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温泉めぐり紀行

メタセコイア並木(滋賀県 2025年5月)

1073. カーナビの罠

2024-11-13 | 旅の空

なんか変な道だなぁ。何度もそう思った。
国道にしては舗装されてないし、こぶし大の石がゴロゴロしている。落ち葉も積もってる。車が通ってる痕跡もない。でもカーナビはこの道を示している。山間の道だからこんなもんかと思いつつ、荒れた道をずんずんと進んできてしまった。道はさらに荒れ、ハンドルにゴツンゴツンと衝撃が伝わってくる。後戻りするには時間も距離も許容範囲をとうに超えてしまっていた。

そして、悪夢のような最悪の事態が待っていた。
なんと土砂が林道をふさいでいたのだ。しかも土砂の向こうで軽自動車1台が立ち往生しているではないか。前輪下部が土砂に埋もれてる。高知ナンバーだ。どうにもならず放置していったようだ。

土砂崩れ現場 

・・・・・・・・・・


昨年の11月、10日間かけて四国クルマ旅を楽しんだ。
ほぼ1年前の11月8日、高知県安芸市の伊尾木洞を探訪し、奈半利町にやってきた。徳島県勝浦町の「ふれあいの里さかもと」を今日の宿とするため電話予約した。カーナビによると奈半利から室戸岬を回ると相当時間がかかることが分かった。なので国道493号線を使って東洋町へ抜けるショートカットのルートを選択し、カーナビにセットした。
なぜか高速道路のような道があり芝崎ICで降り、カーナビに導かれるまま車を走らせた。もちろん国道493号線へ向かってるとばかり思っていた。しかし、道は次第に細くなり荒れてきた。でもカーナビが間違えるはずもないだろうと思い込んで、突き進んでいったのだった。

・・・・

えぇ~、どうしよう。最悪じゃん、ここまで来てこの仕業はないだろう!。
宿に連絡しようにも携帯は圏外を示している。最悪だよ!!。
どうする。引き返すか?。ここまで相当深く入り込んじゃったしな。なんでこんなことになっちゃんだろう。後悔の念が頭を持ち上げる。どうする、決断に迫られて焦った。口の中が乾き、心臓がバクバクする。おもえばいくらでも引き返すチャンスはあった。旅の疲れが判断力を鈍らせ魔がしたとしか言いようがない。
タイヤ痕の無い荒れた林道、1台のクルマもすれ違わないのもおかしい、でもカーナビはこの道を案内している。だったらナビを信用するしかないじゃん。そうやってここまで来てしまった。そして突然現れた土砂崩れ現場を目にして動転してしまった。

車を降りて土砂崩れに近づいてみた。左の山側から崩れた土砂に大きな石はない。どかせる程度のものだ。土砂は波打っているけど行けなくはなさそう。対向の軽自動車を覗いてみると人はいない。土砂が前輪を嚙んでいる。きっとバックして脱出を何度も試みたことだろう。落ち着いて周りを見ると、放置された軽自動車と山際の間に車1台分くらいの隙間がある。ここをうまく通れば脱出はできそうに思えた。戻るのだけはいやだ。もうやけくそで決めた。突破するしかないだろう、と。
土砂は左から右の谷方向へ斜めに流れ出ている。

突破トライアル1回目。
アクセル半全開で進む。けれどすぐに前輪が空回りしてスタック。車は右に傾き運転席のドアが土砂にあたって開かない。ドアにぶつかってる石を必死でどかし、前輪の後ろ側に石を噛ませて、いったんバックする。砂利状の小石がスタックの原因なので大きめの石を集めて敷き、波打たないよう平らに土砂をならす。いったんバックし、態勢を立て直す。
でもなかなかうまくいかない。進んでは戻りを5~6回トライ。小石で平坦にならしても回転するタイヤが跳ね上げてしまって空転する。小石の多いところに大きめの石を置く要領を覚え、少しずつ前進できる距離が伸びてきた。
そして7回目、アクセルを踏みこみ、あともう少しというところで前輪が空回りし始めた。がんばれ、N-BOX!!。思いっきりアクセルをグイっと踏み込む。エンジンが悲鳴のようなうなり声をあげる。前輪タイヤがすごい勢いで土砂を掻き出す。もうだめか、と思った瞬間、左のタイヤがソロリと持ち上がり始め、石をガッシリ噛んで前進した。抜けたぁ!。脱出成功!!だ。右側の軽自動車と左の斜面に接触せず路肩に何とか停められた。その瞬間どっと疲れが襲ってきた。全身の力が抜けてしまった。カーナビに罪はないが、危うく遭難事故に逢うあうところだった。
あとは林道のゲートが閉まってないことを祈るばかりだ。幸いゲートは開いていて道も広くなり民家もチラホラし始めた。携帯が繋がった。事情を話し、遅くなることを宿へ連絡することができた。
東洋町からだと2時間はかかりますよ、その近くに宿をおとりになったらどうですかと勧められたが、どうしてもそちらに泊まりたいので、と強引にお願いし了承してもらった。このあと暗くなった国道をひた走り、午後7時半に「ふれあいの里さかもと」に到着。風呂に入り、しみじみと幸せ感に浸った。この感覚、以前にもあった気がする。そうだ、昔、会津駒ヶ岳で道に迷い、遭難しかかったときと同じだ。その時も湯船に浸かりなから、生還できた喜びをかみしめていたっけ。


宿のおばちゃんに林道での事情を話すと、
「それはお大師さんがきっと守ってくれたんよ」と云う。
私もその通りだと思った。

「ふれあいの里 さかもと」 

元小学校を改造してお遍路さんの宿泊施設として活用されている。


1063.放浪旅は雑念の固まり

2024-06-22 | 旅の空

クルマ旅は自由気ままでいいものである。

初めての町を走るとき、この土地に住む人の暮らしはどうなんだろうと、つい想像してしまう。

だから、旧街道や地方道、3桁国道を好んで走るようにしている。
バイパスや高速道路は生活感がないので、できたら使いたくない。


周りをキョロキョロしたり、ラジオや音楽を聴きながら頭の中では実にとりとめもないことを考えている。

       軽自動車のイラスト(車)

■今日どこへ行こうか?

旅の良し悪しは、
ひとえにいい情報に巡り合えるかどうか、ではないだろうか。
ひとつの情報がさらに別の情報を引き寄せる好循環が生まれると、
旅は予期せぬ方向に向かって動き出し、ワクワク、ドキドキ楽しいものになる。

ではその情報をどこで手に入れるのか?。
私の場合はこうだ。

ホテルでは地元紙を積極的に読む、地元のローカルテレビを見る。
立ち寄った道の駅では観光チラシを手に取ってみる。
道の駅には観光ポスターがよく貼ってあるので注意深く見てみる。
ポスターには、その季節限定の花の見ごろの観光情報だったり名刹や旧家、
仏像展、美術展などのイベントが紹介されている。

ローカルTV局番組には祭りなどのイベントを紹介する放送があったり、
明日の天気予報などの情報を得られる。たとえば、
 今、○○町の桜がみごろを迎え、大勢の人で賑わっています・・なんて映像をみれば、ちょいと寄り道したくなるというもの。

 去年の春、福島県猪苗代町の観音川の桜並木(動画)を見に行ったきっかけは、前夜のホテルの部屋で見たTVだったし、今回訪ねた秋田県美郷町のラベンダー園は道の駅の観光ポスターで見かけたものだ。さらに、
新潟県寺泊の砂浜に咲く花「ハマボウフウ」は新潟日報の記事を読んで、
じゃぁ、行ってみようということになった。


秋田県美郷町のラベンダー園 
新潟県野積海岸に咲くハマボウフウ


国道沿いの案内板も土地の名所を紹介してるので、運転しながらきょろきょろしている。とくに○○温泉の広告看板は自動的に目がキャッチしてしまう。
あとは地元の人だ。訊けば必ず教えてくれる。
私は旅に出るとなぜだか人なつっこい人間になってしまう。
旅の空気が自己を解放してるせいかもしれない。

 

      サービスエリア・道の駅のイラスト

■いったいどこに泊まろうか

旅先ではどこに泊まるかというのは大事ポイントのひとつ。
私の場合、
宿泊先によく使うホテルは東横インである。
アパホテルやルートイン、スーパーホテルなどのホテルチェーンはあるけれど、なんといっても東横インがいち押し。

理由は簡単。
当日16時までに連絡すればキャンセル料金が発生しないから・・である。
放浪旅では、その日、その場、その町の雰囲気や気分でルートを変えてしまうことがある。

なので、16時までキャンセルの猶予期間があるのはとてもありがたいのである。また、東横インは10泊すると1泊分が無料となるサービスがあり、これまで5回は活用させてもらった。
東横インが満杯の時はアゴダとかトリバゴなどの宿泊予約サイトで探すこともある。

ホテル以外で泊まる候補を挙げるとすれば、
ユースホステル(YH)、24時間営業のスーパー銭湯、会員登録はしているものの未だ使ったことはない「快活クラブ」(鍵付き個室)などがある。

ユースホステルは会員でなくても泊まれる。
たとえば、京都太秦の「宇多野YH」は相部屋で3450円(食事無しの場合)。非会員もこの料金。
私は四国の行きかえりに中継点としてよく利用している。
館内は広くてきれいで食事(別料金)もおいしい。おすすめの宿だ。ただし、
京都はいま、インバウンドでごった返しているようだから、どうだろうか。

また、愛媛県松山市の「松山YH」もおすすめ。
道後温泉本館に歩いて10分足らずの好立地。
朝6時に道後温泉本館で鳴らす太鼓を聞いたら朝風呂にぶらぶらとでかけるといい。朝食付きで3030円。

その一方、観光地から遠い地方のYHは苦戦を強いられている。

  YH協会本部からの補助なんて一切ありませんからねぇ、
  むしろ本部への年会費を支払うほうが大変です。
  経営は赤字ですね。
  私は大学院で自然環境調査のほうを研究してたんですが、
  そっち方面のアルバイトして何とかやりくりしてるんですが・・

何年か前に山形県内のYHに泊まった際、若い経営者がそう語っていた。
やはりというか、後に、このYHが閉館したことが分かった。
無念なことだろう。


目を転じて、スーパー銭湯も結構設備がいいのでお勧めだ。
ネット上に「全国の24時間営業のスーパー銭湯を紹介するHPもある。

お遍路の際、よく使わせてもらったのが香川県宇多津の「四国健康村」。
当時、お遍路プランなんてものがあって食事付きで安く泊まれた。
風呂は入り放題だし、夜は旅芸人一座の公演もあって楽しかった。

そして盛岡市のゆっこは最新設備でが館内全体が明るくて清潔である。

宿泊用の大部屋は照明が落とされ、簡易マットレスが敷いてあり、毛布の用意もある。


ゆっこには、これまで2回泊まったが、気持ちよく寝られた。
ただし、他人のいびきやおならの号砲は聞き流すしかない。
そして、
どこも泊まれそうもなければ、いよいよ車中泊ということになる。

     ホテルのイラスト(小)

■最後のトリデ ~ホテルN-BOXの車中泊~

車中泊の最大のメリットは宿泊料がタダ、無料だということに尽きる。
しかし、どこでもいい・・というわけではない。
防犯上、安全で静かに休めそうな場所というのは、あるようで案外少ない。
なので私の場合、車中泊でよく使うのは「高速道路のSA」と「道の駅」ということになる。RVパークは一度も使ったことはない。


まず、何台くらい停まってるかをみる。
少ないと何となく心配だが、ここは安全かどうかは直感でわかる。
トラックが多い駐車場ではエンジンかけっぱなしのクルマが多いし
冷蔵用のコンプレッサーも騒音源となる。
トイレ付近は車の出入りが多くドアを閉めるバタン音が安眠を妨げる。

だから、静かで安全で、いざとなったら周りに助けを求められそうな場所・・なんて都合のいいことを考えると、これが案外むずかしい。

場所が決まれば次は寝床づくりだ。
旅のパートナーである愛車N-BOXではこうだ。
助手席の座席を倒し、タオルケットで凸凹を修正する。
その上にエアマットを敷く。これでかなり寝やすくなる。

いつも使ってるマクラを並べ、夏ならタオルいち枚、冬なら寝袋。
遮光対策は黒い薄生地を窓に吸着盤で張り付ける。
100円ショップで売っていたモノだ。外がうるさいときは耳栓をして寝る。
トイレに一度は起きるから足元にサンダルを用意しておく。

なにはともあれ、
いざとなったら車で寝ればいいや、と思っていれば、
ストレスフリーで旅ができるというもの。

   ホテルNBOXのベッド

■今回の旅のルートは・・

旅の一日目は山形県寒河江IC近くの駐車スペースで一泊(456Km走行)、
二日目は秋田県西目の「道の駅」で2回目の車中泊(264Km)。
三日目が新潟の東横INN(280Km)、
四日目は長野県飯山市のホテル泊(224Km)。

■地方のガソリンのお値段は?

クルマ旅でかかるものといえば宿代に次いでガソリン代。
今回の旅で実感したのがガソリンの高値だ。

とにかく東北地方のガソリンは高い。普通に180円台である。
普段いれてる横浜のスタンドでは160円ほどだから、
なんかすごく高いなぁと印象だ。

 山形は高いですよぉ、
 全国一高いのが長野県でその次が山形だっていわれてますからね
 正直、ほかの県で入れたほうがいいですよ

そう云うのは山形県のガソリンスタンドのお兄さん。
となりの福島県のガソリンも高い。
業者が談合してるんですよね、とどっかできいたことがある。
だから新潟県内に入って167円の値段を見たときに、おぉ安い!! じゃん、
とつい口にしてしまった。

     ガソリンスタンドの店員のイラスト

■フレッシュな湧水でcoffeeを

 山形県八幡町の「湯ノ澤霊泉」でcoffeeを淹れる

車には常にカセット式のガスバーナーコンロを積んでいる。
これがあると名水に出会ったらいつでもcoffeeが淹れられるし、
カップラーメンもつくれる。
昔からいろいろなタイプのバーナーコンロを試してみた。
Wild-1などのアウトドア店で灯油、ガソリン、ガスなど燃料種ごとのギアをみてると、どうしても欲しくなってあれこれ使ってみた。

最終的には、上の写真のようなカセットコンロバーナーに落ち着いた。
バーナー部がコンパクトに折りたためて収納できるし、燃料のガスボンベはコンビニやホームセンターなどで簡単に手に入るのがいい。
思い立って物置から昔使っていたバーナーコンロ類を取り出してみた。
久しぶりの対面だ。

バーナーコンロの揃い踏み

左側のColemanのバーナーはホワイトガソリン仕様。予熱の必要はないし火力が強い。
右のMSR製バーナーは燃料タンクとバーナー部を接続して使う。ガソリンでも灯油でも燃焼可能なタイプ。燃料タンクをポンピングして加圧する。

この三つは灯油(ケロシン)仕様の昔からあるタイプ。
左端のものはSVEA製で冬山によく持って行った懐かしい一品。灯油バーナーはプレヒート(予熱)しないと着火しないので少し手間がかかる。火力が弱まったらポンピングしてタンク内の圧力を高め、燃料噴射量を上げる。

じつは地方には知られざる名水がたくさんある。
山間の道脇に○○水と書いてあって、樋からちょろちょろと流れているのを発見すると、やったぁ~、と駆け寄ってしまう。
こういう無名の水は土地の人々が大切に保護・管理しているから大事に飲ませていただく。

湧水は独立峰の周囲に多いのも特徴。
たとえば、メジャーなところでは富士山を初め、秋田の鳥海山、北海道ニセコの羊蹄山などである。
秋田県象潟の「元滝」は鳥海山がもたらした湧水群のひとつだ。これまで10回くらいは見ているが、いつ見ても美しい水の造形に感動する。

象潟港沖の海中に湧き出た新鮮な水は岩ガキを育んでいる。
酒田市の「玉簾の滝」も元はといえば、鳥海山に降った雨が永い年月を経て創り上げた景観なのだろう。


  元 滝     高さ5~6m



玉簾の滝 高さ63m



わきたての名水で淹れるcoffeeはうまい。
冷めても味はまろやかで舌の上で転がる。
ポリタンクを持ってるときは汲んで家でも楽しむことにしている。

   
  

■面白いローカル放送 ~CRT栃木放送~

ドライブ中に眠気覚ましも兼ねて音楽やラジオをよく聞いている。
高崎IC から関越道を東京方面に向かって運転してるときだった。
ラジオのスイッチを入れ、自動スキャンさせていたら、突然、栃木弁丸出しのおじさんの声が飛び込んできた。

 そんでよ~、○○だからよ、xx だっぺよ・・

標準語でしゃべる女性アナウンサーとのやり取りが絶妙に面白い。
伊奈かっぺいの津軽放送とか、地方のローカル放送局でよくある企画演出だ。
なんか味があって人情味があって耳に心地いい。つい聞き続けてしまった。

あとで栃木放送のホームページで調べたら、その方言丸出しおじさんは
栃木を代表する方言作家、嶋均三さんという方だった。
地元の有名人のようだ。毎週金曜日は「嶋さんのラジオ」を放送なので、
ちょうどこれをきいてたわけだ。

     ON AIRランプのイラスト

■BGMは・・ユーミン

運転中に眠くなると音楽をかける。
やはり運転中に心地よい音楽となると松任谷由実の楽曲に限る。
若いころ音楽の女神がどんどん降ってきていくらでも作曲できたとか。

あれほど愛し合っていたのに、今は若い娘(こ)に心移りした恋人への執着、嫉妬、恨み、迷い・・もう若くはない女性が抱く複雑な心模様をすくい上げた詞が多い。

ユーミンのメロディーは単純だし、歌い方も一本調子なのだが(個人の感想)、それを救っているのは編曲ではないだろうか。
なんたってバック演奏のアレンジがすごくカッコいいのだ。
おしゃれで、凝った楽曲に生まれ変わっている。
心地良いリズム、金管楽器、雑踏音などが効果的なのだ。
ユーミンの曲は才能豊かな編曲者たちによって相当に救われているとおもう。

それにしても、彼女の声は独特だ。
アとエの真ん中の声、ドイツ語でいうウムラウトに近い。
モンゴルの伝統的歌唱法「ホーミー」に憧れたらしいから、その影響か・・。

一方、ここのところ聞いているのが伊勢正三だ。
ユーチューブから「雨の物語」、「二十二歳の別れ」、「このささやかな人生」などを拾い上げてSDに入れている。

眠くなったら、ひとりカラオケだ。
「雨の物語」をイルカの歌声にかぶせて歌って眠気を吹き飛ばす。
この歌はドラマっぽい仕上げで、
恋の始まりと終わりの詞から映像が立ち上がってくる。

窓の外は雨、あの日と同じ、
肩を濡らした君がドアの向こうに立っていたのは・



伊勢正三は作曲はもちろんのことだが詞も感性豊かな言葉に溢れている。
才能豊かだなぁと改めて認識。

音楽CDのイラスト

■名人の落語

そして、いよいよ最後の締めは落語だ。
古今亭志ん朝の「芝浜」。これに限る。
クルマでたぶん百回は聞いたのではないか。

  んじゃぁ何かい、財布拾ったのは夢で呑んだのは本当かい?
  そうだよ
  割りにあわねぇ夢見ちまったなぁ

酔いつぶれて寝て起きたあと、拾ってきた五十両をめぐるおかみさんとの"夢"のやり取りが何度聞いても可笑しい。約40分の人情噺だ。


      芝浜のイラスト(落語)

■温泉なら何でもどこでも

  この旅では、毎日、温泉に入った。

■寒河江温泉・ゆ~チェリー  (山形県寒河江市)

なんと入湯料350円という破格の料金。
付属するチェリーパークホテルに泊まると無料で何度でも入れるのだが、
残念ながらどの日も満杯のため、結局、放浪旅の初日は、
ホテル前の寒河江SA近くの駐車スペースで車中泊となった。
今日いち日の走行距離460キロ。

昨夜、直ぐに出発できるように旅の荷物をクルマに積み込んでおいた。
夜中、トイレに起きたら午前3時。
目もぱっちりしてるので、じゃぁ、もう出かけよう、ということにした。
自宅から東名、環八、圏央道から東北道に入り佐野SAで佐野ラーメンの朝飯。これが意外と美味かった。

東北道を二本松ICで降りて岳温泉へ寄り道。
昔、福島でボランティアをした際に何回か泊まった宿「和楽荘」は別の名前に変わっていた。
宿のおばちゃんが「いつまでやれるか分かんないよ」と言ってたなぁ。
共同浴場の湯はめちゃくちゃ熱かった。

お昼に共同浴場近くのソースカツ丼の店へ。
けっこう並んで待ってる人が多いので美味いのかも。

隣に座って待ってるおじさんが話しかけてきた。

あの原発が爆発したせいだと思うんだが、ある時、急に足腰が立たなくなってしまったんだが、どの医者も原発が原因だと診断書に書いてくれなくて・・

今はコルセットを付けてなんとか日常生活ができてるそうだ。


30分後、やっと店内に。
ソースカツ丼(1650円)を注文。
ご飯の上に千切りキャベツ、ソースに絡まったカツが2枚のっている。
食ごたえのあるカツ丼だった。
二本松ICに戻り、東北道を北上し寒河江に向かった。

考えてみると、湯〜チェリー料金を払って入ったのは初めてだ。
入浴料金350円とはあまりの安さにビックリだ。
源泉は3つ、いずれも灰色の温泉だ。露天風呂から最上川が見える。


■あったか山温泉 (秋田県実美郷町)

寒河江訪問の目的はサクランボの購入。
JAアグリランドで開店9時の1時間前から並んで何とかゲット。
自宅、子供夫婦、妹に宅配便で送る。
前夜の車中泊は外が静かだったのでぐっすり寝られた。
天気は快晴。

10時に寒河江を出発、尾花沢を経て金山町へ。
明治初期に東北を旅した英国人女性イザベラバードが感嘆したピラミッド状に連なる山並み。
羽州街道の上台峠に立ってみると確かにあの山の形状はピラミッドだ。
麓の金山小学校にはイザベラバードの記念碑が建っている。
また、この辺りには日景温泉とか古遠部温泉などの名湯がある。

     

     

        イザベラ・バードの碑


17時30分、三郷町のラベンダー園に到着。人影まばら。
白いラベンダーが珍しい。ここで発見され品種改良されたそうだ。

三郷町のラベンダー園を見学したあと、
陽が沈む18時50分ころ「あったか山温泉」に到着。
町には3つの温泉施設がある。
「千畑温泉サン・アール」、「雁の里温泉湯とぴあ」そして「六郷温泉あったか山」。
玄関前で山菜を選別してたおばちゃんに道順を教えてもらったのでスムーズにたどり着けた。無色透明な癖のない湯だ。

 


あったか山温泉


今日も終わる

19時45分、外に出ると辺りはもうすっかり暗くなっていた。
当初は東に進路をとって岩手の北上市に向かう予定だったが、何だか気が変わり、
西の秋田県象潟に行きたくなってしまった。
なので、150号線をひた走って日本海側を目指すことになった。

対向車がまったく無い暗い田舎道を170キロ走り、
22時15分、「道の駅西目」に到着。
もう少し先の象潟の道の駅・ねむの丘まで走りたかったのだが、
さすがに夜の道に疲れたのでここで車中泊とした。


■ゆりんこ温泉 (山形県酒田市八幡町)


     
       道の駅西目で朝を迎えた

放浪旅の3日目は寒さで目が覚めた。薄曇り気温20度。
6時に出発。
国道7号線を走り、象潟の「道の駅ねむの丘」へ。
今朝は鳥海山がよく見える。
やはりここ象潟では松尾芭蕉のゆかりのお寺、「蚶満寺」は外せない。
そして元滝、玉すだれの滝・・もだ。


             
        港から鳥海山がみえた



        蚶満寺の山門

酒田市内から約10キロほどの山間に分け入ると名瀑「玉すだれの滝」が現れる。高さ60mを超える瀑布は迫力がある。

いつものように「ゆりんこ温泉」であったまってから帰ることにした。
昼時でお腹がすいたので食堂で食べようと思ってたのに「火曜日」は食堂のみが定休日だった。残念。余計お腹がすいてきた。

湯から上がり、歩いて数分の「湯ノ澤霊泉」の湧水で湯を沸かし、
coffeeを淹れる。ハマ寿司でやっと昼食。
土門拳記念館に寄ってこの日の宿泊地、新潟県古町の東横インに着いたのは
17時45分。
走行距離はちょうど1,000キロとなった(自宅から)。

     
       
         湯ノ澤霊泉

■ナステビュウ湯の山温泉 (新潟県松之山町)

旅の4日目。
昨夜は11時間くらい寝た。
どうにも眠くなって夜8時に寝て、起きだしたのは朝の7時。
やはり、車中泊の疲れがでたか。
ホテルの1階で遅い朝食。新聞を読みながらコーヒーもゆっくりと。

9時出発。快晴の空。空気が澄んで爽やか。
寺泊の野積海岸でめずらしい「ハマボウフウ」の花を見る。おさかなセンターの角上魚類店で寿司と番屋汁の早いお昼をとる。
燕三条の物産館で金属食器類を物色しフォークを購入。
物産館近くの高速のICに入り、川口ICで降りる。

     

     

     

     


国道117号、252号の地方道を走って14時40分、ブナで有名な美人林に着いた。ここへは何度も来ているので土地勘がある。
日本三大薬湯のひとつ松之山温泉・ナステビュー湯の山で汗を流す。
この温泉はなめると、ものすごく苦い。Na以外にMgとかKを含有しているのだろう。
16時、湯を出発し長野県飯山の阿弥陀堂、神戸の大イチョウにご挨拶。
昨夜、予約サイトのアゴダで予約したビジネスホテル・ノーブル飯山に到着したのが18時。
夕食はたのんでないのでコンビニで何か買ってこよう。

美人林 ブナの二次林



足元はブナの落ち葉でフカフカ


湯の山


神戸(ごうど)の大イチョウ    幹回り14.7m   樹高36m

阿弥陀堂


ビジネスホテル・ノーブル飯山

■小布施温泉・穴観音の湯 (長野県小布施)

朝食を食べて9時出発。ここまで1235キロの走行。
まずは信州中野の間山温泉・ぽんぽこの湯に直行。
ところが木曜日が定休日だった。

近くの小布施温泉を検索したら「穴観音の湯」という日帰り温泉があった。駐車場からエレベーターで受付まで上がる。
露天風呂からは黒姫山など北信州の山並みが望める絶好のロケーション。
ちょっと独特の匂いのする温泉だった。

小布施堂で栗最中を購入。
自宅に帰ったら1570キロ走ってたことが分かった。


  いろいろな湯のれんのイラスト


湯めぐり紀行(総集編)はこちら  原稿はPDF版です



1062.放浪旅Ⅱ

2024-06-20 | 旅の空
好天が続いている。
今朝(19日)の新潟は快晴で空気がサラリとしている。
日本海をずっと見ながら走り、寺泊町野積海岸に降り立つと、かわいい花の群落に出会った。ハマボウフウという花、砂地にへばりつくように咲いている。
昨夜、地元紙に載っていたので寄ってみることにした、というわけ。

寺泊といえばお魚センターが有名。角上魚類店で寿司と番屋汁でお昼をとる。

金属製品の産地、燕市の物産館でフォーク4本購入。
先月に開催したピアノ🎹発表会の打ち上げ・反省会を我が家で、しかも私の手料理で女性4名の皆さまをもてなすことになっているのだ。メニューだが、
とりあえずはナポリタンをお出しし、鶏の甘酢あんかけ、
餃子、デザートはアイスを考えている。購入したフォークはそのとき用のモノだ。

そうだ、久しぶりに十日町・松之山の美人林を見に行こう。密集して育ったブナの二次林だ。
ブナが生息しているならどこへでも行きたい。大好きなのだ。
日本三大薬湯のひとつ、松之山温泉にも入ろう。薬湯と云われる所以なのか、♨を舐めるととっても苦い味がする。
そのあと、飯山市の阿弥陀堂にも寄りたい。
20年くらいまえの映画「阿弥陀堂だより」で作られたセットなのだが、朽ちずに残っているここから眺める景色が最高だ。
今夜はネットagodaで予約した飯山市のホテルに泊まる。


ハマボウフウの花

日本海



ブナの美人林

神戸(ごうど)の大イチョウ

阿弥陀堂



千曲川がみえる







1061.放浪ドライブ

2024-06-19 | 旅の空

東北をボッチ旅している。

今日で4日目。行き当たりばったり、気の向くままの放浪ドライブである。
山形県寒河江でサクランボを買い、秋田県横手市美郷のラベンダー畑では珍しい白いラベンダーをみた。
ここから東に向かって岩手県北上IC近くのスーパー銭湯に泊まるはずだった。
でもなぜか気が変わって西の日本海側へと向かってしまった。いい加減なのだ。だから宿を予約するのが難しい。ということで車中泊を2回。3日目の新潟市でやっとホテル泊。
4日目の朝、部屋でこれを書いている。
今日はどこまで行くかわからない。気のむくまま・・。


福島県岳温泉 熱湯が特徴

イザベラ・バードが見たピラミッドのような三つの山々 金山町で

白いラベンダーは新種



象潟漁港から見る鳥海山


象潟  九十九島



山形県酒田市の玉簾の滝

元  滝


coffee time 
 


1041.旅をふり返れば・・

2023-11-21 | 旅の空

旅の10日間を振り返ってみよう。

期 間  : 2023年11月2日(木)~11日(土) 9泊10日

走行距離 : 2605 Km  ※ガソリン給油量 86リットル(約14000円)

宿 泊  : 車中泊1 、ホテル4、宿坊1、遍路宿1、スーパー銭湯1、ユースホステル1

温 泉♨ : みたまの湯(山梨県)、山中温泉・菊の湯(福井県)、道後温泉(愛媛県)

      むささびの湯(高知県) かもだ岬温泉保養センター(徳島県)

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11/2 晴 300 Km   自宅→諏訪湖SA(車中泊)

11/3 晴 412 Km   諏訪湖SA→松本→高山→白川郷→山中温泉・道明ヶ淵→東横イン米原

11/4 晴 348 Km   東横イン米原→湖東三山→京都→神戸→明石海峡大橋→四国健康村

11/5 晴 147 Km   四国健康村→宮ノ下港→志々島→本山寺→豊念池堰堤→松山YH

11/6 雨 172Km  松山YH→予讃線・下灘駅→大洲→七子峠→四万十町→岩本寺

11/7 晴 156Km   岩本寺→横倉山自然の森博物館→仁淀川町→にこ淵→高知BH

11/8 晴 215Km   高知BH→竹林寺→大日寺→伊尾木洞→ふれあいの里坂本

11/9 曇 111Km  ふれあいの里坂本→鶴林寺→蒲生田岬→東横イン徳島

11/10 雨 261Km  東横イン→霊山寺→鳴門海峡大橋→大津→義仲寺→東横イン彦根

11/11 晴 465Km  東横イン→石道寺→大垣市奥の細道結びの地 記念館→東名→自宅

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<重大アクシデント発生> 

旅の7日目の11月8日、高知県の山中で遭難一歩手前の重大事態が待っていた。
詳しくはいずれ「カーナビの罠」(仮題)として掲載・記録する予定だが大筋はこうだ。

高知県安芸市から徳島県の勝浦町へ向かうときのこと。
室戸岬を回らずに奈半利町から東洋町へ抜ける493号線がある。
この道を使えば今夜の宿がある徳島県勝浦町へ17時には着けるはずだ。

しかし、ここでわたしは一つ目の重大なミスをしてしまった。
奈半利町から北川村へ向かう途中、カーナビが指示する道を進んでいったのだが、いつの間にか林道に入り込んでいたのだ。
道は石ころだらけだし、枝や落ち葉が道を覆っている。
車の通った踏み跡や形跡もない。普通なら引き返す判断をするところだが、そうしなかった。これがふたつめのミス。
疑問に思いながらもカーナビが指示しているし、こんなもんかなと妙に納得しつつ1時間近く山奥へ山奥へとと深く入り込んでしまっていた。
あとで思い返せば、旅の疲れもあって正常な判断ができなかったといえる。

そしてダメ押しのように最悪の事態が林道で待っていた。
土砂崩れが林道をふさいでいたのだ。
左は山の斜面、右の崖下は沢のようだ。

ありゃ~、まいったなぁ!! どうしよう。
ここまで来て土砂崩れかよ、勘弁してくれよ。
10~30センチ大の岩石と土砂が凸凹と波打って幅10mにわたって道をふさいでいる。
しかも土砂崩れの向こう側に1台の軽自動車が止まっているではないか。
不吉な予感がこみ上げてくる。

目の前の現実が素直に飲み込めないまま車を降りて見に行ってみると、
軽自動車は前輪を土砂に突っ込んでいる。
覗いてみたが誰も乗っていない。
脱出できないとみて、そのまま放置したようだ。

フロントガラスに枝葉が積もってる様子からみると、
一昨日降った雨が土砂崩れを誘発したに違いない。
悪いことは重なるもので助けを求めようにも携帯電話の電波は圏外を示している。
胸の鼓動はさらに高鳴り、喉の奥が引っ付くくらいカラカラになる。
山奥の林道で私が置かれた状況は最悪となった。

さて、窮地に陥った私は一体どういう決断をしたのだろうか。

①残念だが来た道を引き返す

②ここまで来てしまったので何が何でも突破する

私が選択した道は、後日、「カーナビの罠」(仮題)で明らかにしたい。

土砂崩れ現場と放置された軽自動車   左側の斜面から崩落している  



1040.石道寺十一面観音

2023-11-12 | 旅の空

前日、彦根駅前のホテルに宿泊。14階の窓から彦根城が見える。

駅周辺に空き地が目立つ。ほとんどが有料駐車場である。
その料金が驚きの価格、24時間停めて200円!!。これほど安い駐車料金は見たことがない。ちなみにホテルの駐車料金は500円。
たまたま満車だったので歩いて5分ほどの200円駐車場を案内されたわけで、これはこれでラッキーである。


彦根城の天守閣がみえる

9時ホテルを出発。
駐車場から10分ほどで彦根ICに入る。
昨日と打って変わって快晴。伊吹山がよく見える。
琵琶湖側からみると痛々しいほど山体が削られている。

砕石場なのかもしれない。
同じような光景は埼玉県秩父の武甲山でもみられる。
こちらはセメントの原料となる石灰岩を採掘している。
経済活動と自然保護。古くて新しいテーマである。

それと高速道路フェンスの植栽で目立ったのが松である。
枯れているのだ。
松枯れは四国でも、近畿のあちらこちらで見かけた。
長野県の山中でも見たし、松枯れ問題は全国的な広がりをみせている。
日本から松が消滅してしまうかもしれない。
さらにナラ枯れも深刻だ。丹沢や関東で顕著である。

そんなことを考えているうちに木之本ICに着いた。
カーナビに石道寺をいれてある。
道沿いに「鶏足寺・石道寺完全予約制」という看板を見かける。
ありゃ、なに予約しなきゃ拝観できないの?

そうだ、この時季、鶏足寺は紅葉の名所だった、ことを思い出した。
でも私の目的地は石道寺なので道を進んでいくと、
駐車場の手前で係りのおじさんから予約してありますか、と尋ねられた。(もちろん予約していない)。
じゃぁ、ここを少し戻るけど案内所があるのでそこで予約し来てほしい、と。
案内所で協力金500円を払い、やっと石道寺の駐車場に入ることができた。

実は昨年の6月、石道寺に来た。でも残念ながら拝観できなかった。コロナ対策で土日しか開けていないためだった。
なので今回、ようやく観音さまに会えるのでとても楽しみ。


石道寺

受付で料金500円を払いお堂に入る。
案内の女性が厨子の扉を開けると、あの観音さまが現れた。
ぽっちゃりとしたお顔と紅の残る唇。
変わらない美しさだ。

作家・井上靖の小説「星と祭」に石道寺の観音さまが登場するので少し引用してみよう。

「きれいな観音さまですね」
架山は言った。思わず口から出た言葉だった。美人だと思った。
観音さまと言うより、美人が一人立っている。

ーこの観音さまは、村の娘さんの姿をお借りになってここに現れていらっしゃるのではないか。
素朴で、優しくて、惚れ惚れするような魅力をお持ちになっていらっしゃる。
野の匂いがぷんぷんする。笑いを含んでいるようにも見える口もとから、しもぶくれの頬のあたりへかけては、殊に美しい。

 

販売写真から 


この写真では残念ながらふっくらした表情が分からない。
実際には下から見上げて拝顔するので頬のふくらみがよくわかるのだが・・

井上靖は "野の匂いがぷんぷんする" と表現したが、私にはそう思えない。

なぜか顔、胸元にかけて刷毛で刷いたような白いまだらがある。いつの時代にか雨漏りなどして化学変化したのかもしれない。いずれにしても原因は不明だが、この白いまだらが観音さまの素朴な美しさを際立たせている。


むかし、長女の七五三のお祝に神社に参拝した。着物を着てお化粧も施してもらった。神社が遠かったこともあって時間が過ぎ、写真屋さんで記念写真を撮るころにはすっかり白いお化粧がまだらになってしまった。
観音さまをみるといつもその時のエピソードを想いだす。


旅の締めくくりとして今日、観音さまにお会いできて本当によかった。
ちなみに観音さまは村人たちの手で維持・保護されている。ありがたいことだ。


このあと、大垣市の「奥の細道むすびの地記念館」を訪ね、ラリー終了の手続きをした。記念のファイルをもらう。後日、自宅宛てに参加市町村の特産品が贈られるとのこと。たのしみだ。

13時、大垣IC入る。ここから家まで360キロ。
17時30分、横浜ICまで渋滞9キロなので海老名JCから圏央道に入り海老名ICを出る。
18時50分 自宅着。

10日間の総走行距離2605キロ。

<


1039.松尾芭蕉眠る義仲寺

2023-11-10 | 旅の空
長かった旅だったが今日で四国を離れる。
今日は一日雨の予報だ。
ホテルを九時に出発。まずは四国霊場一番札所の霊山寺へ。
一番札所なのでここは何時も参拝者で賑わっている。
お遍路さんに混じって中国人観光客だろうか、白衣姿のポーズで記念撮影している。
 

霊山寺





板野ICから高速に入る。滋賀県の大津ICまで一気に約150キロを走る。
淡路島の道はけっこうアップダウンがある。
ここは島だということを忘れさせるほど広い。
鳴門海峡大橋、明石海峡大橋を渡る。海面からは相当高いのだが横風も
あるせいか怖い。
それにしても一向に雨は止まない。関西の道はよくわからないのだが、神戸、大阪の大都市を名神高速を使って順調に抜けた。
 
 
琵琶湖湖畔の大津ICから松尾芭蕉が眠る義仲寺まで15分で到着。
松尾芭蕉は1694年、旅先の大阪で亡くなった。
 
弟子の喧嘩を仲裁するためわざわざ大阪まで出かけてきたのに、滞在先の食事にあたってしまった。なかなか下痢が収まらずそれが原因で亡くなった。
享年51歳。
松尾芭蕉は木曽義仲をたいへん敬愛していた。
そのため亡くなったら義仲の墓の隣に葬ってほしいと遺言をのこしていた。
遺言に従い木曽義仲の菩提寺、義仲寺に弟子らの手で葬られた。
亡くなって三日後のことだった。
 
「木曽殿と背中合わせの寒さかな」(伊勢の俳人又玄)
 
今回の旅の目的の一つは「奥の細道風景地スタンプラリー」を完成させることにあった。
すでに先週、道明が淵(山中温泉)を訪ね、スタンプラリー26箇所全地点を周りきった
明日はこの事業の主催者である「奥の細道むすびの地記念館」(大垣市)に立ち寄る。
なにか記念品がもらえるらしい。
 
<追記>記念品は大垣の自然水が入ったペットボトル12本だった。

 

義仲寺



松尾芭蕉の墓



今夜は彦根駅前のホテルだ。
14階の部屋からライトアップされた彦根城が見える。
 
明日、長浜にある石道寺の観音様にどうしても会いたい。
惚れてると言ってもいいくらいだ。
石道寺の観音様は、井上靖の小説「星と祭」に登場する。
唇にほんのりと紅がさす顔は農家の娘のようだと形容される。
素朴な美しさ、親しみさを漂わせている。
 
さて、2日に自宅を出たクルマ旅も明日がラストラン、最終日である。
すでに走行距離は2000キロを回った。
 

1038.四国最東端の岬

2023-11-09 | 旅の空
旅に出て一週間。
疲れもあるし、今日すこしノンビリしよう。
「ふれあいの里さかもと」は掃除が行き届いていて気持ちのいい施設だった。
食事もおいしかったし、気配りのあるメニューだった。
たとえば今朝はおかゆが食卓にならんだ。
毎日の食事に胃も疲れただろうから、という配慮だ。



元小学校を利用

夕食

おかゆの朝食

部屋は広い



8時出発。
さて、どこへ行こうかと思案。
ここから一番近い鶴林寺を参拝することにした。
鶴林寺は今回で3回目か。
参道から見上げる山門の雰囲気が気に入ってる。

駐車場に停め、この旅で初めて遍路の白衣を身にまとった。
白衣の背の右側には鶴林寺の鶴が、そして左には延光寺の亀が押印されている。
鶴と亀。縁起を担いだのだ。
以前、歩き遍路をした際に作った








本堂 両側に鶴が



白衣に鶴マーク


というわけで装束を整えて本堂、大師堂を参拝し、久しぶりに厳かな気持ちになった。

次に向かったのは
蒲生田岬(かもだみさき)。
四国最東端の岬である。
いったん55号線を南下。
海沿いの道をアップダウンしながら岬の突端へ近づいていく。



「かもだ温泉保養所」の案内看板があった。ここへは後で立ち寄るつもり。
岬のうえに灯台がみえてきた。
灯台へ通じる急な石段を息を切らしながなんとか登りきると、眼下に荒々しい光景があった。
・・・・
今夜の宿は徳島駅前のホテルをとってある。























1037.伊尾木洞

2023-11-08 | 旅の空
高知市内のホテルを8時に出発。
まずは竹林寺に向かう。
牧野富太郎植物園が隣接しているせいか、門前の様子が変わり、大きな駐車場が整備されてた。
開創1300年事業として曼荼羅を特別公開したり、みうらじゅんと伊藤せいこうの対談を企画するなど盛りだくさん。
それにしても山門をくぐり石段から眺める五重塔は美しい。庭もきれいな竹林寺である。








竹林寺

高知県安芸市の伊尾木洞をつぎに訪ねた。
伊尾木洞は朝ドラ「らんまん」のロケ地でもある。
牧野富太郎はここでいろいろなシダ類を発見している。










今宵の宿は徳島県勝浦町の「ふれあいの里さかもと」
元小学校校舎を宿泊施設としてリニューアルした。
お遍路さんの間で人気の宿である。
夜の7時の到着だったが夕食を用意して待っていてくれた。ありがたいことだ。


夕食 鮎塩焼き、天ぷらなど


1036.佐川町・横倉山

2023-11-07 | 旅の空
朝6時。岩本寺のお勤めが始まった。本堂で般若心経などを唱え45分ほどで終わった。
岩本寺は本堂の天井画が有名。
575枚の画は約400人の方による作品である。


本堂

天井画



朝食後、それぞれに出発だ。
わたしは納経帳に押印してもらった
今日は牧野富太郎の出生地である高知県佐川町を訪ねる。朝ドラ「らんまん」で全国的に有名となった町だ。
さらに高知県いの町の「にこ淵」にも行く。
仁淀川源流の山深い場所だ。
仁淀ブルーと呼ばれるほどの美しさの象徴が「にこ淵」といえる。

まずは佐川町の隣、越知町の「横倉山自然の森博物館」を訪ねた。
横倉山は牧野富太郎の植物研究の原点である。
その麓に博物館が建っている。洗練された建築デザインが目を引く。
それもそのはず、安藤忠雄の設計だった。
ちょうど牧野富太郎の企画展をやっていた。
詳しい植物資料や分かり易いビデオ、写真が牧野富太郎の功績伝えている。










佐川町の牧野富太郎の生家は記念館になっている。無料。
佐川の町は土佐街道沿いに家が並ぶ小さな町だ。






国道33号線、439号線、194号線と仁淀川に沿って源流へと進む。
午後2時40分、「にこ淵」到着。
けっこう観光客がきている。
やはり有名なのだ。
急な階段を降りて行くと、
にこ淵が現れた。
滝の白さとエメラルドグリーンの水面が美しい。
時間帯によっては色が変化するだろう。






にこ淵


さて、仁淀ブルーを充分堪能したのであとは温泉かな、と思いながらクルマを走らせてると「むささびの湯」の看板が目に入った。
というわけで温泉
湯は鉄サビ色で40度くらい。
高知市内のホテルに行くだけとなった。








名越の沈下橋




1035.岩本寺に泊まる

2023-11-06 | 旅の空
"Speak English?"
“No no 😅"
"Sorry"

岩本寺での夕食でのこと。
隣のテーブルの外人女性からとつぜん話しかけられた。
浴衣姿の中年女性3人連れだ。
シルバーグレーの髪が美しい。たぶんヨーロッパ系の女性だろう。
私には残念だが会話力がない。

テーブル前の席に肌が浅ぐろいスキンヘッドのアラブ系男性が座った。
すると流暢な仏語で女性らと会話し始めた。
それまで英語で会話してた彼女らもフランス語で対話している。
たいしたもんだなぁと感心しながら黙々と食事をしたのだった。

Your conversation is like background music to me

てなところだろうか。

そういえば、件のアラブ男性、お刺し身を湯呑み茶碗の湯でしゃぶしゃぶして口に運んでいた。
ワサビを箸で少しつまんで口に入れ、さらに、ご飯に醤油を垂らして食べていたのには少々驚いた。
生魚を食べる習慣がないから、そういうことなのだろう。

さて、強制ではないが明日は朝6時から本堂でお勤めがあるので参加してくださいとのこと。
もちろん参加するつもりだ。

夜の岩本寺山門

今晩の食事

ユースホステルでは今朝までグッスリ寝た。
昨夜は四国健康村の仮眠室で寝たせいもあり、何度も目が覚めた。
いちどはとなりで寝てた人の叫び声のような寝言で起こされてしまった。

松山ユースホステルの部屋は2人部屋だったのでゆったり過ごせた。
そして阪神タイガースが38年ぶりのシリーズ優勝を果たした夜でもあった。

今朝は七時半に起き、やはり道後温泉で朝風呂。








なんだかんだで結局、
出発が九時になってしまった。

夕陽がきれいな海にいちばん近い駅として有名な下灘駅に立ち寄った。
たしかにホームの目の前が瀬戸内海だ。穏やかな海だ。
そして予報どおりポツポツと雨が落ち始めた。
この旅最初の雨だ。
でもこのあと、いちども本降りにはならなかった。









大洲、梼原を通り、七子峠を越えて岩本寺まであと10キロという地点で見覚えのある遍路小屋を発見。
Uターンして確認するとやはりそうだ。
以前、歩き遍路したときに休憩をとった小屋だった。
ここでcoffeeを淹れ、ひと息ついた。







岩本寺へは午後5時10分到着。
洗濯やら風呂にも入りたかったのだが、すぐに食事してほしいとのこと。
そして冒頭のような光景に相成った
コロナ明けからとにかく外人さんがすごく多くなった、と受付のおばさんが嬉しいのか困ったのか困惑気味に話していた。
案内された部屋は完全に外人仕様のポップなつくりだった。。














1034.志々島の大クス

2023-11-05 | 旅の空
志々島の大クスは想像以上の大きさだった。
船着き場から集落の合間をぬって急な石段を登る。後ろを振り向くと瀬戸内海が見える。広い!。上り坂が二手に分かれ右手の急さかをこんどは下る。なかなかきつい。
下りきった先に大クスが現れた。大きい。樹勢に勢いがあり生き生きしている。ぐるりと一周し撮影ポイントを探した。


















11:30の定期船に乗り宮の下港に戻る。
本山寺に着いたのが12:30になってしまった。なので全てのイベントが終わって後片付けの真っ最中だった。
豊稔池堰堤を見がてら高速道路を使って松山ユースホステルへ向かうことにした。
ユースホステルに午後7時到着。早速、道後♨の椿の湯に入った。道後温泉本館はまだ改修工事が続いてる。














1033.紅葉の湖東三山

2023-11-04 | 旅の空
ホテルを8時に出発する。
ガソリンを補給し、彦根に入る。
空が広く明るい。この町の第一印象だ。
やはりあの寺は素通りできない。天寧寺である。
時刻は8:30。ちょうど開けるところだったので幸いだった。
五百羅漢さんと対面するのは4〜5回か。何度見ても迫力がある。この寺の由来はすでに「814.五百羅漢天寧寺の謎」で書いたとおり、やや数奇なものである。







そして、湖東三山がどうしても気になる。四国へ渡る時間は遅くなるけどやはり寄り道していくことにした。

西明寺、金剛輪寺、百済寺ともに紅葉の見頃だった。
百済寺は朝ドラ「ブギウギ」のロケ地だったとは知らなかった。ストライキで立て籠もった尼寺である。

3箇所ともじっくり見て回ったので午後1時を回ってしまった。
百済寺から今日の宿がある香川県多度津町までは約280キロもある。
京都、大阪、神戸、明石海峡大橋、淡路島、鳴門海峡大橋。
ずっと高速道路だ。

四国健康村へは午後7時到着。
三連休のせいか家族連れで混んでいる。
とりあえず仮眠室の寝床を確保した。
そして四国健康村の売りでもある旅回り一座の歌謡ショーを見ることにした。
ファンのおばちゃん達が手拍子で盛り上げたり、贔屓の座員におひねりを渡す光景は新鮮だった。
あすは、待望の志々島の大クスを見に行く。そして案内状をもらった70番札所・本山寺の五重塔の落慶記念式典に参加し、松山ユースホステルに泊まる。
道後温泉♨が楽しみだ。








西明寺












金剛輪寺



百済寺











1032.山中温泉・道明ケ淵

2023-11-03 | 旅の空
諏訪湖SAを朝5時出発
松本から安房トンネルを抜けて高山に。山の紅葉が見頃だ。さらに東海北陸道を使ぅ。
実にトンネルの多い高速だった。
南砺市の平野が見えてホットする。
城端ハイウェイオアシスでひと息つく。蕎麦を食べ、ついでに桜が池温泉♨にも

今日の目的地、山中温泉・松尾芭蕉館には午後2時の到着となった。
受付の年配の男性を見て、あっ、先日、QRコードの問い合わせの電話に出た方だと直感した。
なら、2日は外玄関の分かり易い場所に掲示しておきましょう、と約束してくれた

お礼をして早速でもスマホで読み取る。珍客なので写真撮らせてほしいとのこと。もちろんOK。
2階に案内され、松尾芭蕉直筆の書状などを見せて頂いた
さすがに詳しい方なので松尾芭蕉の人物像などいろいろと興味深く歓談できたのはありがたかった。

このあと、近くの道明ケ淵を見て、お楽しみの山中温泉男湯に。熱めの湯だ。
今日は41度だねと受付のおばちゃんが語ってくれた。

米原のホテルまでは下道だと3時間前後かかる。
ここまで今朝から300キロ走って疲れも多少あるので高速を利用することにした。

ホテルには6時半到着。
今日の走行距離は400キロを超えた。このホテルには何度も泊まってるので土地勘はある。
近くのスーパーで夕食を仕入れ、部屋で食べるのがいつものこと。
サラダ、ミニカツ丼、餃子、缶ビールと牛乳、そんなとこ。
明日は四国へ向かう。
秋晴れのいち日だった。








松尾芭蕉館





道明ケ淵



山中温泉男湯

ホテルからの米原駅




1031.秋のクルマ旅start!

2023-11-02 | 旅の空

今日11月2日からクルマ旅に出かける。

目的地は三つ。

①奥の細道スタンプラリー26か所の最後のひとつ、山中温泉の道明ケ淵を訪ねる。

②香川県の四国霊場70番札所本山寺の五重塔完成式典に参加する。

③香川県三豊市の志々島の大楠に会う。

そして愛媛の道後温泉、高知県の佐川町の横倉山、安芸市の伊尾木洞などを訪ねる。

徳島では遍路宿か寺の宿坊に泊まる予定だ。

なので、納経帳なども用意した。

四国を反時計回りにぐるりと回る旅となる。

淡路島経由で本土にわたり京都のユースホステルを利用するかもしれない。

11日ころ帰る予定だが後半のスケジュールは未定のまま。

いつものように行き当たりばったりのクルマ旅、どうなるか。

奥さんからも軍資金をもらったし、もういつでも出かけられる。

今晩は諏訪湖SAで車中泊し、明朝、松本、高山経由で山中温泉へいき、滋賀県米原の東横インに泊まる。

奥さんに見送られて、10時30分、自宅を出。