乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

タモキシフェンと長期的転帰

2011年08月28日 | 病気・症状
新薬の開発が進むにつれ、んじゃ昔から使われている薬はどうなの?という思いは強まります。ホルモン陽性の乳癌の治療薬として王道ともいえるタモキシフェン。長期的な有効性についての報告を見つけました。

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【術後タモキシフェンでER陽性乳癌患者の15年死亡率が3割減】

 Lancet誌から
  より長期的な転帰を調べた最新のメタ分析の結果

 早期乳癌患者に対する術後5年間のタモキシフェン投与は、エストロゲン受容体(ER)陽性患者の術後10年間の再発のリスクを約4割減らし、15年死亡率を約3割減らすこと、ER弱陽性者にも同様に有効であることが、最新のメタ分析で明らかになった。Early Breast Cancer Trialists’ Collaborative Group (EBCTCG)の研究者たちが、Lancet誌電子版に2011年7月29日に報告した。

 早期乳癌患者に対する5年間のタモキシフェン投与の利益を調べた研究において、より長期的な転帰が明らかになりつつある。著者らは最新のデータを集めてメタ分析を行い、ホルモン受容体の発現状況やそれ以外の患者特性が5年間のタモキシフェン療法の長期的転帰に及ぼす影響を評価した。

 非浸潤性乳管癌を対象とする臨床試験は除外し、タモキシフェン療法を約5年継続していた研究を選んだ。条件を満たした20件の試験に登録された早期乳癌患者で、タモキシフェンの投与を5年間受けた女性と、タモキシフェン投与を受けなかった女性、計2万1457人のデータを集めてメタ分析した。タモキシフェンの服薬遵守率は約80%だった。

 タモキシフェン投与なし群と比較した、タモキシフェン投与群の再発と死亡の率比を求めた。

 ER陰性者(5984人)の再発と死亡には、タモキシフェンはほとんどまたは全く影響していなかった。

 ER陽性者(9688人)では、10年間の再発率は、タモキシフェン群の方が有意に低かった。率比は0~4年が0.53(SEは0.03)、5~9年が0.68(SEは0.06)で、全体では0.61(SEは0.03)、対側への再発は0.62(SEは0.07)となり、いずれも2P<0.00001(両側検定)だった。しかし10~14年では率比は0.97(SEは0.10)になり、タモキシフェンによる再発リスク低減効果は10年を超えると認められなくなることが示された。

 なお、ERが弱陽性(細胞質蛋白質1mg当たり10~19fmol)の患者においても同様に、タモキシフェンによる再発率低下が見られた。率比は0.67(SEは0.08)。

 ERの発現とプロゲステロン受容体(PR)の発現には相関が見られた。ER陽性者のうち76%がPR陽性だったが、ER陰性者のうちPR陽性は21%にとどまった。また、PRの発現状況はタモキシフェンの利益の予測因子ではなかった。再発の率比は、ER陽性でPR陽性のグループでは0.63(SEは0.03)、ER陽性でPR陰性のグループでは0.60(0.05)、ER陰性でPR陽性のグループでは0.90(0.10)、ERもPRも陰性のグループでは1.03(0.06)。

さらにER陽性者では、タモキシフェンの用量、化学療法歴、割り付け時の年齢、リンパ節転移の有無、癌の分化度、腫瘍の大きさなどにかかわらず、10年未満のタモキシフェンの効果が認められた。再発部位ごとにタモキシフェンの利益を調べたところ、同側乳癌、対側乳癌、遠隔転移と多発性転移のいずれのリスクも同様に低下していた。

 10年にわたる再発率の低減は、ER陽性者に10年を超える乳癌死亡リスクの減少をもたらしていた。

 乳癌死亡についてはタモキシフェンの利益は15年まで持続しており、率比は0.70(SEは0.05)だった。0~4年の率比は0.71(SEは0.05)、5~9年の率比は0.66(SEは0.05)、10~14年の率比は0.68(SEは0.08)だった(いずれも超過死亡低減のP<0.0001)。

 タモキシフェンは乳癌患者の非乳癌死亡にはほとんど影響していなかった。全死因死亡はタモキシフェン群で低かった(0.78、SEは0.03、P<0.00001)。

 タモキシフェンの有害事象の中で生命を脅かすものは血栓塞栓症と子宮体癌だが、それらによる死亡リスクの有意な上昇は、55歳を超える患者のみに認められた。この年齢群においても、得られる利益に比べれば、絶対リスク上昇はわずかだった。

 術後5年間のタモキシフェン投与の利益は、ER弱陽性者を含むER陽性者が指示通り服用すれば、ほぼ全員に認められることが明らかになった。

 原題は「Relevance of breast cancer hormone receptors and other factors to the efficacy of adjuvant tamoxifen: patient-level meta-analysis of randomised trials」、概要は、Lancet誌のWebサイトで閲覧できる。
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この報告では、タモキシフェンの利益は10年ぐらいと見ています。

注目すべきは、ERが弱陽性(細胞質蛋白質1mg当たり10~19fmol)の患者においても同様に、タモキシフェンによる再発率低下が見られた点でしょうか。

弱陽性だと、タモキシフェンの奏功が悪いようなイメージを持っていましたが、、、そんなことはないように見えます。

この報告だけを読むと、副作用が辛くても、歯を食いしばって続けた方がいいのかな、、、なんて思ってしまいます。いや、、、歯を食いしばる生活ってのも、いやなもんですが。。。


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なかのひと

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