温泉めぐり紀行

丹沢の新緑(2022年5月)

931.横浜市長選で圧勝

2021-08-23 | 暮らし

 

久々にスカッとした気分に浸った。

横浜市長選挙で野党候補の山中さんが当選を果たした。

しかも菅総理が肩入れした小此木候補に18万票もの圧倒的大差での勝利したのだ。

8人もの候補者が争った横浜市長選。実質的に山中VS小此木の選挙だった。

 

昨日の投票日、朝7時過ぎに会場の小学校で投票を済ませ、夜の開票を待った。

ところが、である。

NHKの「ダーウィンが来た」が終わった20時きっかり、

山中氏の当選確実の速報が流れたのである。

投票締め切りの午後8時ちょうどに当確をテロップで流すなんて前代未聞のことだろう。

それだけ大差で山中氏が勝利することが事前調査で判っていたということである。

開票結果を見ると、圧勝だったことが一目瞭然である。

山中 武春   506,392票
小此木八郎 325,947   
林 文子       194,713   
  etc

私の1票も50万票に寄与し、とっても嬉しい。

 

顧みれば4年前の市長選の際、林市長はIR(統合型リゾート)事業をいったん白紙に戻す

といって再選を果たした。

しかし、菅総理(当時は官房長)の意を受けた林市長は2年後にIR推進を堂々と表明する。

これを市民は裏切りと受け止めた。

市民団体「カジノの是非を決める横浜市民の会」は住民投票条例の制定を求める19万筆の

署名を集め、2020年12月23日に林文子市長に提出した。

もちろん私も署名したひとりである。横浜にカジノはいらないし、似合わない。

しかし、残念ながら市議会で多数を占める自民党により否決された。

 

※横浜市議会の会派

 
会派 所属議員数
自由民主党横浜市会議員団・無所属の会

36人

立憲民主党・国民フォーラム横浜市会議員団 20人
公明党横浜市会議員団 16人
日本共産党横浜市会議員団 9人

※このほか、無所属の議員が4人
令和3年8月8日現在 計85人(定数86人、欠員1人)

 

 

そんな中での市長選である。

それまで強力にIRを推進してきた菅総理と自民党。

その自民党のど真ん中にいた小此木氏がIR反対を表明しても、市民には争点隠し、

偽装だとしか思えないのは明白だった。

市民はバカじゃないのだ。

 

さらにIRを推進してきた菅総理自身が建設反対を表明した小此木候補を支持する、という

支離滅裂な肩入れ行為に不信を抱いた自民党支持者や議員団が割れたのは当然の結果だ。

しかも今回の市長選は単なる首長を決める選挙に留まらないことを市民は充分知っていた。

コロナ対策の不手際が続く菅総理への不信任を突きつける一票なのだ。

 

なぜ敗北したのか、菅総理はきっと理解できないのではないか。

ちょっと横道にそれるが、菅総理が安倍前総理から引き継いだ哲学があるという。

そう指摘するのは週刊朝日・AERA dotにコラムをもつ古賀茂明(こが・しげあき)である。

彼はAERA dot・2021年6月25日号にこう書いている。部分的だが引用してみよう。

 

(略)

・・・私は、今から7年前の2014年7月18日にこうツイートした――

安倍さんの政治哲学:「国民は馬鹿である」

1.ものすごく怒っていても、時間が経てば忘れる
 2.他にテーマを与えれば、気がそれる 
3.嘘でも繰り返し断定口調で叫べば信じてしまう  

私たちは、そんなに馬鹿なのでしょうか?―― 安倍政権では、とんでもないスキャンダルや失政で内閣支持率が落ちてもすぐに回復し、不利だと言われた選挙でも必ず自民党が大勝した。国民は今もそれほど馬鹿なのか。・・・(略)

 

これはナチスドイツの宣伝大臣だったゲッペルスの「嘘も百回繰り返せば真実となる」と

いうプロパガンダ手法そのもの。大衆心理を操作する基本なのだ。

森友学園、加計問題、桜を観る会などウソとゴマカシの連続だった前安倍政権。

不祥事を起こしてもウヤムヤにしてしまうけじめの無さが政治家に蔓延し、国民に政治不信

を招いたことは明らかだ。

不都合な事実に目をつぶり、国会で虚偽答弁を百回以上も平気で行なった首相など

かつていただろうか。60才を越えたいい大人として恥ずかしくないのだろうか。

その安倍前総理の手法を踏襲したのが菅総理。

 

オリンピックを開催し、金メダル獲得や選手の活躍を見れば国民はそれまでの不都合な

事実を忘れ、支持率が上がるはず・・

と菅総理がふんだのは「国民はバカである」哲学を信奉したからに他ならない。

 

たしかに日本人は情に流され易く同調圧力に弱い国民性である。

マスコミ報道やムードに左右されがちなB層と呼ばれる人たちもいるのも確かだろう。

世論調査で支持率が上がったり下がったりするのも、この層の気分次第のところもある。

おバカな層は実在するだろうが、それはたいして本質的な話しではない。

人は学習する生き物だということを忘れてはいけない。

 

繰り返すが国民、市民は為政者たちが想うほどバカじゃない。

このことを今回の選挙で横浜市民は証明したのだ。

二重三重の意味で横浜市民は実に賢い選択をしたといえる。

案の定、オリンピック閉会後の菅政権の支持率は上がるどころか30パーセントを切るまで

に下落した。※8月28日に実施した毎日新聞の世論調査では最低の26%を記録した。

 

山中さん、市議会でいじめられないかしらね と奧さんが心配して云う。

そりゃあ、自民党からはいろいろと嫌がらせをされるだろうね

そんなことしてたらダメでしょ、コロナで大変なときなんだからみんな頑張りましょう、

という態度が大人でしょうに、子供たちに見本みせてほしいわ

 

最初に迎える9月議会、そこでの各会派のWatchが必要だ。

 

ところで、表敬訪問したオリンピック選手の金メダルを囓って不評をかった市長がいた。

そんな下品な行動をとるような市長に投票した市民はきっと大いに反省していることだろう。

しかも、この市長は後に不正署名が発覚した県知事リコール運動の主導者でもあった。

そのことを承知の上で彼に投票した市民のいい加減な鷹揚さ、そこにあぐらをかく市長。

ともに冷静に政治(家)を見直したほうがいい。

嫌みかもしれないが、同じ政令市であっても彼我の差を実感した横浜市長選でもあった。

 

 


 

 

 

 

 


930.信州の夏休み

2021-08-17 | 旅の空

8月6日~8日、奧さんと信州へクルマ旅に出かけた。

目的地は栂池高原・自然園。そしてもうひとつが間山温泉である。

間山温泉はポンポコの湯とも呼ばれ、この4月にリニューアルオープンしたばかりという。

たのしみである。

 

■初日は車中泊

クルマに荷物を積んで自宅を出たのが5日の夜8時。

八王子から中央高速に入り、諏訪湖SA で車中泊。

これはもう私たち夫婦が信州へ旅するときの必須のパターンである。

諏訪湖SA に泊まってれば、たとえば上高地などへも、翌朝早く、出発することができる。

次の日が目一杯使える効率的な行動パターンなのだ。

奧さんは車中泊には慣れてるし、もともと、どこでも寝られるタイプの女性(ひと)なので

何の心配もない。

 

奧さんがトイレに行ってる間に、車内のシートを倒し、凸凹をタオルケットで埋め、

エアマットを敷いて寝床をつくる。いつも家で使ってる枕を並べる。

フロントガラスと両窓をカーテンで覆って完璧なベッドが完成。

こうしたアウトドア感覚は楽しいねぇ。

寒くなるかもしれないので念のため寝袋を広げておいたが、

軽自動車の車内は想ったよりも寒くはなくタオルケット一枚で充分だった。

 

■山と花に囲まれた栂池高原

朝五時に起き出す。

諏訪湖を霧がうっすらと覆っている。辺りを見渡すと車中泊らしきクルマが10数台もある。

トイレで顔を洗い歯を磨く。

今日は長野自動車道で信州中野IC まで行き、間山温泉でノンビリ過ごすつもりだ。

しかしふと、天気のことが頭に浮かび、

スマホで調べると明日の栂池高原は雲が多いことが分かった。

ならば天気のいい今日、栂池高原へ行ったほうが良かろう、ということで急遽予定変更。

 

朝の7時,安曇野ICで下り、大糸線沿いの国道147号を走る。

左に常念岳がよく見える。

窓を開け快晴の空気を吸う。気持のいい朝だ。

コンビニでサンドイッチとコーヒーを購入し朝食。

木崎湖、青木湖を横目で眺め白馬村に入る。白馬駅で小休止。

駅前から見るアルプスの山岳風景は迫力がある。

朝食になんとなく物足りなさを感じていた私は駅そばを探して構内を探したが見当たらない。

駅の近くに開けている蕎麦屋が眼に入り、さっそく天ぷら蕎麦を注文。

おいしかったぁ? とクルマから奧さんが顔を出す。

 

10時20分、栂池高原・ゴンドラ乗り場に到着。

駐車場(500円)にクルマを入れる。まぶしいほどの晴天だ。


ゴンドラ・ロープウェイの往復乗車券と自然園入園料を併せてひとり3700円。

ゴンドラに奧さんと乗り込む。なんだかウキウキとする。

設備が古いのか支柱を通過する度にガタガタとひどく揺れる。

 

 

きつい勾配をぐんぐん登り標高を稼いでいくと左手に白馬岳が見えてきた。

興奮して何度もスマホのシャッターを押しまくる。

撮っても撮っても感動の波が収まらない。

15分ほどで終点に着いた。

 

5分ほど歩いてゴンドラ乗り場へと向かう。

20分間隔の運転のようだ。家族連れや登山客がぼつぼつ集まり始めた。

乗客案内のおじさんが言う。

この一週間は全く山が見えなかったけど今日はよく晴れて見えてますね、皆さんついてますよ

 

 

自然園にはいろいろな植物の花が咲いていた。

チングルマ、ワタスゲは私でもわかるが花の名前はほとんど分からない。

そこでスマホの「Googleレンズ」の登場だ。

花を枠内に撮影すると花の候補が写真とともに出てくる。このアプリのお陰でいろんな花の

名前を調べることができた。

園内には湿原や川もあり多少のアップダウンもある。

木道の脇に風穴という場所があり、涼しい風がくるここで昼食のお弁当を広げる。

園内を一周したかったが寝不足の体力と次の長野駅前のホテルまで移動を考え、

浮島湿原でUターン。

 

栂池山荘まで戻ってきた。ソフト食べましょうか、奧さん。

山荘の前のベンチでソフトクリームを食べてひと息ついていると、

10名くらいの登山者たちがやってきた。

あんな所からよくきたよなぁ、とひとりの登山者がいう。

白馬岳の先に聳え立つ五竜岳のことのようだ。

 

駐車場に戻り、国道406号で長野市へと向かう。

途中、工事のため渋滞したが午後6時頃、長野駅前の相鉄ルネッサインホテルに到着。

夕食はホテル近くの居酒屋で済ます。

 

 

 

 

   (注) ルート図の「茶寮志もだ」が「相鉄フレッサイン長野東口」である

 

 

■旅の三日目 ~ ぽんぽこの湯で疲れを癒やす ~

相鉄フレッサインの朝食は1階のレストラン。

奧さん、朝からもりもりと食べている。和食の煮物が美味しい。

荷物をまとめ、先ずは善光寺にお参りだ。

 

 

 

お参りのあと、須坂長野東ICから長野自動車道に入り信州中野ICで下りる。

間山温泉にはなんども来ているので道は良く知っている。

山麓の中腹に建つ間山温泉。

10時ちょい過ぎに到着。入浴料450円。

 

リニューアルした食堂はメニューが洋食中心となっている。

そしてベランダが新たに造られ、眺望を楽しみながら寛げるスペースができていた。

これはいい。

肝心の風呂のほうは、特にいじっておらず内湯と小さな露天風呂も健在。

黒姫山、飯綱山そして青空を仰ぎながら入る露天風呂は開放感抜群だ。

間山温泉の最大の魅力はここにある。

 

 

露天風呂にどっぷりと浸かり、昨日の疲れを湯に溶け込ませていく。

畳み敷きの休憩室に戻り、奧さんと交代。

寝っ転がっているうちに眠くなってきた。昼食に蕎麦を食べたらなお眠くなった。

このあと小布施に行こうと思っていたが、このままだらだらとくつろいで過ごすことにした。

結局、間山温泉を出たのは5時間後の午後3時。

 

高速道路で一気に松本に向かう。

松本市の東横インに着いたのは午後5時。

東横インは10ポイント(泊)溜まると一泊無料(シングル料金相当)となる。

14ポイント溜まっているのでこれを利用し、ツイン宿泊料との差額3500円を払う。

かなりお得!。

 

ひと息ついて町へ繰り出す。

駅前通りでは一部を歩行者天国にし、両側に並ぶ居酒屋などイス、テーブルを出してビール、

焼き鳥などを提供している。

私たちもそのうちの一軒に足を止めビール、焼き鳥、ピザを注文。

注文取りのお兄さんは秋田県から来た大学生。

3年間このバイトをし市内の和装店に就職が内定したとか。

ご両親は郷里に戻ってくるだろうと想ってただろうにガッカリしたのでは・・と訊くと、

はいと頷いていた。

 

デザート買っていきましょうと奧さん。

コンビニでチーズケーキを購入。部屋でお湯を沸かしコーヒーを淹れる。

なんだか至極エコノミーな旅となっている。

 

 

■旅の4日目

今日は自宅へ帰るだけだ。

松本市内にはあちこちに湧水ポイントがある。実は水の都なのである。

そのうちのひとつ、源智の井戸で5リットルタンクに水を汲む。そして、

松本に来たら必ず寄る場所がある。「アガタの森」である。

旧制松本高校のあった場所だ。

 

その旧校舎から弦楽器の演奏が聞こえてきた。

窓の向こうに指揮者が見える。オーケストラのようだ。

松本は小澤征爾などが率いる音楽の町だし、今日は日曜日。

なるほどこんな場所で練習しているんだ。

ここは作家の北杜夫が青春時代を過ごした場所でもある。

大学で文学の講義をしてくれた古川先生は北杜夫と同期だったという話しを思い出した。

 

「アガタの森」の主は巨大なヒマラヤスギだ。すごい巨樹である。

太い幹を見上げると鶏卵ほどの大きさの実が枝から顔を出している。

我が家近くの公園にも大きなヒマヤラスギがあるが、この実が熟すとバラの花のような

形になる。時季が来ると落ちた実を拾いに行く。

そのまま飾っておけるくらい完成度の高い芸術作品である。

 

 

■松本民芸館

ここからそう遠くない距離にあることが分かったので「松本民芸館」に立ち寄ることにした。

民芸運動の父とも言われた柳宗悦と交流のあった丸山太郎(明治42年~昭和50年)によって

昭和37年に創設された。

自らが工芸家であり蒐集家でもあった丸山は没する2年前の昭和58年、陶磁器、染め織物、

箪笥、石像など約6800点の収蔵品と土地・建物の一切を松本市に寄付し、今日に至っている。

 

館内はとても落ち着いた雰囲気に満ちている。じっくりと家具調度品、壷、彫刻などを

みてまわる。

所々に活けてある花が品良く収まっている。

 

 

■そしてみたまの湯へ

日曜日の午前中、中央高速の上り線は空いている。

緊急事態宣言下なので休日割引の適用がないのは痛い。

いつものように甲府南ICで下り、みたまの湯へ(750円)。

こんな時期なのでわりと空いている。

 

お腹かが空いたので先ず昼食。ここのレストランは何を食べてもおいしい。

カツ重とホウトウを注文しシェアする。

夕方5時までノンビリ過ごし、帰路についた。

 

この4日間で走った距離は713キロ、夏空を満喫したクルマ旅であった。

 


 

 


929.へんな温泉本

2021-08-02 | 温泉探訪

 

世の中にはマニアックな人がいるものだ。

温泉マニアはたくさんいるだろが、この人の本はちょっとひねりがある。

岩本薫著「へんな名湯」(発行:みらいパブリッシング、2019年5月)である。

表紙にこう書いてある。

 

ヘンなのに湯はすこぶるいい

ヘンはくせになる

ヘンは愛おしくなる

 

著者の岩本さんは自称、ひなびた温泉研究所のショチョウだそうだ。

世に名湯と呼ばれる温泉はたくさんあれど、これにヘンというand条件が付くと

ぐっと絞られる。

本では北海道から九州まで31箇所のヘンな温泉を発掘し紹介している。

自動車工場、食堂、電気屋、魚屋さらには神社やお寺、教会にまでに温泉があるとは

しらなかった。よくぞここまで探検・探索・発掘したものだと感心する。

まず観光案内などでは絶対に出てこない温泉ばかりだ。

 

たとえば、

岩手県の「でめ金食堂」では食事を注文した人は店内の温泉に無料で入れるという。

とろみのある湯を著者は絶賛している。

タクシーの運ちゃん御用達の食事処「いやさか」(福島県)でも名物・巨大メンチの食事を

済ませば内湯と露天風呂が無料となる特典がつく。

行ってみたくなる温泉が4~5箇所はある。

今年の旅の楽しみがまたひとつ増えた。

好評のため、

新たに35箇所を追加して第二弾、「もっとヘンな名湯」(20121年1月)も発売中だ。

ただ、調べると閉館した宿が2箇所ほどあった。下調べは必要だろう。

 

ちなみに本で紹介された温泉で私が入ったことのあるのは、

恐山温泉、老松温泉、八九朗温泉そして北温泉の4箇所だ。

探し出すのにとても苦労したがその当時の写真を載せた(北温泉だけは見つからなかった)。

なんだかとても懐かしい。

 

▼恐山温泉(青森県)   賽の河原で有名な恐山。その境内にふたつの湯小屋がある。

 


 

 

▼老松温泉(栃木県)   建物が崩壊しているホラーな温泉。ただし湯は絶品。



 

 

▼八九朗温泉(秋田県)  畑のポツンと建つビニールハウスの中に気持ちいい湯が湧く。

 



 

 

▼北温泉(栃木県)    プールのような露天風呂と巨大天狗がおわす内湯の湯治宿。