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温泉めぐり紀行

メタセコイア並木(滋賀県 2025年5月)

826.温泉三昧

2019-08-28 | 旅の空

   

さて今日は秋田の名湯をとことん味わう一日になる。

■大深温泉

その第一号は八幡平の大深温泉。
宿泊施設は無く夏から秋まで限定の湯治専門の温泉である。
源泉かけ流し湯には誰もいない。薄く白濁した湯がじんわりと体に浸み込んでくる。
この施設はお医者さんがオーナーだとか。

湯治棟はふたつ。通路の両側が寝泊まりするスペース。
ござが敷いてあるだけのシンプルなオンドル小屋だ。
今となっては湯治場の原風景ともいうべきだろう。
この日は、おばさん、おじさんふたりがそれぞれ別棟に逗留していた。

ここは常連さんが多いでしょうね、と管理人さんに訊くと

「そう、いつまで開けてられるかねぇ、
 常連さんも、あれ今年も大丈夫だったねなんて云うくらいだからね」

五年以内には姿を消す温泉かもしれないなぁと思いながら山道を戻り、
蒸けの湯が眼下にみえる峠の休憩小屋でコーヒーを淹れる。
大深温泉で汲んだフレッシュな湧き水で淹れたコーヒーはさすがにうまい。
むかし蒸ノ湯は湯治棟がたくさんあって大いににぎわった。そのころ漫画家のつげ義春がここを訪ね、湯治場で目にした父娘の様子を書いている。


湯治棟は二棟   手前の岩盤から熱湯が湧き出している

源泉が流れ込む


   地熱の上に建つ湯治棟   もうこの光景が見られなくなるかも

 

■玉川温泉


云わずと知れた超有名な温泉である。
北投石からでる微量の放射線がガンに効くとか。ワラをもつかむ思いで全国から人が集まる。
暑い太陽が照り付けるこの日も、思い思いの場所にゴザを敷しいて横になってる人を見かけた。

 玉川温泉は強酸性が特徴。
何倍にも薄めた湯でもチンチンの先っぽがピリピリして痛かった記憶がある。
それもあったりして今回は敷地内の自然探索路の散歩だけにした。
辺りには硫化水素臭が漂い、露出した岩から蒸気が立ち上っている。噴口に硫黄が析出しガス濃度の高さが伺える。

岩盤テントが三棟建っている。現代医学に、そして医者に見放された人たちがここでじっと横になり自然治癒を期待する。ガン治療の駆け込み寺、玉川温泉はそういう場所なのだ。
すこし痛ましい気分を引きずりながら探索路を歩く。



岩盤テント 真ん中のテントは硫化水素濃度が高いため使用中止だった

 黄色いのは硫黄

源泉から立ち上る蒸気も効能があるらしい


■鶴の湯

人気の温泉である。
なかなか予約のとれない宿のひとつだろう。
露天風呂は乳白色の温泉で満たされている。
そっと首までつかると思わず、う~む と声が出る。
湯の底は砂利。足元からふつふつと温泉が湧いている。

日帰り客が入れる湯は3か所。
注意が必要なのがアブ。とにかくしつこく付きまとうので追い払うしかない。
むかしタイミングよく予約が取れてここに温泉仲間と泊まったことがあった。
囲炉裏を囲んで夕食に出された宿の名物料理、「山の芋鍋」はたしかにおいしかった記憶がある。

ここへ来るまでの山道の両側にはブナの二次林が広がっている。
伐採されたあと種子が成長し自然林として更新したのが二次林。八甲田山麓、安比高原そして乳頭温泉郷でみることができる。新潟県松之山にも美人林の名で有名な二次林がある。乳頭温泉郷のブナたちは幹が細いから樹齢は50年くらいか。

そういえば森吉山麓の桃胴滝コースでブナの樹をたくさん見て来た。
その樹元には5センチほどに成長したブナの一年生が群生していた。
動物による食害、雪など自然災害、成長すれば日光の争奪戦など、彼らには、これから先、何百年にもわたって生き残りをかけた戦が待っている。

さて、次は黒湯へ向かおう。いったん分岐点までもどらねば・・。

左の建物は宿泊棟 

 内湯も同じ泉質で白濁

 ブナの一年生

■黒 湯

夕方の時間帯だったせいか入浴客は私ひとり。
ここで大失敗。タオルを車に忘れてきてしまった。
湯疲れしちゃったんじゃないかな。
だけどもう脱いじゃったからしょうがない。入ろう入ろう。
ここは内湯と露天の二種類。

渓流を眺めながら露天風呂を味わう。夕暮れ間近の乳頭温泉郷。
タオルがないので湯船の縁に寝そべって自然に乾くのを待つことにする。
夕方の涼しい風が手助けしてくれる。
外へ出てみると黒湯には湯治部もあるようだ。
あともうひとつ日帰り入浴で入れる露天風呂もあるのだがパス。

 




 
露天風呂





■道の駅ぽぽろっこ


黒湯の駐車場にもどるとブナの森から蝉しぐれが・・・。
さて今宵の宿は日本海側方面の道の駅をめざすことにする。
すぐに思い出すのは象潟のねむの丘なのだがとりあえず出発しよう。

田沢湖、角館を経て国道105号線へ。山間を走るローカルな道路だ。   
由利本荘市に入ったとき道の駅を発見。はーとぽーとぽぽろっこと書いてある。
初めての場所だが、開拓もしなくちゃいけないので、ここに泊ることに決めた。
時刻は夜の9時。

レストラン、宿泊施設、温泉施設もある。
とりあえず温泉で汗を流そうとおもって料金を払い、館内を進むとコインランドリーを発見。
そうだ洗濯しなくちゃ。Uターンして車から洗濯物を引っ張り出してくる。入ってる間に洗って乾燥もできるだろう。

今日は名湯、秘湯の本物の温泉はしごのいち日だった。
湯にあたったわけではないだろうが、この夜、クルマの中が蒸し暑くて何度も起きた。
エアコンをかけたりしたが、ついには窓を全開にして寝てしまった。
今回の旅で唯一寝苦しかった車中泊であった。