温泉めぐり紀行

丹沢の新緑(2022年5月)

419.遍路から帰宅

2014-10-21 | 四国遍路ぶらぶら歩き

■お帰りなさい、10月のお四国はいかがでしたか

昨日20日、松山空港をANA19:30に発って羽田に21:00に到着し、元気に帰ってきました。
今回は電車・バスも活用しながら2週間で46万2千歩、約300キロを歩きました。1日あたりでみると最高が30キロ、平均で23キロ歩いたことになります。
30キロを歩いたのは初めてのことです。険しい山道や峠をずいぶん越えてきました。7月、8月の分も含めると延べ105万歩、630キロです。よく歩いてきたもんだと思います。

参拝したお寺は33番札所雪蹊寺から59番札所国分寺まで17寺です。これで徳島に続いて高知のお寺はすべて参拝しました。

暑い8月と違って10月は遍路シーズンですからどこ行ってもバスの団体遍路客が多かったですね。もちろん一人遍路、車遍路の人たちも夏に比べたら圧倒的に多くなりました。

P1320598 仙遊寺大師堂

 


■四国にも台風が上陸しましたね

台風19号は10月13日、午後2時半ころ愛媛県宿毛(すくも)市に上陸しましたが、私は隣町の愛南町で40番札所・観自在寺の宿坊にいました。
前日に宿坊に入り13日に宇和島へ出発するはずでした。しかし、12日夜から強い風と雨が吹き荒れ、結局、宿坊で二日間過ごしました。これで少し予定が狂いました。


■お接待はありましたか

今回初めてお金をいただきました。須崎へむかって歩いてるときですが、向こうからやってきた80才くらい(たぶん)の可愛らしいお顔のおばあちゃんが、接待させて下さい、と言ってお財布から100円玉を渡してくれました。
すこしビックリしましたが遠慮無く頂きました。さらに、これおいしいよ、といってまんじゅう6個が入ったパックも・・・。
お礼に納め札をお渡しするとお仏壇に供えさせてもらいます、といってゆらゆらと歩いて行かれました。

トイレを借りた老人ホームでも袋菓子をくださったし、買おうと思って入ったミカン農家では甘くて美味しいミカン5個をお接待されました。
アメ、ジュース、布袋などいろんな所でいただきました。

なかでもとても大きなお接待は農家に泊めていただいたことですね。8月に遍路宿で一緒だった愛媛県宇和町のNさん夫婦。
近くに来たらぜひ寄って下さいということで電話番号、住所を書いてくれたNさん夫婦のご好意に100パーセント甘えることにした。
43番札所を参拝してから電話すると軽トラックで早速に迎えにきてれました。
高級果物を育てている広いハウスを見せてもらった後、日帰り温泉へ連れてってもらいました。
帰宅してからビール、焼酎を片手に刺身、骨付きカルビの焼き肉、奥さん手作りの郷土料理「いもたき」をご馳走になり、夜10時過ぎまでご主人と四方山話しで盛り上がりました。
ほんと感謝しております。


■どんな宿に泊まったのですか

あとで調べてみるとホテル2泊、宿坊4泊、国民宿舎1泊、ユースホステル2泊、民宿3泊でした。
宿坊は岩本寺と仙遊寺は朝夕の食事付き、観自在寺は宿泊のみの宿坊となっています。精進料理や朝のお勤めは宿坊ならではの体験ができてよかったと思います。
しかし最近は宿坊自体が縮減傾向にあるようで、今はやってませんとか団体が入ったときならお泊めるできるとか・・の寺が多いですね。

P1320621仙遊寺の夕食(精進料理)



■皆既月食は見ましたか

10月8日ですよね。遍路2日目のこの日は土佐湾を見下ろす国民宿舎「土佐」でした。
周りに人工的な光が無いせいでしょうか、月の光が海面にうっすらと反射しているのです。 波間に漂うぼんやりした光が時とともに消え行き、真っ暗になるまで見つめていました。
土佐湾の幻想的な光景が今でも目に浮かびます



■印象に残ったお寺は

19日に宿坊に泊まった58番の仙遊寺(愛媛県今治市)でしょうね。20日朝、お勤めが終わった後、住職のお話しが印象的でした。
3日前の16日に肺がんで奥さんを見送ったばかりの住職は時折、声を詰まらせ、涙ぐみながら今日このお勤めが終わり次第、妻の供養のため遍路に出立しますと托鉢僧の身支度姿で話されました。

"
3年前、妻に肺がんが見つかり入退院を繰り返した後、最後は緩和ケアで過ごしてきました。妻は私にとって太陽のような存在でした。娘と一緒に妻の最後を見送ることができて本当によかった。妻の最後のコトバは "どうか悲しまないで下さい、わたしはいつでもあなたの傍にいます" でした。
私はこのお勤めが終わったら供養のため遍路に出ます。野宿も辞さないつもりです、胸に去来する悲しさ、寂しを"力"に変えて生きていきたいと思っています"

住職はそう話されると本堂を出立され、私たちはその後ろ姿を見送ったのでした。

P1320633 仙遊寺本堂で

 



■その他に記憶に残ったことありますか

▼遍路道で野犬10匹くらいに取り囲まれて殺されるかとおもったと恐怖体験を語ってくれた歩き遍路のおじさんは以来、蜂除け用のスプレーを常備しているとか。

▼オヘンロ?!とバスのなかで語りかけてきた外国人女性(60才くらいの欧米人)。昨日もイギリスから来たという男性に会ったが"Henro"は一部の外国人にはとても魅力的でマニアックな旅なのかも。
彼女とは松山からバスを乗り継いで45番岩屋寺まで一緒でした。みかんをさしあげると喜んでくれました。

▼10月18日に52番札所の太山寺を訪ねました。この日はたまたま50年に一度のご本尊十一観音像ご開帳の初日でした。境内は大勢の人で賑わっていて記念イベントの餅まきに大興奮。
P1320412 ビニール袋に入った紅白の餅や御菓子などをお坊さん達がどーんと撒きますと皆わぁーと拾い集めます、面白くて止められません、年甲斐もなく興奮して6袋も拾っちゃいました。
自宅に帰ってから開けてみると無残にもカビだらけ(奥さんが丁寧にカビをナイフで削り取ってくれたので翌日、お雑煮で食べました)。

▼そしてコンビニ店がたいていの町にはあるのでとても助かります。昼用のパンを買ったりトイレを使わせてもらいました。何よりも100円で淹れ立てのcoffeeを飲めるのが良かったです。

▼今回の遍路用に新調した靴。正解でした。靴底が厚いので石や岩の多い山道では足裏への衝撃ダメージが少なくて済みました。

▼6番札所安楽寺の風呂と同様に58番仙遊寺も温泉でした。松山ではもちろん道後温泉本館に入りました。しかし、湯船は観光客で芋洗い状態。完全にオーバーユースです。
なので混雑を避け、近くの市営・椿湯を利用。広々とした浴槽には大きな湯釜から豊富な湯が流れ込み、気持ちが良かったですね。

 


418.三度目の遍路へ

2014-10-05 | 四国遍路ぶらぶら歩き

10月7日、3度目の歩き遍路旅に出る。
今回は20日まで14日間の予定。7月が6日間、そして8月が12日間だった。
前回の遍路記録を書き始めたばかりだというのにプランニングや出発準備に時間をとられたため、ブログは帰宅する10月20日過ぎまでお休みということに・・・。

8月の遍路では、たとえば室戸岬から高知市内まで延々と4日間も歩き続けて体力も時間もずいぶんと消費した。
そこで今回の遍路旅は思い切って電車バスを積極的に活用する計画を立てた。歩きが基本であることはもちろんだが、時間を効率的に使うことにした。

台風18号の風雨は6日がピークなので心配していないが、ダイヤどおりなら7日は12時50分に高知空港へ着く。
この日は33番雪蹊寺だけを参拝し、翌日に備える。最も遠い足摺岬へは電車とバスで行ってくる予定だ。
四国の西に位置する宿毛、宇和島を歩き卯之町の43番明石寺を参拝したら44番大宝寺を目指す。
ところが
大宝寺までは何と70キロもある。歩いたら3日間は要するところだ。

ということでウルトラCプランを・・・。明石寺に近い「卯之町駅」からいったんJR予讃線特急で松山駅まで北上し、久万高原行きのバスに乗り換えて大宝寺近くのバス停に行く・・・という回り込みルートだ。

この日は45番岩屋寺を往復して大宝寺周辺の宿に泊まる。翌日、久万高原から三坂峠を越え、下りの道を20キロ歩けば46番浄瑠璃寺。あと一泊でゴールの道後温泉に到着する・・・はずだ。

いつも利用する松山YHは道後温泉本館へ歩いて10分足らずの距離なのでとても便利。もちろん今回も宿泊リストに入っている。道後温泉に入るのが楽しみ。



今回の旅に備えてWalkingシューズを新調した。スポーツ用品専門店などでトレッキングにもWalkingにも適したシューズを探したけれども、これなら・・というものがなかなか見つからない。
結局、Walking寄りのシューズの中で靴底がやや厚めでゴアテックス使用のミズノ製にした。

今夜は次第と風も強まり夕方から雨も本降りになってきた。
たぶん明日中に東北の東海上へ抜けるだろうから7日の飛行機は定刻通りに飛んでくれるだろう。

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417.歩き遍路旅(10)由岐

2014-10-02 | 四国遍路ぶらぶら歩き

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遍路3日目。5時起床。外に出てみると空が茜色に染まっている。天候が下り坂の兆候だ。
昨日、二つも山越えしたせいで右足小指にマメができている。左足の膝も痛む。でも湿布薬を貼って寝たので痛みは和らいだ。

7時、おかみさんに見送られて出発。お昼用のオニギリ二個をお接待いただいた。
今日はいよいよ海に向かう。美波町の由岐(ゆき)魚港に近い「民宿ゆき荘」に昨夜電話予約し、OKの返事をもらっている。

緩やかな林道を一時間ほど行き阿瀬比の集落に出た。畦道を抜けると山道にさしかかり急な坂を上り詰めたところが大根峠。狭くて細い峠道だ。あとは下るのみの単調な道が続く。


P1290673 大根峠

P1290684大根の集落

9時半、大根の集落に出た。ここも稲刈りが始まっている。刈り終わった田では稲わらを燃やしている。肥料になるのだろう。
桑野川の左岸を2キロほど歩くと第22番平等寺が見えてきた。こぢんまりしたお寺だ。境内の石段を登り、本堂と大師堂に参拝。目の前に寺の駐車場があるので次々と車遍路の人たちがやってくる。
P1290692 平等寺

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門前の自動販売機でお茶を買ってると、隣の店からおばちゃんがやってきて、
「これ二つもろたからひとつ食べて下さい」
と言って、まだ熱いタコ焼きのパックと冷たく凍らせたペットボトルをお接待してくれた。
ありがたくいただく。
ここから約3キロ先の月夜御水庵に着いた頃ついに雨が降り出した。軒下に逃げ込んで少し早いがタコ焼きとおにぎりでランチにする。

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お接待のタコ焼きと飲み物
P1290715 月夜御水庵

小止みになるのを見計らって出発。2キロ先の国道55号は交通量が多い。車が入ってくるとトンネルの中はものすごい轟音が響いて怖いくらいだ。ここは歩道があるからまだいいが無かったら生きた心地しないだろう。

国道を離れ、舗装された林道に入り由岐の町を目指す。雨は降ったり止んだり。蒸し暑い天候。
16時、JR牟岐線由岐駅に到着。トイレ休憩。町の中の小さな薬局で湿布薬を購入。軒を連ねる家の間を抜け、漁港を過ぎると「民宿ゆき荘」があった。17時10分に到着。
2階の部屋に通されるとほんとに目の前が海。
風呂場からも真下に海と港がよく見える。

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P1290749由岐漁港

洗濯出してくださぁ~い、とおかみさん。
洗って乾かしておいてくれるという。申し訳ないけどパンツとシャツ、靴下をお願いした。
泊まりはバイクツーリング中の両親と息子の3人。明日は徳島まで行ってフェリーで東京へ向かうとのことだ。
今日は4万1千歩、23キロだった。3日目になって体、とくに足の疲労が溜まってきた。
明日は少し短い距離にしようと思い、23番札所へ行く途中の「国民宿舎うみがめ荘」に予約した。

 

 

 

 

 


416.歩き遍路旅(9)太龍寺

2014-10-02 | 四国遍路ぶらぶら歩き

鶴林寺本堂のベンチでパンだけのランチを済ませる。荷物を整理していると団体遍路さんがやってきて急に賑やかになってきた。
1時半に下山開始。急な下りだ。階段状なので歩きにくい。先日の台風のせいか小枝がたくさん落ちている。膝が痛くなってきた。急坂が恨めしい。1時間ほど下り続けて、やっと水井町の集落に着いた。
P1290554 鶴林寺本堂へ向かうお遍路さん

P1290552 まだまだ遠い

昨晩、宿で一緒だった男性の言うとおり、橋のたもとに自動販売機があった。冷たいお茶が喉を潤し、うまい。遍路用の休憩所で一息入れ、14時50分、太龍寺へ向けて出発。
初めは谷川に沿って緩やかな道だったが後半は急な登りが待っていた。

16時30分、太龍寺山門に到着。しかし、ここから駄目を押すような急坂がさらに続く。
16時50分に太龍寺に着く。締め切りの午後5時になんとか間に合ってよかった。まず納経所に行ってご朱印をもらい本堂、大師堂へと向かう。境内が広く落ち着いたたたずまいの寺である。ぴりっとした空気が辺りを支配している。


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太龍寺本堂

P1290611 大師堂



太龍寺は西の高野と呼ばれている。弘法大師が24才のときの著作「三教指帰(さんごうしいき)」に「十九歳の時、阿国太龍嶽に登り、虚空求聞持の法を修し・・・」とある。
室戸岬の御蔵洞(みくろど)とともに弘法大師が悟りを開いた修行の地である。

境内から遠くの山の中に鶴林寺の五重塔がみえる。あんな遠い所からここまできたんんだぁ、と自分でも驚く。


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本堂と大師堂を参拝し、納経所にもどり休んでるときザックのポケットで携帯が鳴った。
今日泊まる宿、坂口屋のおかみさんからだった。いま太龍寺ですと告げると、そしたらあと1時間はかかるわね、とのこと。
さっきまで何人かいた遍路さんたちもいつの間にかいなくなった。車かロープウェイで降りたのかもしれない。

17時15分、下山開始。
鶴林寺の急な下り道と違ってゆったりした林道歩き。誰ともすれ違わない。夕暮れなので当然か。
ひんやりとした空気が山間を包み込み、いち日の終わりを告げるヒグラシが鳴き始めた。
1メートルくらいのヘビの死骸が道の真ん中に横たわっている。夏の終わりのせいか、その短い一生を終えた虫や蝶などがあちこちの道にころがっているのを幾度となく見てきた。

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オンアボキャベイロシャノウ 

マカボダラマニハンドマ 

ジンバラハラバリタヤウン


単調な歩きに飽いて、なぜか真言を口にしている。歩くリズムと真言がシンクロし足が前に進む。それにしても長いながい林道だ。

18時30分、心配されたみたいで再度、おかみさんから携帯に電話があり、あっ、そこならもうじきですといわれた。

その10分後、おかみさんに出迎えられて宿に到着。
遅いし、道に迷ったんじゃないかと心配し、車で迎えに行こうかと考えてたところでした、と後で告げられた。遅くなって申し訳なかった。やはり宿には5時前には着かなくちゃいけない、それを過ぎるようだったら連絡を入れるべきだった。反省。
部屋に通されて荷物を置き、先ずは風呂だ。そして洗濯。同宿は3人。静岡のおばちゃんと兵庫のじいさん二人。
今日は二つの山を越えた。4万3千歩、24キロのながい一日だった。

P1290632 坂口屋のおかみさんの出迎え