■お帰りなさい、10月のお四国はいかがでしたか
昨日20日、松山空港をANA19:30に発って羽田に21:00に到着し、元気に帰ってきました。
今回は電車・バスも活用しながら2週間で46万2千歩、約300キロを歩きました。1日あたりでみると最高が30キロ、平均で23キロ歩いたことになります。
30キロを歩いたのは初めてのことです。険しい山道や峠をずいぶん越えてきました。7月、8月の分も含めると延べ105万歩、630キロです。よく歩いてきたもんだと思います。
参拝したお寺は33番札所雪蹊寺から59番札所国分寺まで17寺です。これで徳島に続いて高知のお寺はすべて参拝しました。
暑い8月と違って10月は遍路シーズンですからどこ行ってもバスの団体遍路客が多かったですね。もちろん一人遍路、車遍路の人たちも夏に比べたら圧倒的に多くなりました。
■四国にも台風が上陸しましたね
台風19号は10月13日、午後2時半ころ愛媛県宿毛(すくも)市に上陸しましたが、私は隣町の愛南町で40番札所・観自在寺の宿坊にいました。
前日に宿坊に入り13日に宇和島へ出発するはずでした。しかし、12日夜から強い風と雨が吹き荒れ、結局、宿坊で二日間過ごしました。これで少し予定が狂いました。
■お接待はありましたか
今回初めてお金をいただきました。須崎へむかって歩いてるときですが、向こうからやってきた80才くらい(たぶん)の可愛らしいお顔のおばあちゃんが、接待させて下さい、と言ってお財布から100円玉を渡してくれました。
すこしビックリしましたが遠慮無く頂きました。さらに、これおいしいよ、といってまんじゅう6個が入ったパックも・・・。
お礼に納め札をお渡しするとお仏壇に供えさせてもらいます、といってゆらゆらと歩いて行かれました。
トイレを借りた老人ホームでも袋菓子をくださったし、買おうと思って入ったミカン農家では甘くて美味しいミカン5個をお接待されました。
アメ、ジュース、布袋などいろんな所でいただきました。
なかでもとても大きなお接待は農家に泊めていただいたことですね。8月に遍路宿で一緒だった愛媛県宇和町のNさん夫婦。
近くに来たらぜひ寄って下さいということで電話番号、住所を書いてくれたNさん夫婦のご好意に100パーセント甘えることにした。
43番札所を参拝してから電話すると軽トラックで早速に迎えにきてれました。
高級果物を育てている広いハウスを見せてもらった後、日帰り温泉へ連れてってもらいました。
帰宅してからビール、焼酎を片手に刺身、骨付きカルビの焼き肉、奥さん手作りの郷土料理「いもたき」をご馳走になり、夜10時過ぎまでご主人と四方山話しで盛り上がりました。
ほんと感謝しております。
■どんな宿に泊まったのですか
あとで調べてみるとホテル2泊、宿坊4泊、国民宿舎1泊、ユースホステル2泊、民宿3泊でした。
宿坊は岩本寺と仙遊寺は朝夕の食事付き、観自在寺は宿泊のみの宿坊となっています。精進料理や朝のお勤めは宿坊ならではの体験ができてよかったと思います。
しかし最近は宿坊自体が縮減傾向にあるようで、今はやってませんとか団体が入ったときならお泊めるできるとか・・の寺が多いですね。
■皆既月食は見ましたか
10月8日ですよね。遍路2日目のこの日は土佐湾を見下ろす国民宿舎「土佐」でした。
周りに人工的な光が無いせいでしょうか、月の光が海面にうっすらと反射しているのです。 波間に漂うぼんやりした光が時とともに消え行き、真っ暗になるまで見つめていました。
土佐湾の幻想的な光景が今でも目に浮かびます
■印象に残ったお寺は
19日に宿坊に泊まった58番の仙遊寺(愛媛県今治市)でしょうね。20日朝、お勤めが終わった後、住職のお話しが印象的でした。
3日前の16日に肺がんで奥さんを見送ったばかりの住職は時折、声を詰まらせ、涙ぐみながら今日このお勤めが終わり次第、妻の供養のため遍路に出立しますと托鉢僧の身支度姿で話されました。
"3年前、妻に肺がんが見つかり入退院を繰り返した後、最後は緩和ケアで過ごしてきました。妻は私にとって太陽のような存在でした。娘と一緒に妻の最後を見送ることができて本当によかった。妻の最後のコトバは "どうか悲しまないで下さい、わたしはいつでもあなたの傍にいます" でした。
私はこのお勤めが終わったら供養のため遍路に出ます。野宿も辞さないつもりです、胸に去来する悲しさ、寂しを"力"に変えて生きていきたいと思っています"
住職はそう話されると本堂を出立され、私たちはその後ろ姿を見送ったのでした。
■その他に記憶に残ったことありますか
▼遍路道で野犬10匹くらいに取り囲まれて殺されるかとおもったと恐怖体験を語ってくれた歩き遍路のおじさんは以来、蜂除け用のスプレーを常備しているとか。
▼オヘンロ?!とバスのなかで語りかけてきた外国人女性(60才くらいの欧米人)。昨日もイギリスから来たという男性に会ったが"Henro"は一部の外国人にはとても魅力的でマニアックな旅なのかも。
彼女とは松山からバスを乗り継いで45番岩屋寺まで一緒でした。みかんをさしあげると喜んでくれました。
▼10月18日に52番札所の太山寺を訪ねました。この日はたまたま50年に一度のご本尊十一観音像ご開帳の初日でした。境内は大勢の人で賑わっていて記念イベントの餅まきに大興奮。
ビニール袋に入った紅白の餅や御菓子などをお坊さん達がどーんと撒きますと皆わぁーと拾い集めます、面白くて止められません、年甲斐もなく興奮して6袋も拾っちゃいました。
自宅に帰ってから開けてみると無残にもカビだらけ(奥さんが丁寧にカビをナイフで削り取ってくれたので翌日、お雑煮で食べました)。
▼そしてコンビニ店がたいていの町にはあるのでとても助かります。昼用のパンを買ったりトイレを使わせてもらいました。何よりも100円で淹れ立てのcoffeeを飲めるのが良かったです。
▼今回の遍路用に新調した靴。正解でした。靴底が厚いので石や岩の多い山道では足裏への衝撃ダメージが少なくて済みました。
▼6番札所安楽寺の風呂と同様に58番仙遊寺も温泉でした。松山ではもちろん道後温泉本館に入りました。しかし、湯船は観光客で芋洗い状態。完全にオーバーユースです。
なので混雑を避け、近くの市営・椿湯を利用。広々とした浴槽には大きな湯釜から豊富な湯が流れ込み、気持ちが良かったですね。