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なんとなくクラシテル

獣医という仕事をしている人間の生活の例の一。
ほとんどが(多分)しょーもない話。

ラビットフード

2024年04月23日 | 仕事
は、では、何のためにあるのか?
 これ、結構不思議で、以前栄養分析等調べてみたことがある。分かってきたのは、やはり「家畜として効率よくパパっと成長して肉になったり毛皮になってほしい」が目的だったみたいです、元来。
 この件は、家畜草食獣全般の食餌について中心的な考え方で、例えば牛にも本来必要ない高栄養の濃厚飼料を与えないと乳質や肉質を保てない、そうすると今度は胃消化管の不健康を招く、という矛盾した現象が起きている。まあ、健康を害した時点で屠畜、という解決策(問題だあという話も出てはいますけどね)でオシマイにできるけど、ペットとなると、そうはいきませんわね。

 ラビットフードにはもう一つ大きな問題がある。「歯をろくに使わずに食べ込めてしまう形状」ですね。
 これはドッグフードやキャットフードも同じで、犬や猫はろくに噛まずに飲み込んでいる事が多い。これは別に問題ない、その理由は、犬猫の歯は、「噛み砕く」能力がないから。飲み込んだって、フードは胃の中でうまい具合にふやけて消化しやすくなってくれる。
 しかーし、ウサギは、本来歯を徹底的に使って硬い草を噛み切り、さらに咀嚼して食べる生き物。使いまくるから、歯が生涯伸び続ける仕様になっている。ラビットフードはしかし、前歯でちょこっとつまんでテキトーに噛んでそのままゴックンしてOKなんです。動物はすぐ「楽ちん」に走る性質があるから、この食べ方になじんでしまうのも早い。で、歯が伸び過ぎたり、咬み合わせがずれたり、ろくな結果にならない。
 これを抑制するために木を齧らせましょう、と齧り木なんかも売ってますが、ガジガチ齧って木片を食べ込むと、今度はそれが胃炎の原因になる。ダメじゃ~~~~ん。こういう齧り木って、歯をまんべんなく使うことができないしね、結局歯の異常につながってしまう。
 ってことで、ラビットフードは、与えるにしてもせいぜいおやつ程度にしときましょう。となってしまうんです。

ウサギの食餌

2024年04月22日 | 仕事
 について。胃内うっ滞等々、とかく消化器病が多いウサギに何を与えればいいんでしょうか?との質問には「牧草だけ」というつまらない答になってしまうんですが。
 牧草だけで栄養は大丈夫なのか?これは、まあ、大丈夫だと。そこら辺が草食獣とそれ以外との大きな違いです。草食獣の消化管内に存在する腸内細菌叢は我々雑食~肉食獣のそれよりめっちゃ大量で、上等の機能を持っている。だから、かさかさした植物繊維を消化することができるわけ。この機能Maxなのが反芻獣で、彼らの糞便は、もう「土」レベルに近いところまでになっちゃってる。
 多分ウサギの消化システムはそれに次ぐのではないか?2段階に分けて消化して、コロコロ糞にまでしちゃうわけで。象や馬等は、ちょっと効率が悪い。糞便中に繊維が残るので、糞便が原料の「紙」を作れたりするんんですよね。

 この辺も「家畜」としての優秀さにつながっているのだけど、ペットには不向きなんですよねえ・・・・・。人間はどうしても、「何か」やりたくなってしまうらしいんですよ。世の中には、それを当て込んだ「ウサギ用」と称するおやつだのフードだの、ゴマンと売ってます。わざわざ購入して、食べさせて、ウサギの健康を害する結果に、という例が後を絶たない。
例えば
 とか とか
あたり。
何がダメか?これ全部、盲腸の細菌叢をぶち壊す恐れがあるから。
ウサギに与えていけないものは
  1. 糖質
  2. 炭水化物
  3. 穀類
盲腸内で、植物の線維は善玉菌による「発酵」でもって消化されるんだけど、こういうものを与えてしまうと悪玉菌が大量発生して、発酵じゃなくて「腐敗」に簡単に変質してしまう。体内で食物が腐る→そりゃ腹痛くらい起こしますよね。で、オダブツと。
 もう一つ、特にメスウサギにこの傾向が強いのだけど「甘くておいしい(と感じる物)」に固執して、偏食してしまうのが困る。ウサギの偏食はもう凄くて、改善が全くできず、飼い主が音を上げてしまう事が多々あるのだ。だったら、最初から与えなきゃいいでしょうが、そうはいかないようなんですよ・・・・。ペットショップにこういうのが並んでいると、与えていいのかな、とも思うし、まさか、その後ドライフルーツしか食べなくなる、なんて思いもしないのね。
 要は、ウサギを飼う、というよりは「ぬか床を飼う」つもりで管理してほしい、と飼主にはお願いしてるんですが・・・・。

 ついでに言うと、ウサギをはじめとする「草食獣」全般には、この腸内細菌叢の問題があって、抗生物質が非常に使いにくい。我々や犬猫に通常使うタイプの抗生物質をウサギに投与すると、軽く死にます。抗生物質によって腸内細菌叢が攪乱されてしまう=敗血症→オダブツ、というコース。ここも、本当に治療がしづらい、不利な特性ですね。

ウサギの胃うっ滞

2024年04月19日 | 仕事

は、起きた時点でもう危ない疾患、といえる。何が危ない?命が、です。病態生理としては、要は胃に入ったものが腸に流れていかない。胃で行き止まりになっちゃって、それ以上進まない。従って食欲がパタッとなくなる。

 この時点で速攻で病院に来ていただきたいんですけど、特に初診の方はつい様子を見ちゃう。「家族」の食欲がなくて何日も様子を見るか?と不思議でしょうがないのだがなのに様子を見てしまう原因は、「便は出る」から。これは、実は盲腸に入ってる食渣が「在庫」になってて、そこから便がだらだら出てくる、という事。便も出なくなった頃はもう、にっちもさっちもいかない事態に陥ってる。

 では、胃に詰まっているものはなんなのか?一番多いのが「毛」。胃うっ滞が胃内毛球症とも呼ばれるのは、そのため。「胃内毛球症は猫にもあるのでは?」いや~~~、当院では猫で診た事1例もなし。そりゃそうで、猫はたまった毛玉を吐き戻すから。「嘔吐ができない」ウサギにしか起こらないんです。

 ウサギの胃内毛球症が起こる原因を箇条書きにすると

  1. 嘔吐できない特性
  2. 毛玉ができやすい、もつれやすくてハンパに長い毛質
  3. ヒマな生活
  4. ラビットフードの悪影響
  5. 体格(矮小)
が挙げられます。
1は前回書いた。2.は、結局「毛皮用」という家畜用途が裏目に出ている。なのに、長毛種なんぞまでわざわざ作出しちゃって、もう殺してるようなもんですよね。実際、長毛種は長生きしにくい。
3.野生のウサギって、多分年がら年中・1日24時間、気を張って生活してると思う。いつ何時、敵にやられるか分からんから。だから、身づくろいだっておそらくはマジ安全だよね、って時に集中してパパっとやってるんでしょう。なのに、ああ、ペットのウサギは安全極まる場所(しかし狭くてなにもできない)でごろごろ、なーんにもすることない、ヒマでヒマで・・・。こうなるともう、身づくろいくらいしかやることないんですよ。鳥だったら、地頭がいいので芸の一つや二つ仕込んで、というヒマの潰し方ができるのだけど、ウサギはそれもできないし・・・。
 今の換毛期はそんなわけで、1年の間で最も危険な時期といえる。飼主さん達はせっせせっせとスリッカーで毛を抜くんですけどね・・・・。
4.これも大弱りしている事なんですが。結論から言うと「ウサギにはラビットフードを与えるな」になっちゃうんです。
胃うっ滞を起こしたウサギを胃切開すると、内容物は大体「毛とラビットフードが丸まって団子状態」というもの。ここで、5の「矮小」が災いしてくる。特に小腸の口径が狭いので、毛玉を腸に送って排泄して、ができないのだ。
 ラビットフードには、この病態を警戒して「グルテンフリー」タイプもある。団子になってしまう原因はグルテンにあるのでは、というのは一理ある。でも、実際にはグルテンフリーでも何でも、毛玉はできてしまうようなのだ。ラビットフードを、あの形状に固めているなにかが悪さをしてるような気がしますけど。結局は、絶対に団子にならない「牧草」だけ食べさせてください、という事になってしまう。
 
 ところでスリッカーですが。ウサギの毛質は柔らかいので、スリッカーでないと毛を抜くことができない。櫛なんかじゃ到底無理。しかし、スリッカーにもあれこれあって
 
こういう金属製のものは、皮膚を傷つけちゃうので✖。向いているのは
または、金属製ではあるけれど
これは、先端がプラでコーティングされているので、皮膚刺激が少ない。
ウサギを飼うなら絶対に持っていた方がいい道具ではありますが、これで完全に防げるわけではない。何もしないよりマシという程度。だから、ウサギの体格は大きい方がいいんですよね。毛玉がつるっと腸に流れてくれる程度の腸口径が必要なんです、本来は。


ウサギの消化器病

2024年04月19日 | 仕事

は、ウサギの疾患全般のうち、多分6~7割を占めているんじゃなかろうか(当院比)。飼主が比較的気付きやすいのは歯牙疾患と便秘ですけど、なんか知らんがついつい「様子を見る」人が多い。で、オダブツ、あるいは病院に来た時すでに「オダブツ寸前」という状況になってしまっていること多し。で、飼い主逆ギレという・・・・・。ワタクシどもはカウンセラーじゃないんですけど。

 草食獣全般にいえることだけれども、消化管の構造が我々人間や犬猫等々の雑食~肉食獣とは抜本的に異なる。でなければ、あんなカサカサした牧草なんかでむくむく太れる筈がない。哺乳類でいえば、牛や鹿等々のいわゆる「反芻獣」と、ウサギや馬・バク・象のような草食獣は構造が異なるのだが、ウサギの消化管を簡単な図版にすると、こんな感じ。

とにかく盲腸がでかい。腹部臓器の3~4分の1を占めている。ウサギは胃や小腸で直接草を消化できているわけではなく、一旦盲腸内の細菌でもって草の線維等々を分解する。で、それが「盲腸便」という軟便で出てくる、のをもう一回食べて(こんなことを夜な夜なコッソリやってるんですよ)それを改めて消化吸収している。小腸は非常に長い。こんな巨大な消化管を腹部に押し込めているから、腹が大きくなるんですね。ので、胸腔が常に圧迫されてて狭い。これは、手術の際に呼吸を確保するのに大きな障害となる。矮小になればなるほど、危険が増すわけ。

 もうひとつ、ウサギの重大な消化管の問題は、ズバリ「嘔吐できない」です。吐き戻しができないから、一旦飲み込んでしまった物は排泄するよりか排出方法がない。これが、ウサギの主たる消化器疾患である「胃うっ滞」の大きな誘因になってます。

また次回。


矮小ウサギ

2024年04月19日 | 仕事

は、今や日本のペットウサギの大半を占めていて、本当に困っている。小さい治療できることはどんどん減る、という事実にいい加減気が付いていただきたいんですけども。

 アメリカでもウサギをペット目的で飼っている人はいて、ウサギの医療に関する教科書もあります。しかし、とにかくサイズが全然違う(アメリカのウサギはおおむね体重5㎏以上)から、そこに書かれている医療行為がデキマセン、ということが多いのだ。例えば採血。「耳の動静脈から採血しましょう」とか「耳の静脈で血管確保できます。そこから静脈輸液しましょう」。これ、日本の矮小種(体重おおむね1~2㎏未満)では至難の業。一番細い静脈針の直径より、血管の直径の方が下手すりゃ細いんだもの。無理に静脈カテなんぞ入れたら、その先が血行不良起こして壊死する、なんて危険すら出てくる。耳自体もペラペラで、ちょっとでも動かれたら(ウサギを完全に保定なんかできちません)針が耳を突き抜けたり、なんてことは普通に起こりえる。ウサギは、勝手に耳をパタパタ動かすことができますしねえ。これで針を吹っ飛ばして終了。も珍しくない。

 小さいことはとにかく不利を招く。消化管もそうで、これが、ウサギ特有の消化器病を招くのだ。

それは次回。


日本

2024年04月17日 | 仕事

のペット用ウサギの体格上の問題点はあれこれあるのだけど、最悪なのは「矮小」。次いで「口吻がどんどん短くなっている」。この2点。

 口吻の問題から。

 この写真は「ニホンノウサギ」

 あまり可愛くないなあ、という印象はどこから?毛色もだけど、顔がずぬっと長いから。

 で、「もっと可愛く」ってな飼主の要望に応えてなのか、最近のペットウサギは、総じてこんな顔です。

人間はどうしても、「丸まっこい顔」に可愛らしさを感じるんですよね、だもんでこんな顔つきのウサギが大半になってしまった。このせいで、歯並び等に問題が起きやすい。こんな小さい顎にびっしり臼歯を並べてる、下手すると目にまで問題が波及することもあるくらい。

一方、涙を鼻の奥に流す役割を果たす鼻涙管(人間だと、鼻涙管があると分るのは、点眼液をさした後、しばらくするとなんか点癌液の味が戻ってくるでしょ、あれです)が狭窄したり、曲がっちゃって詰まりやすくなる。で、いつもいつも涙目、とか、眼瞼炎とか、になりやすくなってしまう。

 歯は特に草食獣にとっては超重要な消化器官なのだけど、それを外見のために犠牲にするもんだから、トラブルが起こるし、いってみれば先天性なので、治しようがない、という事になるわけ。

これは、秋田県で飼育されている食用のジャンボウサギなんですが、自分的には、これをペットにしてよ、と思うんですよ。顔つきは可愛くないけど、でっかくてモフモフしてて、この「ザ・ウサギ」感がいいですよね。矮小じゃないから、健康面もトラブルが少なくて済むと思う。

 矮小の問題は、次回。


ペット

2024年04月17日 | 仕事

としてのウサギはどうか?となると、前二回に書いた事がどうも悪い方に振れるんですよね。

 ペットについて、飼おうとする人が求める事はあれこれあるでしょうけど、まずは「その子が健康で長生きして、そこそこコミュニケーションがとれればいいな」という希望があると思う。これを結構裏切ってくるわけですよ。健康管理も難しい・長生きできるかはバクチ状態・全然懐いてくれない、とまあ、こんな感じの印象を持ってがっかり、という方が多いのだ。今までの経験では、100匹いて99匹位はぜーんぜん懐かない。で、新米飼主さんが愚痴る「YOUTUBEで(またはブログで)可愛くて人懐こいウサギを見て、これならと思ったのに~~。騙されたー!!」。そりゃね、YOUTUBEがレアなんですよ、と前2回書いた事を話すのだけど。。。。

 面白いのだが、人間側に、時々「ウサギ遣い」っぽい人が現れるのだ。なぜか、ウサギが懐く。犬みたいに迎えに出たりしてくるんだそうです。だから、動物と人間の関係というのも、なかなか相対的なものだと思うのだが、自分がそうなれるかどうかは、飼ってみないと分からないですよね。まず、普通は「ない」と。そうなると、ウサギは「観賞用」になってしまうことが多いし、実際、見ている分には可愛らしいしぐさ等、その辺は飼いがいがある、のかもしれない。ただ、コミュニケーション等々、飼主が期待しているようには、まず、ならない、らしいんですよね・・・・。その辺をきちっと理解して割り切って飼えるかどうか。

 なぜに懐かないか、はやっぱり家畜として飼われ始めた「目的」でしょうね。肉だ毛皮だ、となると、別に人間に懐いてくれる必要性なんかないし。人間に「行動」で貢献して家畜になった犬・猫・馬とは根本的に違う。

 で、日本のウサギには、体構造上、生存に不利な独特の状況がある。これがさらに、ウサギの寿命を縮めてしまっているんだけど、それも「飼主側の要望」にブリーダーが応えちゃった結果、と言えなくもない。

また次回。


ウサギ

2024年04月16日 | 仕事

の話の続き。

 ウサギの動物としての特徴なのだけど、こんな感じ。

1.交尾排卵だから、交尾すりゃまず、100%妊娠してしまいます。だからポコポコ増える。ついでに言うと、メスはもうしょっちゅう発情を繰り返している。これは、メスウサギの寿命の短さと直結している。後述しますが。

2.野生状態でも、家畜としても寿命は短い。野ウサギの寿命ってせいぜい3年位なのでは。で、みんなの食糧源になってる。家畜としてもそう。だから、どうも、「長生き」を前提とした体構造になってないフシがある。ウサギについては、個々の命の価値なんか極めて薄くて、その代わり、旺盛な繁殖力でもって「種族」を維持する、方にたけてる。この辺は食物連鎖低位のげっ歯類グループ等々は総じてそんな感じなんだけども、ウサギの場合、寿命的なものがハンパに長めだから、ペット扱いした時に面倒が起こりやすいのだ。ハムスターなんかは寿命たってせいぜい3年あるかないか、だから割り切れる、らしいんですが。

3.そのせいもあるかと思うんだけど、非常に地頭が悪い。多分名前も覚えないんじゃないかな。そりゃそうで、なまじ頭がいいと、自分の仲間がある日急にいなくなった(野生だと、多分食われてる、家畜でも肉になったり毛皮になったり)、一々気にしていたら、ノイローゼで死んじゃいますよ。そういうのに感傷を持たない程度にぼーっとしてるから、生き延びられるんですよね、おそらく。

4.頭の悪さが災いしているんだか、病気をまず、飼い主に分からせない。本人も分かってないんじゃないか?とすら思わせられるんですが。で、治療すると急に調子よくなった風に見せたり。要は「just now」な生き物で、これが非常に治療を混乱させる原因になるし、飼主を振り回す元凶にもなる。

 今まで診たケース中、一番大変だった例。メスウサギで、跛行してる、と飼主は言う。レントゲンを撮って分かったことは「子宮蓄膿症」。全然違うやん。しかーし、飼主は全く納得しないのだ。跛行と腹部の異常が全然繋がらないから。開腹手術してみたら(これを納得してもらうのに大苦労しましたよ~~~)、なーんと、子宮破裂を起こしていた。なのに、主症状が「跛行」じゃあねえ。跛行=腹痛の意味だったんでしょうけど、飼主が理解できるはずもない。それどころか、切除した現物を見ても納得して下さらなかった。ホント、一歩間違えば、こっちも訴訟を起こされた可能性があったんですよ。

続きます。


ウサギ

2024年04月16日 | 仕事

の飼主がなんか起こした訴訟で、動物病院側が60万以上も支払わされる、という判決になったみたい。もう、ウサギの新規患者はお断りしようか、改めて真剣に考えてしまう。今までも、もう何度となくウサギを診療対象から外そうか、と思ったことがあるんですけど。

 動物診療って、要はあくまで「サービス業」でしてね。医療じゃありません。だから、嫌になったら診療しません、でオシマイにできる、そういう権利があります。国税庁でも思いっきり「サービス業」に区分されてるし。当院での診療トラブル、かなり少ない方だと思うのだが、しかしウサギは当院でもとにかくトラブルの確率が高い動物で、もう哺乳類中最強難しい、と常々感じているし。

 なぜ、そうなのか、解説してみようと思います。凄く長くなるから、数回に分けます。これ読んでから、ウサギを飼うかどうか決めてほしい。この判決が出た以上、ウサギを診ますなんて酔狂な動物病院はほぼ絶滅すると思うし。まあ、覚悟して飼うしかないんですよ。

 ウサギって、一見飼いやすそうに見えるし、買いやすい。学校で飼育されてるから、なんか子供でも飼えそうだし、世話も楽そうだし、値段も安いし、可愛い感じがするし。

 これは事実ですが、子供でも飼いやすいというのは「家畜」なら、という条件付きです。ペットじゃない。

 ウサギの家畜化は、そもそもが食用&毛皮用。子供でも扱えるサイズ感・簡単に締められる・簡単にぼこぼこ増える・テキトーにその辺の草だの野菜くずだのあてがっときゃむくむく太る、あと、怖い伝染病があまりない(0ではない。これは後述)、すーべーてー「家畜」として有用な特性なんだけど、「ペット」じゃない。それをペット扱いしてしまっているのが、そもそもの大間違いなんですよね。

 学生の頃、エクアドルを旅行した時に、結構人のうちにお邪魔することがあって、ある田舎のおうちでモルモット料理を食べたことがある。結構旨いんです。そこの人に「日本じゃ。クイ(モルモットの事)はどうしてるんだ?」と聞かれて「ペットで可愛がってますよ」と答えたら、大笑いされちゃって。そういう事ですよ。エクアドルのバスで、ニワトリを生きたままも紐で足を縛って逆さにぶら下げて運んでる人を結構見かけたのだけど、暑い国で冷蔵庫もない、一番便利かつ安全な肉の運搬法が「生きたまま」という事ね。生きてる間は絶対に腐らないもの。で、家で締める。こんなのどこでもついこないだまでやってた事で、ウサギもこういう扱われ方をする家畜に過ぎない。

続きます。


電帳法

2024年03月16日 | 仕事

について。あーあ、案の定、という出来事が起きたので。

 とにかくどこかのストレージに、電子発行&受領書類を押し込んでおかなくちゃならない。本来は、こういう事を義務付けするなら、国税庁がストレージを準備するのが当たり前じゃないかと思ってるんですが、そういう事やる気ないみたいだし、結局あっちこっちのストレージを探す羽目になってる。

 で、当然安い、できればタダでないと嫌だ。という事で、マネーフォワード社のストレージサービスを利用してました。使ってるうちに段々使いやすくなってて、タダなのに悪いなあとか思ってたんですけど。こないだいきなりの「有料化」宣言 電帳法、まだ始まったばかりだっつの。

 まあ、そうなりそう、という予感はあって。だって、マネフォ、大赤字だっていうから~~。こりゃとっとと逃げるが勝ち、有料化も嫌だけど、挙句いきなり倒産でもされた日にゃ、どうもなりませんもん。

 で、別会社のストレージ(とりあえず、今のところはタダ)に移したんですけど、そこだって、いつ倒産するか分かったもんじゃない、ですよね。しかも、そんな事態が起きるかどうかだって、利用者側は分かりっこないしさ。

 国税庁は、そういう場合、どう対応する気なんでしょうか?

 帳簿の7年保管義務なんか、こんな事が起きたら吹っ飛ぶじゃない、だーかーらー、一応倒産しないであろう、公的なストレージを提供してよ、と思うのは、当たり前じゃないですか。


青色申告

2024年02月23日 | 仕事

が、終了。今回もようやく終わりましたあ~~。

 開院以来ずうっと個人事業でやってて、法人化なんか考えてこなかった。ここまで続けてると、法人化する意味なんか全くないわけなんだけども。なんか、最近YOUTUBEで色んな税理士さんが(多分本物だとは思うんだけど)、法人化した方がいいぞ、その方が節税になるって煽るんですけどね。法人化って絶対やめるべきと思うんですよね。

 自分が自営始めた頃に読んだ開業ノウハウ本(当時はYOUTUBEなんかなかったから)にも、年収400万くらいから、もう法人化した方がいいって書いてあって、その根拠は「節税」だったですねえ。法人化すると、年金も国民年金じゃなくて厚生年金にできるから、将来の年金額が増えるとか、健康保険も保険料を安くできるようになるとか。でもねえ、肝心の事を書いてないのよ。すなわち、法人化すると会計が複雑化して「税理士事務所に会計を丸投げしないと、納税自体ができなくなっちゃう可能性大」ですよ~~、って点。

 でねえ、税理士事務所に会計のまとめをお願いすると、節税なんか吹っ飛ぶくらい金がかかるのだ。

 つまりまあ、払うべき金を国や自治体か、それとも税理士事務所か、どっちに流す?という選択になる。これねえ、それなら、国や自治体に払った方がなんぼかいいじゃない、と思う訳よ。

 税理士事務所が潰れたって大勢に影響ない(働いてる人には悪いけど)ですけど、国や自治体が潰れたら大事じゃ済まない、から。

 今、国の借金ってとんでもないことになってて、どうすんだろ???と不思議でしょうがないんですけど、とにもかくにも税金は払っといて、国の財政に協力しないとマジヤバイ、と思ってるんですよ。よく、政治家が悪いとか色々言う人いますけど、文句言うならまずは、税金払ってからにしろと。

 年金だって、年金基金という2階建てにできる制度があるし、健康保険はまあ、かかりますけど、あれはまさに「保険」でして、その有難味は、自分が大病患わないとピンとこないだろうし。会社の健保って、病名の申告等々、プライバシーを会社に晒すことになる、ヤにならんのか?と不思議なんだけど。個人事業者を公的にサポートしてくれる所もちゃんとあるし。「商工会」ですけど、こういうライバル的な組織の存在をしゃべってる税理士チャンネルは皆無だから。うーむ、商工会がチャンネルをつくるべきかもなあ。

 こう天災が多いと、いくら政治家がまじめにやってたって、どんどん国庫から金が流れ出すことになっちゃう。今回の地震も、見てて感じるのは、もう住みにくい場所に、人を無理に戻すのは金の無駄だと。住んでるのが年寄りばかり、10年もたったらだーれもいなくなる、そんな場所をまた住めるようにしてくれ、というのは違うんじゃないかと。

 それにしても、YOUTUBEの税理士関連チャンネルを見てますと、世の中って、こんないい加減に会計をやってる会社が多いの?という疑問が。ありえヘン。やっぱ、せめて簿記3級当たりまでの知識は義務教育で教えるべきじゃないかしら。


青色申告

2024年01月17日 | 仕事

をやっと書き終えました・・・・・・。大丈夫だろうか?毎度のことながら疲れるわ・・・・。

 ところで、インボイス番号。これの使い道が国税庁的にもう一つあるらしい。青色申告書に変な記載事項が増えてて理解しました。こういうの、ありなんですかねえ?

 「売上先」だの「仕入先」だの、要は取引先企業の金額内訳を書けというもの。まいりましたよ~~~。勿論「仕入」だの「売上」の勘定科目はあるに決まってるけど、企業別の補助簿なんかつくる?たまたまつくってはいましたけど。取引先企業のインボイス番号も、そんな事もあろうかと一応記録はしておいたんだ。しかしまあ、あんな13桁の数字、絶対間違うから、しょうがなくエクセル方眼紙を使ってたんですけど。

 自分は国税庁のHPで作ったから確認できましたけど、手書きで作ったら、まあ、確実に間違えるでしょうね。どうすんですかねえ?めっちゃくちゃになると思うんだけど。いったい何社書くわけ?にもびびっちゃって。

 自分とこの取引先、細かく調べると、なんだかんだで20社近い。そりゃそうで、小さい企業のニッチな商品を当院は取り扱ってるから。これ、全部書くんですかあ?

 恐れをなして、商工会に聞きに行った。商工会で紙の申告書を見せてもらったら、4社程度書けばいいようなんですが・・・・・。意味あるんか?

 従来、取引先って、税務調査で個々に凸しないと、税務署が把握するのは難しかった、とは思うんですよ。それを申告書にある程度書かせて、おおむねの取引先を把握しようってなもんでしょうけど。で、循環取引等々、脱税っぽいとこをあぶりだす?4社程度で?

 一方「売上」先というのがおかしいのだ。「インボイス」=請求書でしょ、受領=仕入なら、そりゃ相手先のインボイスは分かる。しかし、こっちが「発行=出す側」だったら、相手先のインボイス番号なんか知りようがないじゃない。なのに、企業名&所在地&インボイス番号を書けって、どういうことなんですかあ?そんなもん、分からんわい。一々企業さんに聞くの?ナンセンス。

 国税庁さんは、ご自分で作った制度を理解してないんと違う?

 という事で、企業相手に何か売った覚えがないもんで、書くことなく終わってしまいましたが、年1件程度じゃ把握できないんじゃないか?呆れるよお・・・・・・それとも、自分の理解がおかしいのか?商工会さんも「意味不」とおっしゃってましたけど・・・。

 

 


動物病院

2024年01月01日 | 仕事

を開院してから、今年の5月で25周年だそうです。ウッソ~~~~。よくまあ潰れずにきたものよ。

 なんでこうも儲かってない?のはさておき。まあ、処方食等々、元値が上がっちゃったもの以外は(つまり技術料ですか)開院当初から一切値上げしてないもの、そりゃ儲からないですわね。

 つくづく思うのは。医療って退歩がない。で、実にいい時期に開院したんだなあと。一番進展著しく、且つ、それが実際に役に立つ技術や情報がもらえる時期に始めたんだもんね。

 思えば、大学卒業時なんて、薬なし検査なし、徒手空拳でどうにかしろっていう世界でしたもん、当時やたら心電図を勉強させられた(で、結局身につかなかった)のは、要はそれ位しか個人病院で準備できる検査がなかったって事で、しかも、実際にはてんで治療の役に立たないという。結局心電図&エコーは未だ当院にない検査機器だし。。

 病理検査だって、開院当初、ようやくやってくれる場所が出始めたんだけど、その場所がアメリカだったりして。で、誤診してくれたもんなあ・・・。今や、検査所はレッドオーシャンになっちゃって、あっちもこっちもハイレベル&正確な検査を請け負ってくれる。

 現在の問題といえば、そうした検査技術の進歩健康寿命の進歩、になっていない事。患者をどーでもいい検査で振り回すな、と思ってるんですけどね。

 と言ってる間に、また進展が。富士フィルムVETシステムズから、「馬の血液検査引き受けます」って。よっしゃよっしゃ。自分とこでもそこそこ検査できますけど、検査所が請け負ってくれるのならお安くできるし、ナイスだよねえ。

 あと、馬に使えそうな抗菌剤や消炎剤等々、ジェネリックが出てきて、現実的な価格で提案できそうな感じになってきた。とりあえず、自分の実験馬に使ってみたけど、良好良好。いけそうですわ。

 ということで、今年からは馬の内科診療(主に蹄疾患)を診療対象にしようか、と考えてます。困っている方、ご連絡ください。