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SMD、高密度実装へ小型化進む 鉛フリー実装の信頼性確保が課題

2010-06-13 | 電子部品業界



 各種SMDは、携帯電話、パソコンなどの情報通信、薄型テレビやデジカメなどのデジタル家電、さらにエコカーなどの新製品のデザイン・インが進展していることを背景に、高密度実装化に対応した新製品開発が活発化している。

 高密度化に対応して、小型化にともなう鉛フリーはんだ付けでの信頼性の確保が重要な課題となる。


●小型化進展

 積層セラミックコンデンサは、チップ抵抗器と同様に1005サイズから0603サイズ、さらには0402サイズへと小型化が進展している。

 低ESL、低ESRのコンデンサとしてLW逆転(長辺電極)タイプ、部品内蔵基板向けの超薄型タイプ、3端子型コンデンサなどが注目される。

 一方では、2および4素子構成によるノイズ対策向けの小型アレイタイプも複数ラインの一括ノイズ対策として用途が広がっている。

 タンタルコンデンサは、端子構造を工夫した下面電極タイプでの品揃えが進展している。ケース内部の素子収納面積を大きく取れる内部構造とした。

 端子にリードフレームを使用する従来構造とは異なり、端子にプリント配線板を使用する基板端子構造とすることで、タンタルの体積効率を大幅に高めることが可能にした製品も開発された。

 導電性高分子アルミ固体電解コンデンサや、電解液を使用したアルミ電解コンデンサでは、小型、大容量、長寿命化、低ESR化などの動きが活発化。

 カーエレクトロニクス用途には、耐熱性や耐振動性を高めた高信頼性製品の品揃えが進む。ECU用には、耐久試験後のESRを規定したチップタイプの開発が進展している。

 チップ抵抗器は、小型化として0603サイズ、0402サイズの採用が広がっている。

 特に0402サイズは寸法安定性に優れており、高精度実装、高信頼性はんだ付けが可能になり、小型、高機能化するモジュールの分野で採用が進んできた。


●高付加価値化の動きも

 高付加価値化の動きでは、電流検出用途に向けた低抵抗チップ抵抗器はモーター回路や電源回路での採用が活発化し、需要が増加基調にある。

 特にハイパワー化と低抵抗値および高精度化を同時に実現した金属板をエレメントにした金属板タイプが市場裾野を拡大している。

 このほか、
 ・硫化に強く硫化発生による抵抗値断線を防ぐことができる耐硫化型チップ抵抗器
 ・長辺電極化で従来のチップ抵抗器に比べ、はんだ接合信頼性が大きく向上し、熱衝撃に対して強い接合強度を有し、
  高電力化を可能にした高電力チップ抵抗器
 ・二股のチップ抵抗器に比べ、耐サージ特性に優れる耐サージチップ抵抗器

 など、相次いで開発の新製品が各種電子機器での採用が進む。特に、耐硫化チップは高い信頼性が要求される自動車での採用が期待されている。

 インダクタは、高周波インダクタとして0603サイズ品の採用が進展している。携帯電話や無線LAN、ブルートゥースなどのRF回路向けに高周波チップインダクタとして使用されるもの。

 積層タイプが主力だが、薄膜タイプも0603サイズ以下へと小型化している。また、巻線型高周波インダクタは高Qを特徴としており、小型化の点では1005サイズまで実現した。

 携帯機器における電源用の小型、低背のパワーインダクタは、一般的に巻線インダクタが使用されているが、携帯機器では定格電流1A以下、インダクタの厚みが1mm内外のものが求められている。

 そのため、積層技術を応用した積層チップパワーインダクタの採用も活発化してきた。

 CPUを駆動する電源向けの小型、大電流対応のチョークコイルは、従来からのフェライトコアを使用した製品に加えて、CPU高周波、高速化にともない小型、低背化とともに大電流対応が強く求められるようになってきた。

 そのため、メタル系コアを使用した製品の品揃えが充実しており、太陽光発電用パワーコンディショナ、エコカーなど、インバータの用途が拡大している。


●小型化に弾み

 BPFとして利用される積層誘電体フィルターは、2×1.25mmサイズ程度まで小型化。BPFにバランの機能を付加した高機能型の積層バランスフィルターも小型化に弾みがついている。

 SMD型水晶デバイスも環境保全を配慮しながら小型化技術が進展している。サイズ別の生産規模は最も多いのが3.2×2.5mmサイズ。5×3.2mmサイズ、2.5×2mmサイズと続く。

 高密度実装化を推進するために、需要は小型パッケージにシフト。産業用水晶発振器、クロック用水晶発振器を中心に2.5×2mmサイズが急速に生産規模を拡大している。

 また、産業用水晶振動子と民生用水晶振動子の場合は、すでに2×1.6mmサイズの生産が本格化している。

 水晶デバイスメーカーではすでに水晶発振器では2×1.6mmサイズ、水晶振動子では1.6×1.2mmサイズを開発済み。水晶デバイスのSMD型は今後さらに小型化が進展する見通し。

 電子回路の安全、信頼性確保に必要な電子部品がサーミスタ、バリスタ、サージアブソーバなどである。いずれもチップタイプの小型化技術が進展している。

 小型化技術としては、サーミスタ、バリスタともにすでに0402サイズ品が開発されており、今後需要の小型化シフトの動きに並行して生産規模が拡大するものと見られる。

 環境保全とともに省エネ対応なども同時に実現できる電子部品の登場が求められている。その中で、電気2重層キャパシタが注目されるようになってきた。

 同キャパシタは環境負荷物質を含有しておらず、蓄電、回生用途に向けて新製品開発が進腱している。

 すでに同キャパシタはUPS、複合機、電動アシスト自転車などへの搭載が始まっているほか、建設設備などの産業分野での採用が広がっている。


●太陽光発電との組み合わせも

 また、太陽光発電などとの組み合わせなどのアプリケーションも出現してきた。

 ただ、定格電圧が小さいことから高電圧化するためには多くのキャパシタを使ってモジュール化する必要がある。そのため、設置スペースが広くなったり、コストが上昇するといった課題が残されている。

 今後、小型、大容量化とともに特に高電圧化に向けての開発が強く望まれている。また、高電圧化、大容量化を推進するためにモジュール化の設計も最適化してきた。





【記事引用】 「電波新聞/2010年6月4日(金)/7面


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