チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

まさか! 熊野鉱山への措置命令の取下げなどあり得ない!/// 県知事宛の、南部地区の土砂問題等を設計変更不承認理由に追加するよう求める要請書全文掲載。明日は「復帰50年、戦没者遺骨の尊厳を守る集会」も

2022年05月14日 | 沖縄・南部土砂問題//遺骨問題 

 昨日、公害等調整委員会が熊野鉱山を現地視察し、南部地区の島ぐるみ会議や宗教者グループ等が「委員会は措置命令を取消す裁決をしないで!」という要請行動を行ったことをこのブログで報告した。

 ところが今日の沖縄タイムスは、公害等調整委員会が県に対して措置命令の取り消しを求める和解案を提示していることを報じた。

 昨年5月の知事の措置命令は、多くの県民の声に応えたものであった。報道では、「県は措置命令の取り消しには難色を示している」とも報じられているが、措置命令を取り下げる和解案に県が応じることなどあり得ない。

  2022.5.14 沖縄タイムス

 

 明日(15日・日)は、「復帰50周年記念式典」が開催される。沖縄平和市民連絡会は、正午から午後2時まで宜野湾市コンベンションセンター前で抗議行動を予定している。その後、午後3時からは、県庁前広場で、「復帰50年、戦没者遺骨の尊厳を守る集会」(主催:ガマフヤー支援者の会・島ぐるみ宗教者の会)も開かれる。

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QABニユース(2022.5.13)「南部土砂 基地建設に使用しないよう県に要請」

 

 昨日、具志堅隆松さんらとデニー知事宛に提出した要請書の全文は下記のとおりである。

 

沖縄県知事 玉城デニー様            2022年5月13日

 辺野古新基地建設事業で遺骨混りの南部地区の土砂を埋立てに使用させないための要請 --- 政府の地震調査委員会の長期評価の見直し、南部地区からの土砂調達問題等を理由に、再度の設計更申請不承認、あるいは埋立承認を再撤回をすること                                                  

                ガマフヤ―ガマフヤー代表:具志堅隆松                                             

        ガマフヤー支援者の会・島ぐるみ宗教者の会: 谷 大二                                         

 

 日々の県政運営に心からの敬意を表します。

 さて、沖縄防衛局は、辺野古新基地建設のために沖縄南部地区から大量の埋立土砂を調達するという設計変更申請書を提出しました。そのため、先の大戦の戦没者の遺骨が混ざった土砂が基地建設のために使用されるおそれがあるということで、沖縄県内だけではなく、すでに全国の200を超える自治体議会でも「人道的にも許されない」という意見書が採択されています。

 知事は昨年11月25日、この設計変更申請を不承認とされました。私たちはこの知事の不承認処分を全面的に支持するものです。

 ただ知事は、不承認の際に、「人道上、許されない」というコメントを出されましたが、不承認理由の正式の文書には、南部地区からの土砂調達問題についは触れられていません。その理由について、「具体的な採取場所については、契約段階で決定されますから、現時点では決まったものではなく、南部地区の土砂が使用されることについては直接、今回審査には反映させておりません」と説明されましたが、これは防衛局の弁明を認めてしまったものであり納得できません。候補地として認めてしまえば、事業の実施段階で南部地区からの土砂調達が決定した際、止める方法があるのでしょうか?

 また、今回の知事の不承認理由には、もう1点、大きな問題が抜けています。耐震設計の不備です。

 本年3月25日、政府の地震調査委員会が長期評価を見直し、「南西諸島でM8級の巨大地震のおそれ」と公表しました(県も、「地震被害想定調査」(2014.3)や「津波浸水想定(2015.3)でも同様の予測を出しています」。

 辺野古新基地の耐震設計は、中小地震を対象とした「レベル1」で行われていますが、今回の政府の地震調査委員会の長期評価等を受け、大規模地震を対象とした「レベル2」で設計をやり直すことが必要です。

 政府は本年4月8日、知事の不承認処分を取消す裁決をし、さらに4月28日には「是正指示」を行いました。今後、国地方係争処理委員会や司法の場での争いにもなるものと思われますが、政府は「代執行」等の強硬手段に踏み切るのではないかとも言われています。

 現時点では、県と政府の間で、昨年11月25日の知事の不承認理由の範囲での論議が続いているだけで、不承認理由とされなかった耐震設計の見直しや南部地区からの土砂調達問題等については全く触れられていません。今後、国の強引な手法に抗するためにも、これらの問題を争点に浮上させることが必要です。

 このような状況から、下記のとおり要請します。

 

                 記

 1.昨年11月25日の知事の設計変更不承認処分は、本年4月8日の国土交通大臣の裁決により取り消され、現在は、設計変更申請が提出された状態に戻っている。そのため、知事は、耐震設計の問題、南部地区の土砂問題等を理由に、設計変更申請を再度、不承認とするべきではないか?[注1]

 2.知事は5月9日、国土交通大臣の4月8日の裁決を不服として国地方係争処理委員会に申立てを行った。今後、4月28日の是正指示に対しても、国地方係争処理委員会に申立てるのではないかと報道されている。

 これらの国地方係争処理委員会での審理や、その後の訴訟等においては、昨年11月25日の不承認処分の際の理由だけではなく、耐震設計の問題、南部地区の土砂問題等を主張し、不承認理由を追加するべきではないか?[注2]


3.2013年の埋立承認の際でも、県は、「レベル1」による耐震設計について防衛局に質問を繰り返したが、当時の仲井眞県政は「レベル1」のまま埋立を承認してしまった。今回、政府の地震調査委員会が長期評価を見直したのであるから状況は大きく変わった。耐震設計の不備を理由に、当初の埋立承認を撤回することができるのではないか?

 

4.知事は昨年11月25日、南部の土砂問題を不承認理由としなかった理由についての知事コメントでは、「具体的な採取場所については、契約段階で決定されますから、現時点では決まっていません」と説明した。しかし、設計変更申請の時点で土砂調達の候補地として認めてしまえば、今後、防衛局が南部地区から実際に土砂を調達すると決定した際、県はどのような方法でそれを止めるのか?

 

5.徳田博人琉球大学教授は、「一度、不承認とした設計変更申請を承認するには、不承認の根拠とした項目以外の審査項目も再検討し、条件を満たしているか確認しなければならない」(2022.4.21 琉球新報)、また白藤博行専修大学教授は、「国が、超軟弱地盤の安全性やそのうえでの工事完了の可能性を科学的に立証しないまま、いまのままの工事を続行したりすることがあれば、沖縄県は、沖縄県の自治権を保障し、沖縄県民の生命・財産の保護を目的として、埋立変更不承認を理由に、埋立承認そのものを取消すことが可能である」(2022.5.7 オール沖縄会議の学習会)と指摘されている。

 これらの行政法学者の指摘を県の方針として受け入れるべきではないか?

 

6.沖縄県議会の「戦没者の遺骨等が混入した土砂を埋立てに使用しないこと」という全会一致の決議(2021.4.15)以後、すでに全国の1割を超える自治体議会で同趣旨の意見書が採択されるなど、大きなうねりとなっている。知事は全国知事会にこの問題を訴えることを「検討する」と言われたが(2022.3.15)、全国知事会に対して、同趣旨の意見書を採択するよう提言されたい。                                                           

                               以上

 

[注1] この点については、「沖縄辺野古調査団」(代表:立石雅昭新潟大学名誉教授)からも、知事宛に「地震調査委員会の長期評価見直しを受け、耐震設計の不備等を理由に設計変更申請を再度、不承認すること」という要請書が提出されている(2022.4.26)

[注2] 徳田博人琉球大学教授は、「設計変更申請の不承認処分では、抗告訴訟等で不承認処分の理由以外の理由の追加が原則、認められる」 と指摘されている(2021.12.27  オール沖縄会議の学習会)。

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