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なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

厚木

2020年11月22日 | 仕事

に行った。知り合いの方の農場(?)で鹿だのイノシシだの狸だのが獲れるという。というか、獣害が深刻、ということ。うちから高速で高々1時間弱の場所の畑が野生動物被害受けまくりというのは、色々考えさせられる。おかしいんだよね、かつて大学生だった頃、同じ農部の環境保護学科の友人が、1週間山に入って「鹿のカウント」なる仕事をしていた。その位、当時は少ない、というか、人目につかない場所にいた連中が、わずか30年後余りで人里に平気で出入りして畑を荒らすってなあ・・・・・。舐められてますな、我々。「可愛い可哀そう」なんてやった結果だ。動物って基本いい加減で図々しくて、だらしがない。なるべく楽したがる。だから、余程怖い思いをさせないと、美味しい「餌場」に入り浸りたがる。品種改良のせいで野菜も果物もどんどん旨くなってるし。柿なんか、実がなろうがほったらかされてるもの、餌付けしてるのと同じ。つまりまあ、一番だらしがないのは人間で、それを動物のせいにしない方がいいんじゃないかと思いますけど。

 で、駆除された鹿の足がごろごろしてるというもんだから、じゃあ蹄を下さい、という事で。蹄には重大な関心を持っているのだが、野生動物の蹄を見たことないのは問題だとかねてから思ってたので。

 ということで、野生日本鹿の蹄。

 蹄底に溝一つない。つまり、溝=白癬菌に食われた箇所ってことですね。一応洗ったんだけど、別に洗わなくても蹄壁が土で汚れてるってこともない。なぜに家畜の蹄は汚れるんでしょうか?牛でよくある趾間皮膚炎なんかけらもない。

 ところで、その知人の農場には馬もいる。削蹄師なんか入れず、たまにちょこっと蹄の縁を磨く程度だという、その蹄がこちら。

ひび割れのかけらもない。削蹄師って必要なのかね?


三課目

2020年11月11日 | 仕事

を回る。自馬なんだけど、色々実験中。

 この人はあれこれ病気してくれたので、自分の獣医の腕前が上がりましたね。というか、同業者批判はしたくないのだが、馬の獣医師って、まことにヤブ、何一つ治せないじゃん、と理解して自分でやった方がマシ、という見解に。馬って草食獣の中ではかなり治療しやすい動物だと思う。経口投与薬が使えるし、それも少量でいける。体重換算したらエライ大量になりそうなんだけど、そんなに必要ない。おそらく、小腸の吸収能が極めて高いからじゃないかと。馬・象・カバ等は、草を山ほど食べて、わずかな栄養を徹底的に吸収する、という戦法でガタイを大きくしてますから。この辺が牛や鹿のような反芻偶蹄類と違う点。偶蹄類は第一胃~第四胃までかけて草を分解してから消化する仕組みを取ってるから、経口投与薬ってまず使えない。不利ですね。

 自馬の病気遍歴は、腺疫からの紫斑病(血小板減少症)蹄病(蹄叉腐乱だの蹄葉炎だの)って、ヤバイ病気ばかりじゃん!!

 腺疫はね、どうも放牧中に他の馬に咬まれたのがきっかけみたいなんですけどね。不顕性感染してる馬って結構いるらしいので。でねえ、腺疫の治療って教科書を読むと「ほっとけ」って書いてある。だから蔓延するっての。細菌感染症なんだから、抗生剤で治療するのが鉄則なんですが、草食獣にはβラクタム系&セフェム系抗生剤の使用は「禁忌」ってのが、我ら小動物臨床医の常識、これが大動物には知られていないらしいのだなんで

 だもんだから馬の獣医に治療させると、すぐマイシリン打てだの、セファロチンなんて超大昔の(いつ製造中止になるか分からんぞ)セフェム系抗生剤を使おうとする。マイシリンなんか使うからペニシリンショックが起きる。抗生剤って治療の超基本なのに、こんなことも知らんとは。最初は、馬の先生がおっしゃることが正しいのかな、と思ってた(騙されたよ)んだけど、単にモノを知らん連中なんだと理解してから、ウサギ治療に準じた治療に転換。ビクタスを使って治療して、それは解決したのだが・・・・。

 5%程度の馬に続発するのが後遺障害の免疫異常。それが血小板攻撃になっちゃって、血小板減少症と。これを解決するのはステロイドしかない。ステロイドを使うと、しかし、蹄病が(特に蹄葉炎)起きる。にっちもさっちも、ので、十味敗毒湯を使って免疫を調節してたんですが、症状はやっぱり繰り返すわけ。しょうがなく少量のステロイドをたまに使ってたんですが。

 にしても、蹄がおかしくなる。厩舎の床は土だし、濃厚飼料は一切ストップしてるし、運動のさせ過ぎもない、放牧もしてる、蹄鉄もつけてない、何が悪いんだ?散々考えてるうちに、ひょっとして、これ、爪水虫なんじゃあ?と思いついたわけです。寄生感染症が原因なら、外側から何やったってムダ。

 そうこうしてるうちに、去年の6月頃、たまたま来た馬の獣医が「このままじゃ蹄が脱落して安楽死だ」と言う。獣医っていい商売だと思うのは、その対応策を全く提示しないで文句ばかりという点。その人が言いたいのは、要は「馬の管理が悪い、獣医のくせに」だったんじゃないの?で、実現不可能なことばかり要求しますわね。毎日1時間蹄を薬浴しろだの。できるわけないでしょ。

 アッタマに来たので、どーせ死ぬなら、こっちの治療をやらせてもらうわ、抗真菌剤を経口投与しましょう。この馬は多分、世界で初めて抗真菌剤を投与された馬なんじゃないかしらね。抗真菌剤は結構それなりに高価だから、一般的なプロトコール(誰でも使える標準治療)を目指して1日おきにする。水虫の治療は人間でも時間がかかります。特に爪水虫は白癬菌がいない爪組織に生え変わるまでひたすら飲ませるしかない。現在まで1年半近く飲み続けて、今はこんな感じ。

 速歩が改善されてるんだけど、改善じゃなくて、回復。蹄が回復したから、馬場を強く踏めるようになったってこと。

 そうそう、ちなみに、この馬は誰にも調教を頼んでいません。自分でテキトーにやってるだけ。グラウンドワークとか、しち面倒なこともほぼやってない。ハミを使わないと、この程度は普通にできるようになります。楽勝。「ハミ受け」ってファンタジーだから、そんなことにこだわる方がヘンなのね。

 でね、じゃあ爪水虫はどこからうつされたのか?白癬菌はその辺に転がってる真菌ではない。結論は、「装蹄師」。装蹄師が道具を消毒しないから、水虫を持ってる馬から馬へ、どんどん広がっちゃうわけ。

 ということで、日本の馬、いや、世界中の馬や牛の大半が水虫持ちという、恐ろしい事態になっているのが現状です。国際蹄病学会なんてのもあるのに全く解決策を見いだせていないのは、病理把握ができていないから。水虫は、人間でも症状ないけど水虫持ちってのが多いから、症状がないから大丈夫、はない。頼むから道具を消毒してよ、と言いたいんですけど。やってくれそうもない、ヘンなプライドが邪魔するんですかね。ので、今は、削蹄したら即蹄を徹底消毒洗浄(カビに効くやつでないと意味ないですけど)してます。パコマなんか効きませんよ。

 そうそう、蹄鉄ですが、サラは蹄質が柔らかいから蹄鉄をつけにくいと言いますが、別にそんなことはない。この人はサラだから。水虫の治療をしたら蹄質がどんどん変化して丈夫になってきた。当たり前です。というか、結局極若い頃から鉄付けられて、その時に水虫もついでにうつされちゃってるおかげで、蹄質が白癬菌に食い荒らされて脆弱になってしまった、という事。実際、蹄鉄なんか不要ですよ。

 となると、笑っちゃいますよね、金かけて馬を不健康にして、自分の懐もさみしくして、馬に人生食い潰されてる人の多い事。それってある意味、馬に復讐されてるんだよ。考え直した方がいいですよ、管理全般。


トーキョー

2020年09月13日 | 仕事

に行った。公共交通機関を使って出かけたのは久しぶり。やっぱ、どうもおっかない。自分とこから感染を出したらもう、色んな意味で万事休す、だもんね。ウイルスなんて、引っかかって罹患してしまうかどうかは「運」なんですがね。

 しかし、今日の講演会は今までなかった演題で、どうしても聴きにいきたかった。一番往生してて、どうすりゃいいのよ、困り果ててた領域の手術法を教えてくれそうだったので。こういう事を教えてほしいんですよ。ここんとこの講演会の演題って、こっちのニーズとかけ離れてるわ、紹介される治療法が現実離れしてるわ(具合が悪い動物に4種も5種も薬なんぞ飲ませられるわけないっしょ。自分の犬にやってみろってんだ、と、国際循環器学会のセンセに言いたかったなあ、こないだの講演ではね)で、全く出席意欲が湧かなかったんですけど。

 内容は、そう、これが知りたかったんですって感じ、ドンピシャリの内容で、行ってよかった。

 トーキョーといえば、こないだ行ったのは「としまえん」。人だらけでしたけど。ここには西武線を使えば簡単に行けるんだが、この時は車で行きました。やっぱ、エルドラドをちゃんと見ておきたくて。

 ジェットコースター、ここにある奴が自分ちから一番近かったのになあ・・・・。無念じゃ。

 にしても思うに、としまえんも、今日も人口密度が高い(今日なんか、普段の日曜日*90%程度に思えた)にもかかわらず、新規感染者数の少なさ。要するに、誰もが注意しまくってるんでしょうなあ。よくまあ抑え込めてるもんだ。凄い国よ、日本は。フランスなんか、めちゃくちゃになってきてる。こんなんで全仏やるんかい?


放牧豚

2020年06月10日 | 仕事

について、農水省が最近色々決めようとしている方針にあちこちから反発が起きている。農水省は、豚熱を恐れている。豚熱というのは、従来「豚コレラ」と呼ばれていた、ウイルス性感染症で、感染力も強烈だし、致死率も高い。こういう種類の伝染病は他にも色々あって、例えば牛なら「口蹄疫」馬なら「伝染性貧血」鶏なら「ニューカッスル病」等々・・・、で野放しにしたら家畜が全滅してしまう、という危険性があるだけじゃなく、諸外国に肉を輸出することもできなくなる。こういう危険な伝染病をひっくるめて「家畜伝染病」と「家畜伝染病予防法」なる法律で指定しているのだ。で、この疾患が発生した場合、例外なく、発症していない家畜も含めて、同じ場所で飼育されていたら殺処分、という結果になる。

 ワクチンでどうにかできるんじゃないでしょうか?という疑問に対しては。ワクチン接種したら最後、感染したかどうかが分からなくなるので、海外輸出が不可能になる、という事なんですね。感染したかどうかは抗体という、体内にできる対抗物質を調べるんだけど、その抗体をつくるためにワクチン接種するわけで、検査では、ワクチン打ってできた抗体なのか、病気にかかって抗体ができたのか、の判別ができない。いい例が韓国での口蹄疫。どうしても撲滅できなくて、結局ワクチン接種せざるを得なくなった。その結果、韓国から牛肉を輸出できる国は、同じように口蹄疫が蔓延してる国だけ、となってしまった。ほぼ輸出が不可能、と言っていい状況ということで、これは、韓国畜産業を相当圧迫していると思う。

 豚熱については、ワクチンはある。打ったら最後、輸出不可。ということで、農水省はかなり苦肉の策を編み出している。ワクチン接種する地域を絞り込んで「部分的にはまずいですけど、全体的にはOKです」ということにして、輸出を止められないようにしてるのだ。ワクチン接種せざるを得なくなったのには理由があって、豚と同類の野生イノシシに、豚熱ウイルスが広がってしまった、からなんですね。イノシシがウイルスの運び屋になっちゃって、そのせいで豚に広がるのではないか、という懸念があるわけ。ので、死んだイノシシからウイルスが分離されている府県については、豚へワクチン接種せざるを得ない状況になっている。放牧豚については、感染イノシシとの接触が起きる危険性が高い、という推測に基づいて、やばい地域では放牧しないでください、畜舎飼いにしてください、と言い出してるってこと。

 これに対しての反論なんですが、話がおかしな方向に行っていると思うので、それじゃ、まずいでしょ、と思ってね。アタマにきているのは「アニマルライツセンター」とかいう所が「こんな密飼いにしろって農水省は言ってる。可哀そうだ」みたいな論点で(写真なんか出して)わあわあやってること。言っときますが、家畜はペットじゃない。論点に「可愛い」だの「可愛そう」だの混ぜ込むな。出してる写真も、どこで撮ったんだか意味不明。大体、家畜で生計を立ててない人間が勝手なことを言う権限なんぞどこにもない。放牧豚は危ない、という科学的根拠がないとか言ってますけど、そりゃ、お互い様です。放牧豚が安全、という科学的根拠もないでしょうが。なったことがない、というのは単なる「経験」でしてね、単に「運が良かった」で片付く可能性が高いのよ。今までは豚熱ウイルスがその辺に転がってる可能性自体がなかったわけだし。

 畜舎飼いの問題点は、飼ってる農家さんが一番分かってるんですが、獣医として考えるに、一旦伝染病が入り込むと、それこそ畜舎内は「3密」だもんで、ウイルス増殖が爆発的になる、その大増殖したウイルスを人間がくっつけて運ぶ。あちこちの畜舎に出入りする業者は色々いますから。で、周囲に広がってしまう。じゃあ放牧豚なら大丈夫かというと、多分そうはいかないでしょう。放牧豚は頑健だから、免疫力が高いから大丈夫、なんてありえない。そもそも免疫が「ない」わけだから。この辺はコロナ感染症でも同じですけど。頑健そうなスポーツ選手もコロコロ感染してたでしょ。まずいのは、放牧されてて伝染病に罹患してばたっと死んじゃったら(まあ、下手すると1晩でお陀仏です)そいつをどうすんの、という話なんです。豚の体重は優に100㎏以上、引っ張ってなんて無理。その場に埋めるの?あと、その放牧場をどうやって消毒するの?発生した場合どうするか、という課題に対して、こうやります、というのが見えてないのがね。豚の場合も放牧場はかなり広いだろうから、豚を追い込んで全頭殺処分にするというのも、動けなくなったりしてると大事になる。大変なのは畜舎飼いでも同じだけど、場所が限定されてる分、まだ作業としてはマシ、ということでしょうか。

 放牧のいい点はもちろん多いし、いわゆる「アニマルウエルフェア」にもかなっている(いや、そうとも限らない、という話もあるんですけどね。牛なんかは、放牧した途端に順位決め争いをやって、下位になっちゃうと、へたすりゃ放牧中延々いじめられたりするそうな。鶏の放し飼いだと、他の鶏につつかれて死んじゃう個体もあるとのこと。完璧というのはない。そういういじめられっ子は、むしろ繋飼いの方が安心してられる、ということもある)といわれてますけど、価格は高くなっちゃうし、そうなると前回のカンパチと同じで、こんなことが起きるとあっという間にだぶついちゃって、大赤字になりかねない。

 うーん、放牧豚とか、イメージはよさげだけど、じゃあ、それを買い続けましょ、なんて消費者が多いとも思えないんですよ。結局「意識高い系の金持ち」という。今回みたいなことがあると、金持ちも減っちゃうだろうから。アニマルライツセンターに言いたいのは、じゃあ、あんたら継続して農家さんを買い支えできるわけ?ってことね。偉そうなことを言うなら、まず、そこからやんなさい、と。

 ああ、殺処分について「可哀そう」とか言わんといてください。この辺は、家畜という動物の特殊性なんだけども、この家畜というのは(動物も植物も)人間に飼われることによって、自分らの種族の繁栄を保つ、という戦略に基づく進化をした生き物なんです。そこが野生動物と決定的に違う。人間に生き死にを全面的に預けちゃう代わりに、安全とか食餌とかの苦労を全くしなくてよくなってるのが、家畜。例えばもし、可哀そうだから肉食うのやめた、とかなるとどうなるかというと、それ用の家畜が絶滅しちゃうということ。今、馬がそうなりかかってますね。ずいぶん長い間、人間の輸送手段として大活躍してくれてたのに、必要なくなっちゃったら、あっという間に数が減ってしまった。競馬をやめたら、サラブレッドなんか、すぐ絶滅じゃないかなあ。殺処分も含めて、人間が全責任を取らなくちゃならないのが、家畜なんだと思う。

  ちなみに、最近ペットとして飼われることがある「ミニブタ」ですが、これも豚である以上、飼っている地域に家畜伝染病が発生したら、場合によっては殺処分対象になります。例外はありません。これを覚悟して飼っている方は何人いらっしゃるでしょうね?


緊急事態宣言について

2020年04月08日 | 仕事

 当院は対象区域になっておりますが、当面は通常通り診療致します。
 今後の状況の変化に鑑み、変更があるかもしれませんので、ご了承ください。その場合は、当院ホームページをご覧くださいますようお願い申し上げます。
 

 なお、食餌・薬剤につきましては、輸送が若干滞っております。処方食等、余裕をみてご注文下さい。輸入薬で、国内在庫が危うくなっているものもあります。それにつきましては、そこそこの在庫は確保しておりますが、国内在庫が回復する状況がいつになるかは、分かりません。この件につきましては、全国的な問題になると認識しております。解決可能かどうか、世界情勢にかかっております。その場合の代替薬候補がないわけではないので、その際には、相談しつつ解決の道筋を探ろうかと考えております。


公民館

2020年04月04日 | 仕事

が、とうとう4月中かなりの期間休館になるとの事。今日は太極拳サークルがあったのだが、そもそもサークル活動をやっているのが我々のみ・・・・。いよいよヤバくなってきた感。

 それにしても、日本の感染状況は面白い。というと、顰蹙だけども、未だ感染者0の県が3つもある(4/4時点)し、1日当たりの新規患者が3桁にようやくなったのが東京のみ(4/4時点)というのは、諸外国と比べるとメチャクチャ少ない。ずうっと状況を観察してて、成程なあ、と思う事について。ウイルスに関するABC予想。どなたかこの仮説を証明していただけないでしょうか?

 というのは、自分は獣医で、従って、家畜の伝染病については発症に対する対応その他、割と知っているから。ので、今の対策って、世界的に片手落ちだよ、と感じているのだ。

 家畜の場合、法定伝染病が出ちゃうと、それに対する対応は一つしかない。つまり、殺処分ですわね。だから、とにかく伝染病の病原体(ほぼウイルス)を畜舎内に持ち込まないことが重要で、その件について、酪農家さんや養豚・養鶏業の方たちは常にピリピリしている。人間が持ち込まない対策の第一はなにかというと、手洗いもそうだけど、むしろ、足。というか、靴。

 家畜伝染病が発生すると、トラックのタイヤ等の足回りの消毒・畜舎の敷地出入り口に石灰・畜舎出入り口に消毒薬の踏み込み槽・あるいはそこで靴&服の履き替え着替え、それに追加して手洗いと。こういう対策が基本なんです。なるべく、こうした事を普段から励行して、伝染病が出た時に慌てないようにする。

 で、これ、人間で全くやってないでしょ。広がるに決まってますよ。

 ところが、日本人は、これを普段からやってるんですよね。つまり、玄関で靴脱いで上がりましょう、でスリッパ履いて、という一連の「なんとなくやってる」習慣が、かなりウイルスを防いでいる可能性が高い。

 欧米はここが全くダメ。なぜなら、土足で家に上がり込んでいるから。きったない街中をどすどす歩いた靴でそのまま室内に踏み込んでる。あっちの家は絨毯敷きが多い。土足で汚れた絨毯に超強力な掃除機をかける。排気が舞い上がる、中にウイルスが仕込まれてたら、軽~~~く吸い込んじゃいますよ。その結果、発症してしまう。

 海外旅行程度でウイルス感染するなんて変だ、と思ってた。でも、ホテルは土足だし、客室に掃除機かけまくってるんだもの、そりゃあ感染しますわ。だから、帰国者でも、住んでいた人はあまり感染したという話を聞かない。住んでた人は、おそらく海外でも、帰ったら靴脱いで、という日本式生活様式を保っている人が多いんじゃないかな。だから、感染しにくいのだ。クルーズ船もそう。掃除したせいで、ウイルスが広がった、可能性が高い。

 だから、欧米でいくら手洗いだ・マスクだ、とやってもドンドコドンドコ広がっちゃうわけ。対策のピントが外れている。

 あとは例えば、イタリアだけども。イタリアに一回行って呆れたのは、あの人たちのお喋り好きは度を越しとる、こと。ちっさいテーブルを囲んで何時間もべらべらやってる。よく喋ることがあるなあ、と。切符を買うだけで、切符売りのオジサンと10分はペラペラしてる。だから広がった。

 それから、同じ感染でも発症するしない、重篤度が極端に違う理由。やっぱりある程度規則性がありそうだと。ウイルスの暴露数によるのではないか。1~1000~10000~1000000、一回に暴露するウイルス量が少なければ、まあまあ発症せずに済む。ウイルスに対する抗体は、だーれも持っていない、だから、こいつ病原性があるじゃないか、なんとかせにゃ、と抗体をつくってなんとかするための時間的余裕は、一回当たりに暴露したウイルス数に反比例するはず、なんです。ウイルス量が多いほど、時間の余裕はなくなってしまって重症化する。例えば狂犬病。これもウイルス疾患で、発症したらまず助からないのだが、この病気は咬まれてうつる。狂犬病の動物に咬まれた時真っ先にやるべきことは、傷をガンガン水で洗浄して、傷に含まれるウイルス量をなるべく減らす事なんです。それから、何回も何回もワクチンを打って、抗体を山ほどつくってウイルスに対抗する。

 体に入り込む病原体は少ないほどこっちに有利なんですよね。志村さんは、そこをミスった。かなり大量に吸い込んじゃったんじゃないか。

 それに追加して、宿主である、こちらの状況が加わる。スポーツ選手って、実はあまり病気に強くない。体を普段から酷使しているから、リカバリーに能力を使っちゃってるんですね。あと、おそらくなにかと靴を履き替えることが多いから、感染の可能性が増える、という事ではないか。あとは、年寄り・子供・基礎疾患持ち。当たり前ですけどね。志村さんは酒を飲んでた(だろう)が災いした、おそらく。アルコール代謝に能力を使っちゃって、ウイルスに対抗するパワーが落ちたんでしょう。

 だから、「3密を避ける」のが間違ってるわけじゃないし、手洗いも当然ですけど、それに追加して、「靴裏注意!!靴裏はハイターで消毒!」というのも付け加えていいと思う。欧米なら、「靴脱いで家に上がれ」という習慣づけをした方が絶対良い、と思うんです。どなたかWHOに言ってやってくださいよ~~。

 あと、公衆衛生の専門家は我々獣医師です。感染症専門医だけだと、見落としが絶対に出ます。獣医も検討会議に参加させるべきです。


今年のまとめ

2019年12月31日 | 仕事

 毎年、速く過ぎる、ということはないです。色々あるし。

 今年のトピックはやっぱり、馬の蹄病の原因&治療法が分かった というところでしょうかね。牛の蹄病も分かった!と言いたいところなんですが、牛の先生からは反対意見もあって。ただねえ、臨床家の自分は、やってみて、治りゃOKなので。確かに論文は、ある程度の意味があるとは思うけど、大動物についてはどうなんでしょう?なんか、重箱の隅を楊枝でほじくるようなしょーもない研究ばかりに思えて。現場と研究が乖離している感が大きい。現場でどうにかしてほしいことは何か、それに応える研究をするべきなのでは?と思うんですけどね。特に病気は姑息なことやってもダメ、正面突破で行かないと。

 ってことだけど、今回は論文(みたいな奴)を書きました。ある程度こういう形にまとめておいて、別の場所で詳しく連載する予定です。

 ちなみに、馬の蹄葉炎について、最近画期的な治療効果のある物質がみつかった、とか北海道で騒いでいるようです。どうなんだろうと調べてみたんですが、要するに消炎剤の一種なんだな。寛解には持ち込めるでしょうけど、原因にアプローチしていない以上、薬をやめたら即再発の可能性が高い。こんなに馬の蹄葉炎が多発していること自体が大問題なのに、単に症状を抑えるだけじゃ、意味がないでしょう。重大な疑義あり、と言いたい。

 ということで、自分の馬だけども、今年の6月ごろは馬の獣医から「蹄葉炎になっているんじゃないか。このままだと蹄が脱落して安楽死になるぞ」とかなんとか脅されて、しかし、マトモな治療法については何ら示唆もなく、呆れて自分で治療したわけ。それから半年経過して、今やこれまでで一番きつい練習をして、ガンガン障碍を飛ばせて、全然ダイジョーブです、昨日観に行ったら「運動足りないんすけど」みたいな雰囲気になってる。外に連れ出したら、石がごろごろしている農道を特に石をよけることもなく歩く。今まではなるべく石のないとこを歩きたがってたんですが。まだまだ油断はできないけど。

 もし、困っている方がいれば、ご相談に応じますので、病院のHPの「問い合わせ」からお願いしまーす。


 ということで、来年はどうなりますか?


納税説明会

2019年12月17日 | 仕事

へ。青色申告会&所沢税務署主催。毎年同じような話、と思うんだけど、ビミョーに違う話も出てくる。今年はどうでしょうか?

 変わった点は。減価償却費。均等償却の話が消滅。要は、均等償却するべき資産が国中から消滅したってことでしょうか。毎年やってりゃそうなりますな。確か、5年で均等割だったから。しかーし、申告内容はさらにややこしくなっている。その理由は、やはりと言おうか、消費税。軽減なんか喜んでる人なんてひとーりもいないと断言できますな。

 患者さんも、あほらしい、と皆さん言っている。高々2%じゃないって。今回も、その2%のためにごついカラー印刷の冊子を配るは、国税庁のHP申告コーナーもあれこれ変わってるようだし、そのために莫大な金がかかっている、はず。ホント、バカバカしい。なんかねえ、「テイクアウト脱税」なんて騒いでたけど、そもそも、軽く脱税できちゃうような税制を作ったのが悪いんじゃないでしょうかね?で、肝心の国家予算だが、税収の1.5倍以上なんて予算額。絶対破産するよお~~~。国が自己破産とかあるんでしょうか?国債を踏み倒されるんじゃないか、という疑問が。

 聞いていると、結局国税庁のHPの申告コーナーで作成しないと、どうやってもこりゃ間違えること間違いなし!という事だけは確実っぽい。Eーtaxにしないと、65万控除も取れなくなるようだし。申告コーナー自体は作成しやすくなってるとは思うんですけどね・・・・。

 で、もう一つ分かったこと。例の「インボイス制」という奴。とにかく税務署に登録した業者じゃないとダメです、みたいな話で、一体どういう事なんだろうと思ってたんだけど、ようやく理解したのは。要するに、今は、売上1000万未満の業者は消費税免税になっているわけだけど、インボイス制施行後は、売上1000万未満でも納税してちょ、という事なんだな。登録業者は全員課税業者になってください、年間売上金額はカンケーなくなります。と言いたいらしい。1万円でも売り上げたら、納税しろという事か。

 これはねえ、末端の小売業については、別にどーでもいい話になりそうなんですよ。インボイス制でないと云々というのは、業者間取引。つまり、製造業・卸・仲買・といった、物を転がしている業者が一番割を食うということか。どうなんでしょうかねえ?もう少し説明を聞きたいところだけど、その辺の肝心な話は今まで一切出てこなかったぞ~~~。歯に物が挟まったみたいなぐだぐだ説明でさあ。


ペイペイ

2019年10月12日 | 仕事

を決済に導入することにした。

 当院は以前からキャッスレス決済は結構積極的に導入している。クレカも今や、日本で扱われているカードのほとんどが使えるし、Suica系交通カード・Waon・nanacoも使える。これは土地的な事情もある。だって病院の裏方面にイオン&ヨークマートがあるわけでして。裏でチャージしていただいて、病院で決済、という方法ですね。このカード決済はとても評判がいい。皆さんやっぱり、暴れ回る犬や猫を引き連れて、長財布出して、お札出してお釣りもらって、というのが大変なんですよ。SuicaやWaon・nanacoなら、端末にちょっとカードを置いてオシマイだし、ポイントも付く。病院の決済は割合大きなお金(といっても、当院では大体数千円レベルですけど)なので、結構ポイントも大きいのでは?

 でもねえ、いわゆるQRコード決済については、何たらペイが乱立するもんで、結局どうすりゃいいのか分からない。ので、状況をずうっと見ていた。注目点は、客側の使いやすさと店舗側の使いやすさと、現金との互換性の良さ、というところでしょうか。あーあと、事故率&その保証ですか。

 ここで、lineペイが脱落。というか、lineやメルカリで採用している、アプリ内で金を動かす仕組みって、現金との互換性が極めて悪いのだ。現金に換金すると、結構な手数料が毎度かかる。まあ、lineペイはそもそも個人間決済で、店が使える感じじゃないんですけど。この辺の何たらペイは、要するに、該当決済圏内で金が回る経済圏を作る仕組みなんですね。サーバがいきなり吹っ飛んだらどうなっちゃうんですかね?

 ペイペイは、しょっぱなから現金バラマキキャンペーンを派手にやっていて、それが却って警戒させる感じになっていた。営業の人が来たこともあったんだけど、イマイチ。というか、すでに色々キャッスレスはある。自分はSuicaを愛用してて、大体Suicaで用が足りちゃうという事もある。その上どうしてQR決済?自分的には必要性がよく分からん、という。あーでも、そういえば、QR決済系で実際に営業の人が来たのは、ペイペイだけですねえ。ちゃんと説明はしてくれなかったけど。

 この間、近所のコーヒー屋さんで導入したというので聞いてみた。割といいのではないか、という。あと、最近、特に瀬戸物市みたいな露店やブースでペイペイコードを置く店が増えてきた。お店で一番普及率が高い奴がいいに決まってますよね。じゃあ、そろそろ加入してみようか、ということで、加盟店に。ついでに消費側としてもペイペイアプリを入れてみた。

 消費側としては:ペイペイアプリが直に紐づけできる(つまり、お財布になってくれる引き落とし口座の設定)は大手銀行なんだけど、紐づけできない信金等の口座については、クレカを介して紐づけできる。チャージも分かりやすくて、速い。他人に勝手に使いこまれないようにするには、オートチャージを設定しなければいいのではないか。

 店舗側としては:管理用のサイトやアプリがかなり使いやすい。あと、今のところではあるが、手数料が全面タダ。これはでかいです。要は現金と互換性がめっちゃいいわけで。あと、意外とこれは大きいかもと思ったのは、きったない現金に触らずに済む!!点。これは、お祭りの時の食べ物系露店さんとか、移動販売のお弁当屋さんとかにはとってもいい点じゃないでしょうか。

 QRコード決済は、中国で発展したそうなのだが、その理由も使ってみて分かった。日本で「めんどくさい・使いにくい」と言われる理由とくっついているのだ。

 中国の人って、原則金に関することは一切他人を信用してないんじゃないかと思う。小さい店で支払いしてお釣りをごまかされるだの、カード情報を抜き取られるだの、レシートの料金と実際の請求額が違うだの、もう、なんでもありなんじゃないでしょうか。だから、この決済法がハマった。この支払い法の特徴は「いくらです、と店側が言ってレシートを出す支払う側が、レシートを確認して支払金額を自分のスマホの決済画面に打ち込むそれを店側が確認する客が支払いを押して決済」という仕組みだから、店側のごまかしが効かないのだ。日本人はその辺、店側をやたら信用している。だから、「店側が請求する払う」という従来の仕組みに全然不安を感じていない。なのに、客側が金額を打ち込むって、なんだか店を信用してないみたいだしー、こっちが間違ったら悪いしー、という、心理的な壁があるんじゃないかしら。なーるほど、日本人が海外旅行でカモになるわけよのう~~。

 というわけで、ペイペイとスイカとなんかのクレカがあれば、まあまあ日本では生活できそう。ああ、電気が通ってるのが前提ですけど。ペイペイは、QRコードなら、電気なしでもスマホが動いてればなんとか決済可能だから、その辺は災害大国日本では若干有利かもしれないですね。

 


2019年06月24日 | 仕事

をめぐる問題は膨大だなあと思うので、今後はこちらで連載します。ネタは山ほどあるんだけど、絵だの図だのを描くのが大変で、続けられなかったんですけど、とりあえず、図は後で追加することにして、書こうかと。
で、本のご紹介。

 まとまった知識はネットじゃなくて本で得るのが正しいし、いいと思う。この本は2014年初版なんだけど、もう古くなり始めている印象・・・・。ただし、基本はしっかり押さえられているので。


パコマ

2019年06月20日 | 仕事

で蹄を消毒してるという話を、装蹄師さんから聞いたこともある。この逆性石鹸液は元々真菌に対する効果は小さいし、そもそも殺菌効果も低レベルである。あと、「石鹸」という言葉に騙されがちだが、この薬剤には洗浄効果は全くない。有機物に当たると速攻効果がなくなるし、薬剤耐性を持つ細菌も報告されている。消毒剤としてはしょうもないレベルの薬剤と言わざるを得ない。のに、なんでパコマパコマいうんかなあ?

 効果がどうも現れない、となると、消毒剤の種類を変えるんじゃなくて、濃度を濃くする方にいくらしい。で、その方の手が酷く荒れてしまっていて。となると、同じたんぱく質でできている蹄も荒れてしまいますよね。

 以前、馬インフルエンザが全国的に猛威を振るったことがあったが、これもパコマと関係あるんだろう。だって、パコマはウイルスになんかぜーんぜん効果ない。だから、これを振りまいて殺菌したってウイルス性疾患である馬インフルエンザの蔓延を止めることなんかできるわけがない。ウイルス・細菌・真菌、微生物には様々種類があるんだけど、それにどう対応するか、どの消毒剤を使えばいいのか、こういうのをきちんと管理監督して指示するのは、獣医の役割なんだけどな。牛の先生の方がよほどしっかりしている。何しろ、牛=食品を扱っているし、それだけじゃなく、万一法定伝染病が出現した日には殺処分=全滅が待っているわけで。真剣みが違うんじゃないかと思うんだけど。まあ、馬の先生方はなめられてますからね、色々言っても、聴く耳を持たないオーナーも山ほどいるわけですがね。

 ということで、真菌にしっかり効果があって、その辺で売ってるもの、となると、

みたいな除菌アルコールスプレーになります。ところが、アルコールは装蹄の現場でとても使いにくい薬剤なのだ。引火性があるから。蹄鉄をも変形させる高熱バーナーのガス火が燃えてるすぐそばで、この薬剤を使うのはかなり問題がある。

 となると、塩素系の除菌剤になる。これにも問題はあるのだが。

 そうそう、「除菌」「消毒」「滅菌」「殺菌」っていう風に、有害細菌や真菌やウイルスをどうにかするのに、色々な用語が使われますけど、この使い分けもちゃんと知識として持っていないと、どうすればいいのか、混乱するばかりでしょうね。


装蹄師さん

2019年06月20日 | 仕事

の仕事ってしかし典型的な「3K」なんですよね。キツイ・汚い・危険という。設備も規模もバラエティがありすぎる乗馬クラブや個人宅とかで鍛冶仕事をする、というだけで大変だと思うんだけど、相手は人間じゃなくて、馬で、どの馬もおとなしく足を挙げてくれるわけではない。下手をすれば、蹴り倒されて大怪我、も十分あり得る。女性もいらっしゃるようだが、基本的には男性じゃないと続かない仕事のような気がする。鍛冶仕事って力仕事の極みだもん。

 で、装蹄師の資格が国家資格じゃなくなった、というのもつらいものがある。民間の資格になっちゃって、まあ、今でも認定試験はあるけれど、どうしても格が一段落ちるし。

 結果、装蹄師さんは人数が増えない。どんどん減ってしまって、一人が扱う馬の数が増えまくる。定期的に爪切って装蹄して、だけならいいが、しょっちゅう呼び出されちゃやれ落鉄だ、蹄がおかしい、等々、一日中駆けずり回っている人が多そうなのだ。で、クライアントにあーだこーだ文句を言われたり。問題の解決法として、蹄に孔を開ける・蹄を削る・切る、という、「蹄を傷める」方向しかできないし。装蹄師には、蹄病を根本的にどうにかする、手段がない、わけ。まずい部分を削り取るだけが対応策となってしまって。

 中には、「装蹄の仕方一つで跛行が改善する」と言ってる人もいる、確かにそれはあると思う、が、忘れがちなのは「蹄は毎日変化する」こと。じりじり伸びるから、今日ベストだと思っても、10日もたつともう変わってきちゃう。その点が、例えば、ちょっとの調整でべらぼうに変わる、人の歯科治療と異なる。

 蹄の適切な状況とはどうあるべきなのか、も、実は混乱している。簡単に言うと「裸蹄と装蹄では、蹄のあり方が変わってしまう」こと。装蹄を前提にした仕事をしている装蹄師が「裸蹄で過ごさせたいから」という依頼を受けると、とにかく削る、けど、それが適切なのか、が分からずやっているようだ。

 これについては、日本では全く勉強できないみたいなので、海外で勉強できればいいんだろうけど、英語ができる人がほとんどいなさそうだし。

 でねえ、自分的には、結局、どんな切り方しても、健康な蹄になるなら何でもいいわ、となってしまいそうになっちゃうんだ。ところが、健康な蹄が、プロがかかわった途端に不健康になる、というジレンマ。人数が少ない一人当たりが関わる馬の数が増える爪水虫感染が全国レベルで広がってしまう、ということでもある。まいりましたね・・・・・・。

 前回書いたように、装蹄や削蹄の仕事のせいで蹄が感染を起こす、となると、じゃあどうやって対策を打てばよいのやら、となる。ヤスリも鎌も、蹄鉄もクギも鉄製、つまり錆びる。となると、蹄一つ作業するたびに道具を消毒するというのは、全く実用的でない。錆びちゃうし、道具が乾くまでは次の蹄に取り掛かれず、作業時間が余計にかかるし。

 となると、これも人間の水虫感染防止策とリンクするのだけど、削蹄・装蹄し終わった蹄を、その直後に徹底的に消毒する、というのがまず大事じゃないかと思うのだが。


2019年06月17日 | 仕事

の獣医ってのは気楽な稼業ときたもんだ~~~~。

 同業者と仕事について話すのは久しぶりなんだけど、ここまでレベルが低いとは思わなんだ。いったい、どうなっちゃってるんですかねえ??

 なぜそう思うか、話した(というか怒鳴りあった)のが、自分の持ち馬の件についてだから。ああ、競馬馬じゃありません、勿論。ただの駄馬ですけどね、なにしろ病気のデパートみたいになってる。(多分)腺疫に罹患したのが運の尽きで(これもおそらく、他馬に噛みつかれてからおかしくなってるから、うつされたと疑っている)、そこから罹患馬のうち1~5%程度がなるといわれてる、「免疫過多症候群」(と自分はかねがね呼んでいる。馬の本には「紫斑病」なんて書かれてるが、これは「症状」について示した病名で、実際の「病態生理、つまり病気の成り立ち」を指した名称ではない。馬の疾患にはこういう病名の付け方がやたら多くてー疝痛ってのが、そもそもそうですよねー従って、病名を振り回す関係者多々あれど、その病気が要するに何なのか、と説明できる人間は、獣医を含めてほとんどいない。ヤブ医者が多いわけよのう)という、レアケースにはまってしまった。で、なにかというと出血傾向の発作を起こす。紫斑病=血小板減少症なんだけど、これは一種の自己免疫性疾患で、自分の免疫が自分の血小板を攻撃して片付けてしまうもんで内出血が止まらなくなる、だけじゃなく、免疫異常があちこちに起こるので厄介だ。自分とこの馬については、どうやら急性関節炎・つまりリウマチ様の症状が出る。もうこうなると、とにかく副腎皮質ホルモン剤、すなわちステロイドを使って、免疫の過剰反応を抑え込むしかない。

 で、それについて、ケチを付けられましてね。ステロイドなんぞ使ったら、蹄葉炎になるぞ、そうしたら安楽死だぞ、と脅かされるわけよ。

 そんなこたあ分かっとるわい

 でも免疫過多症候群=紫斑病については、ステロイドを使うよりか方法がないでしょうが、と言い返したら「紫斑病ってなに?」と現役の獣医に聞かれたんですよお~~~ 。

 プロ相手に、免疫とは何ぞやからしゃべらなくちゃならんの???あんた、いったい何を勉強してんだよ!!

 
 問題点は多々ありますよね。いきなり高飛車な物言いといい、脅しつけてそのくせ、まともな対策を指示できないとこといい。しかしもっとまずいのは
1)クライアントの話をきちんと聞かない。経営で言えば、「現状」=貸借対照表だけ見て物を言ってて、カルテ、すなわち損益計算書を見てない。これじゃあ、誤診するに決まってるがな。つうか、馬の獣医ってカルテを付けてないみたいだな。それでどうやって、疾患の継続治療ができるんだ?

 今やスマホ一つで電子カルテをエクセルで作れる時代だ。歩様だって、スマホで簡単に記録できるし、忙しければ、治療内容を音声でとりあえず残しておくこともできる。なーんにもしないのが、馬の獣医らしい。こっちには奴の電子カルテがある。見せてもらえますか、の一言もなし。その場で見れるのにさ。

2)症例に対する敬意がない。これ、最大にまずいですよ。腺疫後の免疫異常、まあこの手の免疫異常症候群は当院では珍しくもないのだが、大動物ではレアでしょう。そういう珍しい症例なら、ぜひ、診させてほしい、状況を教えてほしい、というのが普通の反応だと思うんだけどね。頭ごなしに「ステロイド使うからどうこう」って全然ピントが外れてるんだよ。

 こんな調子で、あちこちでクライアントを脅しつけてえばってて、なのに全然治せないから、なめられるんだよね。

 実際、自分の馬については、馬の獣医の話を聞くと、必ず酷いことになる、のに気が付いたもんだから、関わらせないぞ、と決めて自分で治療することにしたわけだけど。頼みもせんのに勝手にしゃしゃり出てきて、なんなんだ?

 でですね、その獣医と怒鳴りあってて、あーそういえば、と思いついたことがある。「ステロイドを使うと、馬は蹄葉炎になる」のはなぜか??その理由が分かりました。

 これはね、蹄鉄と装蹄師のせいなのだ。

 FBって情報の宝庫なんだけど、グループというのがある。馬の蹄のグループというのに誘われて入ってみたら(もちろん英語のグループです)、世界中の馬の飼主が自分の馬の蹄がおかしい、どうしよう、どうすれば、と悲鳴を上げているのにびっくりした。投稿写真もひどいものが多い。なぜだ?というか、もし、馬がこうまで蹄病にかかるのなら、野生馬なんか、とっくに蹄病で全滅してるでしょ。しかし、そうは全くなってないじゃない。なのに、丁寧に世話されてるはずの家畜馬がこのありさま、どうなってるんだ?

 一方、蹄疾患の病名も訳分らんものばかり。挫跖・裂蹄・砂のぼり・蟻道、全部「状況」病名なんですよ。蹄葉炎も結局は状況。その原因なんか、全然分かってない、らしい。色々言われてますけど、そうかあ???と思う事ばかりでね。

 この件は本当に悩んで、めちゃくちゃ考えた。蹄病学会に入ってみようかと思ったこともある。でも、なんかどこかピントが外れてる感じがしてね。たどり着いたのが、人医の皮膚科。蹄=爪なんだから、そっちからヒントが得られないかと思ったわけだ。で、今の結論は、

蹄病=爪水虫=白癬菌感染症

 ということ。爪水虫は人間でも難治性疾患なのだが、どうやって感染するのか?「爪切り」でうつされるんだそうですよ。家族で爪切りを共有するな、が爪水虫の蔓延を防止する対策の重要な方法なのだ。

 装蹄師の皆さん、道具を一回でも消毒したことありますか?蹄ごとに消毒(しかも、真菌を殺菌するような消毒剤ですよ)してますか?

 ああ、バカの一つ覚えみたいに「パコマ」って言わないでね。パコマはただの逆性石鹸、真菌には全く無効でございますから。そんなことも知らずにパコマ振りかけて「消毒した」ってパコマ感受性の細菌がいなくなったら、逆に真菌が増えやすくなるだけ、なんですよね。

 要するに、馬どもは、装蹄師のヤスリや鎌で蹄に白癬菌をすり込まれちゃってるのだ。シイタケの種菌を原木に植え込むようなもの、あとは環境次第でいくらでも白癬菌がはびこる。白線病や蟻道に罹患する部位は、おそらく、蹄の中でも一番柔らかくて感染しやすい部分なんでしょう。で、真菌は同心円状に広がる傾向があるから、その調子で上へ上へ感染してゆく。そこに追加で別の細菌が入り込む。わやくちゃになっちゃうんでしょうね。装蹄していると、クギ穴からどんどん細菌が入り込むから、ますます話がややこしくなる。蹄鉄を打つ際には蹄を焼いてしまうのだが、その結果、蹄が変性してさらに感染しやすい土壌をつくってしまうし。

 ステロイドを使うと、免疫が抑制される、その結果不顕性感染していた蹄の感染が、一気に憎悪する。で、蹄葉炎に進行してしまう、というわけだ。筋が通ってると思いませんか?

 これは、人医界で言うと、抗がん剤のような免疫抑制の強い薬剤を使うと、口腔内の感染症や虫歯が一気に悪化する、仕組みと共通している。人間の体内で一番汚いのが口腔で、それが家畜馬では蹄、ということなんですね。そりゃそうなるよね、ど汚い、臭い厩舎の床に1日中立ってなくちゃならない日の多さ、馬場だってど汚いのは変わらないしね。

 だから、旧来「挫跖」と言われてるのも、結局はそうした蹄感染症が、なにかの拍子で部分的に憎悪して内出血や化膿巣になる、という事なんだと思う。白線病・砂のぼり・蟻道なんてのは爪水虫の症状、蹄葉炎は、蹄感染症が最悪状況にさせられたこと、となる。それが削蹄や装蹄のせいだとなると、皮肉ですなあ。やらなくちゃならない、という事になってしまってるんだもの。


年金

2019年06月11日 | 仕事

て、予想通り、今後は全然足りなくなるんだそうですね。そりゃそうでしょう。だって、生まれてくる人がどんどん減ってるんだもの。

 でもって、自助努力をお願いします、大体2000万くらい。と金融庁が本音を口走ってしまった。あーあ。これで、ますます子供が生まれなくなるでしょうね。自分の生活だけでカツカツになっちゃうから。

 でも、年金は払っとくに越したことはなくて、なにももらえないより、いくばくかでももらえる方がマシですから。むしろ控除狙い、というのもある。これで、税金を節約できるしね。
 

 で、経営の話の続き。経営とはなにか、と聞かれたら「判断を1日百回すること」と、「1日24時間中25時間くらい金のことを考えること」となる、自分の場合は。判断には、「先送りする」という判断も含まれる。誰かを全く当てにできない。これはですね、もう訓練するしかないわけですよ。かなりしんどいです。

 で、金。経営というのは金儲けです。だって、金がなくちゃ、まともな設備だって薬だって調達できないし。というわけで、「赤ひげ」みたいな話を、自分はとことんバカにしている。しかし、金儲けというのは、本当に難しい。要は「利幅」の確保というところに落ち着くのだろうけども、それをどの線で行くのか、が問題になる。スーパーみたいに利幅をかなり薄くして大量に売るモデルから、一部のお金持ちに特化した方法で利幅を確保する方法、土地柄もあるだろうし、自分がどうしたいか、というのもある。雇用人数(人件費は、とにかく一番かかるとみていい)も大きい。あと、世の中の大きな流れというのもある。この流れって、政府があれこれやっても、どうもうまくいかない感じですよね。流れに竿刺したって流されちゃうだけでね。

 という事で、とにかく新聞を読まないとダメらしいのだ。定期購読している人ってすごく減ってるようですけどね。大局をつかむ、ことが重要、らしい。ネットでいいじゃない、ダメなんですよ。ネットというのは、その人が興味あります、という記事しか出してこないから、すごく視野が狭くなっちゃうのだ。

 金儲けって、要は「なるべく使わず、なるべく貯めこむ」という事なんでしょうけども。病院でいえば、最初に作った「病院」なる設備や手術用具や各種検査や治療に使う機械等、長持ちさせて大事に使って、となるでしょうか。これは、ほぼ成功している。考えましたもんねえ、最初に。

 当院で一番自慢できるのは「臭わない」。ペット関係で「臭い」とこって多いですもんねえ。臭い病院は論外でしょう。臭い=掃除ができてない=不衛生=院内感染多発警報という奴で、こういう場所にはおっかなくて入院なんぞさせられないと思うんだけどな。とりあえず、掃除しやすくて臭いが染み付かないような設備にしたのだ。具体的には珪藻土&クッションフロアを壁材に使用・リノリウムの床という基本設備。リノリウムにはびっくりしているんだけど、ゴムに弱い弱点を除けば、とにかく痛まない。リノリウムの優れた点は他にもあって、静電気を帯びないらしくて、埃を吸着しない。ので、埃のこびりつき汚れがない。

 以前勤めてた病院の入院室が激臭くて、こんなとこによく入院させられるなあと思ってたんだけど、その臭いの元は結局「掃除をしないだらしなさ」と「掃除しづらい床や壁」だと気が付いた。特にビニルクロスは最悪で、埃も臭いもガンガン吸着してしまう。安物だと、ついでにカビもくっつく。いやんなって入院室の臭いをハイターでなぎ倒したんだけど、しばらくするとまた臭い出すのは壁材のせいだったみたい。

 ああ、経営って、最初は張り切って頑張るんですよ。ところが、1年もたたないうちにだらしなくなる、のは男の経営者に多いと思う。前いた病院の経営者はまさにそんな感じで、最初はせっせと掃除なんかしてたらしいのに、あっという間にやらなくなった、んでしょう。経営ってトイレ掃除からなにから自分でやることで、これができないなら、経営なんかしないほうがいいです。

 それは、患者さんに対する姿勢も同じで、最初の頃はサービス満点で、例えば自分のケータイの番号なんかまで教えちゃって、「いい先生よお」と、言われるのに、2年もたつと、「診療時間以外は電話に出てくれない」センセイに早変わりする。こういう風にサービスの質を自己都合で変えちゃうのが、患者さんの信頼を損なうのにね。だから、一番最初に決める「サービス内容はここまで」とか「料金はここまで」というのはすごく大事で、これがぶれないようにするためには、自分が守りやすい内容にしておくことだと思う。その結果「サービスが悪い」と言われたとしても、自分の労務管理ができるのは自分だけだから。

 そう、経営って結局「いかに継続するか」なんですよね。継続しやすくしなくちゃ、潰れるに決まってるわなあ。