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「レディ・プレイヤー1」 (2018年 アメリカ映画)

2018年05月02日 | 映画の感想・批評


 CGや3D、4D作品と進化し続ける映画に、また一つ革命が起きた。それはVR(バーチャルリアリティ)の世界を観客も一緒に体感しようというもの。時は2045年。荒廃した街とは裏腹に、VRの世界は素晴らしい進歩を遂げ、若者たちに希望を与えていた。そこは「オアシス」と呼ばれ、専用のキットを身に着けてログインすれば、もう一つの世界に入り込み、別の人生を楽しむことができるのだ。そのオアシスの創設者が亡くなり、遺言でオアシスに隠された3つの謎を解き明かした者に全財産を与え、オアシスの後継者に任命すると発信したものだからさあ大変。世界中で膨大な遺産をかけた争奪戦が繰り広げられることとなる。
 最先端の映像技術でVRの世界を作り上げ、さらに謎解きゲームの楽しさを合体させたこの快作を監督したのは、なんとスティーブン・スピルバーグ。1970年代からもう半世紀近く活躍し続け、世界中で最も有名な監督といっても過言ではない巨匠が、社会派ドラマの傑作「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」に続いて、こんな若者受けする娯楽作を発表するとは、ファンにとってうれしい限りだ。
 原作はアーネスト・クラインのベストセラー「ゲームウォーズ」。未来世界でありながら1980年代のスタイルや文化を祝福しているこの原作を、スピルバーグは自分好みに楽しく、また自分が生きてきた時代を振り返って感慨深く料理しました、との感ありあり。いやあ、出てくる、出てくる!映画、音楽、ゲーム、コミックなどあらゆるポップカルチャーから有名キャラクターたちが大集合。その中には日本生まれの「AKIRA」のバイクやメカゴジラ、ハロー・キティにガンダム、三船敏郎のそっくりさんまでいて、今回久しぶりに来日したスピルバーグの日本びいきな面を再確認。自分が知っている映画のシーンやキャラを見つけ出す度に嬉しくなり、思わず歓声が…。今回は久しぶりに3Dで観たが、3Dメガネをかけることによってゴーグルを装備した主人公と同じようにVR空間をさまよったような感覚が得られ大正解。未見の方にはぜひ3Dでの観賞をお勧めしたい。
 ところで今、格闘技やサッカーなどコンピューターでの対戦型ゲームを五輪種目にするかどうかが話題となっている。国際オリンピック委員会は2024年のパリ大会での採用を検討しているそうだが、果たしてゲームはスポーツと捉えられるだろうか。スピルバーグなら、将来インターネットのプロバイダー会社がゲームをすることを仕事として人を雇うぐらいだから、当然アリと答えそうだが、今まで数々の作品を世の中に贈り出してきた監督、その実績があるからこそ最後に主人公に言わしめたのだろう。やっぱり「現実も大事」だよと。
(HIRO)

原題:READY PLAYER ONE
監督:スティーブン・スピルバーグ
脚本:アーネスト・クライン、ザック・ペン
撮影:ヤヌス・カミンスキー
出演:タイ・シェリダン、オリビア・クック、ベン・メンデルソーン、リナ・ウェイス、サイモン・ペッグ、マーク・ライランス、森崎ウィン、フィリップ・チャオ、ハナ・ジョン=カーメン


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