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ブラームス:弦楽6重奏曲第1番/第2番
バイオリン:ユーディ・メニューイン/ロバート・マスターズ
ビオラ:セシル・アロノビッツ/アーンスト・ウォルフィッシュ
チェロ:モーリス・ジャンドロン/デレク・シンプソン
CD:英EMIレコード
このCDのブラームスの弦楽6重奏曲は通常の感覚のブラームスとは大分違い、新鮮な感覚で聴くことができる。何かシューベルトの弦楽四重奏曲を聴いているみたいな、爽やかで透明感のある演奏となっている。これは多分にメニューインに負うところが大きいようだ。ブラームスの弦楽6重奏曲はシンフォニーか弦楽合奏のように演奏するのがほとんどである。前にここでも紹介したヨーヨーマを中心としたCDはこの典型で、スピード感に溢れ、しかも重々しく、ブラームスらしく渋さが前面に強調される。ところがメニューインを中心としたこのCDの演奏はというと、非常にゆっくりと、一音一音を確認すかのように、そして、バイオリン、ビオラ、チェロがそれぞれ独奏する時は、ほかは聴き役に回るように独奏者を盛り上げる。
メニューインはシューベルトのバイオリンソナタで名盤を残している。これを聴くとメニューインという人は室内楽が好きなんだなあと感じられる。ブラームスの弦楽6重奏曲の第1番は、どのように演奏しても最後まで聴きとうせる包容力を持っているが、第2番は誰にでも好かれるかというと、そうはいかない。ブラームスが好きな人は第2番が第1番より好きという人もいるが、普通は第1番の方が聴きやすい。ところがメニューインを中心としたこのCDの演奏は、第2番がなんとも聴きやすく演奏されている。多分ブラームスらしい陰鬱さを排除し、爽やかさを前面に押し出したらかもしれない。久しぶりでこのCDを聴いみて、私もようやくこれで第2番を心地よく聴けるCDに出遭ったなという感がした。
(蔵 志津久)