チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

防衛局、違法工事を強行! ---公有水面埋立法、赤土等流出防止条例違反と文化財保護法上の問題

2015年12月03日 | 沖縄日記・辺野古

  防衛局は、11月末からシュワブ基地の大浦湾沿岸の浜(米軍のレジャービーチ。正式にはヤニバマという)で道路工事を始めた。この工事は、埋立本体の護岸工(K-9護岸)造成のための工事用進入路で(延長257m)、防衛局の設計図書(中仕切岸壁新設工事)では「付替道路」と記載されている。

 ヤニバマで始まった工事は、幅10mほどの整地を行い、そこに石材の入った網袋(根固め用袋材)を並べていく作業が続いている。28日に抗議船で海に出た際に初めて気がつき、以降、海からの観察を続けてきた。その後、12月3日にはヤニバマと奥のクバマの間の岩礁部分を超え、クバマの砂浜に根固め用袋材の敷設が始まった。

 「付替道路」の設置箇所はかなりの部分が海上となる。したがって、今後、根固め用袋材は海の中に投下される。大浦湾への石材投下が始まることとなり、絶対に許すわけにはいかない。

 3日は風が強かったのでカヌー隊はフロートからこの工事現場を監視しただけで引き揚げたが、4日は、午前、午後の2回に渡ってフロートを超え、工事現場のすぐ近くまで行って工事に抗議したという。

  (ヤニバマの一番北側の浜が10mほどの幅で整地されはじめた。11月30日撮影)

(12月3日にはヤニバマの整地された部分に根固め用袋材が設置され、小さい岩礁部分を超えてクバマに向かって道路造成が始まった。)

                    

  (石材を入れた網が吊り下げられている。12月3日撮影)

 後ろに見えるフロートには高さ1mほどの鉄の棒がついている。今、防衛局はこのフロートを海に張り出し始めた。いったい何を目的としたものか不明だが、カヌーや船の進入を阻止するためにネット等を貼り付けるのだろうか。                           

       (岩礁部を超え、クバマにも根固め用袋材が設置され始めた。12月3日撮影)

 

         (根固め用袋材の上に鉄板がひかれ始めた。12月4日撮影) 

 

 この「付替道路」造成工事は次の3点で違法工事である。

①公有水面埋立法違反(設計概要変更申請末提出)

 この「付替道路」は、防衛局の当初の埋立承認願書には全く記載されていなかった。そのような場合、公有水面埋立法第13条に基づき、知事に設計概要変更申請を提出し、承認を受けることが必要である。今回はその手続なしに着工したものであり、公有水面埋立法に違反している。県は、現在、防衛局に照会文書を出す準備を進めている。

(上図の赤色の手書き部分が「付替道路」。「工事用仮設道路」は仲井真前知事が設計概要変更申請を承認したが、「付替道路」については設計概要変更申請の手続はされていない。)

 

 (この「付替道路」は「中仕切岸壁新設工事」の設計図書に明記されている。上の図がその平面図。K-9護岸への工事用進入路であることが分かる。)

② 文化財保護法上の問題

  シュワブ基地沿岸部は、名護市教委が以前、文化財調査を行い、「思原(うむいばる)遺跡」「大又(うふまた)遺跡」「ヤニバマ遺物散布地」などの貝塚遺跡が発見されている。そのため、本年7月7日から名護市教委が試掘調査に入っている。今回の「付替道路」工事箇所も、「ヤニバマ遺物散布地」に近く、名護市教委が試掘調査を予定している場所である(下の図の「2」)。

 防衛局は名護市教委は、上の図の「1-1」「1-2」「3」「5」の箇所の試掘調査について協議がまとまり、名護市教委の調査が始まった。しかし、それ以外の箇所については、まだ協議も始まっていない。文化財保護法により、試掘調査が終わるまでは工事に入ることはできないが、今回、防衛局は名護市に何の連絡もせずに工事に着手したものである。

 また、名護市教委によると、この工事に関して防衛局に問い合せたところ、防衛局は「砂利を敷いて上に鉄板を起き工事車両を通す。名護市教委が文化財調査に入る際は、その部分の道路を撤去するから問題はない。また、この工事では『掘削』は行わない。」と回答したという。しかし、下記のようにこの工事では120㎥の掘削が予定されており、防衛局の回答は全くのデタラメだ。

 なお、「ヤニバマ遺物散布地」等の遺跡の重要性について伊藤慎二氏は次のように指摘している。

「キャンプシュワブ内には、「思原(うむいばる)遺跡」「大又(うふまた)遺跡」「ヤニバマ遺物散布地」等、5ケ書の貝塚時代遺跡が狭い範囲に密集して存在することが確認された。なかでも、「ヤニバマ遺物散布地」は、まさに宜野座村前原遺跡や名護市大堂貝塚と同様の時期の資料を含むことが注目される。---そして今最も心配なのは、急ピッチでボーリング調査が進められている周囲の海底である。これだけ狭い範囲に遺跡が密集する地域である。当然、海底にも同時代の遺跡が存在する可能性がきわめて高い。しかし、これらの海底の遺跡の有無に関して、県内の他地域で行われた調査が、辺野古周辺では未着手である。」(沖縄タイムス 2014.9.9)

③赤土等流出防止条例違反  

 また、この「付替工事」造成は、1000㎡以上の土地の形質変更であることから県の赤土等流出防止条例の対象であり、県に事業行為通知書を提出し、知事の確認済通知書を受けてからしか工事に着手することはできない。防衛局の工事着手は県の赤土等流出防止条例違反である。

 なお、「中仕切岸壁新設工事」の特記仕様書によれば、この「付替道路」では次の土工事が行われる。

 ・掘削(土砂)  120㎥  ・路体盛土(発生土) 450㎥    ・路体盛土(不足土 運搬共L=1.0km) 680㎥     ・路体盛土(割栗石) 680㎥ 

 

 以上、説明してきたように、今回の防衛局の「付替道路」造成工事着手は、公有水面埋立法、赤土等流出防止条例に違反し、さらに文化財保護法上の問題もある。菅官房長官は、いつも「日本は法治国家ですから」と言うが、辺野古新基地建設事業では法令を無視した行為が相次いでいる。

 

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