チョイさんの沖縄日記

辺野古や高江の問題等に関する日々の備忘録
 

今、沖縄県がなすべきこと --- 沖縄平和市民連絡会、「防衛局の設計概要変更申請書を受け、当面の知事への要請書」を提出

2020年05月02日 | 沖縄日記・辺野古

 コロナ禍のために、各地からお呼びいただいていた講演会が全てキャンセルとなってしまった。防衛局が設計概要変更申請を提出したため、コロナ禍がなければ各地を走りまわっていたにちがいない。

 そんな中で、昨日は、東アジア共同体研究所に呼ばれ、桜井国俊先生との対談を収録した。私が、今回の設計概要変更申請の内容と問題点、桜井先生が環境への影響等について話をした。5月11日以後にインターネットで配信されるらしい。しばらくは、このような形で問題提起していく他なさそうだ。

 

 沖縄平和市民連絡会は4月28日、沖縄県に対して設計概要変更申請に関する要請書を提出した。

 末尾にその要請書を添付するが、1と2の要請について少し説明しておきたい。

 デニー知事は、この時期に設計概要変更申請が提出されたことについて、「断じて容認できない」と批判したが、「提出された以上、審査を行う」「行政なので法にのっとり対応したい」と述べたという(2020.4.22 琉球新報)。

 しかし、審査に入る前に整理しなければならない問題が多い。たとえば、昨年4月に提出されたサンゴ類移植のための特別採捕許可申請に対して、県はどう対応したか? すぐに審査に入ったのではない。2018年8月の埋立承認撤回は、国の不当な関与によって取り消されてしまったが、「県は埋立承認撤回は有効との立場に立っている」として、裁判の決着が着くまでは処分を保留するという方針を示した(2019.7.17 辺野古新基地建設問題対策課長通知)

 この方針は、サンゴ類移植の特別採捕許可申請だけが対象ではなく、沖縄防衛局長からの辺野古新基地建設事業に関する全ての申請にかかわるものであった。当然、今回の設計概要変更申請も対象となる。

 先日の県が提訴した関与取消訴訟は最高裁で棄却されたが、決して県の埋立承認撤回を違法としたものではない。県は今も、国の裁決の取消を求めて抗告訴訟を争っている。昨年7月の県の通知内容の趣旨は今も生きているはずであるから、設計概要変更申請の審査に入るというのは納得できない。

 また、もし、審査に入るというのであれば、それは埋立承認撤回が取り消されたという立場に立つこととなるから、当然、今まで「埋立承認の再撤回はできない」としてきた県の主張は通用しないこととなる。県は、設計概要変更申請の審査に入るのではなく、県民投票で示された民意をもとに、埋立承認を再撤回することが先ではないか?

 

(要請書を県に提出したが、現在、コロナ禍のために以前のような大勢での交渉はできない。上の写真は、県庁1Fロビーの「来庁者対応ブース」。ビニールシート越しに、2~3名で15分程度しか担当者と話しができない。この要請書についての意見交換をどのような形でするのか、当局と協議中)

 

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2020年4月28日    沖縄県知事 玉城デニー様           
    

沖縄平和市民連絡会
  代表世話人: 高里 鈴代   宮城 恵美子  真喜志 好一  松田 寛  


防衛局の設計概要変更申請提出を受けて、辺野古新基地建設事業をめぐる当面の要請

 沖縄県でもコロナウィルスの感染者が増加し、緊急事態宣言が出されている中、日々の県政運営にご尽力いただいていることに心から敬意を表します。
 防衛局は4月21日、辺野古新基地建設事業の設計概要変更申請を県に提出しました。現在、何よりも国と県が協力してコロナ対策に全力をあげる必要があるにもかかわらず、変更申請を提出したことは到底容認できるものではありません。これは、コロナ対策よりも新基地建設事業を優先したもので、県民の命を軽視したものと言わざるを得ず、強い怒りを覚えます。
 それでも今回、防衛局から設計概要変更申請が提出されたことから、辺野古新基地建設をめぐる状況はさらに重要な段階に入りました。今こそ知事が持っているあらゆる権限を毅然と行使し、辺野古新基地建設を絶対に阻止するために全力をあげられるよう要請するものです。
 今回の設計概要変更申請提出という事態を受け、下記のとおり申し入れます。

                 記

1.現在、県は埋立承認撤回を国土交通大臣が取り消したことに対して抗告訴訟を争っている。この裁判が決着するまでは、沖縄防衛局から出された辺野古新基地建設事業に関する許認可や協議について処分を行うべきではない。今回の設計概要変更申請に対しても、上記の裁判が決着するまで処分は保留すべきではないか?

2.県は昨年5月23日、私たちが「県民投票の民意を受けて、埋立承認を再撤回すること」と申し入れた際、「県は承認撤回は有効だという立場で争っており、最高裁で決着するまでは再度の撤回はできない」と回答した。
 今回、設計概要変更申請の審査に入るというのであれば、埋立承認撤回は取り消されたという立場に立っていることとなるから、まず、埋立承認の再撤回を求める県民の声に真摯に対応するべきではないか?

3.この間、辺野古側への土砂投入量が加速している。現在、コロナ禍のために工事は一時、中断しているが、防衛局は一刻も早い工事再開を狙っている。設計概要変更申請の扱いとは別に、こうした工事の進行をどう阻止するかが大きな課題となっている。そのためには、県が持っているあらゆる権限を見直し、辺野古新基地建設を阻止するための方策を検討することが必要である。
  たとえばこの間、問題となっている、本部塩川港・琉球セメント安和桟橋からの土砂搬送の規制(本部塩川港の港湾施設用地使用許可や安和桟橋の目的外使用問題等)、県土保全条例の改正、海砂採取の規制、土砂条例の強化等について具体的に対応すべきではないか?

4.以下は、設計概要変更申請の審査に入るという場合の要請事項である。
4-1. 今回の設計概要変更申請には、「埋立地の用途」の変更も含まれていることから、公有水面埋立法第13条の2により、関係図書を3週間、公衆の縦覧に供することが必要となる。この公衆への縦覧に際しては、「埋立地の用途」に関する部分だけではなく、関係図書の全てを縦覧の対象とすること。

4-2.今回の設計概要変更申請は、大浦湾で軟弱地盤が見つかったことから、大規模な地盤改良工事が必要となったためである。そのためには、当然、当初の環境影響評価をやり直すことが求められる。
 この点については、先日の辺野古周辺住民の抗告訴訟の那覇地裁判決でも、「(設計概要の変更に際して)改めて環境影響評価が実施されるべきこと」と指摘されている。また、知事も辺野古新基地建設事業の防衛局の事後報告書に対して、「変更後の工事計画について---必要に応じて環境影響評価を実施すること」という措置要求を出してきた(2019年 8月6日)。
 このまま設計概要変更申請の審査に入るのではなく、防衛局に対して、環境影響評価のやり直しを指示すること。

4-3.大浦湾では海面下90mまでの軟弱地盤が見つかったにもかかわらず、防衛局は海面下70mまでの地盤改良しか行わない。その理由として、「海面下70m以深は、『非常に硬い』粘土層である」と主張している。しかし、最も問題となるB27地点では、地盤の強度を調べる土質試験は実施していないとして、離れた3地点の試験結果から類推しているにすぎない。
 この間、地質学・土木工学の専門家グループが、B27地点でも実際には地盤の強度を調べる土質試験が実施されており、しかもその結果は防衛局が類推した強度の3分の1程度しかないことを指摘した。他にも、防衛局が実施した地質調査には疑問点が多い。専門家グループは、このままではケーソン護岸が崩壊する恐れがあるとして、B27地点周辺での地質調査のやり直しを求めている。
 このまま設計概要変更申請の審査に入るのではなく、防衛局に対して、地質調査のやり直しを指示すること。

4-4.この2月、大浦湾の中央部の工事施工区域で3日間、19回にわたりジュゴンの鳴音が確認された。昨年9月にも鳴音が確認されているが、これらはいずれも、工事のない日であった。工事さえ停止すれば、ジュゴンは大浦湾に戻ってくるのである。
 知事は、本年4月17日、工事を停止し、ジュゴンの来遊状況や生息環境等を改めて確認することを求める行政指導を行った。今回の設計概要変更申請についても、事業がジュゴンに与える影響が危惧されることから、まず工事を停止し、ジュゴンの徹底的な調査を行うよう指示すること。
                              (以上)                                    

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