防衛局が岩礁破砕許可の区域外に最大45トンものコンクリートブロックを大量に投下した問題は、県が防衛局に文書照会をしてからすでに5ケ月が経過した。この間防衛局は、行政不服審査請求にもとづく不服申立や、県の現地調査の妨害をするなど、違法行為を認めようとしないまま海上ボーリング調査を続けている。
翁長知事はこのような防衛局の姿勢に対して、「埋立本体部分の岩礁破砕許可そのものを取り消す」と繰り返してきた。記者会見でも知事は次のように述べてきている。
・「昨年8月の岩礁破砕許可の取消を視野に入れている」(2月16日)
・「許可取消につながっていく可能性は大」(2月24日)
・「(指示に従わない場合は)岩礁破砕許可を取り消すことがある」(3月23日)
・「岩礁破砕許可自体を取り消す可能性は十二分にある」(4月22日)
私たちは、知事が訪米までに埋立本体部分の岩礁破砕許可を取り消すよう求めてきた。アメリカ政府との交渉では、知事がまず、埋立を絶対に許さないという断固とした姿勢を示す必要があったことはいうまでもない。しかし、知事は岩礁破砕許可の取消をしないままアメリカに行ってしまった。
知事は現地での立入調査にこだわっているようだ。しかし、臨時制限区域内での調査に対して米軍はいったん不許可とし、再申請に対しても許可を出そうとしていない。このままでは時間だけがどんどん経過してしまう。
知事は、いつまでも調査にこだわる必要はない。県はすでに防衛局から、許可区域外にコンクリートブロックを投下した場所の資料を入手している(下の写真)。そこには、投下場所の座標値、深さ、サンゴ礁破損の状況、そして4方向からの写真等が添付されている。これらの資料だけでも、許可区域外へのコンクリートブロック投下の事実は確認されるのだから、「本申請外の行為をし、又は付した条件に違反した場合は、許可を取り消すことがある。」という許可条件違反で埋立本体部分の岩礁破砕許可の取消に踏み切るべきだ。
(防衛局が提出したコンクリートブロックの投下場所の位置図、座標値)
(これらの文書は、沖縄県が本年3月18日、「不開示」としたため、審査会に異議申立をしたところ、5月22日に「前回の処分を取り消し、全部を開示する」として公開されたものである。)
(4方向からのコンクリートブロックの写真)
もちろん、知事が埋立本体部分の岩礁破砕許可を取消しても、防衛局は、再度、行政不服審査請求で知事の命令を「無効」としてしまう可能性が強い。知事も取消に踏み切れないのは、そのために躊躇しているものと思われる。
しかし、ここでひるんではならない。知事は、埋立を絶対に阻止するという断固とした姿勢を示さなければならない。ここで岩礁破砕許可の取消に踏み切れないと、本番ともいうべき埋立承認の取消にも影響する可能性がある。
岩礁破砕許可の取消し、「工事用仮設道路」の設計概要変更承認の取消し、さらに6月議会での「土砂条例」、「建土保全条例」、そして「非飛散性の石綿規制条例」制定・改正など、7月以降の埋立承認の取消までに知事が取り組む課題は多い(これらの3つの条例については、後日、改めて説明する)。