ラットは今日も、きみのために。

マウスも研究者も頑張っています。
医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

がん細胞の分裂、色で追跡、新技術=理化学研究所

2008年02月08日 | 可視化技術
 がん細胞を、分裂のたびに、信号が点滅するように「赤」と「緑」に変色させる新技術が開発された。

 理化学研究所が、サンゴの蛍光物質を利用して成功した。がん細胞が体内でどのように活動しているかが一目でわかり、患者に最適な治療法を選ぶのに役立つという。8日付の米科学誌セルに掲載される。

 細胞は、〈1〉分裂直後の休止期〈2〉DNAが複製されて分裂する増殖期――を繰り返して、増えている。

 理研は、休止期と増殖期の各段階で、細胞内にたくさん作られる特有のたんぱく質があることに着目。休止期のたんぱく質に「赤」、増殖期のたんぱく質には「緑」の蛍光物質が発色するようにがん細胞の遺伝子に蛍光遺伝子を組み込んだ。

 ガラス皿で培養して高感度カメラで見ると、赤と緑が交互に現れる様子が連続して観察できた。マウスの腹に移植した実験でも、赤と緑がまざって広がっていく様子が追跡できた。

 理研によると、患者のがん細胞に蛍光物質を組み込み、マウスに移植して患者の細胞の性質を見ながら、副作用の小さい抗がん剤を選ぶことができるという。

[読売新聞 / 2008年02月08日]
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20080208-OYT1T00185.htm

理化学研究所 プレスリリース
DNA複製や細胞分裂の様子をリアルタイムで観察する新技術
- 生物発生のメカニズム解明やがんの診療・治療薬開発に新たな道 -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/080208/index.html
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/080208/detail.html

ES細胞を使って赤血球を無限に作製 マウスで=理化学研究所

2008年02月06日 | 再生医療
 万能細胞の一種、胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を使って赤血球を無限に作り出す方法にマウスでめどをつけたと、理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)の中村幸夫室長らが、6日付の米科学誌プロスワンに発表した。すでに人間のES細胞でも同様の研究を始め、別の万能細胞(iPS細胞)を使った研究も計画している。臨床応用できれば輸血用血液の不足を補えそうだ。

 チームはこれまでに、人の骨髄などにある血液(造血)幹細胞から赤血球を効率よく作る手法を確立しているが、血液幹細胞には寿命があり赤血球を無限に作らせることはできなかった。

 今回はマウスの8種類のES細胞株を使い、栄養細胞や増殖因子とともに繰り返し培養した。その結果、1年以上増殖し続ける赤血球の前段階の細胞(赤血球前駆細胞)の株を作ることに成功した。前駆細胞は赤血球のもとで、赤血球を無限に作れることになる。

 薬で急性貧血にしたマウスにこの前駆細胞を移植すると、赤血球の数やヘモグロビンの量などが増え、体内で前駆細胞から赤血球ができたことが裏付けられた。貧血症状も改善。重症のマウスでは前駆細胞を移植した8匹のうち7匹が生き延びたが、移植しなかった8匹では7匹が死んだ。

 万能細胞から作った細胞では異常増殖などによるがん化が最も怖い。一方、完全な赤血球まで分化させれば増殖にかかわる情報を持つ核が抜け、がん化の心配はない。

 今回作った前駆細胞株では、できた赤血球の9割に核が残り、分化は不完全だが、放射線を当てて核が残る赤血球を完全に除くこともできる。

 血液の細胞成分で無限作製への道が見えたのは初めて。人で実用化できれば、輸血用赤血球の不足が解消され、輸血血液を介した感染リスクの低減にも一役買いそうだ。同じ血液型なら他人のES細胞が使える。

 中村さんは「人の血液幹細胞から成熟した赤血球を作る手法がすでにあることを考えると、臨床応用にかなり近づいた」という。

■臨床応用に期待

 〈中内啓光東京大教授(再生医学・幹細胞治療)の話〉 ユニークで実用性が高い成果だ。赤血球は核がなく、移植の安全性も高い。造血系や免疫系は人間とマウスで似ており、人間の万能細胞でもできる可能性が高いだけに、近い将来の臨床応用が期待される。

[朝日新聞 / 2008年02月06日]
http://www.asahi.com/science/update/0206/TKY200802060040.html

理化学研究所 プレスリリース
マウスES細胞から赤血球前駆細胞株を世界で初めて樹立
- ES細胞やiPS細胞から感染症リスクのない血液を大量生産することが可能に -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/080206/index.html

サントリー開発の「青いバラ」、2009年発売へ

2008年02月05日 | 遺伝子
【2月5日 AFP】赤いバラはありふれていると感じていた人も、これからは青いバラを贈ることができるようになる。飲料大手サントリー(Suntory)は4日、世界で初めて開発に成功した「青いバラ」を2009年から発売すると発表した。

 価格は高めになるもようで、贈り物用のぜいたくな切り花として、年間数十万本の販売を目標とする。価格の詳細や商品名は未定。

 同社はオーストラリア、米国でも販売許可を得るために実験的に青いバラの栽培を行っているが、両国での販売開始時期は決まっていない。

 サントリーは2004年、オーストラリアの研究者らとの14年間におよぶ共同研究により世界初の青いバラを開発、発表した。パンジーなどに含まれる「デルフィニジン(Delphinidin)」という青色成分を合成するのに必要な青色遺伝子を導入することで開発に成功した。この青色成分は自然にはバラの花弁には存在していない。(c)AFP

[AFP BB News / 2008年02月05日]
http://www.afpbb.com/article/economy/2346411/2597034

サントリー ニュースリリース
サントリー「青いバラ」のカルタヘナ法に基づく承認について
http://www.suntory.co.jp/news/2008/10016.html

武田薬品、米アムジェン日本法人買収・900億円、バイオ医薬で攻勢

2008年02月04日 | 創薬
 武田薬品工業は世界最大のバイオ医薬品メーカーである米アムジェンの日本法人を買収する。買収額は900億円強とみられ、武田のM&A(合併・買収)としては過去最大となる。武田は遺伝子組み換え技術などを活用して作るバイオ医薬品で出遅れ気味で、買収により攻勢をかける。製薬業界ではエーザイが米製薬会社を買収するなど成長分野であるバイオ医薬を巡るM&Aが広がっており、国内製薬最大手である武田の攻勢により再編がさらに加速しそうだ。

 武田はアムジェン日本法人(東京・千代田)を買収すると同時に、米アムジェン本社が欧米で開発している13個の新薬候補物質を、日本で優先的に開発・生産・販売する権利を取得する。 (16:00)

[NIKKEI NET 日本経済新聞 / 2008年02月04日]
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20080204AT1D0401504022008.html

武田薬品工業 ニュースリリース
武田薬品と米国アムジェン社(Amgen Inc.)による臨床開発品目に関するライセンス契約
ならびにアムジェン株式会社の株式譲渡契約について
http://www.takeda.co.jp/press/article_26107.html

難病ALS 進行関与の細胞特定、治療法開発に期待=理化学研究所

2008年02月04日 | 脳、神経
 全身の運動神経が侵される難病「筋萎縮(いしゅく)性側索硬化症(ALS)」の進行に、神経細胞のネットワーク作りに重要とされるグリア細胞のうちの2種類が関係していることを、理化学研究所などのチームが突き止めた。治療法の開発につながる可能性がある。3日付の米科学誌ネイチャー・ニューロサイエンス電子版に発表する。

 理研脳科学総合研究センターの山中宏二・ユニットリーダーらは、特定の細胞から遺伝型のALSに関係する遺伝子変異を取り除けるモデルマウスを作った。このマウスを使い、グリア細胞のうち、神経細胞を支え養う働きがあるアストロサイトから、変異型遺伝子を取り除いた。すると病気の進行が大幅に遅れた。また、傷んだ神経細胞を修復する働きがあるというミクログリアが病巣で神経細胞に障害を与えていることもわかった。

 ALSの進行を遅らせる有効な治療法として、この二つのグリア細胞を標的とした幹細胞治療法や薬剤の開発が考えられる。

[朝日新聞 / 2008年02月04日]
http://www.asahi.com/science/update/0203/TKY200802030175.html

理化学研究所 プレスリリース
筋萎縮性側索硬化症(ALS)の進行に二つのグリア細胞が関与することを発見
- 神経難病の一つであるALSの治療法の開発につながる新知見 -
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/080204_2/index.html
http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/press/2008/080204_2/detail.html