乳がん患者のサロン2 - ノエル編

乳がん患者の皆様、このサロンでのびのびと雑談しましょう。くつろぎの場です。

ハーセプチンとアントラサイクリン系の併用

2010年02月10日 | 病気・症状
ハーセプチンの奏効率は単独で3割、タキサン系と併用すると6割と、数年前に画期的な発表がされました。んで、アントラサイクリン系の薬剤との併用についての報告が出たようです。

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【トラスツズマブはアントラサイクリン系抗癌剤との併用でも高い臨床効果】 2009. 12. 14

 トラスツズマブはアントラサイクリン系抗癌剤との併用でも、アントラサイクリン系抗癌剤以外の化学療法との併用でも、無病生存期間ならびに生存期間を改善することが報告された。無作為化フェーズ3試験であるBCIRG 006試験の最新の解析で明らかになった。12月9から13日まで米サンアントニオで開催されたサンアントニオ乳癌シンポジウム(SABCS 2009)で、米University of California, Los AngelesのDennis Slamon氏が発表した。

 BCIRG 006試験は、HER2陽性の早期乳癌患者人を対象に、ドキソルビシンとシクロホスファミド併用の後にドセタキセルを投与する標準的な治療群(AC-T群)と、ドキソルビシンとシクロホスファミド併用の後にドセタキセルとトラスツズマブを投与する群(AC-TH群)、さらにドセタキセルとカルボプラチン、トラスツズマブを投与する群(TCH群)を比較した。

 AC-T群は、3週置きにドキソルビシン(60mg/m2)とシクロホスファミド(600mg/m2)の併用を4サイクル行った後、3週間置きにドセタキセル(100mg/m2)を4サイクル投与した。AC-TH群は、同様のレジメンの後にトラスツズマブ(75mg/m2)を1年にわたり投与した。TCH群では、3週間置きにドセタキセル(75mg/m2)とカルボプラチン(AUC6)を6サイクル投与し、トラスツズマブを1年間投与した。

 試験には、2001年4月から2004年3月までの間にHER2陽性の早期乳癌患者3222人が登録し、AC-T群が1073人、AC-TH群が1074人、TCH群が1075人。患者の年齢中央値はAC-T群が49歳(23~74歳)、AC-TH群も49歳(22~74歳)、TCH群も49歳(23~73歳)で、リンパ節転移がなかった患者はいずれも29%、ホルモン受容体陽性(ER陽性および/あるいはPgR陽性)の患者は全群とも54%を占めた。また、2005年に行われた最初の解析の後、トラスツズマブの効果が公表され、その結果、AC-T群の2.1%に当たる23人がトラスツズマブ治療に移行した。

 今回発表された解析結果は、計画されていた3番目の解析。フォローアップ期間の中央値は65カ月。主要評価項目である無病生存(DFS)のイベント(乳癌の再発、二次性原発腫瘍、死亡)がAC-T群が257人、AC-TH群が185人、TCH群が214人で見られ、死亡は141人、94人、113人だった。

 この結果、DFSは、AC-T群に対するAC-TH群のハザード比が0.64(95%信頼区間;0.53-0.78、p<0.001)、TCH群では0.75(95%信頼区間;0.63-0.90、p=0.04)だった。全生存期間は、AC-TH群のハザード比が0.63(95%信頼区間;0.48-0.81、p<0.001)、TCH群では0.77(95%信頼区間;0.60-0.99、p=0.038)と、DFSと全生存期間でトラスツズマブ投与による改善が示された。  また、リンパ節転移が4個以上あるハイリスク患者では、AC-T群(350人)に対するAC-TH群(350人)のDFSのハザード比が0.66(95%信頼区間;0.51-0.86、p=0.002)、TCH群(352人)では0.66(95%信頼区間;0.51-0.86、p=0.002)で、アントラサイクリン系抗癌剤の有無に関わらず、DFSは改善することが示された。全生存期間はAC-TH群のハザード比が0.69(95%信頼区間;0.49-0.96、p=0.029)だが、TCH群では0.75(95%信頼区間;0.54-1.04、p=0.085)となった。

 安全性については、全体的にはTCH群のほうがAC-TH群よりも良好だった。グレード3/4の有害事象では関節痛、筋肉痛、手足症候群、口内炎、嘔吐は他の2群に比べてTCH群で少なかった。またグレード3/4の好中球減少、白血球減少はAC-TH群に比べて、TCH群の方が少なかったが、貧血と血小板減少はAC-TH群の方が少なかった。心毒性は、グレード3/4の心不全がAC-T群で7人、AC-TH群は21人、TCH群で4人、左室駆出率の10%以上の低下は114人(11%)、194人(19%)、97人(9%)と、AC-TH群で多かった。

 また、トポイソメラーゼ IIa(TOPO IIa)遺伝子による解析も行われた。TOPO IIaはHER2遺伝子の近位にあり、乳癌では遺伝子増幅が見られ、アントラサイクリン系抗癌剤の効果予測因子ともいわれている。今回の解析で、HER2増幅とTOPO IIa 増幅が重複して見られた患者は1044人(35%)。AC-T群に対するAC-TH群のDFSのハザード比が0.90(95%信頼区間;0.62-1.32、p=0.60)、TCH群では1.20(95%信頼区間;0.85-1.71、p=0.30)となった。このため、「TOPO IIa増幅の患者には、トラスツズマブの使用は勧められない」とSlamon氏はコメントした。
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今後、ハーセプチンにアントラサイクリン系抗がん剤との併用治療が出現するのでしょうか? この報告からは心毒性の副作用が他群に比べて高いですね。

また、「トポイソメラーゼ IIa(TOPO IIa)遺伝子による解析」という新たな抗がん剤予測因子の存在も気になるところです。


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なかのひと

This blog “The salon of breast cancer women authored by Noe:l” is able to read in Japanese:-)