久々にスカッとした気分に浸った。
横浜市長選挙で野党候補の山中さんが当選を果たした。
しかも菅総理が肩入れした小此木候補に18万票もの圧倒的大差での勝利したのだ。
8人もの候補者が争った横浜市長選。実質的に山中VS小此木の選挙だった。
昨日の投票日、朝7時過ぎに会場の小学校で投票を済ませ、夜の開票を待った。
ところが、である。
NHKの「ダーウィンが来た」が終わった20時きっかり、
山中氏の当選確実の速報が流れたのである。
投票締め切りの午後8時ちょうどに当確をテロップで流すなんて前代未聞のことだろう。
それだけ大差で山中氏が勝利することが事前調査で判っていたということである。
開票結果を見ると、圧勝だったことが一目瞭然である。
山中 武春 506,392票
小此木八郎 325,947
林 文子 194,713
etc
私の1票も50万票に寄与し、とっても嬉しい。
顧みれば4年前の市長選の際、林市長はIR(統合型リゾート)事業をいったん白紙に戻す
といって再選を果たした。
しかし、菅総理(当時は官房長)の意を受けた林市長は2年後にIR推進を堂々と表明する。
これを市民は裏切りと受け止めた。
市民団体「カジノの是非を決める横浜市民の会」は住民投票条例の制定を求める19万筆の
署名を集め、2020年12月23日に林文子市長に提出した。
もちろん私も署名したひとりである。横浜にカジノはいらないし、似合わない。
しかし、残念ながら市議会で多数を占める自民党※により否決された。
※横浜市議会の会派
会派 | 所属議員数 |
---|---|
自由民主党横浜市会議員団・無所属の会 |
36人 |
立憲民主党・国民フォーラム横浜市会議員団 | 20人 |
公明党横浜市会議員団 | 16人 |
日本共産党横浜市会議員団 | 9人 |
※このほか、無所属の議員が4人
令和3年8月8日現在 計85人(定数86人、欠員1人)
そんな中での市長選である。
それまで強力にIRを推進してきた菅総理と自民党。
その自民党のど真ん中にいた小此木氏がIR反対を表明しても、市民には争点隠し、
偽装だとしか思えないのは明白だった。
市民はバカじゃないのだ。
さらにIRを推進してきた菅総理自身が建設反対を表明した小此木候補を支持する、という
支離滅裂な肩入れ行為に不信を抱いた自民党支持者や議員団が割れたのは当然の結果だ。
しかも今回の市長選は単なる首長を決める選挙に留まらないことを市民は充分知っていた。
コロナ対策の不手際が続く菅総理への不信任を突きつける一票なのだ。
なぜ敗北したのか、菅総理はきっと理解できないのではないか。
ちょっと横道にそれるが、菅総理が安倍前総理から引き継いだ哲学があるという。
そう指摘するのは週刊朝日・AERA dotにコラムをもつ古賀茂明(こが・しげあき)である。
彼はAERA dot・2021年6月25日号にこう書いている。部分的だが引用してみよう。
(略)
・・・私は、今から7年前の2014年7月18日にこうツイートした――
安倍さんの政治哲学:「国民は馬鹿である」
1.ものすごく怒っていても、時間が経てば忘れる
2.他にテーマを与えれば、気がそれる
3.嘘でも繰り返し断定口調で叫べば信じてしまう
私たちは、そんなに馬鹿なのでしょうか?―― 安倍政権では、とんでもないスキャンダルや失政で内閣支持率が落ちてもすぐに回復し、不利だと言われた選挙でも必ず自民党が大勝した。国民は今もそれほど馬鹿なのか。・・・(略)
これはナチスドイツの宣伝大臣だったゲッペルスの「嘘も百回繰り返せば真実となる」と
いうプロパガンダ手法そのもの。大衆心理を操作する基本なのだ。
森友学園、加計問題、桜を観る会などウソとゴマカシの連続だった前安倍政権。
不祥事を起こしてもウヤムヤにしてしまうけじめの無さが政治家に蔓延し、国民に政治不信
を招いたことは明らかだ。
不都合な事実に目をつぶり、国会で虚偽答弁を百回以上も平気で行なった首相など
かつていただろうか。60才を越えたいい大人として恥ずかしくないのだろうか。
その安倍前総理の手法を踏襲したのが菅総理。
オリンピックを開催し、金メダル獲得や選手の活躍を見れば国民はそれまでの不都合な
事実を忘れ、支持率が上がるはず・・
と菅総理がふんだのは「国民はバカである」哲学を信奉したからに他ならない。
たしかに日本人は情に流され易く同調圧力に弱い国民性である。
マスコミ報道やムードに左右されがちなB層と呼ばれる人たちもいるのも確かだろう。
世論調査で支持率が上がったり下がったりするのも、この層の気分次第のところもある。
おバカな層は実在するだろうが、それはたいして本質的な話しではない。
人は学習する生き物だということを忘れてはいけない。
繰り返すが国民、市民は為政者たちが想うほどバカじゃない。
このことを今回の選挙で横浜市民は証明したのだ。
二重三重の意味で横浜市民は実に賢い選択をしたといえる。
案の定、オリンピック閉会後の菅政権の支持率は上がるどころか30パーセントを切るまで
に下落した。※8月28日に実施した毎日新聞の世論調査では最低の26%を記録した。
山中さん、市議会でいじめられないかしらね と奧さんが心配して云う。
そりゃあ、自民党からはいろいろと嫌がらせをされるだろうね
そんなことしてたらダメでしょ、コロナで大変なときなんだからみんな頑張りましょう、
という態度が大人でしょうに、子供たちに見本みせてほしいわ
最初に迎える9月議会、そこでの各会派のWatchが必要だ。
ところで、表敬訪問したオリンピック選手の金メダルを囓って不評をかった市長がいた。
そんな下品な行動をとるような市長に投票した市民はきっと大いに反省していることだろう。
しかも、この市長は後に不正署名が発覚した県知事リコール運動の主導者でもあった。
そのことを承知の上で彼に投票した市民のいい加減な鷹揚さ、そこにあぐらをかく市長。
ともに冷静に政治(家)を見直したほうがいい。
嫌みかもしれないが、同じ政令市であっても彼我の差を実感した横浜市長選でもあった。