判るよ、オマエの気持ち…そりゃ頭にくるわな。春先になってチョロチョロ庭に出てきてご機嫌とろうったって遅いっつうのよ。化粧するんも時間がかかるんだしさ。そういや暮れから白い粉みたいな虫にたかられてたっけ。あれって確かカイガラムシってんだろ。栄養吸われちゃってさ。そうじゃなくても肥料なんてとんとご無沙汰で身も細ってるってのに。アノヤロ、あわてて古歯ブラシなんか持ち出してゴシゴシこすってやがる。あれじゃ皮擦り剝けて痛えだろ?可愛そうに…
ったく、何考えてんだろうね、アイツ
俺だってここ半年ってものは碌なもの食わせてもらってねえのよ。アノヤロ、店から帰ってきてからビール飲むだろ。店のビールをさ。売れねえもんだから毎晩自家消費よ。カミサンにカクテル作って二人で一杯飲るのが習慣になっちまいやがって。ま、そりゃいいんだけどさ。
それから寝るのが1時って訳さ。当然朝は遅くなるわな。で、俺の朝食時間になっても起きねえもんだから、ヤロの頭ふんずけてガオガオ言うのよ。そしたらヤロウ、事もあろうに寝室のドア閉めやがって、俺をベッドに入れねえのよ。な、アッタマくるだろ。そういう奴なんよ、アイツは。
見てくれよ、これ、最近のオレ。ゴハントレーの前に正座して、モショモショ顔でゴア~~ンって・・・そんでもアノヤロ無視しやがるのよ、
許せ~~~ん
で、待ったあげくに出されるゴハンときたしにゃ来る日も来る日もカインズで買った缶詰とかパックの猫飯ばっかでよ。しかも15歳以上の高齢猫用だぜ。食えるかっての、こんなの。たまにゃお銚子付きの生鰹の刺身かなんか出したらどうなんだ。
しょうがねえから別宅行くのよ。そう、はす前のお家。でね、ゴア~~ン、ゴア~~ン、って情けない声出して泣くのよ。そうすっとさ、
「おや、ジロチャン、お腹減ってるのね、そう、何も食べさせてもらえないのね。可愛そうに…今すぐ美味しいもの用意するからね、おォ。ヨシヨシ」
な、ちょろいもんよ。
その点なんだなぁ、お前さんは動けないから辛いよなぁ、出テク!って家出するわけいかないしな。こうなりゃ不貞くされて花なんか咲かさなきゃいいんだよ。ヤロウ、オープンガーデンで恥掻くからさ。ふ、見ものだぜ。