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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

朝倉産スイゼンジノリ 抗細菌作用保有か 新薬開発などに期待=九州共立大学

2009年03月22日 | 食品・栄養
 福岡県朝倉市の黄金(こがね)川に自生するスイゼンジノリに、細菌やウイルス感染への抵抗力を高める作用があるとみられることが、九州共立大学(北九州市)の富田純史教授(予防医学)などのマウスを使った実験で分かった。スイゼンジノリには、レアメタル(希少金属)の吸着などに優れたサクランと呼ばれる物質が含まれており、既に事業化に向けた実証実験が進められているが、新たな可能性が出てきたことで、生物資源として一段と注目されそうだ。

 実験はラン藻類の特性を把握する目的で実施。スイゼンジノリを熱水抽出した物質の濃度1%の水溶液を1日0.2ミリリットルずつマウス10匹に与え、8日目に食中毒菌のリステリア菌を注入して脾臓(ひぞう)の菌の繁殖状況を調べた。効果を比較するため、別の10匹には精製水だけを与え、既に抗ウイルス作用が知られている中国産のハッサイの水溶液を投与する一群も設けた。

 その結果、精製水を与えていたマウス群の菌の1グラムあたりの平均個体群数が約3億6100万個だったのに対し、ハッサイは約1億1100万個、スイゼンジノリは精製水の約4分の1の約7800万個だった。

 富田教授は、藻などの細胞壁に含まれる多糖類が影響していると推測。「ほかの細菌やウイルスに対しても免疫力を高める効果があるはず。人向けの薬品や機能性食品などの研究開発につながれば」と期待している。

 スイゼンジノリについては、北陸先端科学技術大学院大学(石川県)がサクランを発見し、現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成事業として実用化に向けた研究を進めている。しかし、世界で唯一、スイゼンジノリが自生する黄金川の水源地域には水資源機構が小石原川ダム建設を計画しており、絶滅が危惧(きぐ)されている。

[西日本新聞 2009年03月22日]
http://www.nishinippon.co.jp/nnp/item/84664


XBP1が老化、がん誘発抑制=札幌医科大学

2009年03月22日 | 癌、腫瘍
 札幌医大第一内科の安達正晃准教授(血液学)らの研究グループは、XBP1と呼ばれるタンパク質が、老化やがんの原因となる酸化ストレスの働きを抑えることを突き止めた。研究は近く発行される米生命科学雑誌「セル・デス・アンド・ディファレンシエーション」で発表する。

 XBP1は、異常タンパク質が細胞内に蓄積し、細胞に負荷がかかった状態(小胞体ストレス)になると、ストレスから体を守るために働く物質。

 酸化ストレスは、活性酸素によって細胞が障害を受けている状態を指すが、これまで二つのストレスの関係は解明されていなかった。

 研究グループは小胞体ストレスになった細胞から、XBP1を除去すると、酸化ストレスを取り除くカタラーゼと呼ばれる酵素も減ることを発見。XBP1があることで、酸化ストレスも抑制できることがわかった。

 XBP1がなくなると、両方のストレスを排除できないうえ、ストレス同士が連動し、糖尿病やアルツハイマー病などの病気を引き起こす可能性があるという。

 安達准教授は「XBP1は未解明の部分が多く、直ちに治療に結びつくわけではない。今回の発見でさまざまな病気の発生メカニズムがわかるかもしれない」と話している。

[北海道新聞 2009年03月22日]
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/life/154286.html