【歴史的名盤CD選集】
~グレン・グールド、グリーグ、シベリウス、ビゼー、スクリャービン、プロコフィエフを弾く~
グリーグ:ピアノソナタ ホ短調
シベリウス:ソナチネ第1番/ソナチネ第2番/ソナチネ第3番
キュッリッキ(ピアノのための3つの抒情小品)
ビゼー:夜想曲第1番
半音階的変奏曲
スクリャービン:ピアノソナタ第3番
プロコフィエフ:ピアノソナタ第7番
録音:グリーグ=1971年3月13日~14日
シベリウス=ソナチネ第1番/第3番、1976年12月18日~19日
ソナチネ第2番/キュッリッキ、1977年3月28日~29日
ビゼー:1972年12月13日、1971年5月2日~3日
スクリャービン:1968年1月29日~30日、1968年2月6日
プロコフィエフ:1967年1月14日~15日、7月25日
ピアノ:グレン・グールド
CD:CBS/SONY 60DC 822~3
このCDに収められた曲は、いずれも非ドイツ・オーストリア系のピアノ曲の名作である。如何にもグレン・グールドが好みそうな選曲に思わず唸る。これらのピアノ曲をグールドは深い愛情を注いで演奏していることが、何よりこの録音の価値を高めている。グールドの研ぎ澄まされた感覚が一曲一曲に息づいており、それらの曲は新しい生命力を吹きかけられて、たった今作曲されたような新鮮な印象で蘇るのだ。これらの演奏すべてが鬼才グレン・グールドの隠れた名録音と言っても決して過言ではない。グールドは、力強い打鍵で曲の本質を探り当て、新鮮な感覚でメロディーを歌い、躍動感あふれるリズムに乗って格調高く演奏する。グレン・グールド(1932年―1982年)は、カナダ・トロント出身。母はノルウェーの作曲家グリーグの親族に当たるという。トロントの王立音楽院で学び、1945年にオルガン奏者としてデビューを果たす。録音のデビュー盤はバッハの「ゴルトベルク変奏曲」で、これが大ヒットし一躍その名が世界に知れ渡る。その後、演奏会からの引退を宣言した後、1964年3月のリサイタルを最後にコンサート活動からは一切手を引いてしまう。グールドは、生涯ショパンやリストは演奏しなかったが、バッハ、リヒャルト・シュトラウス、シベリウス、シェーンベルクなどの曲を好んで弾いた。(蔵 志津久)