん(34)は昨年6月、妊娠6か月の時に破水してしまい、31の医療機関から受け入れを断られた。

 仕事を終えて帰宅しようとした時、出血に気づいた。かかりつけの産科医を受診すると早産の危険があるという。まだ500グラムほどしかない赤ちゃんは、生まれてしまえば命にかかわる。

 赤ちゃんが生まれた時のために、NICU(新生児集中治療室)があり、母体管理も可能な医療機関を、かかりつけ医は探し始めた。午後6時半だった。だが、どこも満床で受け入れてもらえない。大西さんの病室には、医師が必死に電話をかける声が響いてきた。「本当に危険な状況なんです」「何とか受け入れてもらえませんか」

 この出産はだめになってしまうのだろうか。大西さんは頭の中が真っ白になった。

 夜10時近くになって、医師が病室に来て言った。「32か所目で、やっと見つかりました。これから栃木県へ搬送します」。行き先は独協医大病院だと告げられた。

 なぜ栃木なんですか。東京には病院がたくさんあるじゃないですか。東京じゃだめなんですか――。色々な思いが噴き出したが、医師は「栃木に行かなかったら、この子の命は助からないかもしれない」と言う。心細くて不安な思いを何とかおさえ込んだ。

 3歳の長男と夫を東京に残して、大西さんは栃木まで1時間半の道のりを救急車で運ばれた。かかりつけの医師が同行し、救急車の中で「眠れたら眠って下さいね」と声をかけてくれたが、とても眠れなかった。病院に到着したのは深夜0時過ぎ。内診や一通りの検査を済ませて病室に入った時には、午前3時を回っていた。ベッドに入っても、やはり眠れなかった。

 翌日、病室で一人、涙が出てきてしまった。長男は大丈夫だろうか、仕事はどうしよう、この入院はいつまで続くのだろう……。看護師が話しかけてきた。「こんな遠くに連れてこられて、泣きたくなっちゃうよね。泣いていいのよ」。声を出して泣いて、ようやく落ち着いた気がした。

 独協医大病院には約1か月間入院し、体調が安定してから東京都内の病院へ転院した。勘太ちゃんが1700グラムで生まれたのは8月中旬。成長した勘太ちゃんを胸に抱き、大西さんはつくづく思う。「私の場合は何とかバトンをつなげてもらい、無事出産することが出来た。でも、妊婦の誰もが、いつ行き場を失ってもおかしくないということを、思い知らされました」

 昨年8月、奈良県橿原市で救急車を呼んだ妊婦が9病院に受け入れを断られ死産した問題で、にわかに注目を集めるようになった妊婦の“たらい回し”。それは決してひとごとではない。特に大都市周辺では、ひとたびお産の異常が見つかれば、何時間も行き場が決まらないことがあるのが今のお産現場の実情だ。

(以下略)

(読売新聞、2008年2月6日)


脳性麻痺について

2008年02月06日 | 地域周産期医療

脳性麻痺の定義(厚生省脳性麻痺研究班、1968):「受胎から生後4週以内の新生児までの間に生じた、脳の非進行性病変に基づく、永続的な、しかし変化しうる運動および姿勢の異常である。その症状は満2歳までに発現する。進行性疾患や一過性運動障害、または将来正常化するであろうと思われる運動発達遅延は除外する。」

脳性麻痺の発生率は、新生児1000人あたり2~4人と言われています。

以前は、脳性麻痺は分娩時仮死に関係していることが多いと考えられていましたので、産科的管理が向上すれば脳性麻痺の発生頻度は減らせるはずと多くの人が信じていました。

しかし、近年の著しい産科的技術の向上にもかかわらず、脳性麻痺の発生率は減っていません。 最近では、分娩時仮死は脳性麻痺の原因としてはむしろまれであることが明らかになってきました。

脳性麻痺の原因は未だ十分には明らかにされていませんが、胎児の発達中に低酸素症に対し弱くなる何らかの要因があると考えられています。未熟児では脳性麻痺の発生率がやや高くなっています。胎児期・幼児期早期における脳炎、髄膜炎、単純ヘルペス感染症、硬膜下血腫を来たす頭部外傷、血管の障害、その他多くの原因による脳損傷の結果として起こります。

脳性麻痺は、どの産科施設の分娩であっても、一定の頻度で必ず発生します。ハイリスク妊娠や未熟児の分娩を多く扱っている2次・3次病院であれば、1次病院と比べて、脳性麻痺の発生率は高くなります。

脳性麻痺の発生頻度は将来も減らないでしょう。脳性麻痺に対する障害補償制度は早急に整備される必要があると多くの人が考え始めています。

****** Career Brain News、2008年1月24日

産科の補償制度、骨格まとまる

 出産した子どもが脳性麻痺(まひ)になった場合、医師らの過失を裁判で立証しなくても補償がなされる「産科医療の無過失補償制度」の骨格が1月23日、財団法人「日本医療機能評価機構」の準備委員会(委員長=近藤純五郎・近藤社会保障法律事務所)でまとまった。民間の損害保険を活用した裁判外の紛争手続きによって訴訟リスクを減らし、深刻化する産科医不足の解消につなげる狙いがある。しかし、医療事故の被害に遭った家族などから「不平等な制度だ」という不満も出ている。

 この制度は、分娩を取り扱う病院や助産所が「運営組織」を通じて損害保険会社に保険料を支払い、新生児に脳性麻痺の後遺症が残った場合に保険金が支払われる仕組み。

 補償対象に認定されると、新生児1人当たり数百万円の「準備一時金」と総額2,000万円の「分割金」が支給される。

 この分割金は2,000万円を20年分割にした金額で、20年以内に死亡しても20年間支給される。

 補償の対象は「通常の妊娠・分娩にもかかわらず分娩にかかる医療事故により脳性麻痺になった場合」で、「医療事故」には医師らに過失がない事故も含む。

 具体的には、(1)出生体重2,000グラム以上で、かつ、(2)在胎週数33週以上で脳性麻痺になった場合で、(3)重症度が身体障害者等級の1級および2級に相当する者――が補償対象になる。

 ただし、これらの要件を満たしても、「除外基準」に該当する場合は補償されない。除外基準は、脳の奇形や染色体異常などの先天性要因、分娩後の感染症で脳性麻痺になった場合であり、補償の対象は極めて限定されている。また、出生後すぐに亡くなった場合には脳性麻痺の診断が付かないため、補償されない。

(以下略)

(Career Brain News、2008年1月24日)


女性のための漢方セミナー 気になる不調、これって更年期?

2008年02月03日 | 東洋医学

わが国には約250年ほど前から「血の道症」(ちのみちしょう)という言葉がありました。血の道症とは、漢方で女性だけに用いられる言葉で、頭痛、めまい、精神不安などの症状があらわれます。血の道症の症状は更年期障害の症状とほとんど同じですが、さらに範囲が広く、妊娠、出産、流産、月経など、女性の生理現象一般に伴って発症するものをいいます。従って、年齢的にも広範囲で必ずしも更年期に起こるとは限りません。

更年期障害・血の道症に対して、漢方治療が奏効する場合も少なくありません。患者さん一人一人の症状、体質や状態「証」(しょう)、腹診所見などに応じて、例えば、「加味逍遥散」(かみしょうようさん)、「当帰芍薬散」(とうきしゃくやくさん)、「桂枝茯苓丸」(けいしぶくりょうがん)、「桃核承気湯」(とうかくじょうきとう)、「女神散」(にょしんさん)、「柴胡加竜骨牡蛎湯」(さいこかりゅうこつぼれいとう)、「抑肝散」(よくかんさん)、「半夏厚朴湯」(はんげこうぼくとう)など、患者さんの症状や「証」に合った漢方薬が処方されます。

漢方医学について

漢方の腹診法

漢方の脈診法

****** 毎日新聞、2008年2月2日

特集:女性のための漢方セミナー 

気になる体の不調、これって更年期?

漢方薬を味方に体力・気力回復

 「女性のための漢方セミナー」(毎日新聞社主催、日本医師会、大阪府医師会後援、株式会社ツムラ協賛)が昨年12月、大阪市北区中之島の同市中央公会堂で開かれました。7回目となる今回のテーマは「気になる体の不調、これって更年期?」。更年期の症状は多様で、個人差が大きく、「原因不明の病気では」と悩む女性も多いようです。パネルディスカッションでは、漢方独自の舌を診る診断方法などを交え、更年期の症状緩和に役立つ漢方薬の具体的な利用法などが紹介されました。(敬称略)

(中略)

基調講演

人生リニューアルの時期--岡留美子さん

症状さまざま、心も体もケア

 更年期とは45歳ごろから55歳ごろまでの、閉経の前後10年を言います。なお、日本女性の平均閉経年齢は50歳ぐらいです。この時期、卵巣から分泌されるエストロゲンという女性ホルモンが急激に減少します。そのため、ホルモンを調節する脳の視床下部が混乱し、体温や発汗、脈拍などをつかさどる自律神経も乱れてしまうのです。

 更年期の症状で一番多いのは「のぼせ」と「ほてり」。「ホットフラッシュ」ともいい、体が急に熱くなったり、突然冷えたりします。動悸(どうき)や冷え症などの症状や、頭痛、めまい、耳鳴り、やる気が出ない、眠りにくいなどの神経性の症状を訴える人もいます。さらに体がかゆい、しびれるなどの悩みや、肌の乾燥、唾液(だえき)量の減少、目が乾きやすいなどの症状も目立ちます。

 さらに、肩こりや腰痛が出たり、関節が痛む人もいます。食欲がない、便秘や下痢をしやすいなど消化器系の異常や、頻尿や残尿感、陰部のかゆみなど泌尿器や生殖器系の症状も出ることがあります。

 更年期には、こうした全身にわたるたくさんの症状が出ますから大変です。もちろん、人によって程度の差があり、ほとんど困らない方から更年期障害になって苦しむ方までいろいろおいでです。

 では、こうした更年期の女性に、漢方薬がどのように味方になるのか、お話ししたいと思います。漢方医学は心と体を分けずに全体として考えます。ですから体も心も揺れ動き、症状が全身に出る更年期にはぴったりなのです。

 漢方では、その人の体質や状態を見て「証(しょう)」を判断し、証に合った薬を使います。症状が同じでも証が違えば別の漢方薬を処方します。逆に一つの漢方薬を違う症状に使うこともあります。

 また、生命活動のもととして「気・血・水」の三つの要素があると考えます。気は体全体を動かすエネルギー、血は血液自体やその流れ、水はリンパ液や尿など血液以外の水分を指します。一つでもバランスが崩れると不調が出ると考えます。更年期はまさに「気・血・水」が乱れる時期なのです。

 国が保険で認めている更年期障害のための代表的な漢方薬には次のようなものがあります=表(更年期障害のための漢方薬)参照。他にもいろいろあり、私たち医師は患者さん一人一人に合う漢方薬を選びます。

 次に更年期症状の方にどのように漢方薬を処方するか、何人かのケースを合わせて具体的に説明しましょう。Aさんは40代後半の主婦です。動悸とめまい、冷えとのぼせの症状があるうえ、不安感が強く夜もなかなか眠れない状態でした。ご主人の病気や子どもの将来、老いたご両親の問題など、多くの心配ごとをお持ちでした。

 まず、柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)を処方しました。これはAさんのように、気遣いで身も心も疲れ果てている方に役立ちます。これを飲んだAさんは、元気が出て動悸や冷えがよくなり、夜も眠れるようになりました。

 お子さんの進路の問題で胃痛や胃液があがる感じがする時期には、四逆散(しぎゃくさん)をお出ししました。これを飲むと「胃がすっきりするだけでなく、心の中の葛藤(かっとう)が消えていった」そうです。

 柴胡桂枝乾姜湯で冷え、のぼせは改善したものの、真冬だと冷えて眠りにくい日もあります。その時期には、サフランも一緒に処方しました。料理にも使うサフランは高価なものですが、医師がお薬として処方するものなら保険がききます。精神安定作用もあるので夜もよく眠れ、血の流れが滞っているのを治します。さらにこれを飲んでいるとお肌もとてもきれいになるのです。

 ご両親が病気のときは、介護疲れと心労から、のどのつまった感じがして、めまいが出ました。この時は気の巡りをよくする半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)を活用しました。ほかにも時々の症状に応じて漢方薬を使い分けてきました。

 Aさんは最近、いきいきとした表情で診察においでになります。薬に頼るだけでなく、健康維持のためにウオーキングやプールで泳ぐようにしているそうです。診察の際のやりとりを参考にしたら、家族ともうまくコミュニケーションが取れるようになり、同窓会を企画するなど外の世界でも活躍されているようです。更年期は英語でメノポーズといい、閉経という意味です。日本語ではメノポーズに「更年期」という言葉をあてたのですが、これは「人生を新しくするとき」という意味です。すてきな呼び方だと思いませんか。生まれ、成長し、子孫を残す時期を経て、新しく生まれ変わるのです。

 変化の時期は、安定していたものを崩すわけですから、一時的には揺れ動いてしんどいかもしれません。でも、それを経て初めて新たな安定を得ることができます。更年期は、老年期という穏やかな安定期にはいるための準備期間です。これから更年期を迎える方は、これから人生がリニューアルできることを覚えておいてほしいと思います。今、更年期のさなかにある方は、人生をどうリニューアルしていくか考えていきましょう。

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更年期障害のための漢方薬

柴胡桂枝乾姜湯 (さいこけいしかんきょうとう)
当帰芍薬散 (とうきしゃくやくさん)
加味逍遥散 (かみしょうようさん)
桂枝茯苓丸 (けいしぶくりょうがん)
温清飲 (うんせいいん)
五積散 (ごしゃくさん)
通導散 (つうどうさん)
温経湯 (うんけいとう)
三黄瀉心湯 (さんおうしゃしんとう)

(以下略)

(毎日新聞、2008年2月2日)


自治体病院 医療の泉 枯らさぬ工夫こそ (伊関友伸・城西大准教授)

2008年02月02日 | 地域周産期医療

医師たちの職場環境がどんどん悪化して、『この職場で仕事を続けたい』という医師たちの意欲が著しく低下してしまった場合、早晩、医師たちは黙ってその職場を去っていくことになるでしょう。

また、医師たちの立場や気持ちを考えない住民や行政の行動が目立つ地域でも、『この地で仕事を続けたい』という医師たちの意欲が著しく低下し、早晩、医師たちは黙ってその地を去っていくことになるでしょう。

医師たちが去って、いったん休廃止に追い込まれた診療科に、再び医師を呼び戻し、診療を再開させるのはほとんど不可能に近いと思われます。

いったん泉が枯れてしまえば、元には戻せません。いつまでも泉を枯らさぬ工夫が大切だと思います。

****** 朝日新聞、2008年1月31日

自治体病院 医療の泉 枯らさぬ工夫こそ

「地域の医療崩壊、防ぐ住民力」

          伊関友伸・城西大准教授

 全国で自治体病院の医療崩壊が続いている。

 北海道・夕張市では市立病院が39億円の一時借入金を抱えて経営が破綻した。京都府の舞鶴市民病院は、かつて全国屈指の充実した研修で知られていたが、常勤の医師が全員退職、混乱は現在も続く。

 私は病院経営アドバイザーとして夕張の医療再生に携わり、今もいくつかの自治体病院のお手伝いをしている。現場で感じるのは、自治体病院のほとんどが役所の一部門として扱われ、「経営」が存在しないことだ。権限を、現場ではなく本庁の人事や財政当局が握り、経営や医療の質よりも、形式や規則が重視される。

 医療費抑制の国策のもと、民間病院の生き残り競争は激しさを増す。だが、自治体病院は意思決定が遅く、時代に追いつけない。宮城県石巻市にあった公立深谷病院は抜本的な経営改革ができずに、金融機関から運転資金の融資を拒絶され、民間譲渡された。

 最近は、医師不足による収入減が病院経営に打撃を与えている。国の研修制度変更が原因とされるが、医療崩壊を起こしている地域ほど医師たちの立場や気持ちを考えない住民や行政の行動が目立つのも事実だ。

(中略)

 総務省は昨年末に「公立病院改革ガイドライン」を示し、収支の改善、医師の配置や病床数の見直しなど病院の再編・ネットワーク化、民営化など経営形態の見直しを迫っている。

 確かに改革は必要だ。しかし、単に収益の増加や病床利用率の向上を迫れば、医師のさらなる労働条件の悪化を招き、医師が立ち去った例もある。現場の声をしっかり聞く作業が、改革には不可欠だ。

 医師という医療資源は、泉と似ている。行政や住民が自分勝手に汲み上げれば泉は枯れる。行政は病院経営の質を上げ、住民は医療資源を浪費しない。この条件が揃わないと、自治体病院そして地域医療の崩壊は防げない。

(朝日新聞、2008年1月31日)