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医学研究関連記事の新聞紙面から切り抜き
再生医療、薬理学、生理学、神経科学、創薬

てんかん薬、パーキンソン病にも効果=国立精神神経センター武蔵病院

2007年01月02日 | 薬理
 てんかんの治療薬「ゾニサミド」が、運動機能が低下する難病・パーキンソン病にも効果があることが、村田美穂・国立精神・神経センター武蔵病院神経内科長らの研究でわかった。これまでのパーキンソン病の治療薬とは異なった効き方をすることから、新しい治療法につながる可能性があるという。2日付の米神経学会誌で発表した。

 パーキンソン病は、手が震えたり、体が硬くなって歩けなくなったりする難病。国内で約14万人の患者がいるとされる。はっきりした原因は不明だが、脳内の神経細胞が死んでしまうため、運動や記憶に関連するドーパミンという脳内物質の分泌量が減り、運動機能の低下につながるらしい。

 村田さんたちは、てんかん発作を起こすパーキンソン病患者がゾニサミドを飲むと、てんかんだけでなくパーキンソン病の症状も改善することを発見。347人のパーキンソン病患者に、てんかんの治療で使う量よりも少ない量のゾニサミドを12週間飲み続けてもらった。その結果、パーキンソン病の診断基準で運動機能が30%以上改善した人が3~4割に上った。

 パーキンソン病の治療は現在、ドーパミンのもとになる物質を脳内に直接投与する方法が中心。ゾニサミドを使うと、ドーパミンの産生を促すとみられる。村田さんは「これまで、あまり効果がなかった人にも、効果的な治療法につながる可能性がある」としている。

[2007.01.02/朝日新聞]
http://www.asahi.com/national/update/0102/TKY200701020118.html

心臓病治療に「心筋シート」=大阪大、東京女子医科大学

2007年01月02日 | 再生医療
 重い心臓病の治療で、患者自身の筋肉の細胞から「心筋シート」を作り心臓に張って心筋再生を図るという、世界でも例のない臨床研究を、大阪大や東京女子医大のグループが実施する。対象には、補助人工心臓を着けて心臓移植を待っている患者6人を予定。重い副作用がなく人工心臓を外せるようになるなど安全性と効果が確認できれば、より多くの患者に広げるという。

 大阪大病院未来医療センター長の澤芳樹教授(心臓血管・呼吸器外科学)らが計画。医学部の倫理委員会と、同センターの審査評価委員会の承認をすでに得ている。

 対象は、拡張型心筋症の70歳以下の患者。同症は心筋が弱って薄く伸び、心臓内の空間が広がって血液がうまく送り出せなくなる。重症になると心臓移植しか治療法はなく、患者は補助人工心臓を着けながらドナーからの提供を待つ。

 具体的には、まず患者の太ももから5~10グラムの筋肉を摘出。筋芽細胞という、筋肉が損傷を受けた時に分裂、分化して損傷を補う細胞を探し出す。その細胞を特殊な培養液で24時間培養して増やし、直径3~4センチ、厚さ50マイクロメートルのシートを10枚ほど作る。これを3枚重ねにして、左心室の表面に張る。

 イヌなどの動物を使った実験では、心筋が再生され、心臓のポンプ機能が回復することが確認されている。

 筋芽細胞を培養し、そのまま心筋内に注入する臨床研究は、欧米ですでに実施され、大阪大も取り組んでいる。一定の効果も報告されているが、欧米では注入した細胞の一部しか機能しないうえ、重い不整脈などの副作用も指摘されている。

 澤教授は「シートは、弱った心臓を覆うように張れるので効果も広く期待できる。シートを作る技術も確立している。慎重に研究を進めて結果を分析し、ほかの心臓病にも広げたい」と話す。

[2007.01.02/朝日新聞]
http://www.asahi.com/science/news/TKY200612300207.html