ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

地域の病院が分娩から撤退 産婦人科医10年で8%減

2006年05月06日 | 地域周産期医療

分娩取り扱い施設がどんどん減っているので、必然的に、残った施設に分娩が集中する。従って、今後も分娩取り扱いを継続する予定の施設では、産科医数、助産師数などをどんどん増やしてゆく必要がある。

また、妊娠満期になれば、いつ陣痛が発来するかは全くわからないし、陣痛発来すればすぐにでも児が娩出する可能性も十分にあり得るのは、最初から十分にわかっていることなのに、陣痛が発来してからあわてて救急車を使って遠方から来院する妊婦さんも少くないのは事実である。

****** 朝日新聞、2006年5月5日

地域の病院が分娩から撤退 産婦人科医10年で8%減

 全国各地で、臨月の妊婦が山道を長距離移動するなど負担を強いられるケースが相次いでいる。お産を支えてきた地域の基幹的な病院が、医師不足や医療事故防止のため、次々と分娩(ぶんべん)から手を引いているためだ。5日は「こどもの日」。地域で安心して子どもを産める場所が、少なくなっている。

(中略)

 厚生労働省調査(04年)によると、医療機関で働く産婦人科医師は計1万1282人。全医師数は増加傾向にあるのに、同科医師は94年からの10年間で8.4%、1058人減った。

 地域から大学への医師引き揚げも、問題に拍車をかけた。新人医師に幅広い診療能力を身につけさせようと04年度から始まった臨床研修の必修化で、大学医局に2年間は、新人の研修医が入らなくなったためだ。

 人手不足に陥った大学医局が、各地の関連病院から次々と医師を引き揚げた結果、担い手が少ない産婦人科などで休止や廃止が相次ぐようになった。

(朝日新聞、2006年05月05日)