30日午後5時からの手術と云ってたから、まさに今、オペの最中だろう。
数日前、相模原の北里病院に入院しているKを見舞った。中学時代からの親友だ。
5階の病棟。
坊主頭のKが休憩コーナーの椅子に座ってこちらを振り向き、
待ちわびてたようにひょいと手を振った。
クスリの副作用なのか顔全体がむくんでるように見える。
右手には栄養剤の点滴をし、
「これはさっき入れたばっかりなんだ」と鼻に差し込まれた管をさしていう。
溜まった胃液を排出する処置のようだ。
もう2週間も食べ物を口にしていないためか、唇がカサカサしている。
そして、
Kは、癌の再発という現実を受け入れるかのように、確かめかのように静かに語り始めた。
・・・・・
吐き気がして食べ物を戻してしまう、常にむかむかする、
そんな状態が2週間前から続いていた。
たまらず病院で詳しい検査をしてもらうと
想定外の衝撃的な結果が待っていた。
消えたかに思えた肺がんが再発し、十二指腸に癌が転移した。
膵臓と接続する辺りに癌細胞が約7センチ増殖し腸を閉塞している状態
であることを告げられる。
そして追い打ちをかけるように肺にたまった胸水からがん細胞がみつかり、
全身に転移している可能性が示唆された。それが、おとといのことだ。
医師から家族に説明があり、緊急手術へと話が急展開したのだった。
・・・
先ずは腸閉塞状態を解消して食べ物・栄養を摂取することができる状態
を確保して体力をつける。その上で本命の癌治療に入るのだという。
二段構えなのだ。
膵臓との癒着部分を切除する手術は通常12時間を越える大手術となる。
しかし、Kの体力を考え、医師側では2時間程度の開腹手術を選択。
十二指腸の閉塞状態は解消されるが癌の一部は残存することになる。
・・
昨年の春から夏にかけ
肺腺ガンの放射線治療と抗がん剤に根気よく取り組んで「よく頑張りましたね」
と、医師から言われるほど回復していたのに・・・・。
「どういうわけか俺の主治医は女性なんだよな、放射線治療のときもそうだったし、
今度の手術の担当も女医さんなんだよなぁ」
何だか嬉しそうに話すKだった。
がんばれよ、K
退院したら新丸子の焼き鳥屋へ行こうな
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