温泉めぐり紀行

丹沢の新緑(2022年5月)

483.歩き遍路旅(34)横峰寺・香園寺

2015-04-30 | 四国遍路ぶらぶら歩き

■伊予讃岐の歩き遍路旅

 61番香園寺本堂

 


 遍路3日目  平成27年4月3日(金) 晴れのち雨 
       栄家旅館→60番横峰寺→61番香園寺
 23.9 キロ


6時起床。部屋から見ると東の空が明るい。
今日はしんどい山歩きになるので足裏の内側、小指、膝に念入りにテーピングをする。6時30分、栄家旅館のお母さんに見送られて出発。もうひとりの泊まり客が午前3時半に起き出して出掛けたので、お母さん眠そうだ。
早朝の丹原町は人影まばらで未だ眠っている。静寂な町を通り抜けて中山川を渡るころ朝陽が横から射してきた。麦畑の緑がまばゆい。


7時30分、国道11号線沿いのコンビニでコーヒーを飲む。今はどのコンビニでも淹れ立てコーヒーを安く美味しく飲めるのでありがたい。ここから6キロほど林道を歩く。山ふところに向かって緩やかに登りが続く。
人家もまばらになり、時々車が行き交うだけ。こういう林道歩きはほとほと疲れる。四国各地で見かけるのだが、小指ほどの太さで体長20センチはあろうかという巨大ミミズが道路を横切っている。これは四国だけに棲息するやつかもしれない。

 

9:45やっと横峰寺への登り口に到着。雨がすこしポツポツときた。休憩小屋がある。覗いてみると一冊のノートが置いてあり、ここで野宿した遍路人の感謝のコトバがたくさん綴られている。野宿する人が少なからず存在することに改めて驚く。

 

山道をしばらく登っていると、下からチリンチリンと鈴の音が次第に近付いてきた。女性の登山者だ。年は五十代かな。

こうして山歩きしていれば認知症にもならないでしょうし、もう100回は登ったかしらね」

という。すご~い、と感心してたら

「もっとすごい女性(ひと)もいますよ、今日も登ってるはずですが彼女は千回以上登ってますよ、」

おやつのミカンを取り出して奨めてくれるので遠慮無くいただく。

「今はこの不知火っていうミカンが一番おいしいわね、不知火ってどこかしらね」


「たぶん熊本の不知火湾のあたりじゃないですかね」


「そうかもしれませんね。わたし西条に住んでるんですが下の駐車場に車駐めて横峰寺を往復したら町のプールでひと泳ぎして帰るんです、あっ、ほらさっきお話しした人が降りてきましたよ」


千回以上の女性がビニール傘一本ぶら下げて山道をさっそうと下ってきた。

「横峰寺はシャクナゲが素晴らしいのよ、5月の終わりに是非またいらっしゃい」
という。記念に近くの11丁石で記念に一枚撮ってもらった。後ろに写ってる女性が100回登山のミカンを下さった方です。




11時20分、60番横峰寺の山門にようやく到着。生暖かい強い風と大粒の雨が身体に吹き付ける。ミカンをくれた女性は今日は天気悪そうなのでと、途中で引き返したが、それが大正解だったと思う。
雨の中、横峰寺本堂のまえでは団体遍路さんが般若心経を唱えている。この雨と風では線香、ロウソクも火がつきそうもないので納め札と賽銭で済ます。季節が良ければ石鎚山にも行くつもりだったが残雪があって無理とのことだ。



さて、後はひたすら約10キロの山道を下りに下っていくだけだ。風雨はいっこうに止む気配はない。ときどき見かけるヤマツツジや新緑の若い芽葉がホッとした気分してくれる。花の写真を撮っている初老の男性がいた。
先に行ったり抜かれたりしつついつしかバラバラになったが、この方とはその後4日間も同じコース、同じ宿に泊まることになった(後で訊いた話しによると、東京都町田の方で1週間の休暇をとって区切り打ちにきているとのことだった)。

 

8キロほど下って、香園寺の奥の院にまでくると雷がゴロゴロとなりはじめ、ますます強い風雨の中を歩くことになった。ゴアテックスの雨具もさすがに内外濡れてお手上げ状態だ。したたり落ちる雨でズボンもパンツも濡れる。
もうやけくそで歩いていたらいきなり61番香園寺の裏手に出た。15時30分だった。

 

香園寺はとてもお寺とは思えない美術館のようなコンクリート製の建物。実にユニークだ。それはさておき境内の桜がみごとに満開だった。ずぶ濡れも忘れて何枚も写真を撮った。
16時、今日の宿、「ビジネス旅館小松」に到着。おかみさんが届いてますよう、といって郵便物とザックを出してくれた。そうだった、昨日泊まった「栄家旅館」がお接待でザックを宿まで届けてくれることになっていた。栄家旅館のお父さんが運転して届けてくれたにちがいない。お世話になりました。自宅から次女に送ってもらった郵便物には頼んだコンパス(磁石)が入っていた。やれやれこれで一安心。

ぐっしょりの雨具を玄関でハンガーに掛け、案内された部屋で早速着替え、洗濯機で濡れたシャツ、パンツなど一式ぜんぶを洗い、乾燥機で乾かした。
18時夕食。一階の広間には歩き遍路している中高年おじさん達ばかり10名くらい。アルコールも入り至極賑やか。名物の鍋物がでた。今日は長い一日だった。



 


 

デジブック 『伊予讃岐歩き遍路』


 


 


482.歩き遍路旅(33)伊予桜井

2015-04-28 | 四国遍路ぶらぶら歩き

■伊予讃岐の歩き遍路旅

実報寺


遍路2日目  平成27年4月2日(木) 晴れ 
           松山YH→JR松山駅→伊予桜井駅(ここから歩き)
           世田薬師、実報寺、日切大師、生木地蔵
           →栄家旅館  24.5
キロ


 さて、今日からいよいよ歩き遍路のスタート。パン&コーヒーの軽い朝食を済ませて松山YHを7時30分に出発。
いい天気だ。坂を下り道後温泉商店街を抜けて路面電車でJR松山駅へ。前回は松山市駅行きの電車に乗ってしまって大失敗だったので行き先を確認して乗車した。2年前、奥さんと愛媛旅行の際、松山YHに泊まり、翌朝、出発するとき玄関先でおばあちゃんからリンゴを頂いたことがあった。「お元気ですか」と宿のご主人にたずねたら昨年、亡くなられたとのこと。


   

8時20分JR予讃線の2両編成の電車に乗車。9時46分、無人の伊予桜井駅に到着。約半年ぶりに降り立ったホーム。目の前に満開の桜が出迎えてくれた。
10時出発。今日の目的地というかゴールは西条市の栄家旅館。予約したとき素泊まりですけどよろしいですか、とおかみさんが云っていたなぁ。もちろんOKです。

30分ほど歩くと「伊予桜井漆器会館」がみえてきた。箸やらお椀などの漆器が並んでいる。昔、全国の漆器職人を呼び寄せて技術を磨いたとか。比較的手頃な値段設定だ。再び歩く始めると後ろから菅笠をかぶった大柄な青年がやってきた。若い外人さんだ。「ロクジューバン?」、60番札所の横峰寺まで行くのか、と訊いている。「ノーノー」くらいしか話せない。私が2日がかりで行こうとしての道のりを1日で行くつもりらしい。タフだ。でもあの早いしっかりした足取りならきっと行きつけるだろう。

  

今日、参拝するお寺はないので、別格や番外の寺をいくつかまわった。世田谷薬師でもサクラが満開。田園地帯をとぼとぼと抜けていくと13時30分、実報寺(じっぽうじ)に到着。
ここの境内に咲く桜もみごとだった。地元の人たちも随分と見学にきている。染井吉野に先駆けて咲くという天然記念物の「一樹桜」(ひときさくら)。寛政七年(1795年)、この地を訪ねた小林一茶は一樹桜をみてこう詠んだ。

「遠山と見しは是也花一木」



実報寺の一樹桜
  

再び菜の花咲く田園地帯を歩く。汗ばむ陽気だ。ヒバリが空高く鳴きウグイスもきれいな声で歌ってる。
すこしさびれた感のある日切大師を参拝し、ちかくの光明寺に行く。ここには簡易の善根宿があった。覗くと二段ベッドがひとつあり、広さは3畳くらいか。寺に申し出れば歩き遍路人は無料で宿泊できる。私が20代だったらきっと利用するだろうな・・・。

   

「お遍路さ~ん、栄家旅館おさがしですかぁ」と自転車に乗ったお母さんに声を掛けられた。宿のおかみさんだった。これから買い物に行くけど宿には主人がいるから・・とのことだ。うろうろと探してたので気がついてくれたのかもしれない。

「3年前からな、両親と義理の姉の介護ですっかりやつれてしまってなぁ、もう胸が萎んでしまって、旅館も止めようかと思うとったんだが、お遍路さんからぜひやってくれぇ、いわれてなぁ、食事は出せないがほそぼそ続けてます」
ちょつと酒が入ってたかもしれないご主人に2階の部屋に案内された。後でおかみさんが云うには菅元総理が遍路の時に泊まった部屋とのこと。それは、どうでもいいことだが、そういえば玄関にそのときの写真を見かけたなぁ。

 

荷物を置きカメラだけ持って生木(いきき)地蔵まで往復3キロの道を歩き、古い街並みの丹原町を見学した。
夕食はおかみさんが紹介してくれた歩いて5分ほどのレストラン「FANTASY」へ。生ビール&ショウガ焼き定食。そして明日の朝食用おにぎり(2ケ)もつくってもらった。外へ出るともうすっかりと暗くなっていた。いよいよ明日は横峰寺への難路が待っている。あとは風呂入って足の手当をして寝るだけだ。

  

 


 デジブック 『伊予・讃岐歩き遍路』


 

 


481.歩き遍路旅(32)松山道後温泉

2015-04-23 | 四国遍路ぶらぶら歩き

■伊予讃岐の歩き遍路旅


サクラの下で宴会 松山市の湯築公園


遍路1日目  平成27年4月1日(水) 晴れ 
           自宅→羽田→松山空港→松山YH  7.0キロ


 

正岡子規記念館(松山市)にいる。道後温泉は何度もきているのに、ここへはこれまで訪ねる機会を逸してきた。今日は羽田を12時15分のANAで出てきた。今日の天気は晴れ。半袖で過ごしている。午後は明日からの歩きに備えてノンビリするつもり。
荷物は常宿にしている松山YHに預け、散歩がてら正岡子規記念館へ足を運んだ。65歳以上は半額の200円、うれしいねぇ、こういうの。
ゆっくりと館内を見てまわり外へ出ると湯築公園の桜が満開だった。横浜ではもう散ってしまったのでサクラの再会は感激だった(この後、旅の終わりまでずっとサクラが同行してくれた)。

道後温泉本館の混雑を避け、今回も「椿の湯」でくつろいだ。こちらは地元のおじさん達が利用する湯のようだ。松山YHで夕飯。泊まり客は高校生の男の子二人、男女の外人さんふたり、あとは私を含めておじさんが3人。みなそれぞれ旅行中のようだ。
   

部屋に戻って忘れ物に気がついた。磁石(コンパス)を家に置いてきてしまった。これが無いと一体どっちに向かって歩いてるか分からなくて困る。いつも携帯している「へんろみち保存協力会」の地図が妙な作りで、ページ毎に北の方角が左右前後に変わる。
通常の地図は上が北なので、ほんとに頭が混乱してしまう地図なのだ。

だからつねに現在地と方角をコンパスで確かめておかないと、逆方向に歩いて行ってしまう可能性がある。なのでコンパスは必須道具なのだ。
というわけで家に電話して、あさって泊まる予定の「小松ビジネス旅館」に送ってもらうことにした。ちょうど電話にでた次女に頼んだ。

今朝は奥さん、次女と孫達に見送られて9時に家を出た。それにしても気流のせいで飛行機が揺れに揺れたし、おまけにガツンと着陸して驚かせてくれたなぁ。


480.春の遍路

2015-04-20 | 四国遍路ぶらぶら歩き

先週の14日火曜日、予定どおり四国から帰ってきました。帰ってきてからが何やら忙しく、ミヤゲの「一六タルト」を子ども達に、川崎の姉や妹には金比羅さんのお守りを届けたり、合間に高校野球県大会の応援に横須賀までかけつけ、翌日はピアノトリオのボランティア演奏の手伝いで横浜MM地区の警友病院へ行き、さらに昨日は歴史散歩の会の定例会で鶴見川源流を訪ねるWalking・・・というあわただしさ。
というわけで四国遍路の報告がすっかりと遅れてしまいました。




遍路旅の出発駅 JR予讃線伊予桜井駅 


■横浜も天気が悪くて雪が降るくらい寒かったけど四国はどうでした

 行く前はですね、四国の4月だからポカポカの明るい陽気で温暖な天気を期待してたんですが・・・、晴れてたのは出発した4月1日と2日のみで、あとは最後まで冷たい雨が一日中降っていたり、晴れても一時的で長続きしなかったですね。なによりもほんと寒かったぁ。しかし、どこへ行ってもサクラが咲いていて慰められました。



■どれくらい歩いたのですか

 愛媛県今治市の伊予桜井駅を出発して香川県高松市まで西から東へと歩きましたが、14日間でざっと50万歩、約300キロを記録しました。下の図で黒く塗った実線がそれです。1日当たりでみれば最大で31キロ、おおむね25キロ前後歩いたのかもしれません。横峰寺、雲辺寺、白峯寺、根香寺は山中深い場所にありきつい山道を登り降りしました。
参拝したお寺は、60番の横峰寺から86番志度寺まで26か寺です。あと87番長尾寺と88番大窪寺で満願です。最後の歩きは奥さんと同行する予定です。
彼女は6月一杯はコーラスの発表会などて忙しいので行けるのは多分、7月頃になるでしょうね。ついでに高野山にも行く予定です。今回の歩き遍路では番外のお寺もできるだけ見てまわることにしました。中でも徳島県の箸蔵寺は予想以上に立派なお寺でした。



■宿泊場所はどうしました

 13泊の内訳は、宿坊1、民宿旅館5、ホテル4、YH(ユースホステル)1、宿泊施設付き温泉施設2でした。
空海の生まれた善通寺は88箇所の総本山的なお寺。広大な敷地に本堂、大師堂、五重塔などが建っています。その一画にある宿坊は簡素で清潔さの溢れた施設でした。朝のお勤めも心身がしゃきっとしました。
ところで今回の旅で特筆すべきは、温泉施設の「四国健康村」(香川県宇多津町)と「天然温泉きらら」(香川県高松市
)ですね。
「四国健康村」はお遍路さん向けに特別割引で1泊2食付き3000円と大奉仕、畳敷きの大広間で毛布にくるまって仮眠するタイプでしたが全くノープロブレム。
別の大広間の舞台では大衆演劇の公演の真っ最中。観客のおばさん達の熱気にあてられました。あとで詳しく書きますが、これ面白かったなぁ。


 
そして「天然温泉きらら」は素泊まり4850円で温泉は何度も入り放題、しかも部屋は別棟の4階建てのマンションの一室で12畳の広さ。バス・トイレ・キッチンも付いてる充実の設備でした。前日泊まった旅館があまりにも簡素すぎたので感激しました。
それにしても四国は遍路シーズンの真っ最中なのでバス遍路の団体が次々とやってきます。宿の予約も何回かは満室でことわられました。昨年の夏や秋の遍路のときには全然問題なく予約できたのにこれは初体験でした


■お接待はありましたか

はい、3回ほど、いずれも香川県に入ってからお接待頂きました。
▼坂出市の商店街を歩いていると、お接待ですと声を掛けられ、おばちゃんから500円玉を頂きました。▼うどん屋(善通寺市・宮川製麺所)さんで食べたお代が無料でした。おかみさんの話では、大阪の篤志家が歩き遍路の方に接待してやって欲しいとまとまったお金を置いていったとのことです。大阪方面に向かって一礼です。▼雨の中、
77番札所道隆寺(多度津)付近を歩いていると「お遍路さ~ん」と窓を開けて手を振る男性に声を掛けられました。傘を差しながら家から出てきたおじいさんは、歩き遍路の方に差し上げています、と云って小指大の「お地蔵さんの焼き物」を下さった(息子さんが作ったとのこと。今は玄関にかざっています)。  




■讃岐名物のうどんは食べましたか

食べた食べた!! そうだなぁ、5~6回くらいは食べたんじゃないかな。さすがに後半は飽きてラーメン食べましたけど・・・、人気の「宮川製麺所」や「喝うどん」に立ち寄れて良かったです。二つとも偶然に見つけられてラッキーでした。もちろん美味しかったです。
朝から開いている店もあってモーニングサービス価格で安く食べられます。麺も店によって個性があります。細い、太いのから噛みごたえのあるもの、つるつるしこしこ感が店によって微妙に違いがあり、それぞれ店の特色をだしています。
一見やわらかくても噛み切る寸前にもっちりとした抵抗感を与える麺だったり、太くてボリュームがあって食べきれるかな、と不安に感じたものの、ひとくち口に入れるとするするとノドを滑り落ちて、あっという間に胃袋に収まってしまったこともあります(「喝うどん」)。

■温泉は入りましたか

初日の道後温泉(椿の湯)に続いて湯ノ谷温泉(西条市)、武丈温泉(西条市)そしてさっきの四国健康村と天然温泉きららでしょうか。天然温泉いやだに温泉にも入りたかったのですが月1回の休館日にあたってしまい残念でした。



というわけで、これからポチポチと14日間の記録をまとめていきたいと思ってます。

 

朝の愛媛県西条市                                                                                                                                                         

香園寺のサクラ


479.今日も前腺異常なし

2015-04-20 | 前立腺がんリポート

今日は前立腺ガン手術後の定期検査の日。
4ケ月ぶりである。8時半前、奥さんに病院に車で送ってもらう。
自宅から10分足らずの距離なのであっという間に病院に到着。10時の予約だが検査に時間がかかるので1時間半前には来院するようにとの指示がある。採血と採尿ののち待合室で本を読んで呼ばれるのを待つ。

「順調ですね」と、いつもの村井先生。

渡された検査結果を見ると、PSA値は0.016(基準値4.0以下)。前回とほぼ同じ値だ。当然の結果にホットしたものの検査結果がでるまでは、ちょっとだけ気になるものだ。
次回は同じく4ケ月後の8月31日(月)となった。帰りは歩いて帰った。