「きゃははははっ! 嘘や嘘や!! なあ~もしてへんよ。アンタはバイトの子?」
そのマキさんとかいう変な女性客は大笑いで訂正した後アタシにそう聞いた。アタシはますます不信感でいっぱいの顔でぎごちなく頷いた。
「そうか~。カズの奥さんやないんかあ。テレビ見たときてっきり奥さんかと。ほんでついからこうたろ思うてさ~!」
「ち…違いますっ! アタシはタダの大学生のバイトですっ!!!」
何言い出すの? この人~!! でもちょっと嬉しいかも。て、違う違う違う!!!
「いやあ、若い子をからかうのんは楽しいわあ。ゴメンゴメン! 安心しい、ホンマに何もしてへんよ。遭難しかかって偶然おんなじ避難小屋にたどり着いて一晩一緒におっただけや。ダイイチこのコ…」
と、店長を指差して
「高熱出してうなっとったもん。なんも出来へんわ、仮にウチが何か期待してたとしてもな。」
豪快に笑い出した。…ナニ、この人…。
もしもホントに店長に奥さんがいたとしたら、そしてここに居合わせてたら家庭騒動必至だ。なんという悪趣味なからかい方…。離婚騒動にでもなったらどーすんの!! ノリツッコミではすまないよ~! ケバい化粧で水商売の人だろうと推測はできるけど、このまくしたてる関西弁はすさまじい。おまけにめちゃめちゃマイペース。すごく厚かましそう。おばちゃんという年ではまだなさそうだけど、大阪のおばちゃん予備軍なのは間違いない。
でも、この人のキャラはともかく、その8年前?にあったことっていうのはちょっと気になるな~。こう見えて店長って意外と過去に女の人といろいろあったみたいだもんね~!
小城みゆ希はタダの同級生だって弁解しまくってたけど、ゼッタイタダじゃないもん、きっとなんかあったんだ。と、アタシは睨んでいる。今後の参考のためにぜひ聞いておきたいものです! あれ、アタシもツッコミたくなってる…。
マキさんとかいう人は店長に向かって話を続けた。
「でも、ほんまに良かった。それにしてもよう崖から谷に突き落とされて助かったね~!」
「イヤ、谷にまでは落ちなかったから。マキの方こそ良く生きてたな。俺、あのままヤクザに殺されて山に埋められでもしたんじゃないかと思ってたぜ。」
「あ~あ、もみあってるとこへちょうど警察も追っかけて来よってな~、一網打尽で捕まえてしもうたわ。ウチも一緒に捕まったけどな。」
「……この人たちなにげにものすごい話してない…?」
アタシは呆然として、というかあきれ返ってこちらも不審そうにしている清司君にそういった。
「そうですね…。なにがあったんでしょう…?」
だよね…。
アタシはおそるおそる尋ねてみた。
「あの…なんか恐ろしい話してんですけど…ふたりでなにかすごい事件にでも巻き込まれたんですか?」
「ああ…まあね、このコは」
と、店長を「コ」呼ばわりする。これって関西人独特だよね…。
「ほんまのとばっちりやけど。たまたまウチと一緒にいたばっかりにな…。ヤクザに追っかけられてたんはウチだけやってんもん。カズ、ほんまにあの時のこと、ごめんやで。何も関係ないアンタを、死なしてしまうとこやって…。」
と、マキさんは神妙に頭をさげた。おや、少なくともそう悪い人ではないみたい。店長はコーヒーを出しながら首を横に振る。
「いいよ、もう過ぎたことだし。無事だったんだから。」
「うん…。ホンマ生きててくれてよかった。」
「そっちもな。」
「そやね…。」
マキさんは急にしんみりしてちょっと感慨深い表情になった。そりゃそうかも…。お互い相手が死んだかもしれないと思い続けて、心配し続けていたんだとしたら、やっと肩の重たい荷物が下ろせたということなんだもの。
それにしても何があったんだろう? 気・に・な・る~!! そんなアタシの、不信感はちょっとおさまったけど、好奇心が湧き上がってきた様子に気がついたのか、店長は軽くアタシに向かって笑いかけて、ミンツをポケットから出してくわえ、それからマキさん相手に思い出話の摺り合わせをし始めた…。
・・・TO BE CONNTINUED.
そのマキさんとかいう変な女性客は大笑いで訂正した後アタシにそう聞いた。アタシはますます不信感でいっぱいの顔でぎごちなく頷いた。
「そうか~。カズの奥さんやないんかあ。テレビ見たときてっきり奥さんかと。ほんでついからこうたろ思うてさ~!」
「ち…違いますっ! アタシはタダの大学生のバイトですっ!!!」
何言い出すの? この人~!! でもちょっと嬉しいかも。て、違う違う違う!!!
「いやあ、若い子をからかうのんは楽しいわあ。ゴメンゴメン! 安心しい、ホンマに何もしてへんよ。遭難しかかって偶然おんなじ避難小屋にたどり着いて一晩一緒におっただけや。ダイイチこのコ…」
と、店長を指差して
「高熱出してうなっとったもん。なんも出来へんわ、仮にウチが何か期待してたとしてもな。」
豪快に笑い出した。…ナニ、この人…。
もしもホントに店長に奥さんがいたとしたら、そしてここに居合わせてたら家庭騒動必至だ。なんという悪趣味なからかい方…。離婚騒動にでもなったらどーすんの!! ノリツッコミではすまないよ~! ケバい化粧で水商売の人だろうと推測はできるけど、このまくしたてる関西弁はすさまじい。おまけにめちゃめちゃマイペース。すごく厚かましそう。おばちゃんという年ではまだなさそうだけど、大阪のおばちゃん予備軍なのは間違いない。
でも、この人のキャラはともかく、その8年前?にあったことっていうのはちょっと気になるな~。こう見えて店長って意外と過去に女の人といろいろあったみたいだもんね~!
小城みゆ希はタダの同級生だって弁解しまくってたけど、ゼッタイタダじゃないもん、きっとなんかあったんだ。と、アタシは睨んでいる。今後の参考のためにぜひ聞いておきたいものです! あれ、アタシもツッコミたくなってる…。
マキさんとかいう人は店長に向かって話を続けた。
「でも、ほんまに良かった。それにしてもよう崖から谷に突き落とされて助かったね~!」
「イヤ、谷にまでは落ちなかったから。マキの方こそ良く生きてたな。俺、あのままヤクザに殺されて山に埋められでもしたんじゃないかと思ってたぜ。」
「あ~あ、もみあってるとこへちょうど警察も追っかけて来よってな~、一網打尽で捕まえてしもうたわ。ウチも一緒に捕まったけどな。」
「……この人たちなにげにものすごい話してない…?」
アタシは呆然として、というかあきれ返ってこちらも不審そうにしている清司君にそういった。
「そうですね…。なにがあったんでしょう…?」
だよね…。
アタシはおそるおそる尋ねてみた。
「あの…なんか恐ろしい話してんですけど…ふたりでなにかすごい事件にでも巻き込まれたんですか?」
「ああ…まあね、このコは」
と、店長を「コ」呼ばわりする。これって関西人独特だよね…。
「ほんまのとばっちりやけど。たまたまウチと一緒にいたばっかりにな…。ヤクザに追っかけられてたんはウチだけやってんもん。カズ、ほんまにあの時のこと、ごめんやで。何も関係ないアンタを、死なしてしまうとこやって…。」
と、マキさんは神妙に頭をさげた。おや、少なくともそう悪い人ではないみたい。店長はコーヒーを出しながら首を横に振る。
「いいよ、もう過ぎたことだし。無事だったんだから。」
「うん…。ホンマ生きててくれてよかった。」
「そっちもな。」
「そやね…。」
マキさんは急にしんみりしてちょっと感慨深い表情になった。そりゃそうかも…。お互い相手が死んだかもしれないと思い続けて、心配し続けていたんだとしたら、やっと肩の重たい荷物が下ろせたということなんだもの。
それにしても何があったんだろう? 気・に・な・る~!! そんなアタシの、不信感はちょっとおさまったけど、好奇心が湧き上がってきた様子に気がついたのか、店長は軽くアタシに向かって笑いかけて、ミンツをポケットから出してくわえ、それからマキさん相手に思い出話の摺り合わせをし始めた…。
・・・TO BE CONNTINUED.
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