ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療のあれこれ。日記など。

分娩を取り扱う病院、1100病院から600病院の時代へ

2014年06月24日 | 周産期医学

私が勤務している病院は現在分娩を取り扱ってますが、5名の産婦人科医が交代で当直をして、当直の翌日も通常の勤務体制で、土日休日は当直医に加えて1名の拘束医を決めてます。当直でない日の緊急呼び出しも少なくありません。結局、フリーの休日はほとんどなく、年がら年中だらだらと病院に縛り付けられているような勤務体制で、子育て期間中もろくに子供達と触れ合う時間が取れず、家族旅行もほとんどできないうちに、いつの間にか子供達は大きくなって全員巣立ってました。最近では、どこの大学でも産婦人科の新入医局員は女性医師が大半を占めるようになって、今のこの過酷な勤務環境のままでは到底長続きする筈がありません。この業界の延命生き残り対策として、分娩取り扱い病院の集約化・大規模化を強力に推進して、持続可能な無理のない勤務環境に変えていく必要が(絶対に)あります。

****** 以下、m3.comの記事より引用

医師不足への処方せん
分娩取扱、1100病院から600病院の時代へ
産科婦人科学会、勤務改善に向け集約化を来年提言

日本産科婦人科学会の医療改革委員会委員長の海野信也氏(北里大学病院長)は、6月21日に開催された同学会総会フォーラム「わが国の周産期医療の持続的発展のため産婦人科の抜本的改善を目指す」で、来年策定予定の「産婦人科医療改革グランドデザイン2015」で、分娩を取り扱う病院を現在の約1100施設から、約600施設に減少させる方針を打ち出す予定であることを明らかにした。産婦人科勤務医の勤務環境改善に向け、分娩取り扱い病院の集約化・大規模化と交代勤務制を推進するのが狙い。海野氏は、「政策提言も必要だが、我々としてできることに取り組んでいく」と説明した。

(中略)

日本産科婦人科医会の調査によると、2013年度の分娩取扱病院の産婦人科医の1カ月当たりの平均当直回数は5.6回で、他科より多い。また1カ月当たりの在院時間は減少傾向にあるが、2013年度は296時間で、過労死認定基準を超える。海野氏は、「分娩取扱病院当たりの医師数は少しずつ増えているが、当直回数や在院時間はそれほど減っていない」と説明、女性医師数が約4割を占め、その半数が妊娠・育児中で、当直できる人に負担が偏る傾向にあるとし、その解消のためにも集約化・大規模化と交代勤務制の導入が必要だとした。

厚生労働省の医療施設調査によると、分娩取り扱い病院は、1999年には2072施設だったが、2002年1803施設、2005年1612施設、2008年1441施設、2011年1357施設と、一貫して減少している。「分娩取り扱い病院は約600」は、総合周産期母子医療センター、地域周産期母子医療センター、大学病院を合計すると約400施設あり、それ以外に約200施設が加わるイメージだという。

(後略)


救急隊員向けの新生児蘇生法(Bコース)講習会の開催

2014年06月19日 | 飯田下伊那地域の産科問題

6月18日(水)17:30~21:00、飯田市立病院で救急隊員向けの新生児蘇生法(Bコース)講習会が開催されました。当飯田下伊那地域でも病院前の分娩(自宅や救急車内)が毎年数件づつあり、今回私が担当したグループにも、自宅や救急車内の分娩を今まで何度も経験したことがある(!)という百戦錬磨のベテラン隊員の方がいらっしゃいました。管内に救急隊員が百数十人かいて、その中の誰が病院前の分娩を担当することになるのか全く予測不能とのことだったので、小児科の先生とも話し合って、管内の救急隊員全員にNCPR講習会を受講してもらう必要があるとの結論に達し、ほぼ月1回のペースで救急隊員向けのNCPR講習会を院内で開催するようになりました。病院スタッフ(産婦人科医、小児科医、研修医、助産師など)向けのNCPR(Aコース)講習会も数か月に1回院内で開催してますし、たまに近隣の病院のNCPR講習会にも出向いてます。最近は私も老化現象で物忘れが非常に激しくなってますが、ちょうど忘れかけた頃に次のNCPR講習会があって、新生児蘇生法の知識と技能の定着には、今くらいの頻度で繰り返していくのがちょうどいい感じです。


AHA BLS for Healthcare Providers Course

2014年06月02日 | インポート

2014年6月1日、AHA/BLSヘルスケアプロバイダーコース(於:飯田市立病院)を受講し、 成人、乳児、小児の一次救命処置、気道異物の除去、AEDの使用などについて学びました。前回のBLS受講から2年経過し、有効期限の更新が目的の受講でした。

最近は、ALSO、BLSO、NCPR、産科救急セミナー(京都産婦人科救急診療研究会)、BLS、ICLS、ACLS、PALS、JPTECなど、救命に必要な知識とスキルを習得するためのシミュレーション講習会に参加する機会が増えてますが、BLSはこれらすべての基本ですから、常日頃繰り返し練習してBLS手順を体に染み込ませておく必要があります。BLS、ACLS、NCPRなどの手順は5年ごとに大幅に変更されています。例えば、AHAガイドライン2010では、BLS手順が、A→B→C(気道、呼吸、胸骨圧迫)からC→A→B(胸骨圧迫、気道、呼吸)にと大きく変更されました。来年(2015年)には新しいガイドラインが公表されますので、またいろいろな手順の変更もあると思います。最新の情報を入手し、シミュレーション講習会にも参加し、実戦で活用できるようにチームでトレーニングを繰り返していく必要があります。

Bls