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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

細胞の新移動法発見 先天性脳障害など予防や治療に期待=名古屋大学

2007年01月23日 | 生理学
 細胞が脳内を移動する新たなメカニズムを、名古屋大医学系研究科の宮田卓樹教授らのチームが発見した。米科学誌カレント・バイオロジーに23日掲載される。先天性脳障害治療や脳再生医療技術の確立に向けた第一歩として期待される。

 宮田教授らは、胎児マウスの大脳皮質をスライスし、培養。大脳皮質内の神経細胞の元となる前駆細胞の動きを、顕微鏡を使って観察した。前駆細胞からは、糸状の突起が伸び、大脳皮質の外面と結合している。

 観察の結果、細胞が2つに分裂すると、外面に伸びている突起が、コイル状に巻き上げられ、分裂したうちの1つの細胞が引っ張られ、移動していることが、世界で初めて分かった。

 従来は、細胞内にあるモーターの役割を果たしているタンパク質などの働きで移動するとの説だけが有力視されていた。

 宮田教授は「神経細胞が、脳内の機能するべき場所に配置されないことで起きる先天性の脳形成異常の予防や治療につながる成果が期待できる」としている。

[中日新聞 / 2007年01月23日]
http://www.chunichi.co.jp/00/sya/20070123/mng_____sya_____014.shtml

アルツハイマー病ワクチンを開発=埼玉医科大学、南フロリダ大学他

2007年01月23日 | 創薬
 埼玉医科大学、南フロリダ大学などの国際チームは、アルツハイマー病を治療するワクチンを開発、マウスの実験で安全性と有効性を確認した。脳内にたまる原因とされるたんぱく質が半減した。成果は近く米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。

 注射で投与するタイプを中心に国内外でアルツハイマー病ワクチンの研究開発は盛んだが、髄膜炎や軽い脳内出血などの副作用が出るとの報告もある。今回開発したワクチンは、皮膚に直接塗ったりパッチにして張ったりして体内に吸収させることが可能で、実現すれば治療時の患者への負担も少なくて済むという。

 埼玉医科大学の森隆・助教授らは、脳にたまってアルツハイマー病を起こすとされるたんぱく質アミロイドベータ(抗原)と免疫反応を促進する薬剤として微量のコレラ毒を混ぜてワクチンを作った。

 アルツハイマー病を発症したマウスで実験。4カ月間、ワクチンを塗り続けると体内でアミロイドベータにくっつく抗体ができ、塗らなかったマウスに比べてこのたんぱく質の量が約半分になった。逆に血液中では増えた。

[日本経済新聞社 NIKKEI NET / 2007年01月23日]
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20070123AT1G2300Q23012007.html