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温泉めぐり紀行

メタセコイア並木(滋賀県 2025年5月)

1072.福島・山形の温泉たび

2024-10-17 | 温泉探訪

■旅の初日は福島県「いやさかの湯」と「あゆり温泉」

2024年10月3日、福島県矢吹町の食堂「いやさか」に来てしまった。
ここの自家温泉、「いやさかの湯」がお目当てだ。何だかすっかり気に入ってしまい、今回でかれこれ3回目の入浴である。
食事をすれば無料で入れるサービスがうれしい。
生姜焼き定食を食べて、さっそく温泉へ。
まずは露天風呂へ直行した。

先客はおじさんがひとり。
10月だというのに冷たい風が肌を射す。
暖かい湯が体に沁みる。
思わず、フ~と声が漏れる。

露天風呂がきもちいい


内 湯

食堂裏の駐車場からみた温泉施設  この寂れた感じがいい

   生姜焼き定食 うまかった


    店内のチラシ  食事すると入浴無料サービスが書いてある   

「いやさか温泉」の前に、矢吹町の「三十三観音摩崖仏群」に立ち寄った。
隈戸川左岸の約10メートルの断崖に計37体の摩崖仏が彫られている。
薬師如来、阿弥陀如来、千手観音などが勢ぞろい。摩崖仏の風化と傷みは時が創ったものだ。

福島県内には摩崖仏が数多くみられる。
翌日行った福島市の「岩谷三十三観音摩崖仏群」もそうだが、
この辺り一帯の岩質がやわらかくて彫りやすいせいなのかもしれない。
もちろん信仰心の篤い人たちがいたからでもある。

矢吹町で新しい温泉施設をひとつ発掘した。
町営の「あゆり温泉」(入浴料400円)である。
地元の人たちに大事にされているのだろう、380万人達成とある。
温泉は無色透明で43度くらいの熱い湯だった。

広い畳の休憩部屋に客が5人ほど。座布団を枕にゴロリと昼寝。
昨夜は21時に自宅を出て、東北自動車道の上河内SAで車中泊(175キロ走行)。
そのせいで眠い。最近は車中泊がきつくなってきた。
年齢(とし)かな。

ザリガニがいそうな岸辺

■旅の二日目は赤湯温泉と小野川温泉

福島駅前の東横インを朝9時に出発。曇り。昨夜はよく寝た。
やはりホテル泊は身体が休まる。

まずは松尾芭蕉ゆかりの地、「文知摺観音普門院」へ。
文知摺観音は小倉百人一首の歌枕の地として有名。この地を訪ねた松尾芭蕉は

早苗とる 手もとや昔しのぶ摺

と詠んだ。

受付のおばちゃんによると、境内の拝観は無料で資料館は200円とのこと。
私のいち番のお気に入りは多宝塔だ。


    
      多宝塔 朱が少しずつ褪せてきた


 苔むした文知摺石

続いて岩谷観音・摩崖仏を訪ねる。
福島に来たらどうしても寄りたくなる。どうにも摩崖仏の風化が気になってしまうのだ。

3年前、仏様の顔部分が剥離・落下した現場に遭遇し、とても驚いた。
すぐに福島市教育委員会へ通報した。
現在、接着剤で元の位置に付けてあるけれど不自然さは禁じ得ない。
2024年10月現在の岩谷観音のようすをみると、やはり風化が進んでるように思える。

時のなすまま、それも歴史的遺産のあり方のひとつかも。

  
3年前に顔部分がすっぽり剥離した      剥離落下した顔面像 

  

修復後の姿 不自然なのが歴然



■赤湯温泉へ

福島から山形米沢方面へ最短で行くには東北中央自動車道(無料区間)を利用するに限る。
大笹ICから入ると米沢北ICまでが無料区間となっている。
今回はその先の南陽高畠ICで降りて赤湯温泉「湯こっと」(400円)を目指す。

お昼の時間なので赤湯溫泉・名物のラーメンを食べに行くことにした。
湯こっとの駐車場から歩いて5分、「吾助」という店に入った。
和風だしの効いたラーメンだった(850円)。
ちなみに昨夜、佐野SAで食べた佐野ラーメンがうまかった。
出汁も太いメンマも焼き豚も縮れ麺も、どれとっても満足の一杯だった。

    

   

お腹も満ちたので「湯こっと」に戻る。
赤湯温泉には「烏帽子の湯」、「赤湯元湯」など小さな公衆浴場温泉が4か所あった。
しかし、「とわの湯」、「あずま湯」が老朽化のため閉鎖。
さっきのラーメン店前の「とわの湯」は、まさに解体工事の真っ最中だった。
「湯こっと」に施設集約したということだろう。


  湯こっと  まだ真新しい温泉施設だ


 解体中の旧公衆浴場 とわの湯

■小野川温泉

米沢市に戻り、小野川温泉の外湯「尼湯」(旧滝の湯)を目指す。
ところが雲行きが怪しくなり、土砂降りの中を運転する羽目になってしまった。
風情ある日本旅館の建つ小野川温泉。強い雨のせいか通りに人影がない。
「尼湯」は街の中心にある。
駐車場が見当たらず、尼湯を通り過ぎた先の廃家前にちょっとしたスペースを見つけ、駐車させてもらう。車のドアを開けると、どっと雨が吹き込んできた。風に飛ばされないよう傘をさして尼湯へ向かう。相変わらず強い雨だ。時間は午後3時。

   

       雨の小野川温泉街 ひっそりしている

   
        尼 湯

    

 泥湯に管理人は置いていない。
入り口の自動販売機で入浴料200円を払い、入浴券を脱衣スペースの前に置くようになっている。無銭入浴を防ぐためらしい。

引き戸を開けると、脱衣所、湯舟が目に飛び込んでくる。湯舟は畳み2枚分ほどだ。
足を湯船に入れるとアチチ、とてもじゃないがそのままでは入れない。
44度くらいだろうか。ホースで水道水を引き入れ、どんどん薄めてやっと肩まで入れるようになった。ヤレヤレとホッとした。

そのときである。

引き戸がガラリと開いた。
おばあさんだ。けげんな顔をこっちを見ている。
わたしはおもわず「何かぁ(用ですか)?」と呑気に呼びかけていた。

  ここ女湯だども・・

          

おばあさんの、そのひと声ですべてを理解した。
失礼しましたぁ、と叫びながら
脱いだ衣類で前を隠し、隣の男湯へ駆け込んだ。
よく見れば入り口は女、男と別々になってるのに何も考えずに手前の女湯の方にはいってしまっていたのだ。

混んでるときだったら大騒ぎになっただろうな、
そんなことを想像すると、冷や汗が出る。
誰もいない男湯で、ひとり反省したのだった。

おもえば今日はチョンボばかりだ。
午前に入った「湯こっと」でもウッカリなことが・・。
着替えを持って館内に入り、脱衣場ですっかり脱いで、さぁ、湯舟へ・・というとき、手ぬぐいタオルを持ってきてないことに気が付いた!。
どうしよう、また着なおして車まで取りに行くのも面倒だし・・。

というわけでタオルなしで入浴。
なのについウッカリして頭をシャンプーしてしまった。
よく温まってから湯から上がり、脱衣場に戻り、Tシャツでからだを拭くしかなかった。
すべて旅の疲れがなしたことだ、仕方あるまい、と開き直った。

   

ところで、小野川温泉には無料開放のいい露天風呂があるのだ。

今日は雨なのであきらめたが、
2年前の6月に入らせてもらった。蛍が生息する川沿いの絶好のロケーションだった。
いつかまた晴れてる日に入りに来たい。

   
小野川温泉の無料開放の露天風呂  上方に見えるのも露天風呂
     脱衣場はないし、川向うからは丸見えのロケーションだ




1069. 万葉俱楽部温泉と地震

2024-08-12 | 温泉探訪

2024年8月9日(金)、横浜みなとみらい地区の温泉施設、「万葉俱楽部」に行ってきた。
奥さんのピアノの生徒さん(といっても大人の女性)からピアノ発表会のお礼ということで万葉倶楽部の入浴券二人分をいただいた。それが6月のことだ。
しまい忘れてた券のことを思い出し、有効期間が切れる前にでかけようということになった。


動かない日本丸  外は暑い熱い   


涼しいランドマークを抜けて・・


万葉倶楽部が見えてきた

万葉俱楽部の受付フロントは7F。
入浴料金が高い(2950円)にもかかわらず意外と利用客が多いのに驚いた。
若い人ばかりかと思いきや、おばちゃん二人連れや老夫婦、外人さんもチラホラ。
リピーターが多いみたいだ。


入館時に万葉倶楽部のグループLINEに入会。次回、入浴料半額の特典が付く。
KEYを渡され、ロッカーキーのほか館内での食事などの支払いはすべてこのKEYで処理。
あとで一括清算する方式となっている。

お腹が空いてたので、まずは6Fの万葉庵で昼食。
窓際に席をとり、海をみながら食事。奥さんはマグロ丼、私はカッ重。
あと、2人用にもり蕎麦ひとつ。

温泉は7F。

湯舟はそれほど広くはないが、海の眺めがいい。
直径2mの木製樽型の露天風呂は本物の温泉だけあって気持ちいい。
湯から上がって、湾内のベイブリッジを眺める。
ときおり吹く潮風が肌に気持ちいい。
温泉は湯河原からタンクで運んできている。

5Fのリラックスルームにはリクライニングチェアがなんと471席。
しかも各チェアにテレビ付き。
備え付けのマンガを読んだり、スマホやテレビをみたり、思い思いの過ごし方をしている。
奥さんは最初はマンガをみてたが、そのうちイビキをかき始めた。寝たらしい。
4Fのヒーリングルームはリクライニングが78席。
照明がややおとしてあり落ち着いた雰囲気である。

温泉とゆったり時間を堪能してるうち、いつしか夜に。
夕食を兼ねて再び万葉庵で軽く一杯。

はじめの方に入浴料金が高いかも・・と書いたが、交通費かけて遠方の温泉地に出かけて行くよりも、近場でゆっくりくつろいで1日を過ごせる点で、ここの万葉倶楽部は、むしろ安いかもしれない。
リピーターがきっと多いに違いない。


  


みなとみらいの夜景は皆を魅了する


水面に揺らぐ灯りが涼をよぶ


遊覧船が出航していく

いや~楽しかったわね、と奥さん。
桜木町駅に向かって汽車道を歩いてた時、
いきなりスマホがけたたましく鳴った。
緊急地震速報だ。時間は19時57分。
みなとみらい地区全体に大音量で緊急地震速報の放送が流れ、観覧車やゴンドラも緊急停止した。でも駆け出すような人もなく、いたってみんな平静だ。


前日に南海トラフ大地震が発生する確率が高くなったという情報がテレビで大々的に取り上げられたばかりなので、ついに来たか、とおもったのだが・・・。
桜木町駅前の木々はゆれてないけど地震の第二波が来るかもしれないので、
とにかく早く最短ルートで自宅へ帰ろう、と桜木町駅へ急いだ。
電車は1遅れで到着し、ほぼ正常運転なので安心した。


あとでみるとこの地震は神奈川県西部深さ10キロが震源でマグニチュード5.3、
最大震度5弱。厚木市あたりが強く揺れたようだった。

なかなか思い出深い2024年8月9日(金)であった。



1006.春の福島温泉めぐり

2023-04-16 | 温泉探訪

2023年4月中旬、2泊3日のクルマ旅に出かけた。
目的は福島の桜と温泉。
懸念してたとおり、桜のピークはとっくに過ぎていた。
見頃は一週間前だったようだ。
福島市、田村市、三春町など中通り地方は、ほとんどが葉桜に変身していた。
樹種の違いなのか時折、見頃の桜もあって旅心を慰めてくれた。
桜の話しは後で詳しく書くとして、ここでは温泉の話し。

 

■富士の湯(福島県田村市)

丸一魚店・富士の湯」と店の看板には書いてある。
でも店内は食品・雑貨店の棚があり、どうみても魚は扱ってそうもない。

お風呂に入りたいのですが、
と声をかけると店の奥からおばあちゃんが出てきた。
入浴料500円を払うとスタンプカードを作る様子なので
あぁ、それはいいですとお断りする。

場所分かりますか?と訊かれる。
はい、あの、何度か来ているので分かります

と答えると、ごゆっくりどうぞ、とおばあちゃん。

湯船は2m四方の小ささ。
今日も独り占め湯だ。
湯は透明で41度ほどの適温。気持ちのいい湯。
癖になる気持ちよさである。
なのでここには3回も入りに来ている始末。

休憩室からおばちゃん達のおしゃべりが聞こえる。
富士の湯は社交場としても地元に溶け込んでる温泉施設だ。
いつまでもいつまでも残っていて欲しい温泉である。

 


正面のプレハブは休憩室 温泉は建物の向こう側


 まどを開けるとウグイスの鳴き声がした

 

 

 

 

■飯坂温泉共同湯・波来湯(福島市飯坂)

松尾芭蕉も入った飯坂温泉。
共同湯は8箇所あり、なかでも有名な共同湯は鯖湖湯だ。
しかし、なんせ鯖湖湯は温泉が熱過ぎて素人には入れない。
これまで何度も懲りてるので、
今日は福島交通飯坂線の終着駅・飯坂駅に近い波来湯(はこゆ)へ。

たまたま空いていた駐車場に車を駐めて受付へ。
券売機で入浴券(300円)を買う。

何だべ、今日はずいぶん混んでるな

地元のおじさん達で賑わっている。
湯船は熱湯45度、温湯42度の二つある。
午前中の身体は、まだ温まっていないのでまずは温湯で身体をならす。
透明な湯でここも気持ちいい感触。

試しに熱湯にも入ってみた。
初めは攻撃的に熱いものの、じっとしていると皮膚の表面に耐熱バリアができるらしく段々と熱さが和らいでくる。
ところが、ちょっとでも動くとバリアが崩れて熱さが攻撃してくる。
45度の湯とはそんな感じだ。

目の前に川が流れていて涼しい風が心地よく吹いてくる。
しかし、この温泉地も廃墟ホテルが目に付く。
窓ガラス越しにはボロボロになったカーテンがみえる。侘しい光景である。
解体には巨額の費用がかかるため放置しているらしい。
このあと訪ねる土湯温泉もそうだし鬼怒川温泉でも廃墟ホテル問題には頭を痛めてるようだ。


左が廃墟ホテル

 

 

 

■奥つちゆ秘湯・川上温泉(福島市土湯温泉町)

飯坂温泉から115号線を走る。
折からの黄砂で吾妻連峰が霞んでいる。全国的に黄砂が飛んでるとのこと。
ホテル・旅館が建ち並ぶ土湯温泉の中心地を抜け、細い山道をしばらく走ると
目的の川上温泉の建物が現われた。
玄関前のしだれ桜が満開だ。
「日本秘湯を守る会」の提灯がぶら下がっている。期待が高まるではないか。

  日帰り温泉お願いします

  はい、700円、じゃなくて、えっと800円頂きます。半洞窟風呂とあすな
  ろ湯の二つありますのでごゆっくりどうぞ

若主人らしき人、最近値上げしたばかりようで未だ慣れてない様子。
ときに休館もありうるので入湯できるかどうか波来湯を出るとき電話で確認した。女将さんだろうか、どうぞ気をつけてお越しくださいと感じのいい受け答えだった。

さっそく半露天風呂へ突入。独り占めだ。でかい洞窟だ。よく掘ったもんだなぁ。
奥と手前の2箇所から熱い温泉が勢いよく注ぎ込んでいる。
透明でくせがない。広い湯船を独り占めして申し訳ない気分だ。

そしてもうひとつの「あすなろ湯」を探検。
ちょっと熱い。このままではとても入れない。ホースで水をいれる。
入り口にこんかな張り紙があった。
「水で薄めた後は必ず水を止めてください。水風呂になってしまいます」

熱い温泉と冷たい水が喧嘩すると最終的には水に軍配があがるらしい。
これと同じことを岩手県八幡平のキャンプ場の温泉施設でもいわれた記憶がある。

ということで水栓をしっかりと締めて湯からあがった。
玄関をでると眩しいくらい満開のしだれ桜が見送ってくれた。

 

内湯のあすなろ湯 熱いのでホースで水をいれる

 

 

 

■共同湯 中の湯(福島市土湯温泉町)

だいぶ前だがこの共同湯には入ったことがある。
建物をリニューアルしたようで見違えるほどきれいになった。
川上温泉を出発して身体がまだ火照ってるというのにどうしてもチェックしたくなった。
券売器で入浴券(500円)を買う。
内湯と露天のふたつ。透明な湯だ。
露天風呂は高い塀で囲まれて圧迫感がある。開放感に乏しい。
こじゃれた造りだが利用者目線の設計とはなっていない。

土湯を後にし、山間部の国道115号線を快適に飛ばす。
「四季の里」でカタクリの花を撮影し、松尾芭蕉が訪ねた文知摺観音まで足を伸ばす。閉館時間の5時ぎりぎりまで多宝塔のたたずまいにみとれた。

 

 

 

 

 

■芦ノ牧日帰りドライブ温泉(福島県会津若松市)

国道118号線。
芦ノ牧温泉へ通じる大橋の手前に
昭和レトロ感が満載のお土産屋さんがある。
店の入り口に「ドライブ温泉大浴場入り口」と書いてある。
以前、ここを通りかかり、入りたかったのに閉館時間17時をまわってたため
断念した温泉なのだ。

温泉おねがいしま~す
はぁ~い、500円です と元気なおばちゃん。

熱い湯と温い湯の内湯、そして露天風呂。
設備全体が老朽化していてタイルも所々剥がれている。
ハッキリいってボロい。でも温泉は無色無臭で気持ちのいい温泉だ。
源泉は芦ノ牧温泉と同じなんだろう。
土産物を買うついでにひと風呂という人は、はたして何人いるのだろうか。
ドライブイン自体が今や"絶滅危惧種"なのによく頑張ってるなぁ、思う。

そんな懸念をよそに、店の奥からおばちゃんの話し声と豪快な笑いが脱衣場まで響いてきた。



これが大浴場なのだ!


 

 

 

 

 


1004.法師温泉長寿館

2023-03-07 | 温泉探訪

さすが山奥の秘湯宿だ。まだ雪が屋根に残ってる。
ここは群馬県の法師温泉長寿館。
やはりあのレトロな湯に惹かれれて来てしまった。
職場の温泉同好会仲間で宿泊したとき以来だ。20年ぶりくらいか。

今朝、高崎のおばあちゃん宅を出発。国道17号線で前橋、渋川、沼田、水上を抜けていく。
三国峠の手前で17号線からそれて林道に入る。
5キロほど先のどん詰まりが法師温泉だ。
山や道の脇には雪が残っている。猿ヶ京温泉郷では全く雪は無かったのに、林道を遡るにつれて雪が目立ってきた。
やはり豪雪地帯なのだなと改めて思う。
法師温泉の入湯料は1500円。
少々高いけれど、この秘湯温泉なら許せる。
先客は二人。
太い梁が昭和ロマンの湯殿をガッシリと支えている。
浴槽は4つ。
熱すぎず、ぬる過ぎず、40℃くらいの湯が優しく全身を包み込む。思わずフゥ~と声が出る。
湯船の底にはこぶし大の石がゴロゴロ。
その足元からプクプクと源泉が湧いてくる。
気持ち良くて何時間でも入っていられる。
なんとも贅沢な時間だ。
夜、浴槽の四隅に灯りが灯るとガラリと雰囲気が変わる。
湯気に霞む灯りが旅の気分をいっそう盛り上げてくれる。
20年前、温泉仲間と記念写真を撮りあったものだ
そんな昔と変わらぬ佇まいにほっとする。
ただ気を付けないといけないことがある。
日帰り温泉客の受け付けは13時30分で終了してしまうのだ。
そして14時までに湯を出なければならない。
改めて調べると、
温泉仲間と法師温泉に泊ったのは2002年5月だった。
そのときの写真をすこし並べてみよう。
 
このたたずまいは昔も今も変わらない
 
新しく増築した湯殿 玉城の湯。デザインは長寿の湯を踏襲
玉城の湯の露天風呂
玉城の湯の内湯
以上が21年前の写真である。
国道17号線に戻り、高崎を目指す。
JR津久田駅を過ぎたあたりで「もつ煮定食」の看板が目に入った。
 うまい、安い、早い、もつは日本一 と書いてある。
店の名は永井食堂

カウンターに案内され、もつ煮定食を注文。
店内のお姉さんが元気よく定食を運んできた。
碗に盛られたもつ煮、そして大盛りのご飯、タクアンと味噌汁。
大盛りごはん、食べきれるかな、と一瞬戸惑った。

見た目はしょっぱそうだが、ひとくち食べたら、柔らかくて美味い。
ご飯の甘みと煮汁との相性もよくてどんどんご飯が進む。
これで料金590円。
うまい、安い、早いに偽りはなかった。


ミヤゲ用のもつ煮(千円)を10個(袋)、20個とまとめ買いする人が次から次とやってくる。
永井食堂は、知る人ぞ知る17号線の人気店だった。
つられてわたしも土産に1個買ってしまった。


ご飯がすすむ



929.へんな温泉本

2021-08-02 | 温泉探訪

 

世の中にはマニアックな人がいるものだ。

温泉マニアはたくさんいるだろが、この人の本はちょっとひねりがある。

岩本薫著「へんな名湯」(発行:みらいパブリッシング、2019年5月)である。

表紙にこう書いてある。

 

ヘンなのに湯はすこぶるいい

ヘンはくせになる

ヘンは愛おしくなる

 

著者の岩本さんは自称、ひなびた温泉研究所のショチョウだそうだ。

世に名湯と呼ばれる温泉はたくさんあれど、これにヘンというand条件が付くと

ぐっと絞られる。

本では北海道から九州まで31箇所のヘンな温泉を発掘し紹介している。

自動車工場、食堂、電気屋、魚屋さらには神社やお寺、教会にまでに温泉があるとは

しらなかった。よくぞここまで探検・探索・発掘したものだと感心する。

まず観光案内などでは絶対に出てこない温泉ばかりだ。

 

たとえば、

岩手県の「でめ金食堂」では食事を注文した人は店内の温泉に無料で入れるという。

とろみのある湯を著者は絶賛している。

タクシーの運ちゃん御用達の食事処「いやさか」(福島県)でも名物・巨大メンチの食事を

済ませば内湯と露天風呂が無料となる特典がつく。

行ってみたくなる温泉が4~5箇所はある。

今年の旅の楽しみがまたひとつ増えた。

好評のため、

新たに35箇所を追加して第二弾、「もっとヘンな名湯」(20121年1月)も発売中だ。

ただ、調べると閉館した宿が2箇所ほどあった。下調べは必要だろう。

 

ちなみに本で紹介された温泉で私が入ったことのあるのは、

恐山温泉、老松温泉、八九朗温泉そして北温泉の4箇所だ。

探し出すのにとても苦労したがその当時の写真を載せた(北温泉だけは見つからなかった)。

なんだかとても懐かしい。

 

▼恐山温泉(青森県)   賽の河原で有名な恐山。その境内にふたつの湯小屋がある。

 


 

 

▼老松温泉(栃木県)   建物が崩壊しているホラーな温泉。ただし湯は絶品。



 

 

▼八九朗温泉(秋田県)  畑のポツンと建つビニールハウスの中に気持ちいい湯が湧く。

 



 

 

▼北温泉(栃木県)    プールのような露天風呂と巨大天狗がおわす内湯の湯治宿。

 



 

 

 


905.秋田県・大深温泉

2021-01-31 | 温泉探訪

先日、NHK-BSPで温泉番組・「ふるさとあったか湯けむり紀行」を見た。
2002年、2004年に放送した番組の再放送である。
別府・竹瓦温泉、信州戸倉・上山田温泉、福島・赤湯温泉、青森・温湯温泉、そして秋田県の
玉川温泉と大深温泉。約20年前とはいえ、懐かしさを覚える温泉もあれば行ってみたくなる温泉もある。

温泉と湯治は切っても切れないが、なかでも大深温泉は湯治舎の原点ともいえる素朴さを今でも残しており、最近では2019年に湯を楽しませてもらった温泉である(826.温泉三昧)

そこにも記したが大深温泉はお医者さんが建てた湯治宿(2棟)である。
宿といってもオンドル舎が二棟あるのみで食事は自炊。
オンドル舎では通路を挟んで両側のスペースで食事や寝泊まりする。
間仕切りなんてものはない。ゴザを敷いた床は温泉で暖かい。
このスペースで料理して食べ、寝っ転がって本や雑誌を読んだり、ウトウトと寝たり、
おのおのノンビリと時間を過ごす。
周りは原生林だから余計な灯りは一切ないので星空が素晴らしい。

温泉は単純硫黄泉。湯船に注ぎ込む源泉は90度。沢水を入れて適温にする。
気持ちのいい温泉は変わらない。
いつまでも残っていてほしい温泉である。



                       オンドル舎 今日は湯治客がいない


オンドル舎内は40度近い

 
透明な硫黄泉があふれ出る


地元新聞の温泉記事が貼ってあった



 


835.信州・青木村のいで湯

2019-11-14 | 温泉探訪

前々から気になっていた長野県青木村の田沢温泉沓掛温泉。旅の目的地のひとつである「無言館」へ向かう途中に立ち寄ることにした。

2019年10月4日、中央高速の諏訪南ICを下り、大門街道(国道152号線)から白樺湖、大門峠を経て松本街道(国道143号線)に入り青木村に到着。

■大宝寺の三重塔

先ずは国宝の三重の塔がある大宝寺へ。創建は奈良時代・大宝年間(701~704)というから古いお寺である。パンフレットを読むと国宝三重塔は全国に13か所あり、長野県内には安楽寺(別所温泉)と大宝寺の2か所。あまりに美しいので思わず振り返るため大宝寺の三重塔は見返りの塔とも呼ばれている。

駐車場から緩やかな坂を登っていく。塩田平を見下ろす丘の中腹に建つ大宝寺はなかなかに落ち着いた風情のお寺だ。紅葉に囲まれた三重塔を正面から、横から、そして上からと見て廻る。秋空の下、のんびりと境内で過ごさせてもらった。

 

 

■温泉はしご

沓掛温泉と田沢温泉近い距離にある。大宝寺を後にして、まずは沓掛温泉「小倉乃湯」を訪ねる。入浴料金200円は安い。
湯船はふたつあり、いずれも小さい。どちらにも4~5人の先客がいる。窮屈な感じだが、ここはともかく失礼しま~すと湯船に入れさせてもらう。プンとかすかな硫黄臭がする。無色、透明の単純泉だ。平安時代から湧いていたというありがたい古湯を頂戴する。

 

 小倉乃湯   新聞から引用

 

汗引く間もなく次の田沢温泉へと向かう。8キロほど走って共同湯の有乳湯(うちゆ)に到着。緩やかに続く石畳みの坂道を歩く。旅館は3軒。有乳湯の傍に建つ旅館の玄関をみると立派な松がそびえ老舗らしい雰囲気が漂っている。開湯は飛鳥時代の後半というからここも歴史ある温泉である。入浴料200円。小さな湯船には地元のお父さんたちがいて話に花が咲いている。

  なに、酒やめたんかい
  うんきっぱり止めただよ、したら誰も付き合ってくれるやつ誰もおらなんでな。だもんで
  イヌに走っただよ、犬は服従するでな

酒をやめ、犬と散歩して温泉にはいるほうが健康的だよね・・と勝手におもう。ぬるめの湯は源泉かけ流し。贅沢な湯である。じっとしていると小さな泡が肌にまとわりついている。炭酸泉なのだろう。

田沢温泉、沓掛温泉ともにひなびた農村のいで湯である。そして源泉かけ流しの気持ち良い共同湯だ。毎日、この湯の恵みをいただける村人たちがうらやましい。国民保養温泉地らしい風情ある土地であった。

この日は松本市内のホテル泊の予定。夕闇が迫った有乳湯を16時30分に出発。すっかり暗くなった山道を峠越えしてホテルに着いたのは18時30分だった。

 

 

新聞から引用

ひなびた温泉郷らしい雰囲気 


 

 

 


 

 

 


724.越後信州ぶらり旅

2018-05-15 | 温泉探訪


じゃあ行ってくるねぇ・・と奥さんに云って夕方、家を出たのがちょうど一週間前。
先月は近江だったので今回は東北方面を旅するつもり。
先ずは栃木県大田原市・黒羽町の雲厳寺。
ここは絶対に行ってみたいと思う。

黒羽町は松尾芭蕉が2週間も滞在した由緒ある土地。
長雨のせいもあるが、こんなに長く滞在したのは異例のこと。芭蕉は滞在中、歌仙を巻いたり、名所旧跡を巡り、雲厳寺では江戸で親交のあった仏頂和尚の暮らした庵跡を訪ねている(1689年4月5日)。
なのでこの寺は外せない。

ところで、この雲厳寺は
吉永小百合のCM(JR東日本)で超有名となった場所。
このGW期間中は大変な人で混み合ったとのことだ。


JR東日本のポスター 
 


 同じアングルで撮影




次に白河ラーメンの店、「とら食堂」にもいってみたい。
麺打ちにこだわるこの店の主人の姿を追った「プロフェッショナル(NHK)」。この放送をみてたら無性にこのラーメンを喰いたくなったのだ

(先に私的結論をいうならば麺は美味かったがスープが×だった)

そして、
できたれば岩手県二戸の天台寺も訪ねてみたい。
かつて瀬戸内寂聴尼が住み、講話で有名な寺である。
現在は改修工事中のようだが庭だけでもみてみたい。

でも、but、しかし、だけど岩手県二戸はとにかく
遠い。
行きたくはある、訪ねてみたい、そんな気持ちはある。
せめて弘前辺りでサクラがまだ咲いてるならまだしも、弘前祭りが終わってしまった今じゃぁなぁ・・なのだ。
「行きたい気持ち」と「躊躇する気持ち」がケンカしてる。

北に向かう旅気分の盛り上がりというか、「のり」がいまひとつなのだ。
来月、サクランボを買い付けるため山形県寒河江行きを予定していることも二の足を踏んでいる一因かもしれない。


そんなぐちゃぐちゃ頭を抱えながらハンドルを握り、
外環道から東北自動車道へと入る。


道の脇で


どこでも野生の藤が満開


只見線「塔寺駅」のホーム




「とら食堂」の焼豚麺      はっきりいって不味い とくにスープは旨味もコクも無く醤油を薄めたような味でガッカリ


東北自動車道ではずっと雨。佐野SAで車中泊。
ひと晩考え、東北行きをやめて大きく西へ進路を取り新潟に向かうことに決めた。
そうと決めたら話しは早い。
ルートが頭の中てあっという間にできあがった。

○黒羽、那須、白河(泊)
○翌日は喜多方に向かいラーメンのあと新潟(泊)
○十日町・星峠の棚田、松之山の美人林、飯山、長野(泊)

ざっと全ルートをたどればこんな感じか。

栃木(大田原・那須)→国道294号福島(白河・喜多方)→
国道49号→新潟(古町・十日町・松之山)→関越高速道・国道117号→長野(市内・飯山・木島平)→中央高速・国道20号→山梨(台ケ原)→中央高速→自宅 


新潟の東横イン古町の予約もとれた。
古町は新潟最大の繁華街であり、私の若き頃の思い出の地でもある。
大学1年の冬、佐渡に旅行したとき資金が足りなくなって新潟大学の学生寮に転がり込み、バイトを世話してもらった。
そのバイト先が古町十字路にある呉服屋。
大売り出しの日で、お客さんの履き物を預かり整理する下足番のバイトだった。
昼飯付きで、たしかカツ丼を店の奥で食った記憶がある。
50年も前の町がどうなっているか、楽しみが湧いてきた。


こうして当初とはえらく違った思いがけないルートを走行することとなった。
しかし、結果的にコレが大正解だった。

名湯・珍湯を味わうことができたし、また新しい発見もあった。
たとえば日本一大きい杉は縄文杉ではなく新潟の「将軍杉」だったなんて知らなかった。
そしてびっくりさせられたこともあった。

長野から松本に通じる国道19号線。
山間を60キロで走ってたら、左側の斜面からいきなり黒い塊が飛び込んできた。
距離は15メートルほど先。
犬にはしては大きい、こいつクマじゃん!
その真っ黒な塊は勢いよく道を横切って右の藪下へと駆け込んでいった。
何しろ一瞬のことだ。もし衝突でもしたらこっちもダメージは大きかったろうなと想うと、ぞくぞくっとした。

驚いたもう一つは地震だ。
クマと遭遇したあと旧篠ノ井線の廃線跡を訪ねた。
残雪の常念岳などの北アルプス嶺をみていたら、いきなり足下が揺れた。めまいかとおもった。

スマホが緊急地震速報を知らせてきた。
震源地は長野県北部、マグニチュ-ド5.1、深さ10キロ。
昨日泊まった長野市は震度5弱。
ここら辺りは震度3だ。トンネルに居て崩れたら・・と想うとこれまたゾクゾクっとした。


そして温泉を探しだし、全部で6♨入った。

老松温泉(栃木県・那須)
蔵の湯(福島県・喜多方)
かのせ温泉・赤湯(新潟県・阿賀町鹿瀬)
千年温泉(新潟県・十日町)
津南駅温泉(新潟県・津南町)
馬曲(まぐせ)温泉(長野県・木島平)

⑥をのぞいて初めて行く温泉ばかりである。
とりわけ①の老松温泉は珍湯の名にふさわしかった。
壊れ、朽ちかけつつある廃屋といっていい建物。
旅館だったが今は朽ち果てるのを待つばかり・・といった風情。
バラックのような家の引き戸をガラガラと開け、声をかけると、コタツに半身を突っ込んだ主人が寝っころんだまま、

「はい、500円、そこをまっすぐに行って、湯はぬるいからどうぞごゆっくり」

と素っ気ない。
階段を降り、ぼろぼろの廊下をいく。薄暗くて不気味。
2メートル四方の二つある湯船の一つに温泉がかけ流されている。白濁の湯である。入浴はわたし独り。
親父さん、ぬるいよって云ってたけど結構熱いじゃんと叫びながら体を沈める。気持ちいい。
この温泉は相当マニアックな温泉だな。

こうして5月8日夜~12日まで1140キロのクルマ旅をしてきた。上信越はどこへ行っても新緑が美しく、フジや青桐の紫花が良く咲いていた。福島、新潟そして長野、いずれの土地でも田植えの光景を見かけた。どんな時代になろうとも変わらぬ日本の原風景をみた思いだった。
旅でのことを、これからさきポチポチと書いてみたい。

 




越後の夕景


将軍杉 幹周り19.31メートル 高さ約40メートル


旧篠ノ井線 三五山(さごやま)トンネル 全長125メートル


廃線跡のトンネル付近から常念岳はじめ北アルプスが見える


気持ちよい老松温泉 いつ廃湯・幻の温泉になるか分からない


馬曲温泉 望郷の湯 


 


660.旅のおわり

2017-07-13 | 温泉探訪

きのう泊まったのは「チェリーパークホテル」(寒河江市)。
なかなか設備の整ったいいホテルだった。ありがたいことに隣の温泉施設へ何度でも行き来できる。ホテルの前はおおきな
公園である。犬を連れて散歩したりジョギングする人の日常がそこにある。
ホテル内のレストランでひさびさに豪華な朝食バイキングを楽しみ、ゆっくりとホテルを出る。

寒河江(さがえ)といえばなんと言ってもサクランボの産地。
公園の一角にJAの直売所がある。
そこにサクランボ目当ての人たちが行列をつくっている。
ついさっきまで、去年、買ったサクランボ農家の直営店まで行こうと思っていたんだけど・・・少しここから距離もあるし、暑そうだし・・・JAでもいいかぁ~と気が変わってしまった。

9時開店の30分前なのにもう30人ほどが待っている。
その人数はあとからあとから増えていく。
開店すると同時にサクランボのコーナーに皆が殺到し、すごい迫力だ。佐藤錦のブランドで売られているサクランボは大きさと数で値段がさまざま。
子どもたちやご近所用に6箱購入。九州大分にいる長男夫婦には宅配便で送った。

10時、寒河江の名刹、慈恩寺へ行く。
ここは3回目の訪問。
十二神将をじっくりと拝観した。
昨年はイタリアでの出展のため見られなかったのでようやく念願がかなった。十二体の神将それぞれが実に豊かな表情をしている。

さてっと、
もうあとは寒河江ICから高速に乗り、家へ帰るだけだ。
今晩は奥さんも旅行から帰ってくる。
「大人の休日倶楽部」会員なら1万5千円で4日間新幹線乗り放題(JR東日本のみ)を利用して毎年、仲の良い5人の友達と出かけている。
今回は八戸、青森に泊まる2泊3日の予定で星野リゾートにも泊まるようだ。
だから、家で留守番というのもなになので、この機会を生かして私も出かけたというわけだ。
奥さんたちは今晩いったん帰ってきて、4日目の明日は新潟方面へ日帰り旅行を計画している。
女性は元気です。



 

 





慈恩寺

 



§4泊5日の山形を巡るクルマ旅はこんなものだった

▼走行距離    
1519キロ
▼ガソリン補給量 85.21リットル
▼入った温泉(計9ヶ所)  
   滑川温泉、姥湯温泉、ゆぴあ天童、
   肘折温泉上の湯、カルデラ館、
   
西本屋旅館ぽっぽの湯、銀山温泉かじかの湯、
   寒河江温泉ゆ~チェリー、土湯温泉サンスカイつちゆ
▼訪問地
   
雄国沼、岩屋観音、峠駅、滑川温泉、姥湯温泉
   肘折温泉、大蔵村棚田、金山町、トトロ杉
   加茂水族館、羽黒山五重塔、月山弥陀ヶ原湿原
   幻想の森、銀山温泉、寒河江慈恩寺


▼宿 泊(4ヶ所)

   東横イン福島駅西口(福島市)
   西本屋旅館(肘折温泉)
   宿坊神林勝金(羽黒町)
   チェリーパークホテル(寒河江市)



今回も快調に走ってくれた サンキュー


寝袋は使わずじまい


たのもしくて気の合う奴


 


659.幻想の森

2017-07-11 | 温泉探訪

幻想の森に着いたのは今から1時間ほど前。

月山八合目を昼前に出発。麓の月山ビジターセンターでひと息つき、立谷沢川沿いの道をしばらく走る。国道47号線(鶴岡街道)を右折し、新庄市方面に向かう。青空が広がり暑くなってきた。

船下り降り場を過ぎると、道路右側に「幻想の森」の案内板がある。たぶんほとんどの人が見落とすくらい小さな案内標識である。陸羽西線のガードをくぐり、車一台分ほどの林道を登っていく。
これが相当の悪路。
岩が頭を出す凸凹道を前後左右に揺られながら進む。床下をこすったり、タイヤを傷つけないよう慎重にハンドルを握る。
幻想の森は3キロ先だ。

・・・・・・

そして、木材チップを敷き詰めたふかふかの道を歩きながらさっきまで森の中に棲息する巨木たちに挨拶してきたところだ。
幻想の森にふさわしい巨木群だ。
いったい全部で何本あるんだろうか。
どれもこれもユニークなスタイルで屹立している。
大自然がつくった芸術作品といえる。

写真をだいぶ撮らせてもらった。十分満足だ。







尾花沢の寿司屋で遅い昼食。
国道13号線(羽州街道)を離れ銀山温泉を目指す。
銀山温泉・共同湯の「かじかの湯」(300円)に入れたのは午後の4時ころ。
川沿いに建つ共同湯をのぞくと誰もいない。
外は観光客がぞろぞろと歩いているのに不思議な感じ。
今日の疲れを湯に溶かす。
目の前の川ではさっきからカジカガエルの合唱だ。
夕暮れの温泉街に、その鳴き声はよく似合う。

さて、今宵の宿のある寒河江市へと向かうとするか。




銀山温泉をそぞろ歩き カジカがよく鳴いている

 

 銀山温泉の共同湯 かじかの湯 


フォトアルバム  巨大すぎ幻想の森


 


657.ピラミッド・トトロ

2017-07-05 | 温泉探訪

旅の3日目。

朝風呂に入り、朝食をいただき、
ご主人と奥さんに挨拶して出発。
奥さん、品のいいきれいな人だ。
旅していて、いつも感じるのだが
湯治場や温泉宿の女将さんたちは、明るくて、はきはきした魅力的な女性(ひと)が多いように思う。
女性が元気なことは世の中が健康な証拠だ。

昨日見かけた棚田を見に寄り道。
典型的な里山風景を楽しんだ後は、国道13号線をひたすら北上する。
ふたたび雨が降り始めた。
新庄市内を抜け、今日ひとつめの目的地、金山(かねやま)町へと進む。
大きく左にカーブしたのち右へゆるやかに下り始める辺りが
上台(うわだい)峠だ。

1878年(明治11年)、
ここから見た光景を英国人女性、イザベラバードは次のように記している。

今日は温度が高く、空は暗い。
りっぱな道路は終わりを告げ、またもや以前の困難な旅が始ま
った。
今朝新庄を出てから、険しい尾根を越えて、非常に美しい風変わりな盆地に入った。

ピラミッド形の丘陵が半円を描いており、その山頂までピラミッド形の杉の林でおおわれ、北方へ向かう通行をすべて阻止しているように見えるので、ますます奇異の感を与えた。
その麓
に金山の町がある。
ロマンチックな雰囲気の場所である。
私は正午にはもう着いたのであるが、
一日か二日ここに滞在しようと思う。 日本奥地紀行(高梨健吉訳/平凡社)」から


ピラミッド丘陵は雨のなか


今日は雨に霞んではいたが、イザベラバードの見たピラミッド丘陵のことを地元では金山三峰と呼んでいる。
左から薬師山、中の森、熊鷹森。その姿は人口6000人の金山町を象徴するランドマークとなっている。

その町民の誇りは、大堰公園内に建てられた「イザベラバード記念碑」となって結晶化されている。
バード来訪100年を記念して建てられた石碑には、先ほど引用した一文が刻まれている。

金山町には滞在型ホテル「シェーネスハイム金山」(2食付き7600~)もあるので、いつかまた訪ねてみよう。
旧家の蔵を再生した街角交流施設・マルコの蔵で一息ついて次の目的地、鮭川村へと向かう。

山間部と農道を走り、農村地帯へと分け入る。
目的地はトトロの形をした大杉。
たしかにそっくり。

街角交流施設・マルコの蔵 1階は土産物、2階が写真展示


イザベラバード記念碑




トトロの大杉


 


最上川沿いの国道47号線、鶴岡街道を走る。
最上川の水運は中世から開け、源義経は船で川を遡り平泉へと落ち、また松尾芭蕉は川を下って


 五月雨をあつめて早し最上川(芭蕉)

と詠んだ。

雨脚がますます強くなってきたので
観光船の船着場近くのレスランでひと休み。
ランチのビーフカレーを食べる。美味い。
この強い雨ではさすがに観光船の姿はない。


▼鶴岡市の加茂水族館に着いたのは午後3時。

朝出てからここまで140キロ。
旅に出る前、NHK総合「ドキュメント72時間」がこの水族館に集う人生模様を放送していた。
なかでも直径5メートルの巨大水槽の中でグルグルと回り続けるミズクラゲの映像がとても印象的だった。
これはぜひ見てみたい・・・、ということでやってきた。


フォトアルバム 加茂水族館のクラゲ


 

水槽の中でクラゲ達はなんだかのんびり、ひょこひょこと泳ぎまわっている。
ふわふわ漂ってるだけの生物と思ったら体全体を使って上下左右にふわふわプカプカとマイペースに行動している。
UFOのような奴もいればキノコみたいなものもいる。
連中はとにかくじっとしていない。

「うわぁ~、見てみて、これ
かわいい~!」

本当だね、
その姿をみてるだけでとても癒やされる不思議な存在だ。クラゲの種類がこんなにも多いのも今回初めて知った。
あっという間に1時間半を過ごしてしまった。再度入場可というのも粋な計らいだ。

十二分に楽しんだ
水族館を後にし、鶴岡市街地から羽黒山麓へと向かう。
いつしか雨はあがり、西の空は夕焼け。今日は170キロほど走った。
そして今夜の宿は宿坊「神林勝金」。

 

 
明日は晴れそうだ

 






656.庄内三名湯めぐり

2017-07-01 | 温泉探訪

 

2017年6月、旅の二日目。山形の秘湯、滑川温泉、姥湯温泉そして肘折温泉を訪ねる。

■滑川(なめがわ)温泉


国道13号線を走っている。
福島と鶴岡を結ぶ山間の歴史街道で、
別名、万世大路という。
ときどきトラックとすれ違うくらいで道は空いている。
長い長い東栗子トンネルを抜けて左折し、いったん国道13号線を離れる。
板谷の集落を過ぎると細い山道に入りこんだ。
一気に山間へ突っ込んでいく。


ところで今日は朝からずっと雨が降っている。
濡れた新緑が生き生きとしている。
林道を小一時間ほど走り、ずいぶんと山奥に入ってきたなぁと感じた頃、
突然に明るく開けた場所に出た。
奥羽本線の「峠駅」だ。

駅といってもトンネルの出口内に作られた特異な駅である。
昔は屋外にホームがあったように思うが移設したのかもしれない。
それにしてもまぁ、こんな山深いところによく駅ができたものだと思う。


この奥のトンネル内に峠駅がある

峠駅ホーム




マイクロバスが駅構内に入っていった。
近づいてみると滑川温泉・福嶋屋と書いてある。
どうやら泊まり客を送ってきたようだ。
ホームで写真を撮りながら電車を待っている5~6人はこの宿のお客さんらしい。
駅前には名物の力餅を製造販売する家が一軒建っているだけ。
ということは、この駅は餅屋さんんと温泉宿のために造られたということか。

林道に再び戻り、走り続ける。
雨と南風がさらに強くなってきた。
ラジオでは東北全体に強風注意報が出ているので警戒して下さいと呼びかけている。
そして今日、東北地方は梅雨入りしたという。

山全体がざわざわと左右に揺れ、たたき落とされた枝葉が道に散乱し、へばり付いている。
落石注意の看板もあるけど帰りは大丈夫なんだろうな、と気にかかる。
分岐点にさしかかり、左は姥湯温泉(3Km)、直進は滑川温泉とある。

 
滑川温泉に着いた
 
正面が玄関




10時すこし前、福島屋に到着。
すぐ脇が渓流で勢いが増している。
それにしても福島屋はいい雰囲気の建物だ。
湯治場の風情が色濃く残っている。
那須の北温泉を想い出させる風情である。

この時間だと露天風呂は女性専用とか。
このザアザア雨では入ってる女性はいないだろうに、残念だがあきらめて内風呂へ。
といってもこれは混浴風呂。脱衣場は別々だが湯船が一緒という、よくあるパターン。
誰も入っていない。

湯は熱くもなく、かといってぬるくもなく気持ちよく浸っていられる加減に調整されている。
青灰色の湯は肌にジンジンと染みこんでくる。
う~ん気持ちのいい湯だ。
温泉の力を肌で実感する

いくらでも入ってられるよ、これは・・。
外は雨、目の前の山の樹が風に翻弄されている。
それにしてもいい湯だ。

後から中年夫婦が入ってきたが、さっと入って、
さっとあがっていった。
夫婦水入らずの時間を邪魔してしまった気分だが仕方がない。


実に気持ちの良い湯だった


雨のため檜風呂には入らなかった



■姥湯(うばゆ)温泉

 

滑川温泉からさらに3キロほど林道をのぼっていく。
かなりの勾配だ。雨も風もさらに強くなってきた。
駐車場に車を駐めて傘をさした途端に風でオチョコにされた。
ほとんど用をなさない傘をさしながら吊り橋を渡って坂道を上る。崖にへばり付くように建つ姥湯温泉・桝形屋。
こんな悪天候だというのに露天風呂には5~6人が入っている。

「全国いろんな温泉をまわってるけど、こんなすごい場所にあるのは初めてだね」

着替えのとき隣にいたお父さんが感心している。
雨に打たれながら裸で湯に飛び込む。
傘をさして入ってるお父さんもいる。
湯は白濁、硫黄の微臭。
雨のせいかややぬるい。
頭にタオルをのせてもじきにぐっしょりと濡れてくる。


姥湯温泉




姥湯温泉の露天風呂


 



■肘折(ひじおり)温泉

今夜の宿は、肘折温泉・西本屋。
宿へ行く前に肘折温泉郷の近くの日帰り温泉「カルデラ館」へ寄り道。
薬湯のような独特の匂いのする温泉である。
肘折温泉は29軒の宿が軒を連ねる小さな湯治場。
端から端まで5分もあれば行き着いてしまう。

共同湯の「上ノ湯」にはいる。
ここは透明・無色でカルデラ館とは全く泉質が異なる。
宿の主人に案内されて2階の部屋に入る。
夕食にビールをつけてもらう。
のどが渇いたせいか何杯飲んでも旨さが甦る。


カルデラ館

肘折温泉の街並み


名物の朝市
 

 

フォトアルバム 『山形の秘湯』



 


655.崩れゆく石仏

2017-06-30 | 温泉探訪


ここに来るのは何度目だろうか。
いま岩屋観音の石仏の前に立っている。
時間は午後6時半。

岩壁に彫り込まれた観音像。
悠久の時間が鑿(のみ)となって
柔和な顔を縦に割り、躰をそぎ落とす。
時と戯れ風雨に晒され、朽ちゆくまま・・泰然と過ごす。
そんな石仏たちに手を合わせる。

福島市・信夫山公園。
そこが石仏達が暮らす場所。
ここも放射能で汚染されたときく。
この人災をどう思うか。




崩れゆく石像のフォトアルバム


 


654.雄国沼で

2017-06-28 | 温泉探訪

朝の東北自動車道を走りながら、さて今日はどこまで行ってみようか、と思案してる。
この先4日間の宿泊先はネットで予約を済ませてある。寝場所が決まってるというのは、旅の根っこがあるような気がして安心な気分ではある。
しかし、いずこかへ気ままな旅
・・・とはいうもののボーっとした頭では堂々巡りをくりかえすばかりである。

昨夜は羽生SAで仮眠をとった。奥さんに見送ってもらって自宅を出たのが夜10時過ぎだったから2時間も運転すればさすがに眠くなる。
車の座席を倒しタオルケットで凸凹を埋めて横になったのは深夜零時過ぎだった。


そして今ふたたび車を走らせているのだが、それにしても今日はどこへ行こうか・・・まだ決めかねている。

ふと、そうだ、雄国沼はどうだ、と叫ぶ声がした。
雄国沼にはたしか去年か一昨年だったか、行ったことがある(後に調べたら2013年8月31日土曜日だった)。
そうだ、雄国沼、いいじゃん、ここにしよう。

そう決めた途端にホッとして、ラジオのスイッチをいれると、
NHKニュースが流れてきた。
男のアナウンサーのソフトな声。
その声に導かれるように昔の記憶が甦った。

4年前、雄国沼に行く林道を運転しているときだった。
たまたま聴いていたNHKラジオ。
短編小説の
朗読の番組のようだ
単調な山道を運転しながら、いつしかその小説の主人公と物語の世界に引き込まれていった。
その短編のあらすじはこんなかんじ。


 「自転車を漕ぐとき」  作:薄井ゆうじ
 
 離婚と勤め先の倒産で心も体も疲れ切った中年男の私が、店先でふと高級自転車に目をとめたことから、自転車好きだった10歳の頃の、夢やあこがれを思い出す。

東京から茨城に引っ越した少年の私は、新しい友人の、アメリカ人の母親・エミリーに恋心をいだく。そして、夏休み、エミリーと離婚した友人の父を訪ねて、友人と一緒に仙台まで自転車で行こうという計画を立てるが、友人とエミリーは突然仙台に引っ越してしまい、友情と初恋はともに失われた。

その後一度は仙台を訪ねようと思いつつも先送りにしてきたのだが、すべてを失った30年後の今、手持ちの現金をはたいてこの自転車を買い、仙台へ旅立つことを決める。
エミリーに会ったら、「結婚しないか」と言うつもりで。人生と言う名の自転車は、自力で漕ぎ続けるのだ、そして、30年を取り戻すのだ、という思いを込めて、走り出す。 
(「NHKラジオ文芸館」から引用)



シャトルバスの終点、金澤峠。
さっきからエゾハルゼミがうるさいほど鳴いている。
ニッコーキスゲで有名な雄国沼だが、残念なことに例年より開花が遅れている。
しかしズミ、ワタスゲ、ツツジが咲く雄国沼はどこまでも明るかった。

 


 

雄国沼のフォトアルバム


 


 


653.山形庄内旅

2017-06-26 | 温泉探訪

東北は山形を中心に旅してきた。
出発は2017年6月19日(月)夜10時。帰宅は24日(土)夜9時。1500キロのクルマ旅。

主な寄り道先はこんなところ。

雄国沼、金山町のトトロ杉、クラゲ展示の加茂水族館(鶴岡市)、羽黒山五重塔、入山規制が解除された月山・弥陀ヶ原湿原、寒河江の慈恩寺など。

入った温泉は、
土湯温泉、姥湯温泉、滑川温泉、肘折温泉、銀山温泉など全部で9湯。

天気は21日の強風雨以外は晴れ。
泊まったのはホテル2ヶ所、温泉宿と宿坊の計4。


雄国沼 キスゲの開花は10日ほど遅れている


秘湯「姥湯温泉」の露天風呂 強い雨が吹き付けていた