東芝は、大幅な赤字となっている半導体部門の事業構造改革に着手する。
生産効率の低い旧式のラインを全国で6カ所程度閉鎖・縮小して、2010年3月期に約1000億円の固定費を削減する。同社は、主力製品の1つであるシステムLSI事業を分社する方針を1月に発表。
他社との経営統合を模索してきたが、分社を見送りコスト削減を優先する。
●余剰ライン閉鎖
閉鎖する生産ラインは、シリコンウエハーの直径が150mm以下と小さく、生産効率の低い設備が対象。生産能力が余剰になっているシステムLSIのエ場を中心に、設備の売却や廃棄を進める。
具体的には、北九州エ場にある2つのラインを閉鎖するほか、生産子会社の岩手東芝エレクトロニクスでは150mmの生産能力を半分に減らす。
東芝全体では、システムLSIで150mm以下の能力を3割削減する。
設備廃棄などに伴うリストラ費用は300億円程度を見込む。各拠点では期間従業員を減らし、正社員の一部は原子力など半導体以外の部門に配置転換することも検討する。
●開発期間を短縮
横浜市にある研究開発センターからは、製品開発に携わる技術者を生産拠点に移す。
写真などのデータを保存するフラッシュメモリーを生産する四日市エ場や、300mmウエハーに対応する最先端設備があるシステムLSIの大分工場にそれぞれ技術者数十人を配置する。
開発から製品化までの期間を短縮するのが狙い。東芝の半導体部門はメモリーやシステムLSIの価格下落などで09年3月期に約2800億円の営業赤字となった。
全体の連結営業損益も2500億円の赤字に転落し、半導体部門の収益改善が急務となっている。
【記事引用】 「日本経済新聞/2009年6月12日(土)/9面」