ある産婦人科医のひとりごと

産婦人科医療全般、産婦人科医不足の問題、地域周産期医療の現状と未来、当医療圏の産科問題に対する取り組み。

新型インフルエンザ: 国民の5人に1人が発症 38万人入院 3万8千人が重症化 9月下旬~10月にピ

2009年08月29日 | 新型インフルエンザ

新型インフルエンザの流行のピークが9月下旬~10月にかけてと予測され、ワクチンの供給は10月下旬以降ということですから、ワクチン接種のタイミングが間に合わない可能性が高いです。

また、いくら発熱していても、陣痛発来している妊婦を産科病棟以外では受け入れることが困難で、流行のピーク時には、多くの妊婦の発症者を院内で隔離することが難しくなってしまうかもしれません。

助産師や産婦人科医などの産科病棟スタッフにも感染者が続出する事態となれば、多くの産科施設で一時的に分娩受け入れが困難となってしまうかもしれません。

地域によっては、大混乱となってしまうかもしれません。各地域で、流行時の感染妊婦の受け入れ方法などについて、よく話し合っておく必要があると思います。

新型インフルエンザ対策手引書(厚生労働省)

妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A (一般の方対象) 、日本産科婦人科学会

****** 朝日新聞、2009年8月29日

新型インフル、9月下旬にも発症のピーク

 厚生労働省は28日、新型の豚インフルエンザの今後の患者数の推計を初めて公表した。国民の2割が発症すると想定し、その場合、約38万人が入院し、約3万8千人が重症になり、ピーク時には1日に約76万人が発症する見込み。現在は流行が拡大し始める初期段階にあるとみられる。入院ベッドの確保など、重症化しやすい子どもや持病のある人ら向けの医療態勢の確立が急務だ。

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 厚労省は各都道府県が医療態勢を整える際の参考にしてもらうために推計した。海外の流行状況などを踏まえ、季節性インフルの2倍程度に当たる国民の2割(約2500万人)が発症するものとしたほか、新型インフルのこれまでの傾向などから入院率や重症化率を試算した。

 ピークの時期は具体的に示していないが、国立感染症研究所の推計にあてはめると、9月下旬から10月にかけてピークを迎えるとみられる。

 ピーク時には全国で約4万6千人が入院していると想定した。世代別では乳幼児(0~5歳)3500人、小児(6~15歳)1万1800人、成年(16~64歳)2万人、高齢者(65歳以上)1万1100人。大半の患者は軽症で回復する見込み。

 流行は9週目でピークになり、19週目にいったん終息するとしている。ピークや終息の時期、発症者数などは変動する恐れがある。ウイルスの病原性が変化したり、薬が効きにくくなる耐性が出たりすると、流行の規模が大きくなる可能性がある。国民の3割が発症した場合も推計しており、約95万人が入院し、19万人が重症化するとしている。

 また、都市部など人口密集地は患者数が多くなり、持病を持つ高齢者の多い地域では重症者が増えるなど、地域ごとに状況は異なってくるとみられる。厚労省の担当者は「感染症の流行には必ず終わりがくるが、正確な予測は難しい」としている。季節性インフルの流行が重なる可能性もあり、注意を呼びかけている。専門家は流行の第2、3波も警戒している。

 試算をもとに厚労省は、都道府県などに対し、各地域の人口や年齢構成を踏まえて、患者の受け入れ態勢を整えるよう求めた。多数の入院患者が出た場合に備え、現在使っていない結核病床などを活用することも盛り込んだ。夜間の外来診療態勢を整えるため、診療所の診療時間延長や輪番制の導入など、地域の中核病院と診療所の連携も求めた。 【権敬淑、野瀬輝彦】

(朝日新聞、2009年8月29日)

****** NHKニュース、2009年8月29日

新インフル対策 手引書で周知

新型インフルエンザの大規模な流行に備えるため、厚生労働省は、医療機関の受診方法や自宅療養の注意点などをまとめた手引書をまとめ、周知を進めていくことになりました。

厚生労働省がまとめた想定によりますと、新型インフルエンザの感染がこのまま拡大すると、国民の5人に1人にあたる2500万人余りが発症し、およそ3万8000人が重症になるということです。このため厚生労働省は、こうした大規模な流行に備えるため、感染が疑われる人や患者を対象とした手引書を作り、周知を進めていくことになりました。手引書では、まず、感染が疑われる場合は、掛かりつけの医師や保健所などに設置されている「発熱相談センター」に問い合わせて受診するよう求めています。また、持病がある人や妊娠している人は、掛かりつけの医師に電話で相談し、受診する医療機関を紹介してもらうよう呼びかけています。さらに、自宅で療養する場合には、家族などとはなるべく別の部屋で過ごして接触を避けるとともに、熱が下がってから2日間は外出を控えるよう求めています。厚生労働省は、この手引書をインターネットのホームページに掲載するとともに、都道府県などを通じて周知していくことにしています。

(NHKニュース、2009年8月29日)

****** NHKニュース、2009年8月28日

3万8000人が重症の想定

新型インフルエンザの感染がこのまま拡大すると、ことし10月をピークに国民の5人に1人に当たる2500万人余りが発症し、およそ3万8000人が重症になるという想定を厚生労働省がまとめました。

この想定は、毎年の季節性インフルエンザの流行や海外における新型インフルエンザの感染動向などをもとに、厚生労働省が推計したものです。それによりますと、新型インフルエンザに感染して発症する人は季節性インフルエンザのおよそ2倍で、国民の5人に1人に当たる2555万人に上るとしています。このうち、1.5%に当たるおよそ38万人が入院し、0.15%に当たるおよそ3万8000人が肺炎やインフルエンザ脳症などを引き起こして、重症になると推計しています。ただし、ぜんそくや糖尿病など重症になりやすい持病がある人やインフルエンザ脳症になりやすい幼児などに感染が広がった場合は、重症になる人の割合は3倍以上の0.5%に高まる恐れがあるとしています。感染のピークを迎えることし10月には、最も多いときで1日76万人が発症し、4万6400人が入院している状態になると見込んでいます。地域によっては、発症者が30%に達し、人口が密集する都市部では、さらに割合が高まるおそれもあるとしています。厚生労働省は、各都道府県に対し、この想定をもとに医療機関のベッド数や人工呼吸器の数などを検証し、必要な医療態勢を整えるよう求めることにしています。

(NHKニュース、2009年8月28日)

****** 読売新聞、2009年8月28日

インフルピーク時、1日76万人発症…厚労省

 厚生労働省は28日、新型インフルエンザの今後の流行に関する試算を発表した。10月の流行ピーク時には1日当たり約76万人の患者が新たに出て、全国の入院患者は最大時で4万6400人に上る可能性があるとした。

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 厚労省は同日、流行に備えた医療体制を早急に整備するよう各都道府県に要請した。

 試算は海外の流行状況や感染率などから、季節性インフルエンザ感染者の約2倍にあたる国民の平均2割、都市部などでは同3割が発症すると想定。今シーズンの入院率を全患者の1・5~2・5%(38万人~64万人)、インフルエンザ脳症や肺炎など重症者の発生率を同0・15~0・5%(3万8000人~12万8000人)として算出した。

 患者数のピークは流行開始8週間後になるとし、国内での流行開始(今月10~16日)に当てはめると、10月上旬ごろに来る。入院患者のピークは患者数のピークから約1週間遅れ、全国の入院患者は4万6400人に達する。国民の3割が感染すると、入院患者は6万9800人に上るという。死者数の試算はしていないが、米国の想定では入院患者の約30人に1人が死亡するとしている。

 都道府県には、診療所での夜間診療延長なども準備するよう指導。ぜんそくや糖尿病など持病がある人は医療機関で感染する恐れがあるため、医療機関に対して電話による診療、持病の薬を長期間使えるよう一度に処方することも求めている。

(読売新聞、2009年8月28日)

****** 毎日新聞、2009年8月28日

新型インフル:1日最大76万人が発症 厚労省試算

 厚生労働省は28日、新型インフルエンザに国民の20%が罹患(りかん)した場合、ピーク時には1日に約76万2000人が発症し、約4万6400人が入院するとの「流行シナリオ」をまとめた。現状をシナリオに当てはめると、9月下旬~10月上旬にピークを迎える恐れがある。患者急増に備え、厚労省は同日、都道府県に夜間診療時間の延長や重症患者の受け入れルール策定などを要請した。

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入院は1日4万6400人

 流行シナリオは、国内外の感染の広がり方や季節性インフルエンザの流行パターンを参考に試算した。罹患率を20%(例年の季節性の2倍程度)と仮定すると、感染者が増え始めてから5週目に1日当たりの発症者が10万人を超え、9週目に最大になる。国立感染症研究所の推計では、今月17~23日の患者数は約15万人で、シナリオの3~4週目に相当し、「9週目」は9月下旬~10月上旬になる。

 入院のピークは10週目。14週目まで1日1万人超の状態が続き、患者の0.15%の約3万8000人が重症化すると試算した。罹患率が30%の場合は、ピーク時の入院患者が6万9800人になる。

 厚労省は、流行ピーク時も医療体制を維持できるよう▽診療所の時間延長や輪番制の夜間外来▽一般病床などを使った緊急時の定員超過入院▽隣県との医師派遣や重症患者受け入れルールの策定▽慢性疾患患者へのファクスによるインフルエンザ治療薬処方--などの準備を医療機関に求めた。【清水健二】

(毎日新聞、2009年8月28日)

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波田総合病院 分娩受け入れ制限

2009年08月26日 | 地域周産期医療

波田町は松本市に隣接し、松本市との合併協議が進んでいます。今後、町立波田総合病院は松本市立となり病院経営が継続される見込みと報道されてます。松本地域は、長野県全体に医師を供給している信州大学附属病院があり、市内には大勢の産婦人科医が住んでますが、小児科や麻酔科も併設された産科施設の数は意外に少ないです。波田総合病院の分娩件数は同地域ではトップクラスです。        

****** 信濃毎日新聞、2009年8月26日

10月からお産の受け入れ制限へ 

波田総合病院

 波田町の町立波田総合病院は10月から、分娩(ぶんべん)の受け入れに「1カ月におおむね50件」の上限を設ける。現在は制限をしていないが、産科医が1人でも欠ければ産科を休止せざるを得ない現状から、医師の負担軽減が必要と判断した。

 同病院の分娩件数は年間600~700件で、松本地域でトップクラス。一方、昨年夏ごろから3人態勢の産科医のうち、1人は育児中で主に外来のみの担当となっており、深夜に及ぶ分娩は男性医師2人が担っている。日本産科婦人科学会は勤務医1人が無理なく扱えるお産件数数の目安を年約150件程度としており、それを大きく上回っている。

 このため、10月から1カ月のお産の予約を50件程度、年間で計約600件とし、現在より100件程度減らすことにした。上限を上回った場合、別の病院や助産院を紹介するなど、お産の場に困らないよう対応するという。受け入れ制限をしていない信大病院(松本市)にも方針を伝えている。

 波田病院の波多腰賢司事務長は「自治体病院の使命もあって受け入れを制限せずにきたが、医師の健康も心配される」と説明。松本地域では近年、産科医不足で産科を休止する医療機関が相次いでおり、「医師が倒れてからでは遅い。早めの予防策だと考えてほしい」とし、理解を求めている。

(信濃毎日新聞、2009年8月26日)

****** 読売新聞、2009年8月22日

激務 産科医不足に拍車

「安心して産めない」

 三重県尾鷲市立尾鷲総合病院の産婦人科医、野村浩史さん(52)は、病院近くのアパートに帰宅した後も、常に携帯電話を手元に置く。緊急呼び出しに備え、緊張した時間を過ごすが、それでも帰宅出来た日は、「ホッとします」。帰れずに、病院に泊まらざるを得ない日は、月に7~10日にもなる。

 市内でただ一人の産婦人科医。受け持つ患者のエリアは、県南部の東紀州地域2市2町に及ぶ。土日や祝日も入院患者の回診をするため、三重県伊勢市の自宅に戻れるのは、別の開業医が当直に入る月に一度だけだ。

 三重大から医師の派遣を受けていた同病院の産婦人科は2005年7月、大学医局の医師不足を理由に約40キロ離れた公立紀南病院(三重県御浜町)に統合され、尾鷲市は一時、常駐産科医がいない状態になった。

 野村さんが単身で赴任してから3年。3日続けて帰宅できなかったことも一度や二度ではない。「ある程度の拘束は仕方ないが、体力面で不安はある」。産科医がもう一人いてくれれば、というのが野村さんの偽らざる思いだ。

        ◎

 「代わりを探してはいるけど、なかなか見つからないんですよ」

 名古屋市立大の杉浦真弓教授(48)(産婦人科)は昨夏から、愛知県豊川市の市民病院に派遣する産科医を探し続けている。当時の院長からひざ詰めで医師探しを依頼されたが、ない袖は振れない。今も医師が見つかるメドは全くたたない。

 同病院では今年1月、家庭の事情で産婦人科の医師が1人減り、3人となった。06年から近くの新城市民病院(愛知県新城市)の診療体制縮小で、同病院からの流入患者が増加していたこともあり、昨夏以降、受け入れる出産患者を制限する状態が続いている。

 ところが、医師の供給源となるべき大学側は今、医局の人手不足という悩みを抱えている。04年度から始まった臨床研修制度により、研修医が病院を自由に選べるようになった結果、大学に残る医師の数が減ったためだ。このことが、地域医療機関の医師不足を招いているとの指摘は多い。

 女性産科医が、子育てとの両立が難しいなどの理由で定年前に引退してしまうケースが多いのも、産科医不足に拍車をかけている。杉浦教授は「学生に産科医の魅力を伝え、女性が長く働ける環境をつくっていくことも必要だ」と訴える。

        ◎

 日本の人口1000人当たりの医師数は2・1人。経済協力開発機構(OECD)加盟30か国の平均(3・1人)を大きく下回る。中でも、激務で訴訟リスクも高いとされる産科医は、この10年で約10%も減少した。愛知県内では、35公立病院のうち、昨年6月現在、19病院が医師不足で時間外救急患者の受け入れ制限や入院診療休止など診療を制限せざるを得なくなっている。

 尾鷲市で産科医が常駐しない期間に長女を妊娠した同市の主婦(39)は、車で片道2時間かけて三重県松阪市の病院に通った。「胎児に異変が起きたらと考えると、安定期に入るまでは不安で仕方がなかった」。医師不足、そして診療体制の縮小は、地域住民の生命や生活を脅かす。

 定年まで今の生活を続ける意思を固めたという野村さんは強調する。「安心してお産ができるという当たり前のことを実現するためには、何よりもまず、医師不足の解消が急務。これがすべての根源ですよ」  【小栗靖彦、田口詠子】

(読売新聞、2009年8月22日)

****** 産経新聞、主張、2009年8月28日

医師増員公約 「偏在」是正こそ解決策だ

 「医師不足」だといわれる。とりわけ、救急、産科、小児、外科などでは深刻な状況で、各党の政権公約はいずれも医師の増員を掲げている。

 民主党は医学部定員1・5倍を明記し、地域医療計画を抜本的に見直すと主張する。自民党も医学教育の充実や勤務環境の改善、救急医療体制の整備などを強調している。

 しかし問題の背景には、病院勤務医が労働条件の厳しい特定の診療科を敬遠し、生活もしやすい都市部に集中することによる「診療科の偏在」や「地域偏在」がある。だとすれば、単純に医師全体の数を増やすだけでは問題は解決しない。

 過酷な勤務医の仕事を軽減するためには、看護師や助産師、臨床検査技師といった医師を補佐するスタッフの能力を上げ、医師に代わって事務を担当する医療クラークを増やすことも必要だ。女性医師が出産後に復職できるように職場環境を整えて労働力を確保することも忘れてはならない。

 勤務医の仕事に見合った報酬の引き上げも進めるべきだ。オフィス街の診療所などの開業医の年収は勤務医の1・8倍にも上る。勤務医に診療報酬を手厚く配分する一方、患者の負担が増えないように開業医の報酬は引き下げるのが現実的な選択だろう。

 診療科の偏在を是正するには、医学部教育と卒後の臨床研修を通じて質の高い医師を育て、病院や診療科ごとに計画的な配置をしていくことが肝心だ。一定の規制措置も検討されていい。医師が診療科を自由に名乗れる現在の自由標榜(ひょうぼう)制を制限し、一部の診療科への医師の集中を防ぐ方法もある。

 勤務医が将来開業する条件として、一定年数を地方で勤務するよう求める考え方もある。職業選択の自由からの議論も必要だろうが、これらは医師法や医療法の一部を改正すれば可能になる。

 医学生の7割以上が(1)給与などの処遇・待遇が良い(2)住居環境が整っている(3)一定の期間に限定する-の条件さえ整えば、医師不足地域で勤務しても構わないと考えているとの調査結果もある。

 しかし、こうした改革の方向性については、開業医を中心に構成する日本医師会が抵抗している。医師会の集票力があるためか、各党の公約に切り込み不足の印象が否めない。

 国民の健康を守るという視点から政治決断が求められている。

(産経新聞、主張、2009年8月28日)

コメント

新型インフルエンザ・ワクチン: 優先接種対象(合計5300万人)の内訳

2009年08月26日 | 新型インフルエンザ

新型インフルエンザ・ワクチンを優先的に接種する対象者(5300万人)の内訳: 妊婦(100万人)、乳幼児(600万人)、基礎疾患のある人(1000万人)、医療従事者(100万人)、小中高生(1400万人)、高齢者(2100万人)。

これに対して、国内4社が製造するワクチンは、年内で1300万~1700万人分にとどまる見通しで、国内製造で不足する分は、審査を大幅に省いて海外からワクチンを輸入する「特例承認」を適用して緊急調達する方針が、厚生労働省より発表されました。

新型インフルエンザは秋以降の本格流行が予測されますが、新型インフルエンザ用のワクチンが入手可能となるのは10月下旬以降で、しかも免疫効果が出るまでにワクチン接種から数週間を要するため、「ワクチン接種のタイミングが間に合わない」という意見も多いです。

妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A (一般の方対象) 、日本産科婦人科学会

****** 読売新聞、2009年8月25日

ワクチン、妊婦・乳幼児らに優先接種

 大流行が懸念される新型インフルエンザ用のワクチンについて、舛添厚生労働相は25日の閣議後記者会見で、妊婦と乳幼児、ぜんそくなどの持病がある人など合計1700万人に優先接種する意向を示した。

 国内で製造したワクチンの供給は10月下旬から始まることも表明。国内供給分では不足する分を海外から輸入する意向も改めて示し、薬事法に基づく「特例承認」を初適用し、国内での臨床試験(治験)を簡略化して供給を急ぐ方針を示した。

 舛添厚労相は、準備するワクチン量を5300万人分とし、その内訳として「(糖尿病やぜんそく、心臓や腎臓の慢性疾患など)持病がある人」1000万人、乳幼児600万人、小中高校生1400万人、妊婦100万人、治療にあたる医療従事者100万人、65歳以上の高齢者2700万人(600万人は持病がある人と重複)などが入るとした。

 舛添厚労相は、このうち優先接種の対象として、「妊婦と乳幼児、持病がある人が計1700万人」と位置づけた。計1700万人分は、国内生産量に当たる量だ。

 不足分について輸入で補う方針については、専門家から安全性を巡って異論や批判が出ていることを踏まえ、「副反応(副作用)が出たときのメーカーの免責をどうするか、予防接種法との絡みで難しい問題がある」と指摘。免責を求める海外メーカーとの契約交渉が難航していることから、「将来的には予防接種法の改正も視野に入れて議論する必要がある」と述べた。

 輸入に向けて検討する特例承認は、国内での臨床試験を実施する前に海外でのデータだけで国内使用を承認する例外的な措置。26日に専門家の会議を開き、正式に決定する。

 一方、ワクチン接種の金銭的負担については、「ワクチン代そのものは基本的には国費の負担にしたい」と述べた。接種にかかる経費については今後検討すると述べたが、低額所得者の負担は全額無料とする方針を示した。

(読売新聞、2009年8月25日)

****** 読売新聞、2009年8月25日

死者最大9万人、ワクチン前倒しを…米勧告

 【ワシントン支局】米大統領諮問委員会は24日、新型インフルエンザによる死者が最大で、通常の季節性インフルエンザの2倍にあたる9万人に上る可能性があると指摘、政府に対してワクチンや薬の供給を9月半ばに前倒しするよう製造業者への働きかけを求める勧告を出した。

 勧告では、米国内の感染者は年内に人口の3~5割に達すると予想。新型インフルエンザを「国にとって深刻な脅威」と位置づけ、米食品医薬品局に対して治験中の注射薬の許認可を迅速に判断するよう求めた。

(読売新聞、2009年8月25日)

****** 毎日新聞、2009年8月25日

新型インフルエンザ:ワクチン確保、小中高と高齢者分も 特例措置で輸入--厚労相

 舛添要一厚生労働相は25日の閣議後会見で、新型インフルエンザのワクチンについて、優先接種の方針が固まっている妊婦や乳幼児、基礎疾患(ぜんそく、糖尿病など)のある患者、医療従事者に加え、小中高生と高齢者の分も確保する意向を示した。合計5300万人で、国内生産で足りない分を輸入する場合は、国内での臨床試験などを省略できる薬事法の「特例承認」を検討するとした。【清水健二】

 舛添氏はワクチンの確保目標を5300万人としていたが、内訳は明らかにしていなかった。

 20日の厚労省と専門家の意見交換会で優先接種の対象とされたのは▽妊婦(100万人)▽1~6歳の乳幼児(600万人)▽基礎疾患のある人(1000万人)▽医療従事者(100万人)で、計1800万人。これに7~18歳の小中高生(1400万人)と基礎疾患のない高齢者(2100万人)が加わる。

 国内4社が製造するワクチンは年内で1300万~1700万人分とされ、生産が順調なら優先接種対象者にはほぼ行き渡る。

 一方、小中高生や高齢者にも接種すると、生産を来年2月まで続けても最大3000万人分のため、不足が確実だ。

 舛添氏は「(ワクチン輸入は)薬事法の特例の適用を検討しており、専門家や薬害被害者の意見を聞きたい」と述べた。

 厚労省によると、特例承認は、緊急性があり、代替策がない場合に大臣が決めることができる。過去に適用例はないという。

 海外で生産される新型インフルエンザのワクチンには、国内生産分には入っていない補助剤などが使われており、副作用リスクなどについて「海外での試験結果などから慎重に判断することになる」としている。

(毎日新聞、2009年8月25日)

****** NHKニュース、2009年8月25日

ワクチン輸入 特例承認の方針

新型インフルエンザのワクチン接種について、厚生労働省は、必要なワクチンをあわせて5300万人分と見込み、国内の製造で不足する分は、審査を大幅に省いて海外からワクチンを輸入する「特例承認」を適用して緊急に調達する方針です。

厚生労働省によりますと、接種する対象者の候補は、▽医療従事者が100万人、▽重症になりやすい病気を持つ人が1000万人、▽妊婦が100万人、▽乳幼児が600万人、▽小中学生と高校生が1400万人、▽高齢者が2100万人で、あわせて5300万人です。

国内では、先月から新型インフルエンザのワクチンの製造が始まりましたが、ワクチンの元になるウイルスの増殖力が弱いことから、年内の製造量は1300万人から1700万人分にとどまる見通しです。

厚生労働省は、国内の製造で不足する分は輸入する方針ですが、海外メーカーのワクチンの安全性について、通常の手続きどおり審査した場合、半年以上かかるということです。

このため、厚生労働省は、現地国での承認があれば国内での審査を大幅に省いて輸入できる「特例承認」という薬事法の規定を初めて適用して、緊急に調達する方針です。

厚生労働省は、専門家らとともにワクチンを接種する対象者などの検討を続けていて、来月中に正式に決めることにしています。

(NHKニュース、2009年8月25日)

****** 産経新聞、2009年8月24日

【新型インフル】安全性、「買い占め」批判…ワクチン輸入に課題山積

 秋以降の新型インフルエンザの本格的流行に備え、政府は24日、不足するワクチンを輸入する方針を固めた。国産と製造方法が異なる海外ワクチンの緊急輸入については専門家から「安全性を担保できない」との異論も出ている。世界的なワクチンの品薄状態の中、日本が大量輸入すれば、「買い占め」と受け取られかねない側面もあり、課題は山積している。

 新型用ワクチンについて、政府はワクチンの必要量を5300万人分と見積もり、製造が追いつかない約2000万人分を輸入したい考えだ。

 ワクチンを含め薬剤を海外から輸入する場合、薬事法.は国内で安全性などを確認する臨床試験(治験)を実施することを製薬会社に義務付けている。通常、治験には5年程度かかるケースが多いが、今回のような緊急時には、海外で承認された薬剤を国内でも認める特例承認の適用が可能だ。

 ただ、海外の新型用のワクチンは免疫力を強める製剤を加えるなど国内ワクチンと製造方法が異なり、安全面から輸入に慎重な姿勢を示す専門家も多い。

 大阪市立大医学研究科の広田良夫教授(公衆衛生学)は「投与から10日~20日後に神経症状などが出てくる可能性もある」と注意を促す。

 国立感染症研究所感染症情報センターの岡部信彦センター長も「海外で使われているからといって、そのまますぐに日本でも承認したのでは安全性は担保されない。少数でもいいから日本人でも調査を行うべきだ」と指摘する。

 政府は輸入に向け欧米の製薬会社との交渉に入っている。しかし、製薬会社は輸入したワクチンで副作用が起きても、責任を取らないことなどを契約の条件に挙げているという。厳しい条件提示の背景には、世界的なワクチンの品薄状態があるとみられる。

 また、医療体勢の整った日本が大量輸入すれば、「途上国向けの調達に影響を与える」などと国際的に非難される可能性もある。

 国の対策本部の専門家諮問委員会委員長を務める自治医科大の尾身茂教授は「輸入したワクチンの一部を途上国に寄付すれば、国内分を確保しながら途上国にも届けることができる。海外の製薬会社などは途上国へのワクチンの寄付を表明しており、日本もそうした配慮をする必要がある」と指摘している。【今泉有美子】

(産経新聞、2009年8月24日)

****** NHKニュース、2009年8月25日

優先接種 妊婦の安全性確認へ

新型インフルエンザが全国的な流行に入ったことを受けて厚生労働省は、感染すると重症になりやすい妊娠中の女性に対するワクチンの優先的な接種を検討するため、ワクチンの副作用など安全性に関する情報収集を急ぐことになりました。

妊娠中の女性は、免疫が低下していることなどから新型インフルエンザに感染すると重症になりやすいとされ、厚生労働省は、ワクチンを優先的に接種する方向で検討を進めています。しかし、季節性インフルエンザの場合、海外では妊婦にもワクチンを積極的に接種している国もありますが、日本ではワクチンの安全性が十分には確立していないとして医師が感染のリスクなどを考慮しながら接種しています。これまで国内ではワクチンの接種によって妊婦に重い副作用が起きたという報告はありませんが、厚生労働省は、あらためて国内でワクチンが接種されている状況を確認するとともに海外での副作用の事例など安全性に関する情報収集を急ぐことになりました。そのうえで厚生労働省は、関係学会からヒアリングを行い、来月までに妊婦を含めて新型インフルエンザのワクチンを接種する優先順位を決めることにしています。

(NHKニュース、2009年8月25日)

****** NHKニュース、2009年8月25日

患者の97%は新型に感染

全国的な流行が始まったインフルエンザの患者の97パーセントは新型のウイルスに感染していたことが、国立感染症研究所などの調査でわかりました。専門家は「簡易検査でA型と判定された場合には、新型インフルエンザだと考えて重症化のおそれがないかなど慎重に対応する必要がある」と話しています。

国立感染症研究所では、インフルエンザの患者が増え始めた先月上旬以降、各地の地方衛生研究所を通じて医療機関を受診したインフルエンザの患者2800人余りがどのタイプのウイルスに感染しているのか詳しく分析しました。その結果、これまで流行していたA香港型に感染していたのは70人にとどまる一方、全体の97パーセントに当たる2774人が新型のインフルエンザウイルスに感染していたことがわかったということです。また、患者を年齢別に見てみると10代が39パーセント、20代が16パーセントと毎年のインフルエンザでは比較的少ない若者が55パーセントを占めており、専門家は免疫がないため、毎年の流行では感染しにくい世代にウイルスが広まっているとみています。国立感染症研究所の安井良則主任研究官は「簡易検査でA型と判定された場合、詳しい検査結果が出ていなくても新型と考えて重症化の危険性がないか慎重に対応する必要がある。この冬の新型の流行は、毎年の流行よりも大きくなる可能性が高いので対策を急ぐ必要がある」と指摘しています。

(NHKニュース、2009年8月25日)

****** NHKニュース、2009年8月25日

ワクチン 途上国にも提供を

新型インフルエンザに有効なワクチンが世界的に不足することが予想されるなかで、WHO=世界保健機関の担当者は日本はワクチンの生産能力を早急に高め、国内だけでなく途上国にも提供するべきだという考えを示しました。

新型インフルエンザのワクチンについては先進国を中心に各国が製造を急いでいますが、当初は世界的に大幅な不足が予想されていて、日本は海外から輸入することも検討しています。これついてWHOでインフルエンザ対策を担当している進藤奈邦子医務官は、NHKのインタビューに応じ、「日本のようにもともとワクチンを作る力があるところはこういう状況を想定してもっとワクチンの生産能力を上げてほしかった」と指摘しました。そのうえで進藤医務官は「まだ遅くないので生産能力を早急に高める国家努力をしてほしい」と述べて、日本が国内向けだけでなくアジアを中心とした途上国にもワクチンを提供するべきだという考えを示しました。一方、進藤医務官は、感染が拡大している各国では、外来診療に患者が押し寄せたり重症患者で集中治療室の設備やスタッフが足りなくなる事態も起きているとして、今後の予測は難しいとしながらも日本でもこうした医療態勢を早急に強化する必要があるという考えを示しました。

(NHKニュース、2009年8月25日)

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急性期病院の勤務医が相次いで離職し、全国各地で医療崩壊が進行中!

2009年08月23日 | 地域医療

医師の総数は毎年着実に増えているにもかかわらず、医療現場の医師不足は年々深刻化しています。特に、外科医や産婦人科医の数は年々着実に減り続けています。今後の対策として医師の総数を単純に増やすだけでは、問題は決して解決しません。

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  (2009.8.17付けの産経ニュースより)

夜昼かまわず必死で頑張ってきた急性期病院の勤務医達が、過酷な労働環境に耐えられなくなり、「もうこれ以上頑張れない、もはや力尽きた」という極限状態まで追い詰められ、働き盛りの年代の勤務医達が相次いで戦線離脱しています。

開業の先生方が診ていた患者さんが急変した時に、時間外でもとにかく送り込んでしまえば、何とか対応してくれていた急性期病院の機能が縮小し続けています。

いくら医師の総数が増えたとしても、急性期の患者さんを送り出す側の医師ばかりが増えて、受け入れる側の医師が今後も減り続けるようでは、医療崩壊はこれからもますます進行していくことでしょう。これは特定の地方に限られた問題ではなく、全国各地の住民が困窮している問題です。もはや、個々の病院や自治体の取り組みで解決できる問題ではありません。国が本腰を入れて、この問題に取り組む必要があると思います。

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新型インフルエンザが流行期入り 先週だけで11万人受診

2009年08月22日 | 新型インフルエンザ

****** 朝日新聞、2009年8月21日

新型インフルが流行期入り 

先週だけで11万人受診

 厚生労働省は21日、新型の豚インフルエンザが全国的に流行期に入ったと発表した。国立感染症研究所の推計では、最新の1週間(8月10~16日)にインフルで約11万人が全国の医療機関を受診。全国約5千の医療機関の定点調査では、1週間に受診した1医療機関あたりの患者数は1.69人で、「流行開始」の目安の「1人」を初めて超えたという。夏に流行するのは調査を始めた80年代以降で例のない事態だ。

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 季節性インフルも交ざっている可能性もあるが、ほとんどが新型インフルとみられる。厚労省は「新型インフルの流行シーズンに入った」としている。

 都道府県別では、1医療機関あたりの患者数は、沖縄県(29.60人)が最も多く、次いで奈良県(2.96人)、滋賀県(2.48人)など。「1人」を超えた自治体は26都府県で、前週の6都府県から急増した。前週(8月3~9日)は全国で0.99人。

 季節性インフルでは過去10年、流行開始から5~10週間でピークを迎えたが、1医療機関あたりの報告数の最多は50.07(04~05年)だった。

 新型インフルが大半とみられる今回は、7月から急激に患者数は増えている。厚労省は新型の感染拡大の予想は難しいとするが、秋以降に流行を迎えるとみて準備していた対策の前倒しを迫られる。

 厚労省は感染者の重症化予防を最大の目的にして対策を進めるとしている。9月に、重症化しやすい、ぜんそくなど持病のある小児患者の親らを集め、感染防止策などを説明する予定。

 また、厚労省のまとめでは、7月28日から8月18日までに新型インフルによる入院患者は累計230人で、うち、15人が急性脳症や人工呼吸器が必要な状態に陥った。

 入院患者全体のうち、糖尿病や腎臓、心臓の病気、ぜんそくなどの持病があったり、妊娠したりしていたのは93人で、約4割を占めている。

 年代別では、入院患者のうち19歳以下が8割。21日までに亡くなった3人は、いずれも基礎疾患がある50~80代。

 新型インフルの流行警報が19日に出た沖縄県。県立中部病院内科・感染症科の遠藤和郎医師は「軽症の方が救急病院や総合病院に集中すれば、病院機能がまひしてしまう。まずは、近くの開業医を訪ねて欲しい」と呼びかける。

(朝日新聞、2009年8月21日)

****** 朝日新聞、2009年8月21日

ワクチン確保、国による一括購入も検討 

新型インフルエンザ

 新型の豚インフルエンザワクチンの確保について、厚生労働省は21日、国による一括購入も視野に検討していることを、民主党の新型インフルエンザ対策本部の会合で明らかにした。世界的なワクチン不足が予想される中、社会的な混乱を防ぐため、政府は専門家らから意見を聴き、9月にも接種の優先順位を示すことになっている。

 同省の担当者は、「国の一定の管理下で供給先をコントロールする以上、国で確保することも一つの方法として検討している」としている。通常の予防接種は、企業から医療機関が買う形で流通しており、国による確保は異例のことだ。

(朝日新聞、2009年8月21日)

****** 朝日新聞、2009年8月21日

メタボも死亡リスク高まる恐れ 仏研究所

新型インフルエンザ

 新型インフルエンザで死亡した27カ国の574人を分析した結果、妊娠とメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)は死亡するリスクを高める恐れが確認された。仏公衆衛生研究所のチームが20日付の欧州科学誌ユーロサーベイランス電子版に発表した。

 世界保健機関(WHO)や各国保健省などが公式発表した、新型インフルによる死者は7月16日段階で684人。そのうち患者情報がある574人を分析した。

 もとの健康状態がわかる死者241人の9割で持病があった。持病のある人の比率を年齢別にみると、0~9歳は7割、20~29歳は8割にとどまった。

 持病でもっとも多いのが、肥満や糖尿病を含めたメタボ(3割弱)だった。60歳以上の持病では心臓や呼吸器疾患が多かった。季節性インフルや過去のパンデミック(世界的大流行)の経験では、メタボはリスクとはされていなかった。

 研究チームは、「メタボに多い肥満が治療効果を低めるのか、それとも糖尿病が病状を悪化させるのか、動物実験でみられるように肥満が免疫機能を落とすのか、まだ不明だ」としている。

 妊婦は16人。死亡した20~39歳の女性の3割を占め、季節性インフル同様、妊婦は重症化する恐れが強いことも確認された。

 死者の平均年齢は37歳で、51%は20~49歳。60歳以上の高齢者の比率は平均12%だが、国別ではカナダ(36%)や豪州(28%)のように高い国もあった。研究チームは「高齢者はひとたび感染すると重症化しやすい」と警告する。(大岩ゆり)

(朝日新聞、2009年8月21日)

****** 毎日新聞、2009年8月21日

新型インフル:流行期入り 

厚労省「経験ない状況に直面」

 厚生労働省は21日、新型インフルエンザが全国的な流行期に入ったと発表した。今月10~16日に全国約4600の定点医療機関から報告があった患者数は7750人に上り、1施設当たり、流行水準の「1人」を超える1.69人に達した。インフルエンザの夏場の流行は、国が82年に調査を始めて以来初めて。厚労省は「経験のない状況に直面している」として、新学期を前に感染拡大を防ぐ対策の徹底を呼び掛けた。

 新型インフルエンザ患者は7月後半から増え始め、定点(1施設当たり)の報告は7月20~26日が0.28、同27日~8月2日が0.56、同3~9日が0.99だった。10~16日に全国で受診した推計患者数は、前週より5万人多い11万人で、大半が新型の感染者とみられる。夏場の流行について、厚労省は「免疫がないため感染が広がりやすいが、理由は分からない」としている。

 地域別では、沖縄県が29.60と突出して高く、奈良、滋賀、福島、東京、大阪、茨城、高知の7都府県で2を超えた。保健所単位では北海道、富山、熊本を除く44都府県で1を超える地域がある。

 季節性インフルエンザの場合、定点報告数が1を超えると感染は拡大の一途をたどり、流行開始から6週間前後でピークを迎える。ここ10年のピークは最大が05年の50.07、最少が01年の10.59。感染力や気象条件が異なるため、厚労省は「新型のピークがいつ、どの程度になるかは予測がつかない」と話す。

 新型インフルエンザは、大半の人が感染から数日で回復するが、妊婦や乳幼児、ぜんそくや糖尿病など基礎疾患がある人は重症化しやすい。海外では未成年を中心に、健康な人が肺炎で死亡するケースも報告されている。

 厚労省は、他人に感染を広げないことが重要だとして、急な発熱やせきの症状がある場合、いきなり医療機関に行くのは控え、かかりつけ医や保健所の発熱相談センターにまず電話するよう求めている。【清水健二、江口一】

(毎日新聞、2009年8月21日)

****** 毎日新聞、2009年8月21日

新型インフル:国がワクチンを一括買い上げへ

 厚生労働省は21日、ワクチンメーカーから新型インフルエンザワクチンを一括購入する方針を固めた。

 国は現在、新型のワクチンは、妊婦など重症化の恐れが高い人への優先接種を検討している。年内に確保できるのは最大1700万人分で不足の恐れがある。このため、リスクの高い人に確実に接種するには国による管理が必要と判断した。一括購入の財源や、接種時に国民が負担するかどうかは今後詰める。

 毎年流行する季節性インフルエンザのワクチンは、医療機関が購入している。【江口一】

(毎日新聞、2009年8月21日)

****** 毎日新聞、2009年8月21日

新型インフルエンザ:ワクチン、妊婦・乳幼児ら優先 医療従事者も--厚労省

 新型インフルエンザのワクチン接種を巡り、厚生労働省は20日、専門家らとの意見交換会を開き、妊婦や乳幼児、基礎疾患(ぜんそく、糖尿病、腎機能障害など)のある患者など重症化しやすい人に優先接種することで大筋合意した。患者を診る医療従事者も接種対象とする。学会などからも意見を聞いたうえで、政府が9月中に対象と優先順位を決め、10月下旬にも接種が始まる。

 ワクチンの接種対象について、政府は08年9月、警察や消防など社会機能の維持などに携わる97業種の従事者を5段階に分ける案を示していた。しかし、当時想定していたのは高病原性の鳥インフルエンザ由来だったため、現状に合った方針を改めて考えることになった。

 臨床の医師や患者代表らが参加した意見交換会では、ワクチン接種の第一の目的を、重症化や死亡の防止とすることで一致。そのため、重症化するリスクが高い層と、感染者と接触する医療従事者が、優先的な接種対象に挙がった。重症化しやすい基礎疾患の範囲は、27日に学会などが加わって議論する。

 一方、見解が割れたのが、現在入院患者の約6割を占める未成年者(乳幼児を除く)の扱い。「感染拡大防止が目的ではないので、感染しても数日で回復する人には必要ない」との意見の一方で、「未成年者の入院が相次げば医療機関がパンクする」との懸念も出た。また、ワクチン接種の法令上の位置付けについて、厚労省の上田博三健康局長は、行政が勧奨しない任意接種が適当だとする考えを示した。

 厚労省によると、新型インフルエンザのワクチンは7月中旬から国内生産が始まり、最初のワクチンは10月下旬に完成予定で、年内に最大1700万人分、来年2月までに最大3000万人分を確保できる見通し。不足する場合の輸入も検討している。【清水健二】

(毎日新聞、2009年8月21日)

****** NHKニュース、2009年8月22日

全国的流行入り 警戒呼びかけ

先週医療機関を受診したインフルエンザの患者は、全国で11万人に上るとみられることがわかり、新型インフルエンザが全国的な流行に入りました。厚生労働省は、うがいや手洗いといった感染予防の徹底をあらためて求めるとともに、夏休みを終えた学校で感染が広がるおそれがあるとして警戒を呼びかけています。

厚生労働省によりますと、今月16日までの1週間に医療機関を受診したインフルエンザの患者は、全国で11万人に上ると推計され、そのほとんどは新型インフルエンザとみられるということです。また、定点観測をしている医療機関1か所あたりの平均の患者数は1.69人で、全国的な流行の目安となっている1人を大幅に上回っていることがわかりました。これを受けて厚生労働省感染症情報管理室の中嶋建介室長が21日に記者会見し、「新型インフルエンザが流行に入った」と発表しました。厚生労働省は、うがいや手洗いといった感染予防の徹底をあらめて求めるとともに、症状が出た人は、マスクを着用し、外出を控えるよう呼びかけています。また、夏休みが終わって新学期が始まると感染が急速に拡大するおそれがあるとして、学校に対して、生徒や教職員の体調管理に注意するよう呼びかけるとともに、感染者が出た場合は学級閉鎖や休校などの対策を検討するよう求めています。

(NHKニュース、2009年8月22日)

****** NHKニュース、2009年8月22日

インフルエンザ脳症に注意を

新型インフルエンザに感染した子どもが、インフルエンザ脳症になったという報告が相次いでいることから、厚生労働省は、意識障害などの症状が出た場合にはすぐに小児科を受診するよう注意を呼びかけています。

インフルエンザ脳症は、インフルエンザに感染した患者が突然、高い熱やけいれん、意識障害などを起こすもので、後遺症が問題になっているほか、最悪の場合、死亡することもあります。厚生労働省によりますと、新型インフルエンザの感染の拡大に伴って、これまでに4歳から14歳までの6人の子どもが相次いでインフルエンザ脳症と診断されたということです。このため厚生労働省は、乳幼児などを持つ親に対して、子どもに呼びかけに応えないといった意識の低下や、けいれん、それに意味のわからない言動などがみられた場合にはすぐに小児科を受診するよう呼びかけています。また、強い解熱剤は症状を悪化させるとして使わないよう求めています。インフルエンザ脳症は病状の進行が速いため、厚生労働省は、親や保護者の対応が重要だとして、注意を呼びかけています。

(NHKニュース、2009年8月22日)

****** NHKニュース、2009年8月22日

WHO 治療の指針を勧告 

新型インフルエンザをめぐってWHO・世界保健機関は、慢性の病気を抱える患者や妊娠した女性など、重症化の危険性が高いとされる人たちについては、ウイルスの診断がつく前でも症状が出ていればすぐに治療を始めるよう勧告しました。

WHOは21日付けでタミフルなど抗ウイルス薬の投与について、ガイドラインを公表しました。それによりますと、新型インフルエンザが広く流行している地域で、患者にインフルエンザのような症状が出ていれば、新型に感染した可能性が高いとみるべきだと指摘しています。とりわけ、心臓や肺の疾患、糖尿病、ぜんそくなど慢性の病気を抱える患者や、妊娠している女性など重症化する危険性が高いとされる人たちについては、ウイルスの診断がつく前でも症状が出ていれば、すぐに治療を始める必要があると勧告しています。その一方で、ほとんどの人は感染しても重症化しないで済んでいることから、健康で症状も軽い患者については必ずしも抗ウイルス薬を投与する必要はないとしています。WHOは、その理由として費用がかかることや、薬に対する耐性ウイルスが広がるリスクなどを挙げています。WHOがまとめた最新の集計によりますと、感染による死者は全体で1799人、感染者数は18万人に上っていますが、実際の感染者数はさらに多いものとみられています。

(NHKニュース、2009年8月22日)

****** NHKニュース、2009年8月22日

集団感染 76%は学校などで

新型インフルエンザの集団感染の76%は学校や保育所で起きていることがわかり、厚生労働省は、夏休みが終わると集団感染が急増するおそれがあるとして警戒を呼びかけています。

厚生労働省は、先月24日から今月9日にかけて報告された新型インフルエンザの集団感染1067件について、どのような集団で発生したか分析しました。その結果、最も多かったのは高校の312件で、このほか、中学校が157件、保育所が107件、小学校が97件、大学が92件、短大と専門学校があわせて22件、中高一貫校が14件、それに幼稚園が7件で、学校関係があわせて808件と全体の76%を占めています。この中では、夏休み中のクラブ活動やキャンプなどの行事を通じて感染が広がったという報告が目立っています。また、新型インフルエンザで入院した患者230人のうち、60%以上の146人を5歳から19歳の幼稚園や学校に通う年代が占めています。このため厚生労働省は、夏休みが終わると集団感染が急激に増えるおそれもあるとして、学校側が児童や生徒の体調に十分注意するとともに、感染者が増えた場合は学級閉鎖や休校などの措置をとり、感染の拡大を防ぐよう呼びかけています。

(NHKニュース、2009年8月22日)

****** フジテレビ、2009年8月21日

厚労省、新型インフルエンザの全国的流行が始まったと宣言 全国の推計患者数は11万人

 21日、新型インフルエンザの全国的な流行宣言が出された。スポーツ界でもさらに感染が広がる中、ワクチンが世界中で取り合いになるともみられている。

 20日、新型インフルエンザで主力を欠く日本ハムに、1 - 4で楽天が快勝した。楽天の野村克也監督は20日、「きょうのヒーローは誰? インフルエンザよ」と話した。

 一方、甲子園で、ベンチ入り18人から4人も欠けた14人で3回戦を勝ち抜いた島根県の立正大淞南高校は、さらにキャプテンが感染したとみられ、13人で準々決勝に臨んだが、新潟県の日本文理高校に11 - 3で敗れた。立正大淞南の崎田聖羅投手は「フィールドで戦っているのは9人同士なので、そこは関係なく、自分たちの野球をやり続けました」と語った。太田 充監督は「ここにはいないけれども、心は1つにして、きょうも戦いましたので、本当に申し訳ないという思いとともにですね、『ありがとう』と言いたいです」と語った。

 そんな中、厚生労働省は21日午後、新型インフルエンザの全国的流行が始まったと宣言した。先週1週間で報告された患者数は、全国的な流行開始の目安となる1施設あたり1人を超え、推計患者数は11万人となった。

 さらに21日、長野県では、基礎疾患がない30代の女性が重症となった。

 国内で2009年に生産可能とされるワクチンは、1,300万~1,700万人分。政府は、5,300万人分が必要と見積もる中、足りない分は輸入する意向を示している。しかし、自治医科大学の尾身 茂教授は「輸入した一部は、発展途上国に寄付するとか、貢献するということ」と話した。世界中で取り合いになるとみられるワクチン。WHO(世界保健機関)は18日、ワクチン不足が発生する可能性を警告している。

 厚労省は当初、新型インフルエンザのワクチンを国内で2,500万人分生産できると試算していた。しかし20日までに、国民のおよそ1割に相当する1,300万~1,700万人分と下方修正している。

 一方で、アメリカなどは、国民の30~78%分をすでに発注しているという。

 そんな中、アメリカの研究チームは、ワクチン接種の優先順位について、通学年齢の子どもと、その親の世代にあたる30代の成人を優先的に接種させれば、新型インフルエンザの大流行を抑えることができて、ワクチンの不足も回避できるとの試算結果をまとめている。

(フジテレビ、2009年8月21日)

コメント

新型インフルエンザ: 誰にワクチンを優先的に接種するのか?

2009年08月21日 | 新型インフルエンザ

夏にもかかわらず新型インフルエンザの感染者数が急増しています。これから秋~冬にかけて、新型インフルエンザの大流行が心配されている中で、新型ワクチンワクチンの不足が心配されています。

日本でワクチンが広く出回るのは11~12月になりそうですが、このころ新型インフルは流行の最中だと考えられ、予防には間に合わない可能性があります。

初期段階では限られた量しかワクチンが利用できない可能性があり、誰にワクチンを優先的に接種するかが問題になっています。

新型インフルエンザ: 国内感染 1週間で推計6万人

****** 毎日新聞、2009年8月20日

新型インフル 妊婦や若年層の接種が争点に

ワクチン順位

 国内で新型インフルエンザワクチンの接種を巡る議論が始まった。海外でも重症化のリスクが高い人や医療関係者に優先的に接種する方向で議論が進んでいるが、国内では新型の重症化のリスクが高いとされる妊婦や、若年層への接種が議論の争点になりそうだ。

 世界保健機関(WHO)が7月に出した勧告では、新型のワクチンについて「必要な医療体制を維持するため」として、優先順位の筆頭に医療従事者を挙げた。その上で妊婦や慢性的な持病がある生後6カ月以上の人などを考慮するよう提案した。しかし、国内で安全性に対するデータの蓄積が不十分だとして、国は妊婦に季節性インフルエンザのワクチン接種を勧奨していない。また、若年層については、季節性ではあまりみられない入院例が相次いでいるため、「ワクチンで発症数を抑えなければ、現場の医療機関がパンクする」との懸念が出されている。しかし若年層を接種対象に含めれば必要なワクチンの量が大幅に増えるため、輸入の是非も含めて確保策が議論になる。

 一方、米疾病対策センター(CDC)は「初期段階では限られた量しかワクチンが利用できない可能性がある」として妊婦▽6カ月未満の乳児の同居者▽患者と接する医療従事者▽6カ月~4歳の小児▽5~18歳までの慢性の持病を持つ小児--の優先接種を勧告した。さらに65歳以上の高齢者は新型の感染リスクが若者より低いとして、「若年者への供給が満たされたときに65歳以上に提供すべきだ」と指摘している。

 この他、独や韓国は警察、消防、救急隊員も対象者に挙げた。【江口一】

(毎日新聞、2009年8月20日)

****** 時事通信、2009年8月20日

ワクチン優先順位、来月にも決定

医師や患者団体が議論-厚労省

 厚生労働省は20日、医師や患者団体関係者による「新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会」を開き、ワクチン接種の優先順位について議論を始めた。政府対策本部の専門家諮問委員会などにも意見を求め、来月にも優先順位を決める見通し。接種は10月以降になるとみられている。

 出席者は「死亡者を減らすことが目的」として、呼吸器疾患や糖尿病などの持病がある重症化リスクが高い人を優先すべきとの意見でおおむね一致。感染者の治療に当たる医師や看護師を優先すべきとの声も相次いだ。 

(時事通信、2009年8月20日)

****** J-CASTニュース、2009年8月20日

新型インフルワクチン不足 

大流行の時期に間に合わず?

 これから秋冬にかけて、新型インフルエンザの大流行が心配されている中で、ワクチン不足が心配されている。日本で広く出回るのは11~12月になりそうだが、このころ新型インフルは流行の最中だと考えられ、予防には間に合いそうにない。さらに、ワクチンの数が足りないとなると今度は、誰にワクチンを接種するかも問題になってきた。

ワクチンの数が足りず、接種の優先順位が問題に

 新型インフルエンザの国内感染者が2009年7月に入り、急増した。中高生の集団感染が続々と報告され、3人の死者も確認された。舛添要一厚労相は8月19日の記者会見で、国立感染症センターがまとめた資料をひきあいに、インフルエンザは本格的な流行期に入ったことを話した。

 舛添厚労相はさらに、インフルエンザ対策として、症状の重症化を防ぐ効果が期待されるワクチンを、「5300万人分を用意したい」とした。しかし、国内で年内に製造できるのは1400万~1700万本。輸入によって2000万本を確保することも打ち出しているが、それでも「5300万人分」には届かない。

 もっとも、ワクチンに関しては当初、2500万本が生産可能と試算していたが、ウィルスの増殖能力が予想よりも低かった。そのため、7月3日の記者会見で、年内生産量を1400万~1700万本に下方修正した経緯がある。

 ワクチンの数が現実的に足りないとなると今度は、誰にワクチンを接種するかも問題となる。厚労省では8月20日、意見交換会を開き、ワクチン接種の優先順位について検討した。意見交換会に出席した専門家らの間では、医療従事者や持病のある人、妊婦、幼児への優先を求める声が多かったという。

 これに対して、新型インフルエンザに詳しい、けいゆう病院(神奈川県横浜市)の菅谷憲夫小児科部長は、「(ワクチンは)世界的にいっても十分な数は間に合わないだろう」と指摘する。メーカーの生産能力の上限もあるが、安全性や有効性において万能というわけではない。頼りすぎるのもよくないだろう、とする。輸入するにしても、世界中で必要としているため、日本だけが買うわけにもいかない事情もある。

 くわえて、ワクチンが増産され、日本で広く出回るのは11~12月になりそうだ、とする。その頃には、新型インフルエンザは流行の最中だと考えられ、予防には少し遅い。

「タミフルは十分な量がある。不足の心配はない」

 しかし、インフルエンザの際に処方される、抗ウィルス薬タミフルには十分な備蓄がある。厚労省の結核感染症課によると、国と自治体のタミフルなどの備蓄量、流通量をあわせると、8月現在では4900万人分がある。国では、国民の45%(5700~5800万人分)を目標に準備を進めており、メーカー側にもさらなる協力依頼を要請しているという。

 そのため、菅谷部長も、「タミフルには十分な量が備蓄されている。不足する心配はない」と話す。秋から冬にかけて流行すると見られている新型インフルエンザでは、日本の場合、2500万人~3800万人と見積もられており、備蓄分を勘案すれば十分というわけだ。

 インフルエンザの感染が疑われた場合、「きちんと治療を受けましょう」と菅谷部長は呼びかける。一部では「弱毒型」とも伝えられているが、これは症状が軽いというわけではないと指摘する。そのため、決して油断はできない。菅谷部長は、健康な成人でも症状が重くなるケースも報告されているため、感染の際は、きちんとした治療を受けることが重要だと繰り返した。

(J-CASTニュース、2009年8月20日)

****** 毎日新聞、2009年8月20日

新型インフルエンザ:「本格流行」 

重症化防止が焦点 

持病持ち、妊婦は要注意

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厚労省喚起

 国内の新型インフルエンザ発生が広がり、糖尿病などの持病を持つ死亡例や重症例の報告が相次いだ。一方で、入院例では健康な人や未成年などの患者が大半を占めることが改めて確認され、厚生労働省は「誰もが重症化のリスクを持つ」と警戒する。

 「重症化防止に焦点を置いて対策を進めないといけない」。19日夕に会見した厚生労働省の中嶋建介・感染症情報管理室長は強調した。新型インフルエンザ患者が増え、死亡例や重症例の報告が相次いでいるからだ。

 国内で19日までに報告された死亡例は、腎不全で透析をしていたり、血液のがんを患うなど持病を持つ患者だった。世界保健機関も糖尿病、心臓疾患などの持病を持つ人や、妊婦を重症化のリスクが高いと指摘している。感染を防ぐ免疫力が落ちているからだ。

 国内に予備群を含め、2210万人いると推測されている糖尿病患者の場合、血糖値が高くなるにつれ、免疫をつかさどる血液中の白血球の増殖能力が落ちる。堀田饒(にぎし)・中部労災病院長は「糖尿病患者は血糖値が高いほど、感染症に対する抵抗力が落ちる。予備群も高齢だったり、腎臓病を併発すると感染症にかかりやすく重症化しやすい」と注意を呼びかける。

 また、国内で透析を受けている患者は約26万人。透析を受けているような腎不全の患者は毒素が排出されにくいので、免疫機能が影響を受け、体内でウイルスや細菌に対抗する「抗体」を作り出す能力が落ちる。菱田明・浜松医科大教授(腎臓内科)は「インフルエンザが流行していても、患者は透析をやめられない。手洗いなどの感染予防を徹底し、発症の疑いがあれば早期治療を受ける必要がある」と指摘する。

 妊婦は、胎児に対して拒絶反応を起こさないよう免疫力が低下するのでリスクが高くなる。日本産科婦人科学会は、妊娠中や授乳中の女性への呼びかけで、38度以上の発熱などインフルエンザのような症状があれば、かかりつけ産婦人科医を直接訪れるのではなく、地域の一般病院にあらかじめ電話をしてなるべく早期に受診するよう訴えている。

症状ある人、感染防止を--厚労相

 国内で新型インフルエンザのために入院した患者の8割近くが未成年だったり、6割は持病を持っていない健康な人だった。厚労省は「健康な若者の重症化は海外でも報告されており、国内でも今後も起こりうる」として、医療機関に注意を促す方針だ。

 舛添要一厚生労働相は19日、感染者が急増すると医療機関が重症患者に対応できなくなる恐れもあるとして、患者数のピーク値を抑えることが重要だと指摘。症状が出た人に対し、マスク着用、外出の自粛、人にせきやくしゃみをかけない「せきエチケットの徹底」を呼びかけた。【江口一、永山悦子、河内敏康】

マスクやうがい薬、対応急ぐ関連業界

 新型インフルエンザの「本格的流行」を受け、対策用品を製造、販売する関連業界も対応を急いでいる。

 全国でドラッグチェーンを展開するコクミン(大阪市)では、新型インフルエンザによる日本初の死亡が確認された15日以降、マスクの販売が急増した。

 「下火だった6~7月から一転。国内感染が拡大した5月ほど爆発的ではないが、ほとんど売れない例年の8月と比べると数倍の売れ行き」という。全国約900店舗を展開するマツモトキヨシも、一部店舗でマスクやハンドソープ、うがい薬などを集めた「ウイルス対策コーナー」を開設した。5月はマスクなど関連商品の品切れが相次いだが「今回は流行が予想される秋に備え、大量仕入れをしており、品切れの心配はない」(コクミン)としている。

 一方、製薬会社やマスクメーカーは、品薄に陥った5月以降、フル生産を続けている。立体型マスクを販売するユニ・チャームは、土日や盆休み返上で工場を24時間操業、前年比3倍の生産態勢を取る。大正製薬は6月、マスクと手指消毒用ハンドジェルが品薄になったため、製造委託先に増産を要請。8月上旬までに今冬分の在庫を確保した。だが「予測できない需要が発生した場合、品不足になる恐れもある」(大正製薬)ため、増産態勢は解除しないという。

 治療薬「タミフル」をスイスのロシュグループから輸入する中外製薬は、政府備蓄用として1~6月に500万人分を調達。さらに7~9月に830万人分を追加供給する。

 都道府県にも11年度末までに1330万人分を順次届けるが、前倒し要求が出ており「輸入から出荷までの期日短縮に努力する」としている。【坂井隆之、窪田淳、和田憲二】

都市圏で目立つ集団感染

 厚生労働省が新型インフルエンザの集団感染数を都道府県から報告を受け始めた7月20日から今月16日までの約1カ月で、全国の集団感染の累計は1734件に上っている。都道府県別では、沖縄が217件と突出して多く、都市圏の大阪184件、東京160件が目立っている。

 同省は、学校や社会福祉施設などで7日以内に2人以上の疑い例が出た場合などに集団感染として報告するよう求めている。沖縄で多い理由ははっきりしないが、同省は「熱帯に近いところでは、季節を問わず流行する傾向がある」と説明する。人口密集地に多い傾向はあるが、当初患者数が多く報告された兵庫が比較的に少ないなど、地域によってばらつきがある。【清水健二】

(毎日新聞、2009年8月20日)

****** NHKニュース、2009年8月21日

厚労省 医療態勢を全国調査へ

新型インフルエンザが本格的な流行に入ったとみられることから、厚生労働省は、全国の都道府県を対象に、人工呼吸器の配備状況など、重症患者の増加に備えた医療態勢を調査することになりました。

厚生労働省によりますと、今月9日までの1週間に医療機関を受診した新型インフルエンザの患者は全国で6万人に上ると推計され、本格的な流行に入ったとみられるということです。先週末から今週にかけては、沖縄県と神戸市、それに名古屋市で、新型インフルエンザの感染者が死亡したほか、重症になる患者も相次いでいます。このため厚生労働省は、感染がさらに広がれば、今後、重症の患者が増えるおそれもあるとして、全国の都道府県を対象に、医療態勢の実態調査を行うことになりました。調査では、各都道府県にある人工呼吸器の台数や治療にあたる医師の態勢、それに重症患者を受け入れる集中治療室のベッド数などについて調べる方針です。また万一、患者が急増して人工呼吸器や病院のベッドが足りなくなった場合の対応方法についても確認したいとしています。厚生労働省は、来週にも調査を始めて現状を把握したうえで、医療態勢の強化を進めることにしています。

(NHKニュース、2009年8月21日)

****** NHKニュース、2009年8月21日

治療薬の供給整備や開発急ぐ

新型インフルエンザが本格的な流行に入ったとみられるなか、製薬会社は、治療薬の供給体制を整えるとともに、国産の新しい治療薬の来年度中の販売を目指して開発を急ぐ方針です。

今回の新型インフルエンザには「タミフル」と「リレンザ」という海外メーカーが開発した2種類の治療薬が効くとされ、政府や都道府県が備蓄を進めています。このうち、「タミフル」の日本での販売を行っている「中外製薬」は、政府の備蓄用として、すでに1850万人分の供給を済ませていますが、さらに、来月までに830万人分を追加で供給する計画です。また、「リレンザ」を製造販売するイギリスの製薬会社「グラクソ・スミスクライン」の日本法人は、ことしの医療機関向けの供給量を去年の実績の340万人分よりも大幅に増やす方針です。一方、インフルエンザの治療薬は2種類に限られていることから、国産の新しい治療薬の開発が急がれており、「第一三共」と「塩野義製薬」はすでに最終段階の臨床試験を終え、国の承認を得たあと、来年度中の日本での販売を目指す方針です。このように製薬各社は新型インフルエンザが大流行する事態に備えて、治療薬の供給体制の整備や開発を急ぐことにしています。

(NHKニュース、2009年8月21日)

******NHKニュース、2009年8月20日

マスクの売れ行き 再び急増

新型インフルエンザが本格的な流行に入ったとみられるなか、スーパーやドラッグストアなどでは感染を防ごうとマスクなどを買い求める人が再び急増しています。

千葉県・船橋市にある大手スーパーでは先週後半からマスクやうがい薬などを買い求める人が急増していることから、今週に入り、専用の売り場を設けました。例年、夏場はマスクの販売が伸びませんが、ここにきて去年の5倍から6倍の売れ行きになっているということです。マスクを買いに来た主婦は「新型インフルエンザのことはしばらく忘れていたが、最近、問題になっているのでマスクを買い足そうと思います。小さな子どもがいるのでとても心配です」と話していました。ことし5月に日本でも新型インフルエンザの感染が確認された際には、全国的にスーパーやドラッグストアなどの店頭でマスクが品切れとなるケースが相次ぎました。イトーヨーカ堂船橋店の三浦健太郎マネジャーは「先週からマスクを店頭に並べると客が次々と買っていくのですぐになくなってしまう。仕入れが非常に難しいのでサイズがそろいにくく、今後子ども用などは足りなくなることも考えられる」と話していました。一方、マスクメーカー各社はことし5月に、新型インフルエンザが流行した際に店頭で商品がなくなる事態が起きたことから、生産設備などを増強し、十分な供給体制を整えたとしています。

(NHKニュース、2009年8月20日)

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新型インフルエンザ: 国内感染 1週間で推計6万人

2009年08月20日 | 新型インフルエンザ

妊娠している婦人もしくは授乳中の婦人に対しての新型インフルエンザ(H1N1)感染に対する対応Q&A (一般の方対象) 、日本産科婦人科学会

新型インフルエンザ(H1N1)感染妊婦に関する最新情報、日本産科婦人科学会

****** 朝日新聞、2009年8月19日

厚労相、新型インフル「流行本格化」 

対策実践呼びかけ

Tky200908190332_3  新型インフルエンザの感染者が全国的に急増している情勢を受け、舛添厚生労働相は19日午前、記者会見し、「本格的な流行が始まったと考えていい」と話した。そのうえで、このまま感染が拡大すれば医療機関で重症者対応ができなくなるとして、「感染の拡大防止には一人ひとりが対策を実践することにつきる」と呼びかけた。同日には名古屋市の80代女性が新型インフルエンザで亡くなり、国内の死者は3人となった。

 舛添氏は、流行の本格化は秋以降としていた従来の予想に反し、真夏でも感染が拡大していることについて、「私も予想できなかったことだ」と説明。「夏休み中なのに増えている。9月になって学校が再開されると感染が急激に拡大する危険性があると思う」と述べ、医療機関の負担増大に懸念を表明した。

 また、「病原性が低いということで、皆さんも忘れてしまっている」と「国民全体の慢心」が感染拡大の原因にもなっていると指摘した。舛添氏は「新しいウイルスへの警戒を解いてはいけない。感染は自分が止める、という気持ちが大事だ」と話し、手洗いやうがいの励行などを呼びかけた。

 新型インフルでは、慢性呼吸器疾患や慢性心疾患などの基礎疾患がある患者や、妊婦、乳幼児が感染すると重症化する危険性が高いとされる。舛添氏はこうした人たちに対して、「早期の受診、治療を心がけて欲しい」と語った。厚労省は今後、重症化した事例の概要を説明した症例集を作成し、各地の医療機関に配布する予定。

 国立感染症研究所によると、全国約5千カ所の医療機関からの報告では、最新の1週間(8月3~9日)に受診した1医療機関あたりの患者数は0.99人で、流行開始の目安の「1人」に限りなく近づいた。地域別では沖縄が20.36と突出しているほか、奈良1.85、大阪1.80などとなっている。この1週間に医療機関を受診した全国の患者数は6万人と推計されている。 【野瀬輝彦】

(朝日新聞、2009年8月19日)

****** 読売新聞、2009年8月19日

新型インフル「本格流行」へ

厚労相、感染拡大で緊急表明

 舛添厚生労働相は19日、感染の拡大が続き、死者が相次ぐ新型インフルエンザについて、緊急の記者会見を開き、「本格的な流行が既に始まったと考えていい」と語り、秋以降に懸念される大流行に備えた感染予防の徹底を呼びかけた。

 国立感染症研究所のまとめによると、3~9日に全国約5000医療機関から報告されたインフルエンザ患者数は1医療機関あたり平均0・99人と、流行入りの指標となる「1医療機関あたり1人」に迫る勢い。ほとんどが新型インフルエンザ患者とみられ、学校の夏休みが明けると、感染者が急増する可能性が高い。

 舛添厚労相は「ここまで拡大することは予想していなかった」と述べたうえで、今春の発生時に比べて国民の関心が低下したとの懸念を表明。「見えないリスク、新しいウイルスへの警戒を解いてはいけない」と訴えた。国民に対し、症状が出た場合のマスク着用など、感染拡大防止への協力も求めた。

 重症患者や死亡者が増えると、医療機関の混乱も予想されるため、重症例の症例集を作り医療機関に配布することを明らかにした。感染予防に効果が期待されるワクチンについては、5300万人分を準備する意向を改めて強調。優先接種の対象者を早急に検討する方針を示した。

(読売新聞、2009年8月19日)

****** 読売新聞、2009年8月19日

秋以降大流行の兆し、患者推計6万人

 新型インフルエンザの感染が流行期のように拡大し秋以降に懸念される大流行の兆しがすでに見られることが18日、国立感染症研究所の調査で分かった。

 9日までの1週間で、全国約5000の医療機関の平均インフルエンザ患者数は、流行指標となる「1人」に相当する0・99人。全国推計6万人とされる患者のほとんどが新型の感染者とみられる。

 感染研によると、夏場のインフルエンザの流行は、調査を開始した1987年以来、例がない。5000医療機関を3~9日に受診した患者数は4630人で、前週(7月27日~8月2日)の2655人(1医療機関あたり0・56人)の約1・7倍に上った。

 都道府県別にみると、流行入りしたのは6都府県で、15日に死者が出た沖縄が突出しており、1医療機関当たり20・36人。次いで奈良(1・85人)、大阪(1・80人)、東京(1・68人)、長崎(1・50人)、長野(1・44人)の順。

(読売新聞、2009年8月19日)

****** 毎日新聞、2009年8月19日

新型インフルエンザ:「本格流行」 

厚労相、感染防止呼び掛け

 新型インフルエンザの国内感染拡大を受けて、舛添要一厚生労働相は19日、緊急に記者会見し、「国民の一人一人が、感染は自分が止めるという気持ちをもって、今後の流行期を乗り越えていけるよう協力をお願いしたい」と、感染防止対策の徹底を訴えた。

 国内のインフルエンザ患者数は7月後半から増加傾向に転じ、今月3~9日の定点医療機関からの報告が1施設当たり0・99と、流行の水準である「1」に近付いている。

 舛添厚労相は「夏場にここまで広がるのは予想できなかった」と述べ、「第1波の本格的な流行が既に始まっていると考えてよく、学校が再開されると、さらに感染が急激に拡大する恐れがある」との認識を示した。

 医療機関の負担が増して重症患者への対応に支障が出ないように、感染の拡大を遅らせ、急激な患者数増加を抑制する必要性を強調。特にせきなどの症状がある場合のマスク着用や外出自粛など、他人に感染させない対策を徹底するよう求めた。【清水健二】

(毎日新聞、2009年8月19日)

****** NHKニュース、2009年8月19日

国内感染 1週間で推計6万人

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新型インフルエンザは、国内の患者数が8月9日までの1週間だけで6万人に達したと推計され、通常の季節性のインフルエンザの指標では、ほぼ全国的な流行に入ったことになります。

全国のおよそ4800の医療機関から国立感染症研究所に報告されるインフルエンザの患者の数は、今月9日までの1週間に4630人と、前の週と比べておよそ2000人増えました。国立感染症研究所によりますと、報告されている患者のほとんどが新型インフルエンザとみられ、これをもとに全国の医療機関を受診した新型インフルエンザの患者を推計すると、この1週間だけで6万人になるということです。この調査では、1つの医療機関あたりの平均の患者数が1人を超えると、全国的な流行に入ったとされますが、今回の報告では0.99人とほぼ全国的な流行に達していることがわかりました。医療機関あたりの平均の患者数を都道府県別にみてみますと、先週、国内で初めて死者が出た沖縄県が最も多く20.36人、次いで奈良県の1.85人、大阪府の1.80人、東京都の1.68人、長崎県の1.50人、長野県の1.44人、三重県の0.99人などとなっています。

(NHKニュース、2009年8月19日)

****** 産経新聞、2009年8月19日

新型インフル 夏なのに患者急増、

傾向と対策は?

 全国で患者が急増している新型インフルエンザ。通常のインフルエンザは1~2月に流行のピークを迎え、夏には患者が少なくなる。ところが、新型についてはほとんどの人が免疫を持っていない上、感染力が強く、真夏に入ってからも感染が止まらない。夏休みが終わり、子供たちが学校の集団生活に戻る9月以降に感染が急激に拡大する恐れがあり、厚労省は警戒を強めている。新型インフルの「傾向と対策」は…。

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 【Q】最近になって死者が相次いでいるのはなぜ?

 【A】国立感染症研究所の推計では、9日までの1週間で約6万人がインフルエンザに感染している。今後、新型の感染地域が広がれば、それに伴って、感染者が増え、死亡する人も増加するとみられる。ただ、季節性インフルでも毎年約1千万人が感染し、約1万人が死亡するといわれており、致死率は0・1%。ウイルスそのものの毒性が強まったわけではないとの見方が主流で、必要以上に怖がる必要はない。

 【Q】感染した場合、どのような人が重症化するリスクが高いの?

 【A】糖尿病、ぜんそく、人工透析を受けている患者など持病のある人や、妊婦、乳幼児については新型に感染すると重症化の恐れがあると医療関係者は警戒していた。新型で亡くなった3人も心臓や肺、腎臓に持病があった。持病があると重症化しやすいのは、病気を防ぐ免疫力が落ちるためだ。6歳以下の乳幼児はインフルエンザ脳症の合併症を発症することがあるため注意が必要だ。

 【Q】感染を予防するワクチンの供給体制はどうなっているの?

 【A】国内のワクチンメーカー4社が現在、製造にあたっているが、市場投入は10月以降になる見通し。9月に大規模な流行となった場合、ワクチンの供給が間に合わない。厚労省は製造のための時間を稼ぐため、感染拡大防止策を徹底し、少しでも流行の時期を遅らせようとしている。

 厚労省は5300万人分のワクチンが必要との見解を示しているが、4社が12月末までに製造できるのは1400万~1700万人分。来年2月まで生産し続けた場合でも3千万人分が限界とされている。このため、不足した分は海外からの輸入も検討している。

 【Q】新型の流行は今後どうなるの?

 【A】9月に学校が再開されてから、流行のピークを迎えることが考えられる。通常、インフルエンザウイルスは湿度や高温に弱いとされるが、新型は夏にも感染が拡大しており、流行規模がどの程度にまで達するのかは不明だ。

 【Q】新型の予防策は?

 【A】手洗い、うがいの徹底だ。ウイルス感染の可能性があるドアノブやつり革などを触った後も手洗いをする習慣を家族ぐるみで身につけることが重要。部屋が乾燥している場合は湿度を50~60%ぐらいに加湿すると感染しにくくなる。

 少しでも咳(せき)が出る人はマスクを着用し、咳エチケットを心がけたい。マスクを着けていないときに咳が出はじめたら、人のいない方を向き、タオルやティッシュなどで口を覆って咳をする。間に合わず、手で口を覆って咳をした場合は、すぐに手を洗う。

 【Q】院内感染を防ぐ対策は? 

 【A】厚労省は医療機関に対し、熱のある患者と一般の患者の入り口を分けたり、待合室を分けるなどの措置を呼びかけている。医療従事者はマスクや手袋をして患者の治療にあたることになっている。通院患者や見舞客もマスクをするなど注意が必要だ。

(産経新聞、2009年8月19日)

コメント

周産期医療、整備指針の改正案 厚労省、都道府県に示す

2009年08月16日 | 地域周産期医療

現行の周産期医療の患者搬送システムは、主に胎児疾患や新生児疾患への対応を主軸にして構築されています。母体の偶発合併症の場合は、それぞれの状況に応じて、救命救急医、脳神経外科医、循環器内科医、心臓血管外科医、整形外科医などの一般の救急医療にかかわる専門医達と周産期医療にかかわる専門医達とが一緒に対応しなければならないので、周産期医療の患者搬送システムと救急医療の患者搬送システムの連携も必要となります。

都会の場合、搬送先として多くの選択肢がある中で、受け入れ可能な施設をスムーズに探し出す仕組みを整備する必要があります。

地方の場合は事情が大きく異なります。例えば長野県の場合、胎児疾患、新生児疾患を受け入れる3次施設は県立こども病院、母体合併疾患を受け入れる3次施設は信州大付属病院とそれぞれ1施設つづです。県内各地の周産期医療の2次施設も、各医療圏ごとにほぼ1施設づつしかありません。他に選択肢が全くないため緊急時の搬送先病院は自動的に1施設に絞られます。救急患者の受け入れが断られることは最初から全く想定してないため、搬送先の病院を探し出す作業で苦労する事態はほとんど起こりません。

周産期医療の現場では、個人プレーでできることには大きな限界があり、緊急時には大きな専門医チームで対応する必要があります。従って、地域の中核病院には多くの専門医を24時間体制で配置する必要があります。しかし、地方の公的病院でいくら医師確保の努力をしても、必要な常勤医師数をすべて自前の医師確保策だけでまかない続けるのは非常に困難です。医師確保が一時的にうまくいっているように見える病院でも、突然の離職者が2~3人出現すれば、一気に奈落の底に突き落とされる事態となってしまいます。

専門医にも多くの種類があり、周産期医療に直接かかわる専門医制度としては、産婦人科専門医、周産期(母体・胎児)専門医、小児科専門医、周産期(新生児)専門医、麻酔科認定医、麻酔科専門医、麻酔科指導医などがあります。1人の専門医の養成には非常に長い時間を要します。例えば、産婦人科専門医を取得するには医学部卒業後2年間の初期研修、3年間の後期研修を修了して産婦人科専門医試験に合格する必要があります。周産期(母体・胎児)専門医の取得には、産婦人科専門医資格の取得後にさらに周産期(母体・胎児)基幹研修施設で3年間研修して、周産期(母体・胎児)専門医試験に合格する必要があります。養成される各専門医の数には限りがあり、施設の維持に必要な専門医数が不足して困り果てても、専門医はすぐにはどこからも湧いて出てきません。各施設で必要な専門医数の充足を成り行きに任せていたんでは、地域の周産期医療提供体制がいつ破綻するのか全くわかりません。

『将来的に必要とされる各科の専門医をいかにして養成していくのか?』『養成された各科の専門医をいかにバランスよく各地域の中核施設に配置していくのか?』などの国家レベルの課題については、各施設や各自治体の個別の自助努力だけでは解決できません。現状では、各自治体が地域エゴ丸出しで少ない医師を奪い合っていて、地域に必要とされる各科の専門医をバランスよく集められるかどうかは全くの運次第という状況です。国の取り組みとして、長期的展望に基づいて各科の専門医の養成数を決定し、養成された専門医を適正に配置するシステムを導入する必要があると考えます。

****** 毎日新聞、2009年8月14日

総合周産期センター:「母体救命」要件に 整備指針改正

 東京都内で08年に起きた妊婦死亡問題を受け、厚生労働省は周産期母子医療センターの整備指針の改正案をまとめた。96年の策定以来初の全面改正で、高度医療を担う総合センターの指定要件に、脳出血など産科以外の母体の救急疾患に対応する機能を追加する。一方、総合センターに準じる地域センターは要件を緩和し、参加医療機関数の増加を図る。受け入れ実績などの公表を求める規定も盛り込んでおり、14日に都道府県に案を示し、9月にも運用を開始する方針。 【清水健二】

 周産期母子医療センターは全国に300施設以上あり、リスクの高い分娩などを受け持っている。しかし脳疾患や心疾患など産科以外の急病になった母体の救命に十分対応できないと指摘され、厚労省が専門家の意見などを基に、整備指針の見直しを検討していた。

 改正案では総合センターの役割に、危険の大きい妊娠に対する医療や高度な新生児医療と並んで「産科合併症以外の母体救急疾患への対応」を追加。救命救急センターの併設か、脳神経外科や心臓血管外科などを持つ医療機関との連携を義務付ける。確保に努める職員として、麻酔科医や臨床心理士、長期入院児の在宅療養などへの移行を円滑に進める「支援コーディネーター」を新たに挙げた。

 一方、地域センターは、なるべく多くの医療機関の参加を促すために指定要件を緩和する。産科を備えていなくても、NICU(新生児集中治療室)を持つ小児科病院なら指定可能とし、ベッド数に応じて下限が決まっていた看護師数も「必要な適当数」と改めた。

 3月に厚労省の有識者懇談会がまとめた報告書では、総合、地域の2分類を3~4分類にすることも提案されたが、指定要件を改めることで見送った。有識者懇が提案した「NICUの1.5倍増」は、そのまま整備目標に掲げられた。

 また、各都道府県に対し、10年度までに必要な周産期センター数や診療機能、医療従事者数などを明記した整備計画の策定を要求。各センターの対応可能な母体・胎児の条件や、受け入れ実績、死亡率などを住民に公表するよう求めた。

(以下略)

(毎日新聞、2009年8月14日)

コメント

産婦人科医療の崩壊をくい止めるために、国が早急に実施すべきことは何か?

2009年08月14日 | 地域周産期医療

産婦人科医は、24時間365日、いつ病院から呼び出されるか全く予測ができません。

常勤産婦人科医が1人になってしまった場合には、たとえ分娩予約件数を月10件程度に絞り込んだとしても、その絞り込んだ10件の分娩がいつになるのか全く予測できませんから、結局その産婦人科医は、24時間365日、病院の近辺から離れられず、いつ病院から呼び出されても対応できるように準備を整えておく必要があります。お酒が好きな先生でも、常勤医が1人になってしまったら禁酒せざるを得ません。家族旅行もできなくなってしまいますし、学会やセミナーなどにも全く出席できなくなってしまいます。そんな状況では、とても長続きする筈がありませんから、ベテラン産婦人科医も不本意ながら次々に戦線を離脱せざるを得ませんし、次世代の若い産婦人科医も育ちません。

たとえ分娩予約件数が月100件程度であっても、産婦人科医7~8人、助産師30~40人のスタッフが交代で勤務すれば、スタッフ一人一人の負担はそれほど過重にならなくて済みます。次世代の産婦人科医や助産師を養成する余裕も生まれます。

従って、多数の分娩や手術を取り扱っている中核病院の常勤産婦人科医を増員する必要があります。たとえ産婦人科医の総数が増えたとしても、中核病院の常勤産婦人科医数が増えてくれないことには、状況は決して改善されません。単なる医学部の定員増や病床整備だけではなく、勤務条件の厳しい職場への医師の誘導策などの国の取り組みが不可欠と考えられます。

****** 毎日新聞、奈良、2009年8月13日

公的7病院で産科休診 慢性的な人手不足 「365日、1人では無理」

 昨年2月、桜井市の済生会中和病院に県立医大から一通の通知が届いた。「産婦人科医を県立三室病院(三郷町)に異動させる。後任人事はない」という内容だった。当時、同病院の常勤産婦人科医は2人。「24時間365日呼び出される産科は、とても1人では務まらない。休診せざるを得なかった」。杉本勉・総務課長(当時)は振り返る。

 県立医大は、県内の病院に医師を派遣している。異動は、三室病院の医師を別の病院に異動させたことによる玉突きだった。中和病院は昨年4月から産科を休診し、残った1人で婦人科だけを継続する。再開のめどは立たず、産科の診察室は現在、女性外来用に改造している。

 三室病院も常勤産科医は、異動した医師を含め2人だけだったが、今年3月、もう1人の医師が開業のため退職し、4月から休診に追い込まれた。2病院で取り扱う分べん数は年間約300件。特に中和病院のある中南和地域は、出産に対応できる病院が少なく、影響が大きい。

 1人の医師の異動や退職が休診につながる不安定な状態。05年以降、町立大淀病院や県立五條病院など七つの公的病院で産科の休診が相次いだ。厚生労働省によると、県内の産婦人科医数は02年の99人から06年は87人に減少。人口10万人当たり6・2人で全国平均を下回る。

(以下略) 

(毎日新聞、奈良、2009年8月13日)

コメント

医師不足対策

2009年08月11日 | 地域医療

総選挙の前で医療の問題がいろいろと報道されていますが、現在の日本の医療の最大の問題は、急性期医療体制が現場の人手不足のためにどんどん崩壊している点だと思います。

最新技術を駆使して、夜昼かまわず、必死で頑張ってきた急性期病院の勤務医達が、医療現場の実働医師不足で、「もうこれ以上頑張れない、もはや力尽きた」という極限状態まで追い詰められています。燃え尽きるように医師は疲れ果て、退職が相次いでいます。

特に、産科、外科、麻酔科、救急科などの急性期を扱う分野で実働の病院勤務医が減っています。開業の先生方が診ていた患者さんが急変した時に、時間外でもとにかく送り込んでしまえば、何とか対応してくれていた急性期病院の機能が縮小し続けています。

医師の総数を単純に増やすだけでは、この問題は解決しないと思います。いくら医師の総数が増えても、急性期の患者さんを送り出す側の医師ばかりが増えて、受け入れる側の医師がどんどん減っていくようでは、医療崩壊は今後もますます進行していくことでしょう。

****** 毎日新聞、長野、2009年8月7日

医師不足、広域で分担の動きも

 松本市和田の主婦(26)は、第1子を妊娠して22週目に入った。健診は塩尻市のクリニックで受け、波田町の総合病院で出産を予定する。波田まで妊娠検査に行った時、検査や健診は別の病院で受ける仕組みと、初めて知った。

 松本市、塩尻市などの3市1町5村(松本医療圏)は08年5月、「松本地域出産・子育て安心ネットワーク協議会」を設立。連携する病院やクリニックを受診した妊婦には、カルテと同じ役割を持つ「共通診療ノート」を渡している。分娩(ぶんべん)を扱わない開業医などでも健診を受け易くすることで、分娩可能な特定の病院に集中していた妊婦を分散させ、産科医の負担を軽減する狙いだ。休日は当番医が、夜間は信大病院や相沢病院などで対応する。

 主婦は「しっかり診てもらえるし、カルテが手元にあると安心感が大きい」と評価するが、産科医不足には「何か起きた時に診てもらえないかも」と不安を吐露した。高額な出産費も、若い世代が出産に踏み切れない要因の一つだ。

 連携制度を考案した信州大医学部の金井誠教授は「地域全体が一つの大きな病院というイメージを描いた」。だが産科医の減少による激務と、出産に伴う事故が訴訟に発展するケースが増え、そもそも「医学生は産科に魅力を感じていない」と指摘する。金井教授は「医師が分娩を積極的に扱えるような社会を」と強調、産科医の待遇改善や産科を志望する学生への奨学金などの必要性も訴えた。

(以下略)

(毎日新聞、長野、2009年8月7日)

****** 中日新聞、長野、2009年8月9日

医療 求められる安心

 全国的な医師不足と偏在の流れの中で、特に医師の負担が重い出産を扱う病院は減少傾向にある。県医療政策課によると、2001年に68あった県内の分娩(ぶんべん)医療機関は現在、46まで減少している。

 昭和伊南総合病院(駒ケ根市)は、08年4月から出産を扱わなくなった。同じ上伊那地域で、同病院から10数キロ離れた伊那中央病院(伊那市)に産科医を集約するため、2人いた産科医が引き揚げられたためだ。

 駒ケ根市など上伊那南部4市町村の多くの妊婦は、移動に20分~1時間以上余分にかかる伊那市で出産しなければならなくなった。「できるならば昭和伊南でお産がしたいのに」。駒ケ根市の妊婦(42)は打ち明けた。

(以下略)

(中日新聞、長野、2009年8月9日)

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日立総合病院産科休止 『ドミノ倒し』懸念の声 (東京新聞)

2009年08月06日 | 地域周産期医療

地域周産期母子医療センターの機能を維持していくためには、産婦人科医、小児科医、麻酔科医をそれぞれ最低5~6人づつは確保し、助産師も30人~40人は確保する必要があります。当然、個人的な理由で辞めていく人も毎年何人かは必ずいますから、不足した人員を毎年補充し続ける必要があります。例えば、ある年に麻酔科医の不足を補充できなければ、突然、センター全体の機能を維持することが困難となってしまいます。小児科医や産婦人科医の不足を補充できない場合でも同じことです。要するに、関係するすべての部署の人員が充足されていないと、全体の機能を維持することが困難となります。どこか一つの部署が人手不足に陥れば、たちまち全部署が存続不能の危機に直面します。

妊婦水戸へ集中 周辺の産科医負担増

日立製作所日立総合病院(日製病院)、地域周産期母子医療センターを休止

日立製作所日立総合病院:産科医1人が残留 分娩を継続へ

医師確保険しく 来春産科医0の日製病院

日立総合病院 分娩予約一時中止

****** 東京新聞、茨城、2009年8月6日

日立総合病院産科休止 『ドミノ倒し』懸念の声

 「地元の病院がハイリスクのお産に対応できないのは、いざという時に困る」。小さな子どもを連れて、日立市の日立製作所日立総合病院に来ていた同市の母親(34)がため息をつく。「四つ年上の姉は、二人目の子どもを妊娠することすら迷っているんです」

 危険を伴う出産や新生児医療までを担う県北地域の「地域周産期母子医療センター」に位置付けられていた同病院が今年四月、センターを休止してから四カ月。お産の拠点が失われたことが、地域の女性に妊娠をためらわせるほどの不安を与えている。

 休止のきっかけは昨年五月。日立総合病院には常勤産科医が六人いたが、派遣元の東大医学部が医師不足を理由に、今年三月末で全員の引き揚げを告げてきたことだった。

 結果的に若手の常勤産科医一人が残ることにはなったが、手が足りないため、危険性のある分娩(ぶんべん)から通常分娩まで年千二百十二件(二〇〇七年)を取り扱ってきた県北地域の出産の受け皿は当面、幕を下ろすことになった。

 日立総合病院の周産期センター休止のしわ寄せがきているのが、出産時に危険性を伴う県北の妊婦らの受け入れ先となった水戸市の水戸済生会総合病院や水戸赤十字病院など、県央地域の病院だ。

 水戸済生会総合病院の山田直樹産婦人科部長は「春から扱う妊婦が月平均十人弱は増えた印象だ。先月中ごろからは二十一床ある産科のベッドの満床状態が続いている」と、産科医の激務に一層拍車が掛かったことを明かす。

 日立総合病院や日立市、県は来春、同病院で通常分娩だけでも再開することを目標に、産科医探しに努めている。県の仲介で秋以降、水戸赤十字病院から日立総合病院に日替わりで非常勤産科医が派遣されることになった。週数回の手伝いを申し出る開業医も四、五人見つかった。だが、これに残留した若手常勤医一人を加えても「指導的立場の核となる常勤医がもう一人いないと、通常分娩の再開は厳しい」というのが日立総合病院と県の共通認識だ。

 同病院の竹之内新一副院長は「水戸の病院にまで負担を与えており、このままでは(県内で)産科医のドミノ倒しが起きてしまう。わらをもすがる思いで産科医を探している」と話す。

 地方の医師不足の原因の一つに、新人医師が自由に研修先を選べるようになった卒後臨床研修医制度の導入が挙げられる。医師が出身大学の医局に戻らなくなり、従来のように医局が地方の病院に医師を供給する機能を果たせなくなった。

 こうした現状に、医療分野の複数の県職員からは病院や自治体が医師を確保することの限界を指摘し、「医師不足の地域や診療科目には一定の強制力で、医師を配置する制度をつくるべきだ」とする声が上がる。

 一方、地域医療に詳しい城西大の伊関友伸准教授は「産科医や小児科医は、やりがいを感じる医師でないと長続きしない。給与の向上、扱う分娩数や当直日の低減など、待遇を改善していくことが医師確保には遠いようで近道」と語る。

 住民が地域で安心して暮らし続けるため、待ったなしの問題となっている医師不足。新知事には国への働き掛けも含め、“処方せん”を示すことが求められている。【この企画は伊東浩一が担当しました】

(東京新聞、茨城、2009年8月6日

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静岡県立こども病院: 配置転換訴訟初弁論、病院側全面的に争う

2009年08月04日 | 地域周産期医療

静岡県立こども病院 「配置転換は不当」 病院機構を提訴

静岡県立こども病院NICU 新規患者は静岡市内のみ受け入れを継続

静岡県立こども病院NICU、新規患者の受け入れを休止

****** 読売新聞、静岡、2009年7月11日

こども病院配置転換訴訟初弁論

病院側全面的に争う

 勤務していた静岡県立こども病院(静岡市葵区漆山)から異動するよう不当な配転命令を受けたとして、同病院新生児未熟児科の前科長の男性医師が、同病院の院長と、同病院を 運営する独立行政法人県立病院機構を相手取り、配転命令の無効確認と慰謝料など550万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日、静岡地裁(松村秀樹裁判官)で あった。被告側は請求棄却を求める答弁書を提出し全面的に争う姿勢を見せた。

 訴状によると、前科長は1992年から同科に勤務していたが、今年3月10日、県立総合病院(同区北安東)への異動を内示された。

 訴状では、院長が原告に「クレームが多い」と繰り返し話したりうそのメールを他の医師に流したりするなど、退職に追い込もうとする不当な行為を続けていた、と主張。「原告 は新生児や未熟児の専門医で、配転には業務上の必要性がなく、配転命令は、原告を退職させようと狙ったもの。原告の配転を不当として、同科の医師らが退職し、県中部地域の 周産期医療が崩壊した」として、配転命令の無効を訴えている。

 これに対し被告側は答弁書で、「院長は原告に対し退職勧奨は一切行っておらず、配転命令は業務上必要だった。病院のNICU(新生児集中治療室)への患者受け入れを制限せ ざるを得なくなったのは、突然辞職した医師らの身勝手な行動が原因」と主張している。

 同病院では今年3月末、前科長の配転が決まったことをきっかけに、7人いた新生児未熟児科の医師のうち5人が退職や異動で同病院を去った。その後2人が補充され現在は4人 の医師がいるが、同病院はNICUの患者受け入れを4月13日以降、静岡市内の患者のみに限定している。前科長自身は現在、県立総合病院に在籍しているが、休職中という。

(読売新聞、静岡、2009年7月11日)

****** 毎日新聞、静岡、2009年7月11日

県立こども病院損賠訴訟:病院機構側、争う姿勢--第1回弁論

 県立こども病院(静岡市葵区)新生児未熟児科の前科長(47)が、退職を不当に迫られ、精神的な苦痛を受けたなどとして、同病院の院長と独立行政法人県立病院機構を相手取り、550万円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が10日、静岡地裁(村松秀樹裁判官)であった。病院機構側は、請求の棄却を求めて全面的に争う姿勢を示した。

 訴状では、前科長は08年11月ごろから院長に退職を繰り返し迫られ、今年4月、県立総合病院の実体のない診療科へ異動させられたとしている。

 病院機構側は「業務上の必要性から配転命令を出した。新ポストは実体がある。退職を迫ったことはない」などと反論した。【山田毅】

(毎日新聞、静岡、2009年7月11日)

****** 静岡新聞、2009年6月27日

こども病院NICU、来月以降も新患制限

 県立病院機構は26日、こども病院(静岡市葵区漆山)の新生児集中治療室(NICU)について、7月以降も引き続き、新規患者の受け入れを静岡市内だけに制限すると発表し た。7月から新たに医師2人を確保し、NICUの担当医を4人体制にするが、「専門的な治療の提供には十分ではない」として新患制限を継続する。

 7月に新たに着任する医師は常勤と非常勤が1人ずつ。このほか、院内の他科から医師6人が応援に回る。

 市外の患者については、最も危険度が高い出産に対応する「総合周産期母子医療センター」に指定されている順天堂静岡病院(伊豆の国市)と聖隷浜松病院(浜松市)が対応する 。こども病院は「今後も医師の増員に努め、できるだけ早期に十分な診療態勢を確保したい」としている。

 こども病院は県中部で最も重症の新生児を担当してきた。人事をめぐるトラブルなどで4月、NICU担当の新生児科医が7人から2人に減った。吉田隆実院長は当初、「6月中 に診療態勢の立て直しを図りたい」としていた。

「情報ない」 親の会不安

 県立こども病院のNICUは十分な医師を確保できず、以前の診療機能を回復できないでいる。志太榛原から富士地域までの県中部には、1000グラム未満の早産児や重い疾患 がある新生児を受け入れる医療機関が、同病院のほかにない。常時、医師不足の状態にある周産期医療の各現場が補完し合って、この間、何とか診療をやり繰りしてきた。

 早産で糖尿病を患っていた妊婦1人を順天堂静岡病院に搬送した富士市立中央病院の幹部は、「順天堂が受け入れてくれたので良かったが、今後、もし順天堂がパンクしてしまっ たら大変な事態になる」と話した。静岡市立静岡病院の担当医は「遠方の病院は搬送に伴うリスクや家族の負担が大きい。できるだけ早く態勢を回復してもらいたい」と話した。

 こども病院にかかった子どもの家族が集まる「未熟児で生まれた子どもと親の会」の小林さとみ代表(42)=静岡市=は「これからどうなるのか情報がほとんどなく、戸惑いと 不安な気持ちでいる」と話した。

 今回の診療縮小は、3月まで同病院に在籍していた新生児科の元科長(47)の異動を命じた病院側と、それに反発した医師らの対立が背景にある。同病院に医師を派遣している 日本大小児科の医局は「一連の原因は県立病院機構とこども病院側にある。常勤医は当直を月9回こなすなど、激務も限界にきている。看過できない」としている。

(静岡新聞、2009年6月27日)

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がん患者に漢方薬

2009年08月03日 | 東洋医学

がんの治療には、手術療法、化学療法、放射線療法、さらに免疫療法などが行われます。それらの標準的治療と併用して、漢方薬が治療の一助となる場合もあります。がんの治療における漢方薬治療の主な目的は、術前術後の全身状態の改善、全身倦怠感などの症状の緩和、化学療法や放射線療法の副作用の軽減、免疫賦活作用などと言われています。

漢方薬ががんそのものに有効という証明はなく、がんの患者さんの多様な症状に対して、どの漢方薬がどの程度有効なのかは個人差も非常に大きく、薬効のメカニズムもほとんど解明されていません。

しかし、日本を代表するがん専門病院である癌研有明病院にも漢方サポート外来が設置され、各診療科の腫瘍専門医による標準的治療と併用して、漢方薬による治療も実施されています。各診療科から多くの患者さんが紹介されてくるそうです。

当科においても、婦人科がんの標準的治療の一助として、漢方薬治療を行っている患者さんが少なくありません。患者さんのいろいろな症状に応じて、例えば、十全大補湯、補中益気湯、牛車腎気丸、半夏瀉心湯、加味逍遥散、大建中湯などの漢方薬を処方し、中には全く無効の場合もありますが、「今回の漢方薬は非常によく効きました、是非また処方してください。」と患者さんに喜んでもらえる場合も少なくありません。

産婦人科と漢方医学

女性のための漢方セミナー 気になる不調、これって更年期?

漢方医学について

漢方の腹診法

漢方の脈診法

****** 読売新聞、2008年12月12日

がん患者に漢方薬

しびれ、食欲不振など軽減

 がんに伴って起きる全身の倦怠感や食欲不振、不眠などの症状、抗がん剤や放射線治療の副作用など、がん患者の悩みは多い。こうした症状を漢方薬を用いて軽減しようという試みが注目を集めている。【館林牧子】

 東京都江東区の癌研有明病院。消化器内科部長の星野惠津夫さんは、週2回、「漢方サポート外来」で診察をする。

 星野さんは消化器がんの治療を専門にする傍ら、若いころから漢方医学を学んできた。「西洋医学はがんを攻撃するのは得意だが、がんに伴って起きる多様な症状は、それだけでは解決しないことが多い。そんな時こそ、漢方の出番」と話す。

 疲れやだるさ、食欲不振、病気のストレスによる不眠などのよくある症状に加え、手術後の傷の痛みや抗がん剤による手足のしびれ、胃を切った後の食欲不振など個別の訴えもある。患者の状態と症状の診断から、保険のきく147種類ある漢方のエキス剤のうちから最適なものを選択。個人差があるので、効き具合を見ながら、組み合わせを調整する。

 全身症状の改善には、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」「人参養栄湯(にんじんようえいとう)」のいずれかを処方する。最もよく使うのは十全大補湯で、不眠や不安など精神症状が強ければ補中益気湯、また肺転移や肺炎などによるせきや息苦しさがあれば人参養栄湯を選ぶ。

 食道がんが肺などに転移した東京都内の男性は、ひどい息苦しさを訴えて同外来を訪れた。ところが、漢方治療を始め2週間ほどで呼吸が楽になった。5か月後に亡くなったが、その間、家族と2度の海外旅行を楽しむことができた。

 漢方でがんそのものが治るという証明はなく、様々な症状にどのようにして効果をもたらしているのか詳しい仕組みはわかっていないが、星野さんは「西洋医学による従来の治療に行き詰まっても、漢方という別の方法があることを、患者に提示できる意義も大きい」と話す。

 抗がん剤の副作用で起きる手足のしびれには「牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)」など、乳がんのホルモン治療や、子宮・卵巣がんの手術で卵巣を取った後に起きるほてりには「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」や「加味逍遥散(かみしょうようさん)」など、のどや耳下腺がんなどの放射線治療の後遺症で、だえきが出ず、口が渇く症状には「麦門冬湯(ばくもんどうとう)」などを使う。

(以下略)

(読売新聞、2008年12月12日)

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危機の地域医療

2009年08月01日 | 地域医療

****** 東京新聞、埼玉、2009年7月31日

医師の不足 『命軽視した政治の結果』 

休診 中核病院まで

 「常勤医師不在となるため、耳鼻咽喉科診療を一時休診とさせていただきます」。六月末、深谷市の深谷赤十字病院は、七月から同科の外来を休止する通知をホームページに掲載した。

 十月には心臓血管外科の担当医二人が退職予定で、後任確保は難航している。見つからなければ、同科も休診だ。「急性心筋梗塞(こうそく)などの患者を受け入れられなくなる。ここまできてしまった」。諏訪敏一院長はため息をついた。

 同病院は、県北部で唯一、救命救急センターと地域周産期母子医療センターの指定を受ける地域医療の核。しかし、勤務医の退職が相次ぎ、補充できないまま対応できる診療内容が減る悪循環が続いている。

 常勤医師総数は四年前の七十六人から六十五人に。特に内科は十八人が十二人に減り、日中の外来を五人から三人態勢に縮小した。

 小児科医も五人から三人に。未熟児や、病気を持って生まれた赤ちゃんを治療する新生児集中治療室(NICU)を完備しているのに人員配置がままならず、開店休業状態だ。全科で五百六床あるベッドも四十七床を閉鎖中だ。

 一九八〇年代からの政府による医療費・医師数抑制を背景に、「地域医療に穴を開けられない」と頑張った結果、残った勤務医の労働環境は悪化の一途。「日中勤務して当直に入り、翌日もそのまま診察や手術をする。三十六時間勤務も当たり前」なのが現実だ。

 燃え尽きるように医師は疲れ果て、退職が相次いだ。さらに二〇〇四年の研修医制度改定で大学病院医局から医師の派遣を受けにくくなり、医師不足はさらに深刻に。綱渡りの綱は切れた。

 諏訪院長は「救急医療なんてなおのこと、とっくに崩壊している。命を軽視した政治がこの状況を生んだ」と憤りを隠さない。

 地元の深谷市・大里郡医師会の地域医療担当・金子勝理事は「深谷赤十字が受け入れてきたこの地域の重篤な患者を、遠くの病院へ送るようになった。患者の負担が増している」。五月には行政も巻き込んで初めて意見交換会を開いたが、解決策は見えない。

 疲弊した現場で、政治は何をしてくれるのか。諏訪院長は「勤務医がきちんと勉強しながら、現場で気分的にも時間的にも余裕を持って働ける財政的裏付けが必要だ」と強調する。それを実現できる政権を選ぶことが、医療を立て直すカギになる。「どの地域でも医療崩壊はひとごとではない。選挙に行って声を上げてほしい」 【柏崎智子】

(東京新聞、埼玉、2009年7月31日)

****** 秋田魁新報、2009年8月1日

危機の地域医療 

「お年寄り 行き場失う」 

医師不足、過疎地を直撃

 「病院がなくなるのではないかと不安。自宅で面倒を見てもらえないお年寄りは、行き場がなくなってしまう」

 北秋田市米内沢の北林栄紀さん(64)が、表情を曇らせた。北林さんの義母(77)は4年前から自宅近くの公立米内沢総合病院に入院しており、寝たきりとなっているからだ。

 北林さんは5人暮らし。家族を中心に地元で約70年続く食堂を切り盛りしており、仕事は午前9時ごろから午後8時ごろまで。北林さんは昼の出前を担当するほか運転代行業も行っており、自宅に帰るのは連日深夜になる。在宅で義母を十分に介護するだけの時間的余裕は家族になく、「過疎化で売り上げも年々減っている。暮らしは楽ではない」と北林さん。一家にとって、義母を安心して預けられる公立米内沢は心強い存在だ。

 ◇    ◇

 全国的な医師不足で、同市内の公立病院は苦境に立たされている。常勤医2人(歯科医を除く)の市立阿仁病院は10月から無床診療所に改組、同月開業予定の北秋田市民病院(指定管理者・県厚生連、320床)は常勤医を計画の約半数の15人しか確保できず、稼働病床も約半数にとどまる見通し。公立米内沢は、市民病院と連携し病状の安定した患者を受け入れる計画だったが、同病院の医師不足のあおりを受け、同月以降の運営規模は不透明なままだ。

 「市民病院に加え、赤字体質が深刻な公立米内沢を計画通りに存続させることは財政的に困難」と市幹部。市は今後、市民病院の運営にも公費負担(赤字補てん)を余儀なくされる見通しとなっており、公立米内沢の大幅な規模縮小は不可避との見方を示す。

 その一方で、縮小に伴い入院患者が退院を迫られた場合、受け皿となるはずの市内の施設、病院に余裕はない。市高齢福祉課によると、市内の特別養護老人ホームは入所待機者が200人以上おり、利用者負担が重い介護老人保健施設でさえ満床状態。市民病院も、医師不足のため対応できる入院患者数は限られる。北林さんは「在宅介護をしようにも、日々の暮らしがそれを許さない。どうすればいいのか」と戸惑っている。

 ◇    ◇

 国は、医師不足を招いたとされる新人医師の臨床研修制度を来年度から見直すことを決定。また、追加経済対策として、自治体の医師確保や病院再編などを支援する地域医療再生基金(3100億円)を創設した。しかし、この地域が対象になるかや、政策の効果がすぐ表れるかなどは未知数だ。

 衆院選を控え、多くの政党が医学部の定員増など医師不足対策を掲げ、崩壊の危機に直面する地域医療の立て直しを訴えている。北林さんは「『暮らしの安心』を守ってくれる政策を提示しているところ(政党)に、一票を投じたい」と力を込めた。

臨床研修制度

 新人医師に病院での研修を義務付ける制度で、2004年度に導入。研修先を自由に選べるため、新人医師が都市部に集中し、人手不足に陥った大学病院が地方の自治体病院などに派遣していた医師を引き揚げたことで、医師不足が加速したとされる。来年度から、都道府県や病院ごとの募集定員の制限、必修診療科目数の削減を柱とした見直しが行われる。

(秋田魁新報、2009年8月1日)

****** 毎日新聞、京都、2009年7月31日

偏在と膨張の構造見直せ 

原則公営化含め、早急に議論を

泉 孝英さん(73) 中央診療所理事長・京都大名誉教授。1965年京都大医学博士。89~99年、京都大教授として胸部疾患研究所、付属病院呼吸器内科などに勤務。99年から現職。06~08年に滋賀文化短大学長。

医師の不足や偏在を含め、医療崩壊が指摘される現状をどう見る?

 日本と同じく国民皆保険の英国、スウェーデンの両国と比較して整理したい。05年のデータでは、日本は両国に比べ、人口当たりの医師数は83%、59%と少ない。それ以上に問題なのは国民1人当たりの受診回数が2・7倍、4・9倍と多いことで、医師1人当たりの診療回数は3・2倍と8・2倍だ。医師が多忙すぎて、いい医療を望めなくなっている。

 また、両国では医療機関が原則的に公営か半公営で、医師・看護師は準公務員であるのに対し、日本は大半が私営だ。医師の養成課程も、両国がすべて国公立なのに、日本は授業料が極めて高額の私立大が3分の1を占める。施設も人材も採算のいい地域・部門に集まるのは当然の帰結で、そもそも偏在のない適正な配置は不可能な構造になっている。

医療費の増加については?

 両国では、外来は診療所、病院は入院・救急と、役割が明確に分担されている。スウェーデンでは65歳以上の患者は医師ではなく、看護ステーションで看護師に最初に診てもらう。そして前述のように公営・半公営だから一定の予算配分がなされ、その中で医療を提供している。

 だが、日本は「フリーアクセスと出来高払い」が基本だ。どの病院でも何回でも受診できる。医療機関にとっても出来高払いのため、数が増えれば稼ぎになる。薬と検査が多いのも特徴で、人口当たりのCT台数は両国の7~12倍、MRI台数は4~7倍、投薬量は3~4倍だ。06年データをみると、医療機関の支出では人件費が60%なのに、収入では医師の技術料は34%。足りない分を投薬・注射と検査で補い、機器メーカーや製薬会社にもカネが流れる。医療費が膨らむのは当然だ。

政治家に何を望む?

 これらの現状、構造的な問題を直視し、根本から議論してほしい。そもそも医療は採算が取れるものではなく、利権の対象にすべきではない。誰もが標準的な医療を受けられるようにするには、両国のように原則公営にし、医師・看護師は公務員にすべきだと思う。警察・消防と同じく計画的に配置でき、偏在などなくなる。そして税金でまかなうのだから、無駄は省く。両国とも公営化の議論から実施までに半世紀くらいかかっている。すぐに議論を始めるべきだ。 【聞き手・太田裕之】

(毎日新聞、京都、2009年7月31日)

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