犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国便り~伝統市場巡り

2013-04-29 23:42:59 | 韓国便り(帰任以後)

 ソウルには、以前よりソウル・シティーツアーというバスがあります。東京のハトバスのようなもんですね。そこへ、今年になって加わったのが、伝統市場コース。

 これまで、ソウルに観光に来る知り合いに勧めることは多かったのですが、自分では利用する機会がありませんでした。最終日、馬場で焼き肉でも食べにいこうか、と思っていたので、このバスを使ってみることにしました。

 ソウルにある代表的な市場を一周約2時間で回るバス。主な市場は、東大門市場を皮切りに、パンサン(芳山)市場、中部市場、南大門市場、カンジャン(広蔵)市場、ピョンファ(平和)市場、トッケビ市場、キョンドン(京東)市場、マジャン(馬場)畜産市場など。

 バスは約30分間隔で運行していて、一日乗り降り自由。普通のバスは一回1000ウォンちょっと。シティー・ツアーは12000ウォンですから、割安かどうかというと微妙ですが、観光客にとっては分かりやすくて便利でしょう。

 ソウルの路線バスは複雑で、観光客が乗りこなすのは無理。ソウル市民も、自分がふだん使うバス以外はよく知りません。今回、観光案内所でバス路線図をもらおうと思ったら、「そういうものはありません。ソウルはバスが多すぎるので」という返事。10年ぐらい前までは、「バス路線図」という小冊子がありました。今は、ネットも発達したので廃止されたようです。

 伝統市場コースのバスは3車両あって、すべて二階建てバス。そのうち一台は、二階部分がオープンになっており、これも売り物。

 9時半に東大門を出発し、私たちが最初に降りたのが南大門です。南大門市場の内部は妻のほうがくわしい。

「市場の人が食べる食堂があるのよ」

 大通りから入った路地に食堂街がありました。アジュンマが客引きをしています。どの店にしようか迷っていると

「どこに入ってもメニューは全部同じだよ。こっちに入りなさいよ」

 なんという客引きの仕方なんでしょうか。うちがいちばんおいしいよ、ではなく、どこ入っても同じだからうちにしろ、と。

 韓国は、同じものを売っている店が密集していることが多い。南大門の地下のメガネ屋さん街とか、ヨンサンの電気屋街、ちょっと離れたイチョン(利川)の陶磁器の店。どこでも同じことを感じたのですが、たくさんある店の品揃えはほとんど同じで値段も似たりよったり。店の特徴というものがありません。

 結局、客引きをしていない店に入って、私はカルビタンを、妻はスントゥブチゲを頼みました。味は、可もなく不可もなく、韓国での標準的なもの。ただ、日本の韓国料理屋にはあまりないかもしれません。

 南大門で娘たちへのおみやげに安物のアクセサリーを買ったあと、いくつかの市場を素通りして馬場畜産市場に行きました。血なまぐさい畜産市場を一回りして、隣接した焼き肉屋街に行きました。ただ、まだお腹が空いていない。

「私、牛肉よりも豚のサムギョプサル(三枚肉)が食べたいのよね」

「ここは牛肉しかないよ」

 それで見物は30分で切り上げて、バス停で次のバスを待っていると、やってきたのはオープンカー。早速、二階に上がってみました。中国人の団体さんが数人いるだけ。朝の最低気温は5度ぐらいでしたが、日中には17度まで上がり、オープンエアで風に吹かれるのは少し肌寒いけれどもすがすがしい。天気もよく、高い場所からソウルの街並みを眺めるのは快適です。

 ターミナルの東大門ドゥサン(斗山)タワー前で降りました。昔、ここには野球場があって、地下鉄駅も東大門運動場という名前でしたが、野球場は廃止され駅名も東大門歴史文化公園に名前が変わった。野球場の跡地には、「デザインプラザ」とやらが建築中で、曲面で構成された斬新な建物が建ちつつあります。

 トイレに行きがてら東大門のファッションビル、ミリオレを一回り。時間は午後二時を回ったところ。荷物をあずけてあるホテルに戻って、その近辺で遅めの昼食をとることにしました。

 ホテル周辺には狭い路地に食堂街があって、一通りのものが揃っている。サムゲタン、焼き肉屋、フェッチプ(魚屋)、チュオタン(ドジョウ汁)、クルクッパッ(牡蠣汁ご飯)…。

 サムゲタンにも惹かれましたが、結局、今回まだ食べていないサムギョプサルの店に。

 わりと小ぎれいな店は、時間が中途半端だったのでお客さんはほとんどいない。お店の人が一角で遅めの昼食をとっていました。ランチメニューではなく、サムギョプサルを注文。燻製サムギョプサルと普通のサムギョプサルがあって、一人前ずつ注文しました。

「本当はだめなんだけど、特別にサービスしてあげる」

とアジュンマ。肉料理はどこの店も二人前から。なぜ一人前じゃだめなのか、いまだに理由がわかりません。

 サムギョプサルにしては珍しく炭火なのが嬉しい。肉を切ってくれるのは年配のアジョシ。ご丁寧に切ったあとも、すべての肉片に火が通るように肉を一つ一つひっくりかえしてくれます。その手つきにぎこちなさが伴うところから見ると、最近、このお店を始めたのかもしれません。

 最後は、初日に食べ損ねていたムッレンミョン(冷麺)でしめました。燻製サムギョプサルもなかなかおいしく、ソウル最後の食事は満足できるものでした。


コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 韓国便り~広蔵市場探検 | トップ | 靖国問題 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Google Map (スンドゥブ)
2013-04-30 10:08:40
本帰国後に一度も行ってませんが、代わりにGoogle Map でマジャンドンを散歩しました。ついでに赤塚先生の店近くも散策しましたが、細い道まで網羅されていてビックリしました。
返信する
私娼街 (犬鍋)
2013-05-04 09:39:31
赤塚先生の店の近くの私娼街(清涼里)も、再開発で取り壊されたんでしょうか。

竜山(ヨンサン)のほうは、更地になっているのを、一年ぐらい前に確認しました。
返信する
Google Map (スンドゥブ)
2013-05-05 07:53:25
地図には、まだ当時とあまり変わらぬ写真が載っています。2009年現在だそうですので、もう変わっているのかもしれません。
お時間があったら、ちょっと散歩してみて下さい。
英文で駅名を入れて検索すると近所に出れますので、あとは人間の形をしたアイコンを地図上に引っ張ってくると、街並みの写真を見ることができます。
https://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&tab=wl
返信する
すごいですね (犬鍋)
2013-05-06 21:26:26
この膨大な映像をどうやって撮ってるのか…
返信する

コメントを投稿

韓国便り(帰任以後)」カテゴリの最新記事