犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

韓国便り~朝鮮族とのマンナム

2023-10-20 22:30:55 | 韓国便り(帰任以後)
写真:マンナム(出会い)を歌うノ・サヨン

 帰国の日、同行の日本人二人は関空へ、私は成田へ一人旅。

 機内で、隣の女性がトランクの収納に手間取っていたので、手を貸しました。

「韓国の方ですか」(韓国語)

「いえ日本人です」(韓国語)

「韓国語を使ったので韓国人かと思いました。お上手ですね」(日本語)

「いえ、そちらこそ日本語がお上手です」(日本語)

 それがきっかけで、しばらくおしゃべりをしました。

「私は朝鮮族なんです。延吉(ヨンギル、中国東北地方の都市)から直行便がないので、ソウルで乗り換えたんです」

 もう一人の年配の女性が連れだと思ったら、たまたま延吉の空港で知り合い、日本にいる娘に会いに行くのだが、日本語ができないので心配だという話を聞いて、いろいろと手助けしているんだとか。親切な方です。

「私は仕事で韓国に11年住んでいたんです」

「ああ、それで韓国語ができるんですね。私は高校を卒業して日本に行き、それ以来日本に住んでいます。もう中国より日本での生活が長くなりました」

 日本の大学を出て、日本企業に就職し、日本人の男性と結婚して、今は小学校5年生になる息子さんがいるそうです。

「じゃ、息子さんは、日本語、韓国語、中国語のトライリンガルですね」

「いえ、息子には日本語しか教えていません。まず、母国語をしっかり身に着けるのが大切だと思うので」


 もしかしたら、自分が受けた教育に対する反省に立った考え方かもしれません。

「延吉の学校では、授業は何語だったのですか」

「私の時は、朝鮮語(チョソンマル)でした。延吉がある延辺(ヨンビョン)は自治州なので、学校教育は朝鮮語で行われていました。週に何時間か、中国語を習うんです」


「私の時は」ということは、今は違うのかも。吉林省延辺朝鮮族自治州には、最近漢族の人々が大量に流入し、逆に朝鮮族の人々も、上海などもっと発展した地域に移動する人が増えていると聞きます。中国語で授業を行う学校も多いのかもしれません。

「私は朝鮮族の料理、特に羊の串焼きが好きで、ときどき食べに行くんですよ」

「朝鮮族の料理なら、上野の千里香がおいしいです」

「千里香! 僕は新大久保や池袋の千里香に行ったことがあります。池袋の千里香は、上野と同じ系列だそうですね」

「経営者が姉妹なんです。でも、上野のほうがおいしいと聞いたことがあります」


「こんど、行ってみます!」

 意外なマンナム(出会い)があって、嬉しかったです。

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