温泉めぐり紀行

丹沢の新緑(2022年5月)

440.OCNブログ今日で終了・廃止

2014-11-30 | 暮らし

これまでブログでお世話になったOCNのブログサービスが今日(11月30日)でついに終了です。
2009年12月18日に「温泉紀行」のブログを開設し、以来、2014年11月まで430回書いてきました。この間の閲覧数は17267でした。

もちろんOCNに保存していた画像、PDF化した文章、音楽はほぼパソコンに取り込みました。しかし、OCNからgooへ引っ越した影響でリンクが外れてしまった箇所が少なからず生じてしまいました。文章としては不完全なので、これは今後見つけ次第少しずつ修正していきます。


今後とも新天地のgooでボケ防止を兼ねてブログを続けてまいりますので改めてよろしくお願いいたします。

m(_ _)m


439.演奏ボランティア

2014-11-27 | 音楽ボランティア

今月2回目のボランティア演奏の手伝いに行ってきました。
生憎の雨でしたが濡れずにドアツウドアで移動できるんですから、こういうときほど車での移動が効力を発揮します。
今回はチェロとピアノによる演奏です。
会場は市立病院の玄関ホールなので受付や会計業務をしている傍らでの演奏です。
                                                        
カッチーニのアヴェマリア、リベルタンゴなど全部で10曲を演奏。入院患者さんや面会に来た方など約50名くらいが熱心に聴いてくれました。
アヴェマリアの演奏について奥さんは目標の3割くらいしかできていないわねぇ、もっと練習しなくちゃ、と反省の弁を云ってます。けれど素人の私なんかからすれば、すごくいい演奏だなと思うのですがプロとしては納得いかなかったようです。
    
最後の曲が終わってから、奥さんに近づいてくる男性がいました。あのアヴェマリアという曲は誰の作曲ですか、と訊いたあと、ピアノがとてもきれいでした、YAMAHAのピアノとは思えないです・・・とおほめのコトバをいただいたようです。

だから音楽はうまい下手じゃなくて心のこもった演奏ができてるかどうかなんだろうと思いますね、演奏者の発する心の波動が音の調べに乗って観客
のハートに届き、共振するんでしょうね、きっと。
では、その「アヴェマリアと「初恋」です。病院内の音が混じってますが、かえってライブ感があっていいかな、と思います。


438.歩き遍路旅(25)愛南町

2014-11-25 | 四国遍路ぶらぶら歩き

■土佐・伊予の歩き遍路旅




6
日目 10月12日(土) 曇り→雨 宿毛→愛南町 23.5キロ

きのう参拝した延光寺で高知のお寺すべてが終了した。最御崎寺から延光寺まで16か寺をまわったことになる。お寺の数としては四国四県のなかで一番少ないが、寺と寺が遠くてしんどい。室戸岬から高知市内まで歩いた炎天下の4日間は今でも脳裏に浮かんでくる。土佐の国を「修行の道場」と呼ぶのはもっともだと実感した長い道のりだった。そして松尾峠を越えるといよいよ伊予の国、愛媛県へと入る。

6時30分ホテル出発。
台風19号の影響でときどき強い風とともに雨が降ってくる。コンビニでオニギリ、パン、お茶を購入。荷物を固定するのでビニールひもを分けてもらった。
松尾峠がどんな所なのか想像がつかないので店員さんに訊くと、今日のような天気の時は無理しない方がいいんじゃないですか、と慎重なこという。
でも、行くしかないので小雨の中を出発。

   
(画像をクリツクすると拡大します)

山道に入ると木々に覆われているのでほとんど雨に濡れなくて済む。林の中に続く道を上っては下りを何度か繰り返す。その度に小さな集落が現れる。
いよいよ松尾峠に向かう集落で農家のおじいさんがふらりと現れ、遍路道はあそこだ、と教えてくれる。
歩き始めて直ぐ、後ろから足音が近づいてきた。おじさん遍路二人から「一緒に行きますかぁ」と声をかけられた。「ありがとうございます、わたし足が遅いからどうぞお先に」。二人の足取りは早い。


   

9時、松尾峠到着。
休憩小屋でひと息つく。朝、買ったパンで朝食。9時20分、松尾峠を出発。峠を越えてからの道は展望が開けて明るいハイキングコースみたい。実に気持ちのいい道。とんとん拍子で愛南町の一本松地区に下りてきた。ここでも国道56号線に出合う。ローソンで100円コーヒーを買い、ひと息入れる。

   

1時間ほどなだらかな田舎道を歩くと上大道(かみおおどう)地区に遍路用の休憩小屋があった。
水道もトイレもあり清潔に管理されていてありがたい。ご自由におつかい下さい、と竹で作った杖が何本も置いてある。
使い勝手がすごく良さそうで欲しかったが、金剛杖もあるし、二本持って歩くわけにもいかず・・・あきらめた。とても残念。
遍路道ではカマキリやらにょろにょろしたのが歓迎してくれた。
   


僧都川に架かる橋を渡って南宇和町に入ると間もなく第40番観自在寺だった。時間を見ると14時。
参拝後に宿坊へ行くとおばちゃん(たぶん住職の奥さん)が部屋へ案内してくれた。風呂を直ぐに沸かしてくれるとのことでありがたく入らせてもらった。
湯船から窓を開けて見ると木の葉が強い風で揺れている。この宿坊は泊まるだけで食事の提供は無いので、自転車を借りてスーパーへ買い物で出掛けた。向かい風でなかなか前へ進まない。
夜、ますます風と雨が強くなってきた。これじゃ、明日はここで停滞かも。




   

 


437.歩き遍路旅(24) 宿毛

2014-11-20 | 四国遍路ぶらぶら歩き

■土佐・伊予の歩き遍路旅







5日目 10月11日(土) 曇り 四万十町岩本寺→宿毛 13.8キロ

5時50分起床。
6時、本堂でお勤めと住職のお話し。住職が子供の頃は貧乏寺だったが少しずつ本堂などを整備してきたとのこと。
6時半、昨夜と同じ座敷で皆さんと一緒に朝食をいただく。お膳の上に小さな布袋が置いてある。寺からのお接待です。

   
(画像をクリツクすると拡大します)

さて、今日は鉄道とバスを使っての大移動の日。岩本寺から10分ほどの「窪川駅」からとさくろしお鉄道で「中村駅」に行き(55分)、足摺岬行きのバスに乗り換える(1時間45分)。
38番金剛福寺を参拝後、同じバスでUターンして中村駅に戻り、再び、とさくろしお鉄道に乗って39番延光寺の最寄り駅「平田駅」で下車(20分)。2キロ先の延光寺を参拝したら7キロほど歩いて宿毛市内のホテルへ。ざっといえばこんなコースとなる。
  

7時30分岩本寺を出発。下駄箱には一足も残っていないのでどうやら私が一番遅い出発となった。
12時15分、長いバス旅の終点、「金剛福寺前」に到着。団体バスから次々と遍路客が降りてきてすごい賑わいとなっている。

    

なんとものすごい風が吹きまくっている。身体ごと持って行かれそう。本堂、大師堂を参拝後、展望台から荒波打ち寄せる足摺岬を眺める。地平線が丸みをおびて見えるのは目の錯覚かもしれない。
15時時37分、とさくろしお鉄道に乗車。出発まで40分ほど時間があったので中村駅前のホテルで遅いランチをとる。
平田駅に定刻の15時58分着。ほんとに日本の鉄道のダイヤは正確に運行されてるで感心する。

  

39番延光寺には16時40分到着。山門を入った先にある「大赤亀の石像」の前で記念写真。
その昔、境内の池にいた赤亀が姿を消し、やがて梵鐘を背負って帰ってきたという伝説がある。明治の頃、梵鐘は高知県議会の開会と閉会を告げるために鳴らされてたとのことです。
今は国の重要文化財になっているこの赤亀、口を真一文字に結んでなんとも頑固そうな顔付きです。けど、どこか愛嬌もあって私の好きな石亀像です。
鶴林寺の鶴と延光寺の亀、このふたつの朱印を白衣の背に捺してもらったのは6年前のドライブ遍路のときでしたね、縁起をかついだのです。
   

延光寺を後にしたのは17時20分。ここから国道56号線にそって歩きます。相変わらず交通量の多い国道だ。
宿毛市内に入る頃にはすっかり日が落ち、暗い道を歩く。何度か地図を見て町中に入ったのだが目指すホテルがなかな見つからない。
この辺りのはずだが、とうろうろしてると焼き肉店からちょうど出てきた中年の男女二人をつかまえて尋ねてみた。
しかし、分からない、という。ちょっと待ってて訊いてきてあげる、といって女性が店に戻っていった。そこはねぇ、昔の○○(店の名前)が「宿毛フレックスホテル」に変わったんだって、直ぐそこだからと二人でホテルの前まで案内してくれた。
ということで夕食はその焼き肉店で決まり。久しぶりの焼き肉でした。
台風19号の影響で夜半に風が強くなってきた。明日の雨が心配だ。

    

参考までに6年前(2008年1月)に車で遍路したドライブ遍路のデジブツク
にリンクを張ったのでご覧下さい。


436.ボランティア演奏

2014-11-19 | 音楽ボランティア

奥さんのピアノトリオのボランティア演奏のお手伝いに行ってきました。車の送迎です。演奏会場の病院待合室には50名くらい埋まってました。地元のコーラスグループ、トリオの演奏、独唱と盛りだくさんの約1時間でした。
トリオ演奏をバックにしたアヴェマリア(カッチーニ)の独唱が素晴らしかった。ちなみにピアノがうちの奥さん。今月は、あと1回市内の病院で演奏の予定。


435.温泉紀行特集

2014-11-15 | 湯めぐり紀行(総集編)
 
▼タイトルをクリックして本文へどうぞ
   「きょうも温泉巡り」(PDF)にリンクしています
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 肘折温泉(山形県)
   
   湯治客が訪れる山間の小さな温泉街。
    近在のおばあさん達の朝市も旅の楽しみのひとつ。
    共同湯ではおばちゃんたちの民謡がこだまする。


 
鳥海山・象潟(きさかた)の温泉(秋田県) 
        東北の名峰・鳥海山。
    その麓の象潟町には豊富な水が湧く。
    そして松尾芭蕉が詠んだ蚶満寺を訪ねる。    
    
  イザベラバード&日景温泉(秋田県)
      
明治時代に来日したイギリス人女性のイザベラバード。
    彼女の眼差しが釘付けなった東北の風景と温泉を訪ねる。
 
 
湯布院、湯平温泉(大分県) 
      峠を越えると眼下に湯布院の街がみえてきた。
    金隣湖の脇に建つ湯小屋が今日の目的地。

  クマゲラの森と(そま)温泉(秋田県)
   本州でクマゲラが棲息する森吉山麓の森。
   
美しい渓流を溯行すると名瀑が待っていた
 

ヘクソカズラハダカデバネズミ
  
何とも奇妙な名を背負わされた植物や動物たち。
    温泉とはなんの関係もない小咄し

檜枝岐温泉(福島県)
 
   尾瀬の玄関口、檜枝岐。山開きの会津駒ヶ岳で
   あやうく遭難しそうな目に・・・


別所温泉(長野県)
   
職場の温泉同会で一泊旅行したのは
   信州の小京都、別所温泉。 
   那須の北温泉もよかったなぁ

蒸(ふけ)ノ湯、藤七温泉(秋田県)
  今なお古くからの風情が残る湯治場。


餃子の町、蒲田の温泉(東京大田区)
    雑誌をみて急に餃子を食べたくなり蒲田にでかけた。
   下町情緒ゆたかな温泉に入って多摩川を
歩く。

箱根マーブル温泉(神奈川県) 
   箱根湯本駅前。
  そこから少し奥まった所に小さな美術館がある。

  そこに絶品の温泉が湧いていた。
 
大洲・内子の町と道後温泉(愛媛県) 
  大洲の景色は美しく女は綺麗だが
   侍が持っている刀は
なまくらばかりだ・・・
    と、脱藩中の坂本龍馬がいう。


馬曲(まぐせ)温泉&阿弥陀堂だより(長野県)

 五月の連休、千曲川の菜の花公園は黄色の絨毯。
 そして映画「阿弥陀堂だより」のロケ地を散策する。


風の盆と小川温泉(富山県)
  観光化しすぎる印象の「風の盆」。
  しかし昔から変わらず

  迎えてくれたのが小川温泉の露天風呂。


北信州いいやま湯滝温泉(長野県)
  寺の町、飯山。
  素朴で可愛らしい表情の爺と婆の人形が
迎える
  「高橋はるみ人形館」。
  
日本人の心象風景がみえてくる。


後生掛温泉湯治デビュー(秋田県) 
   初めての湯治は意外と楽しいものだった。
    そこはたくさんの人とのふれあいの場でもあった。


オンドル湯治の大深温泉(秋田県)
  東北の原初的な湯治場の雰囲気が色濃く残る露天風呂
   夜は満天の星空が・・・


甲州街道沿いの温泉(長野県)
   武田信玄の隠し湯の多い甲州。
   小さいけれど個性ある風呂が待っている。


ブナ原生林と酸ヶ湯温泉、蔦温泉(青森県)
   ブナの原生林に囲まれた秘湯の一軒宿、蔦温泉。
   新緑のブナに心癒やされる東北の随一の湯へ行く。

美瑛・富良野から東前温泉へ(函館)
  何度たずねてもあきることのない美瑛の丘。
   実は北海道は温泉の宝庫なのだ。


五能線と不老不死温泉(青森県) 
  日本海に沈む太陽を眺めながら入る露天風呂。
   人気の絶景ポイントだ。
 
稲村ヶ崎温泉(鎌倉)
  湘南の海はどこまでも明るくまぶしい。
   湘南国際村で
コーヒーを飲みながら
   少年時代にこころが飛ぶ。


カムイワッカの湯(北海道・知床)
  硫黄岳から流れ落ちる渓流全部が温泉。
   なんともぜいたくな大自然から
の贈り物。


利尻礼文(北海道)
  初めて訪ねた利尻島に礼文島。
  ウミネコがいつまでも追いかけてくる。

花咲温泉、川古温泉
(群馬県)
  尾瀬帰りに立ち寄る花咲温泉、そして
   湯治場として一軒宿を守り続ける川古温泉。
  

菅野温泉(北海道・然別)
  然別(しかりべつ)渓谷の最奥に位置する菅野温泉。
  クマも出る野趣あふれる温泉が待っている。

                
 
 

434.歩き遍路旅(23) 四万十町

2014-11-13 | 四国遍路ぶらぶら歩き

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■土佐・伊予の歩き遍路旅



4日目 10月10日(金)晴れ 須崎→四万十町 24.3キロ

6時30起床。
布団をたたんだあと、いつものように足の指にテーピングをする。小指の下、中指の先、親指の下を念入りにテープを貼る。これを怠るとマメができて大変なのです。須崎駅の引き込み線が近くにあるらしくてディーゼルエンジンの駆動音が遠慮なく部屋に入ってくる。

7時30分、ご主人に見送られて宿を出発。昨日の雨がウソのように明るい天気。快晴です。須崎駅は歩いて5分もかからなかった。駅前のちいさな喫茶店に入ると、おばあちゃんたちお年寄りでけっこう席が埋まっている。
モーニングを頼むとパン、コーヒー、サラダ、ゆで卵、味噌汁それにちいさなお茶碗に御飯。さすがに御飯は残しました。お勘定の際、おかみさんに、いつもこんなにおばあちゃん達がいるの?と訊くと、そうなのと笑ってました。

  (画像をクリツクすると拡大します)

8時10分、予讃線普通電車、窪川行きに乗車。今日は岩本寺の宿坊に泊まる予定なのだが窪川まで行ってしまうと岩本寺まで30分足らずで着いてしまう。ある程度は歩きたいと考えて下した結論は「土佐久礼駅」で下車して七子峠を越えていく約20キロのルート。

8時27分、土佐久礼駅に到着。
駅前のタクシーのおじさんに遍路道を確認し、37番岩本寺宿坊を目指してスタート。20キロを越える行程となるので気合いが入る。
四万十町へ行く道はふたつある。
ひとつは大坂谷川沿いに歩く「大坂遍路道」、そしてもうひとつは「土佐往還そえみみず遍路道」。これらふたつの道はいずれ七子峠で合流する。
そえみみず道は荒れててあかん、と萩森さんは×をつけた。たしかに事前に読んでた本にもこの道を奨めてはいない。

   

こういう選択を迫られたとき、考えるのは先ず体力の消耗度、歩行距離そして到着予想時刻の3点。
結局
、安全策を採って「大坂遍路道」を行くことにした。(後日、仙遊寺・宿坊で一緒になった森から来たお父さんも、ありゃ全然ダメ、草が伸び放題だしひどい道だった、と憤慨していたのでこの判断は正解だった)。

   

高知自動車の高架を過ぎるまで平坦な田舎道を淡々と歩く。路傍に無縁仏の墓がたっている。遍路で行き倒れになった人を弔ったものだろう。遍路道を歩いていると、こうした無縁仏の墓をよく見かける。この人がどういう思いで遍路道を辿り、終の住処としてここに眠ることになったのか・・・墓石はあまりにも小さく、そして寂しい。

  

湿ってうす暗い山道を辿ると不意に遍路休憩小屋が現れた。トイレも設置されている。しばし休憩です。
11時15分、標高300メートルの七子峠に到着。ラスト30分がきつい坂で、登り切った所が七子峠。国道56号線に合流している。
峠の展望台から振りかえると高速道路の高架が遠くに見える。ずいぶん歩いて来たもんだ。海は土佐湾だな・・・。
景色を楽しんでいると下から息を弾ませながら男性が登ってきた。この人とは今夜、宿坊で一緒になり、横浜から区切り打ちに来てるとのことだった。

   

11時半、近くの店に入り豚骨ラーメンの昼食。この後はひたすらJR予讃線に沿って国道歩きが続く。
13時20分影野駅、14時55分仁井田駅を通過。
国道歩きがいいかげん嫌になってきたとき、道端でおばあさん佇んでいる。可愛い笑顔のおばあちゃん。引き込まれるように軽く会釈をすると、お接待です、といって100円玉を差し出してきた。お接待でお金を下さるという話は本や遍路人から聞いてはいたけど、実際に頂いたのはこれが初めて。



びっくりしたが、ありがとうございます、と素直に口からでてきた自分にもびっくり。ふたつ買ったし、これおいしいから、とレジ袋からパック詰めのお菓子も取り出して渡してくれた。
礼儀作法として納め札をお渡しすると、仏壇に供えさせてもらいます、と云ってゆらゆらと歩いて行かれました。

 

16時30分、岩本寺に到着。
先ずは参拝し、宿坊の建物で手続きをする。受付のおばさんが云うには、ここの料理はぜんぶ奥さんの手作りで野菜も畑で育てているそうだ。
確かにそのとおり、18時からの夕食には美味しそうな料理が並んでいた。風呂に入り、溜まっていた洗濯をする。今晩の宿泊は夫婦遍路が3組、家族連れの4人、そして独り遍路組が昼間に会った男性ら3人。部屋はこざっぱりとした6畳の個室。まどを開けると夕焼けが町を茜色に染めている。明日もきっと好天に恵まれるだろう。朝、6時からお勤めがあるので寝坊しないように・・・。

   


433.歩き遍路旅(22) 須崎

2014-11-11 | 四国遍路ぶらぶら歩き

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■土佐・伊予の歩き遍路旅




3日目 10月9日(木) 時々雨 国民宿舎土佐→須崎 30.2キロ


7時40分宿舎を出発。曇り。昨日、教えてもらった青龍寺への遍路道に入り、うす暗い樹林の中を下っていくと20分ほどで寺の裏手に出た。
36番青龍寺。石段を登り本堂・大師堂に行くと団体遍路さんたち20人ほどが読経中だった。邪魔しないようにそっと参拝。

    

宇佐大橋を渡り終えると急にトイレへ行きたくなった。我慢して歩いていたら、お遍路さん用に「おもてなしトイレがあります」の看板発見。老人ホームのようだ。
玄関へそそくさと歩いて行くと、察してくれたのか若い男性職員が、どうぞとトイレへ案内してくれた。
大小を済ませて出ると、これ御接待です、とスナツク菓子の箱を渡してくれた。なんとまぁ、ご親切に、ありがたく頂きました(この後、お菓子は食べる機会がなく結局自宅まで持ち帰ってから食べました
)。

   

9時15分、市営巡航船待合室へ到着。実は湾内を巡行する船に乗ってみようと思い出発時刻の10時に間に合うよう急ぎ足でやってきた。
昔の遍路道はこの船道
だったらしいし、時間も短縮できるので乗るつもりでいたのだが、繋がれている船を見てあまりに小さいので少々不安な気持ちが頭よぎる。
さらにダイヤをみたら湾内をじぐざぐに寄港していくため1時間以上かかることが判明した。海上の景色も魅力的だが、結局歩くことに決定した。



入り組んだ湾内をぐるぐると歩くばかりで直線的には少しも進んでいない。
10個くらい入って一袋100円のミカンを売っている集荷場が見えた。先客のおじさんが、ここのミカンはおいしいよという。
出荷・選別をしているお母さんに10個は多いので半分だけ売ってくれるよう頼んだら、お遍路さんならお接待します、と5個ほど頂いてしまった。
催促しちゃったようで申し訳ない気分だった。しかし、このミカン、ホントに甘くて美味しかった。後で家に一箱送ってもらえば良かったなぁ、と思ったほどうまかった。
屋根の上に船をのせた奇妙な遍路小屋があった。

     

トンネルを抜け12時55分、巡航船の終点、横浪集落に到着。お腹が空いたけど食堂のような店は一軒も無い。
山崎ショップでお稲荷さんと牛乳を買って店の前のベンチでランチ。トラックが停まりドライバーのお兄さんがやってきて「これ、配送先でもらったやつですが、どうぞ
」といってミカンを2個わたしてくれた。四国運送と車にかいてあったな。ありがとう。


    

いったん海沿いの道を離れ須崎市へと入っていく。
15時40分、住友大阪セメントの工場が見えてきた。巨大なサスペンションプレヒーターとセメントキルンが唸りを上げている。
だいぶ疲れてきたし足の裏が痛くなってきた。
地元の大きなスーパー、マルナカで夕食を買う。野菜サラダ、マカロニサラダ、牛丼、金麦、司牡丹。買い物袋を下げてうす暗くなってきた須崎の町を旅館目指して歩く。

   

今夜の宿、市川旅館はJR予讃線須崎駅の近くなので線路沿いの道を行く。あと少しかなという頃、強い雨が降り出した。
面倒なのでそのまま歩き17時40分、倒れ込むように市川旅館の玄関に辿り着いた。

痩身のオヤジさんが出てきて二階の部屋に案内された。階段の電気が消えていて何となく嫌な予感が・・・。
部屋は6畳ほどで相当に年季の入った部屋だ。まず汗を流したいので風呂に入る。普通の家庭風呂。しかもかなり使い込まれている浴槽。
左小指にマメができている。洗濯してくれるというのだが乾燥機はない、とおじさん。どうも、このおじさんが宿の主人のようだ。昨日泊まったお遍路さんは部屋の扇風機でかわかしてましたよ、とはいうものの、それはちょっと無理、乾かないでしょ・・・と洗濯は遠慮することに。

明日、早めに出るので先にお勘定を済ませたいのですが、と申し出ると
「素泊まりで3500円です、前は消費税分を頂かなかったんですが8%になったら(納税が)厳しくなりそうなので、済みませんが3780円です」
と恐縮している。
この宿を選んだのは、前回の遍路で出遭った萩森さんという善根宿を提供しているおじさんが推薦していたこともある。
そのことを宿のご主人に云うと「あぁ、萩森さんねぇ、その資料送るよっていってたんだけど未だ送ってこないんだよねぇ」とのんびり。
明日の須崎駅のダイヤを相談してたら、今、もらってきますよ、といって後に時刻表を届けてくれた。ご主人、人はすごくいいんですよね。

   

今日の歩数計をみてビックリ。5万歩を越え30キロを記録していた。遍路旅で30キロを越えたのは初めて。筋肉痛を伴った大記録達成の日だった。
いつものように奥さんへ今日の行程と宿の様子を報告すると、雨風がしのげるだけでもありがたいわよ、と諭され、慰められました。

21時20分、携帯電話が鳴った。愛媛県宇和町のNさんの奥さんからだった。15日はぜひ我が家に泊まるようにとの確認とお誘いの電話だった。
どのタイミングで連絡しようかな、とおもってた矢先なので奥さんの温かい配慮に感謝です。
疲れと司牡丹の酔い心地もあってあっという間に寝入ってしまった。



 


432.歩き遍路旅(21) 宇佐

2014-11-10 | 四国遍路ぶらぶら歩き

 

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■土佐・伊予の歩き遍路旅



遍路2日目 10月8日(水) 晴れ 高知市→国民宿舎土佐 26.3キロ

6:00起床。6:32発のバスに乗るためホテルを出発。朝食は7時からなので残念だがあきらめる。
一度乗り継いで「春の役場前」に7:10着。田舎の風景が広がる。朝陽が横からさしてまぶしい。小学生が挨拶してくれる。気持ちがいいよね。
   (画像をクリックすると拡大します)
7:30に34番札所種間寺到着。すでにもう二人のお遍路さんがいる。本堂、大師堂と参拝し納経所で朱印を捺してもらい出立。遍路標識を頼りに田舎道を歩く。柿の実が赤くなっている。朝の空気は清々しくて気持ちいい。

  
4キロほど歩くと大きな川に出た。二淀川だ。広くて大きな河原だ。鮎がいそうな清流です。
コスモスが咲く土手を歩いてるとおじさんが声をかけてきた。宗教の小難しいことを話している。最初は単なる宗教好きのお説教話しかと思って立ち止まって聞いていたのだが、解説がいっこうに終わらない。こっちは先を急ぐ身、こりゃぁ切りがないとみて歩き出したら、さらにくっついてきてしゃべっている。
南無妙法蓮華経こそが真理なんです・・・というコトバをきいて、やっと正体が分かった。後日、宿毛に近い遍路休憩所にこんな張り紙がしてあった。
「最近この街道で新興宗教への勧誘をしつこく繰り返し、お遍路さんに付きまとう者がいます。無視するのが一番です」。まさにこれだったんですね。おじさん、こいつには脈がないとみたらしくやっと離れて帰って行った。


  
35番清瀧寺は小高い山腹に建つ。車道を避けて旧遍路道を登っていく。11時10分に山門に到着。眺めがいい。仁淀川からここまで歩いて来た径路が辿れる。遍路は若い人が二人のみ。急坂を登り少々疲れたのでゆっくり参拝する。

昼食は来るときに見つけたうどん屋さんに入る、昼に近かったのですごく混んでいる。天ぷらうどんの大盛りしたらすごい量で食べても食べてもなかなか減らないのでまいりました。

  
14時45分、塚地峠入り口に到着。遍路休憩所でひと息ついて登り始める。昔、この宇佐地方で作られた塩はこの峠を越えて穀物と交換される商業の道でもあり、車が発達するまでは通勤の道でもあったという。歴史ある峠道なのですね。

峠に着くとぱっと視界が広がり、宇佐湾と町が見えた。突き出た岬の先に見える白い建物、あれが今日泊まる国民宿舎だろう。宇佐大橋まで車で迎えに来てくれる約束なのでさきを急ぐ。峠からの下りは林間のなかを歩く遍路道らしい気持ちの良いルートだった。

16時に若い従業員さんが軽自動車で迎えに来てくれた。てっきりマイクロバスかなと思ったら軽費節減のため少人数の時は軽自動車を使ってるとの。国民宿舎から36番の青龍寺は近いので入り口を彼に教えてもらう。

   
部屋は3階、土佐湾が眼下に見える。ほどなくして入った露天風呂からも荒々しい景観を楽しめたし、風呂上がりにテラスで飲んだ缶ビールも最高だった。19時、食堂で夕食。中々においしい料理だった。夜、もういちど露天風呂に入る。
「今日は皆既月食なんですよね」と湯船の青年が言う。そうだ、皆既月食か、海面にうつる月光が次第に薄くなっていく。月の光があんなにも海に写るなんて知らなかったなぁ。

 

 


431.歩き遍路旅(20) 雪蹊寺

2014-11-10 | 四国遍路ぶらぶら歩き

歩き遍路の旅、秋編です。



10月7日から20日まで2週間、高知の33番雪蹊寺から愛媛県今治の59番国分寺までの歩数46万歩、歩行距離300キロの遍路旅です。
今回の旅の特徴は積極的に鉄道・バスを活用したことです。
特に旅の5日目、足摺岬の38番金剛福寺は、とさくろしお鉄道とバスを使っての大移動でした。
なんせ37番岩本寺から38番金剛福寺までは85キロもあります。まともに歩いたら私の足ではら3~4日はかかる距離です。そこで、歩きを基本としつつも時間、体力、費用を節約するため、電車・バスを使いました。

さて、今年3回目の遍路旅・秋編は雪蹊寺から始まりました。





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■土佐・伊予の歩き遍路旅





遍路1日目 10月7日(火) 晴れ 高知↔雪蹊寺 11.8キロ

 
室戸岬からの海岸を飛ぶANA(画像をクリックすると拡大します)

羽田11時40分発、13時10分高知空港着。快晴。気温25度。半袖がちょうどいい。リムジンバスに乗り「はりまや橋」で下車。長浜渡船場行きのバスに乗り替える。
渡船場には遍路2人、買い物帰りの女性3人が待っている。遍路道が海路なのはとても珍しい。しかも無料の渡し船なのです。

 
渡船に乗る

渡船場15時10分発。10分足らずで対岸に着いた。30分ほど歩いて33番雪蹊寺に到着。夏と比べてさすがに遍路姿の人が多い。最初の参拝を済ます。今日の参拝はここだけにして、明日行く34番種間寺へのバスダイヤを観光案内所に問い合わせしたところ、詳しく教えてくれた。なかなか親切な応対に感謝。

種間寺から最寄りの長浜営業所バス停へ行き、高知市内へ戻って今宵の宿、高知パレスホテルへ。ここは以前、といっても今年1月に奥さんと旅行に来たとき泊まったホテル。
この辺りは何度も来てるのでだいたいの土地勘ができている。部屋に荷物を置いてさっそく「ひろめ市場」へ行き、カツオのタタキ(塩)とビールの夕食でした。




33番雪蹊寺


430.ブログの引っ越し

2014-11-08 | 暮らし

以前にもお知らせ致しましたとおり、OCNのブログサービスが11月一杯で廃止されます。
やむを得ないので引っ越しです。
引っ越し先はOCNが推奨するgooのブログです。

新しいブログのアドレスは、


http://blog.goo.ne.jp/bunaman   です。

私としては廃止される今月一杯は今までどおりOCNで作成し、そのつどgooのページにアップしていきます。
gooのブログページは見慣れないデザインですし広告も入りますが、過去のすべての記事も引っ越しをしているで読むことが可能です

また、従来のOCNブログページにアクセスしてきた読者を来年2月28日までgooのブログに誘導いたします。

以上よろしくお願いいたします。


429.歩き遍路旅(19)最終日

2014-11-06 | 四国遍路ぶらぶら歩き

8月31日(日) 晴れ

今日で遍路旅が終わる。8月20日から昨日までの11日間で歩いた距離は240キロ、44万歩、参拝した寺は18番恩山寺~32番禅師峰寺まで15寺。写真撮影枚数1543枚。

この間、いろいろな人との出会いがあった。とりわけ香南市丸米旅館で遭ったNさんご夫婦は縁を感じる忘れられない存在となった。また遍路する若者たちが多いのに気付いたのは新発見だった。
徳島で出合った大学生3人組みを初めとして退職直後の青年や1日50キロを歩く大阪の青年、皆けっこう生き生きとしていたなぁ。お接待もいろいろな場所でいろいろなものを頂いた。ありがたいことだった。

前半は鶴林寺、太龍寺と険しい山中を歩き、薬王寺からはずっと海沿いの道が続いた。何といっても室戸岬から香南市まで炎天下の国道を歩き続けた日々が最もきつかった。
しかし、やはり遍路道を行くのは面白いし、楽しい。海、山の風景や山里の光景についうっとりしてしまうことが多かった。
マムシは怖いが山深い林道を歩くのは気持ちがいいものだ。普段のWalkingでは味わえぬ醍醐味が遍路道にはころがっている。

寺と寺をつなぐ道を自分の足で歩くところに遍路の楽しさ、面白さも意外さが潜んでるようだ。日常では20キロを歩くことは滅多にない。 しかし、遍路道はさして無理せずに歩けてしまうところに不思議さがある。目に見えぬパワーが後押ししてくれているようだ。

私の場合、供養や何かを願うための遍路ではない。健康Walkの延長線にあるといっていい。だから、白衣も時々しか着ないし和袈裟も持参していない。だけれど白衣や菅笠、金剛杖などは遍路と一目で分かるファッションというかユニフォームなので時に応じて身につけるようにしている。
さっき、供養や何かを願うための遍路ではない、と書いたが、実はひとつあった。今年4月に脳出血で倒れリハビリ中のKさんの健康回復をいつも唱えていた。もうじき転院だろうと思うが回復を願うばかりだ。
さて、7月、8月と延べ18日間の遍路旅をしてきた。徳島県の23札所を終え、高知に入ってからは9札所を終えた。しばし休んで続きを再開したい。

ところで今日は7時に朝食。毎週日曜日に開催される大規模な朝市を見てから高知城を見学。高知駅前広場で「土佐おもてなし勤労隊」6人組みの歌と踊りを見たあとリムジンバスで高知空港へ移動。16時15分JAL1490便で羽田に17時30分着。19時45分帰宅。好物のお稲荷さんをつくって奥さんが迎えてくれた。

これまで歩いた軌跡を図に落としてみた。黒線が歩いたところ、ピンクはバス・電車で移動したところ。

 

 

 


428.歩き遍路旅(18)竹林寺

2014-11-06 | 四国遍路ぶらぶら歩き






8月30日(土) 晴れ

ついに遍路の最終日となった。あとは明日の夕方JAL便で帰るだけ。
8時半ホテルを出て、今日宿泊予定のグリーンホテルへ行く。荷物を預けて高知駅に向かい、昨日の土佐一宮駅まで戻る。駅前を9時50分から歩き始める。いい天気だ。背中に荷物がないだけですごく楽。

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10時半、高知県立美術館に到着。「四国遍路展」を観る。実は明日、飛行機に乗るまで時間があるのでぜひ観ようと思っていたところだった。遍路道を行く途中に美術館があるなんて知らなかったのでなんともラッキーであった。
このへんろ展は四国霊場開創1200年記念として四国四県の連携事業。高知8月、愛媛9月、香川と徳島が10月にそれぞれ順次開催される。
高知県内には16ケ寺の札所があり、各寺で普段は見られない仏像、絵画、工芸品、仏具、文書などが展示されていた。ゆっくり見てまわったので11時20分に美術館を出た。

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高知が生んだ偉大な植物学者、牧野富太郎を記念して作られた植物園の中を遍路道が通っている。園内の土産物店でアイスクリームを買ってひと息いれる。歩き遍路さんは無料ですからどうぞ、と入園受付所で通してくれる。31番竹林寺は植物園目の前。

12時45分、竹林寺山門に到着した。今年1月、夫婦でここに参拝し、庭園をじっくりと鑑賞したことが頭に浮かぶ。ここは苔や紅葉など境内全体が静かな緑色に包まれて落ち着いた雰囲気を醸し出している。好きな寺のひとつである。納経後に庭園を鑑賞し宝物館で平安時代の仏像を観る。

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14時、竹林寺を出て禅師峰寺(ぜんしぶじ)へ向かう。樹林のなか急な石段を降り下田川にそってしばらく歩く。住宅地を抜けて石土池と呼ばれる大きなため池にでる。左に見える小山の上が禅師峰寺だ。
16時10分、32番禅師峰寺の山門に着く。本土からは土佐湾がよく見える。右には桂浜、左に目を転じると室戸岬が遠く霞んで見える。

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納経所に行くと、若い坊さんと小学生らしい娘がふざけ合っている。納経帳に押印してくれる女性(たぶん坊さんの母親)も何も注意を与えずに見てるだけ。実に不愉快。
よほど注意でもしようかと思ったが、ここが今回の遍路旅で最後のお寺なので気持ち良く終わりたい、と自重した。

寺によって対応というか応接にずいぶんと差がある。この寺のように慣れきってしまって目の前の遍路人に目が向いてない寺もある。だまっていても納経にやって来る人がいてお金を払ってくれるのだから楽な商売だ。
遍路ビジネスで生活している観光業者や寺も冷静に反省しないと「世界遺産登録」など夢のまた夢に終ってしまうに違いない。

そんなもやもやした気分を抱えながら来た道を引き返す。海沿いの道を5キロほど歩き「三里文化会館前」のバス停から高知駅行きのバスに乗る。はりやま橋で下車し、グリーンホテルへ向かった。
今日は41210歩、22.6キロ。

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427.歩き遍路旅(17)高知市

2014-11-06 | 四国遍路ぶらぶら歩き




8月29日(金) 曇りのち雨


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丸米旅館の朝食。前の席に夫婦二人と私。
歩き遍路されてるんですか、どちらからですかと奥さんが訊ねてくる。お二人はクルマ遍路の最中、今日で高知・徳島を打ち終えるのだ、という。
愛媛県卯之町にお住まいと聞いて、実は今年の1月、夫婦で卯之町を旅行し、開明小学校や廊下が100メートルもある旧宇和小学校、民具館へも行きましたと伝えると、とても親近感をいだいて下さった。
主人は農家、奥さんは福祉施設で働いている、私たちの家は明石寺さんの近くだという、遍路で卯之町の明石寺に参拝されるでしょうから、ぜひ寄って下さいと奥さんがいう。

部屋に戻って荷物整理していると奥さんがこれ美味しいですからどうぞと柑橘系の果物(名前を忘れてしまった)を下さり、家の住所と携帯番号を書いてくれた。
これがNさんとの出会いだった。
朝のわずか10分ほどの会話から人の縁が結ばれた瞬間だった(後に三回目の遍路の際、好意に甘えてNさん宅に泊めて頂き歓待してもらった)。

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8時10分丸米旅館を出発。
今日のゴールは高知市内のホテル。この間に三つのお寺を参拝する予定。ローソンでコーヒーを飲む。
9時、28番大日寺に到着。あわただしく団体客が帰ると境内に静けさが戻った。じっくり拝観すると実に本堂の屋根が美しい。納経を済ませ、もと来た石段を降りる。
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遍路標識を頼りに住宅地を抜け、畦道を歩いて物部川の橋を渡って土佐山田町へ入る。稲作地帯だ。もう刈り取りは終わっている。雨がしとしと降り続ける。
お遍路さん、この先400メートルくらい先に休憩所があるよ、とおじさんが施設に教えてくれる。11時20分、松本大師堂で休憩。たしかにトイレがあるのはありがたい。

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JR予讃線の踏切を越え国分川を渡ると29番国分寺は直ぐだった。13時に到着。
朝、Nさん夫婦からもらった柑橘を食べ、ひと息いれる。住宅地や農道、一般道など変化に富んだ道だったがそれなりに疲れは溜まる。昼食はカロリーメイトで済ます。

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雨足が強くなってきたのでゴアテックスの雨具を着る。傘は歩く邪魔になるので使わない。辺鄙な場所なのに高知大学医学部の立派な建物が建っている。遍路道はその傍らを抜け再び山間に入っていく。

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15時半、遍路小屋に到着。先客がひとりいる。さっき、コンニチは!と元気に声をかけて追い抜いていった若者だ。菅傘をかぶり金剛杖を持っている。
野宿遍路をしていて今日は夜須の善根宿から来たと言うので、それって萩森さんのとこ?と訊くと、そうだという。私がもらった資料を彼も持っている。

「あそこは電気がないんで夜は暗いです。ちょっと汚れてるかなぁ、でも助かりましたよ、この萩森さんの資料は野宿者たちはたいてい持ってますよね」という。
「東京の八王子からです。仕事を辞めて時間があるんで歩き遍路に来ました」
「じゃぁ遍路は次のステップまでの準備だね」

「そうだといいんですが・・・萩森さんが云ってた会社のやっている善根宿ってこの上ですよねぇ」
「そうみたいだね、参考までに私も見せてもらおうかな」

ということで遍路小屋のすぐ上にある会社事務所を二人で訪ねることにした。

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出てきた女子職員は実に親切に応対してくれた。
ここが宿泊施設です、ベッドがあります、こっちにはお湯はでないけどシャワーがあるし洗濯もどうぞ、いつ出発してもOKです・・・と実におおらか。
青年は一発で気に入った様子。ホテルをキャンセルして一緒にここで泊まりませんかと誘ってくれた。

15時40分、二人で並んだ記念写真を女子社員さんに撮ってもらい私は善楽寺へと再出発。逢坂峠を越えて約1時間、30番善楽寺に到着。
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ここからJR予讃線の「土佐一宮(とさいっく)駅」に行って高知駅へ。
10分ほどで今日の宿、「スーパーホテル」に着く。荷物をおいて先ずは名所、ひろめ市場へ直行。ビール&カツオたたき定食。塩で食べるカツオがまた美味いのだ。
今日は45060歩、24.7キロ。

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426.歩き遍路旅(16)香南市

2014-11-05 | 四国遍路ぶらぶら歩き

8月28日(木) うす曇り

久々にパン&coffeeの朝食。やはりホテルのコーヒーはおいしい。7時45分出発。
今日もまた国道55号線だ。車の往来が激しいので騒音と排気ガスが悩ましい。安芸市では海岸に沿って自転車道の整備が進んでいる。
鉄道の跡地を再利用した道だが、国道を離れ、海を眺め砂浜や松林の中を楽しみながら歩ける快適ロードである。

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10時過ぎ、小高い丘に建つ赤野休憩所に到着。ここからの眺めがいい。雄大で広大な琴ヶ浜が一望できる。国道、自転車道、とさくろしお鉄道の3本が海岸線に平行して走っている。
自転車道を歩いてると接待所が見えてきた。のぞいてみると等身大の人形が迎えている。けれど他に誰もいない。
遍路地図を開けてみると栗山暎子さんという方がやっているようだ。お茶を一杯いただいて失礼する。

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11時40分、琴ヶ浜かっぱ市の店内でチラシ寿司を買ってランチにする。自転車道に戻り、しばらく歩いてると、鉄道高架下に善根宿とかいてあるコンテナハウスを発見。
もの珍しさで眺めていたら、後ろからバイクでやってきたおじさんに呼び止められた。このひと、萩森さんという。知る人ぞ知る人らしい。

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わしが遍路宿の情報、いいこと教えてやるからと言ってコンテナ宿から2枚の資料を取り出してきた。
そこには細かい文字で四国88ケ所の善根宿、通夜堂、野宿場所などの情報が書かれている。野宿遍路する人にはとても貴重な情報源となってるらしい。
たいていの野宿遍路人がこの資料をもってますねぇ、と後で知り合うことになる青年が言っていた。
とにかくこの人、萩森さん教え魔だ。私の買ったばかりの遍路地図をひったくるようにして手にとると、この道は荒れてるからこっちへ行け、この宿はひどいから止めとけ、安く泊まるならこの宿がいい・・・とか、鉛筆で×とか○をつけたり、こちらの都合も考えずにやたら書き込んでいく。もうしょうがない、とことん書き込んでもらった。
13時30分 丘から浜に向かって突き出すように建つレストランで一息いれる。遠くに室戸岬が見える。懐かしい。

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15時40分「道の駅夜須」。ここで1時間ほど休憩。香南市に入り赤岡の町が見えてきた。ふと、6年前に「絵金蔵(えきんぐら)」を訪ねたことを想い出し、にわかに再訪することにした。
16時45分、閉館15分前だったが入れた。江戸時代の絵師金蔵、略して絵金が描いた極彩色の屏風絵。血塗られた修羅を泥絵の具で描いた芝居絵は、どれも見る者の心をわしづかみにする。おどろおどろした恐ろしい絵を提灯の灯りで薄暗い展示室を見て歩く仕掛けなのだが今回はパスして大急ぎで見てまわった。何度見ても迫力のある絵だ。

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短時間ではあったが満足して絵金蔵を後にした。17時40分、うどん屋さんで夕食。今宵の宿は香南市内の「丸米旅館」。まさかこの旅館で運命的な出会いがあるとは未だ知るよしもない。
46460歩、25.5キロ。