あまり風もなく、晴れて良い日でした。風が吹くと、いまは雪国を通り抜けてきた空っ風ですから、肌を刺すような冷たい風になります。
寒さに弱い私などは、これから桜が咲く頃までが一年で一番辛い季節です。夏もつらいですが辛さの質がちがいます。
あの青い横に伸びた丘をこえたら海です。子どもの頃、親に連れられて暑い真夏の太陽の下を歩いて海に行きました。
海からの帰り道、途中の駄菓子屋で買ったサイダーは、なま温かかったです。あの頃は冷蔵庫なんて小さな駄菓子屋や普通の家にはありませんでした。
耕地整理が進み、丘のふもとの田んぼのヘリにあちこちで見かけた泉は、今はたいへん珍しくなりました。いくら手で止めても、土を被せても、もりもりもりもりと、あとから後から水が湧いてきて砂が踊るのです。
その近くには、セリが生えていました。カッコ良く言えばクレソンです。種類は違うでしょうが。蛭が卵を産む前に食べるべきだと母親から教わりました。
今日も、歩いてこのようなゆるい谷の田んぼのある地帯を越えて年寄りの訪問に行って来ました。ほぼ10,000歩歩けました。時間がかかりますが、運動不足になる冬は歩きが体に良さそうです。車や自転車では見えなかったところが良くみえます。
小さな谷の奥に祠がありました。昔はこのお稲荷さんの手前は田んぼでした。減反政策で真っ先に耕作を放棄されたのは、こういう山の間の狭いところにあった田んぼでした。
お稲荷さんの神様はどう思っているでしょうか。その昔は、少しでも耕せるところがあれば田んぼや畑にして食べ物を作っていたはずなのに。そして、豊かな稔りを願って食べ物の神様であるお稲荷さんを祀っていたのでしょう。