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脳蛋白(たんぱく)の欠損が「レインマン」現象に関与か=マサチューセッツ工科大学

2008年02月12日 | 心のしくみ
特定の脳蛋白(たんぱく)の欠損によって、映画「レインマン」に登場するような特殊な能力に秀でた自閉症患者の現象が説明できる可能性が、米マサチューセッツ工科大学(MIT、ケンブリッジ)の研究者らによって報告された。自閉症患者は時に、機械的記憶や音楽などで傑出した能力をみせることがあり、「自閉症サバン(autistic savant)」と呼ばれる。

医学誌「Journal of Neuroscience」2月13日号に掲載された知見によると、シナプス(脳細胞が連絡し合うための接合部)の形成に利用される重要な蛋白が欠損するように遺伝子操作したマウスは、正常なマウスに比べ空間記憶の課題を早く正確に覚えることができたという。しかし、数週間後の検査では、遺伝子操作マウスが記憶したことを思い出す能力は正常なマウスよりも低く、恐怖心を引き起こすような状況を思い出すのが困難であることがわかった。

このように異なるタイプの学習にみられる正反対の作用は、ある認知領域に障害があるが、別の領域では高い能力が認められる自閉症患者の特徴を思わせると、共同研究者の1人であるマサチューセッツ総合病院(ボストン)のAlbert Y. Hung氏は述べている。

シナプスの骨格となるこの蛋白はShank1と呼ばれるもの。この蛋白が欠損すると、マウスのシナプスは、入力に反応する準備はできているが記憶を長時間保持することはできない状態に陥ってしまうものと思われる。ヒトでは、Shank1とよく似た蛋白であるShank3の変異が、自閉症スペクトラム障害(ASD)に関連するとされている。

[Yahoo!ヘルスケアコラム / 2008年02月12日]
http://health.yahoo.co.jp/news/detail/?idx0=w14080216