写真:鮟鱇(あんこう)と饅鰻(ぬたうなぎ)
二日目の夕食は会社の会食はなく、フリーでした。
「さて、何を食べましょうか」
「犬鍋さんがくわしいから、お任せします」
同行の3人(日本人2人、韓国人1人)から、一任されました。
以前、気に入っていた「カンジャンケジャン(蟹の醤油漬け)無限リフィル(食べ放題)」の店(リンク)が、コロナ禍で店を閉めたのは残念でした。
二日目の夕食は会社の会食はなく、フリーでした。
「さて、何を食べましょうか」
「犬鍋さんがくわしいから、お任せします」
同行の3人(日本人2人、韓国人1人)から、一任されました。
以前、気に入っていた「カンジャンケジャン(蟹の醤油漬け)無限リフィル(食べ放題)」の店(リンク)が、コロナ禍で店を閉めたのは残念でした。
三角地(サムガクチ)の峯山(ボンサン)チプ(チャドルパギの店、リンク)は、大統領府が近くに移転したので、どうなっているかわからない。馬場洞(マジャンドン、カルビの店、リンク)や加里峰洞(カリボンドン、朝鮮族集住地、リンク)は遠い。
「アグチムにしましょう」
「アグチム?」
「あんこう(鮟鱇)料理です。蒸したあんこうを、もやしなんかと炒めたものです」
「あんこうというと、日本では鍋ですね」
「ホヤ(海鞘)も入ってます」
「ホヤ?」
「日本でも食べますよね、刺身とか」
「ぼくはあまり食べないです」
アグチムの店が多いのは、ナグォンサンガ(楽園商街)。明洞から歩いて10分ほどの距離です。
韓国によくあるのが、同じ通りに、同じ系統の店がずらりと並んでいる一画。楽園商街のアグチム屋さんも、10軒以上の店が狭い一画に集中しています。
「どの店がいいんですかね」
「どこでも同じです。味はまったく変わりません(キッパリ)」
混み過ぎず、空き過ぎてもいない店に入りました。
「アグチムですね。4人なら「大」がいいです」
「いえ、「中」にしてください。ほかにも頼むので」
(といっても、この店にはアグチムしかないが…)
価格は、
大 70,000ウォン
中 60,000ウォン
小 45,000ウォン
大と中は1万ウォンしか変わらない。「大」でもよかったかもしれません。
(ん? あれは?)
冷蔵庫に見慣れない酒がありました。
ファヨというラベルが見えます。
「最近出た焼酎です」
「昨日、セロというのを飲んだけど…」
「それとは違います。ちょっと度数が高いです」
「ファヨってどういう意味?」
「さあ、火曜日の火曜かな?」
「今日は水曜日だけど」
注文してみると、瓶には、「蒸留焼酎火堯」という漢字表記がありました。
火堯、漢字がわかっても、意味はわからない。
(中国の古代の王様に「堯」という人がいたっけな)
アルコール度数は25度。今、チャミスルなどは16度ぐらいですから、かなり強い焼酎です(30年前の眞露は25度でしたが)。また、チャミスルには原料名がない(たぶん雑穀なんでしょう)のに、この焼酎には「米」と明記されています。
飲んでみて驚きました。ちゃんとした焼酎の香がする!
さらに、今回の出張で初めて出会うビールもありました。
Kelly
メーカーはハイト眞露。
こちらも今年になって発売されたもの。そばのポスターには、「ラガーのパンジョン」とあります。
「パンジョンって?」
「反転かな?」
「反転攻勢の略?」
先ほどの「火曜」の件があるので、余り信用はできません。
そしてビールの味は、こちらもすばらしい。日本ビールと遜色のない、ちゃんとしたビールです。
そして、メインのアグチム。
「中」ながら、大きなさらにドバっと出てきました。
「かなり辛いから、気を付けて」
あんこうを蒸したものと、ほやと、もやし、ミナリ(せり)、そして大量のニンニクがいっしょに炒められています。とろみがあるのは、片栗粉か。
「これがほやですね?」
「はい、嚙み潰して中の磯の香りを味わったら、殻は出してください」
「うーん、ぼくはちょっと苦手かも」
ビールも焼酎もおいしいので、ソメク(焼酎とビールを混ぜた混合酒)にするのはもったいない。
辛さでハーハー言いながら、食べかつ飲みます。
おおかたアンコウがなくなった時点で、シメに入ります。
「ふつう、この余ったタレにご飯をぶち込んで、ポックンパプ(炒めご飯)にしてもらうんです」
かなりお腹もいっぱいになったので、一膳分だけポックンパプを作ってもらいました。
これで、お酒も含めて12万ウォン。一人3000円ちょっとです。
「ホテルまでの道、わかりますか?」
「大丈夫です」
ここで韓国人職員が帰りました。
われわれ日本人三人は、ホテルまで、タプコル公園とか、仁寺洞とかを歩きました。観光ガイドの気分です。
「ここに安いマッコルリの店があったんだけど…」
歴史ある瓦斯燈(ワサドン、リンク)も、コロナで店を閉めたようでした。
「あ、ここ、空いてる」
移転前の事務所の向かいにあったコムチャンオの店は、退勤時間帯はいつも行列ができていました。私はコムチャンオが好きなのですが、新村に行きつけの店があったので、この事務所近くの店には入ったことがありませんでした。
10時過ぎでピークを過ぎていたのでしょう。行列はありませんでした。
「コムチャンオで軽く飲んで帰りませんか」
「コムチャンオ?」
チャンオ(長魚)はウナギの韓国語。コムチャンオはウナギに似ていますが、別の生き物です。日本語ではヌタウナギ(饅鰻、沼田鰻)という名前がありますが、日本人は食べない。
ウナギには背骨があるけれど、ヌタウナギはない。ヤツメウナギと近縁だということです。
狭い店内にはドラム缶式のテーブルが並んでいて、私たちが席に着くと、テーブルの真ん中に炭火が置かれます。
「ヤンニョムクイ(タレ焼き)とソグムクイ(塩焼き)を1人前ずつ、それにビールとチャミスル」
「ウナギよりコリコリしてますね」
「なかなかいけます」
鮟鱇(あんこう)、海鞘(ほや)、饅鰻(ぬたうなぎ)と、ゲテモノっぽいものばかり連れ歩きましたが、好評だったのは幸いでした。
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