今日は大晦日。
ああもう1年経ったか・・と思う。
ここへきて時の目盛りが縮まって短くなった気がする。
たとえば80才の人を眼の前にすると、以前であればまだずっと遠い年代だと想ってたものだが、古稀を過ぎた今は急に近しい年齢層のように感じるようになった。
これは一体どういうわけか。
これについては「ジャネーの法則」がよく知られている。
ピエール・ジャネーが提唱した仮説で、
「感じられる時間の長さは、年齢と反比例的な関係にある」というもの。
同じ1年であっても、10歳の子供にとっては人生の10分の1であり、60歳の大人にとっては60分の1、
年齢に対する比が小さいほど時間が短く感じられるので、加齢によって時間が短く感じられるようになる、というわけ。
しかし、この仮説は時間を研究している学者の間では否定的らしい。
ところで今日、大晦日の晩、
昔お世話になった上司のFさんに電話をかけた。
というのは今年いただいたFさんの年賀状にはこう書いてあったからだ。
85才になり妻の介護等で不如意にならぬとも限らないので年賀の挨拶は今回限りに・・・という文面がしたためられていた。このまま音信不通となってしまうのは寂しいので、いつか連絡しよう、しようと思いつつ今日まで来てしまった。
電話の向こうでFさんはとても喜んでくれた。
今年2月に奥様を亡くされたこと、
今は一人暮らしであること、
膝が痛むため長くは歩けないこと、
子どもが心配しているが病院通いには車で行っていること、
職場だった建物が解体されてとても寂しく思ったこと、
妻が亡くなってから気力が衰え、身の周りのものを片付け始めていること、
電話をもらってとても嬉しい・・・
懐かしい声を20年ぶりできいてわたしもホッとした。
35年勤めた職場で、Fさんは私にとって、こういう人になりたいなぁ、とおもった唯一の上司である。
またときどき電話しますので・・と伝えて電話を置いた。
胸がすこしばかりキュンとする年の瀬である。