日本ではあまり話題になっていませんが、韓国では文在寅大統領が東京オリンピックの開会式に出席するのか、それを機に日韓首脳会談が行われるのか、に関心が集まっています。
CBSノーカットニュース2021年7月10日付(リンク、原文韓国語)
文大統領の東京オリンピック参席に関し韓日間の神経戦が過熱
2週間後に迫った東京オリンピック開幕式…文大統領の参席與否に青「決まったことはない」
両側水面下協商進行中に神経戦…青「日本が言論プレイ」と批判
関係改善意志大きい文大統領は結局参席観測も
日本の過去史問題への態度・東京コロナ19防疫状況が変数
韓国語の記事を、韓国で使われる漢字語のママ訳してみました。
「神経戦」という言葉は、韓国でよく使われます。神経戦は日本語の辞書にもありますが、戦争用語で、「宣伝や謀略などを使ってだんだんと敵の神経をつかれさせる戦法」(三省堂国語辞典)と説明されています。
韓国で瀕用される「神経戦」は、意訳すれば「心理的な駆け引き」といったところでしょう。
開会式は、韓国語では「開幕式」、出席は「参席」と表現されることが多い。
與否(ヨブ)は、可否、是非などと訳しますが、しっくりこないことも多い。可否は「できるかどうか」、是非は「すべきか否か」で少しニュアンスが異なる。「與否」は、「するかしないか」という意味です。
「両側」は、韓国側と日本側を合わせた意味で、日本語では「双方」でしょうか。
交渉は、韓国語では「協商」ということが多い。
「青」は青瓦台(大統領府)の略語
「言論プレイ」は、マスコミにリークするなどして情報操作をすることを意味しているようです。
「結局」は、日本語とほとんど同じ意味ですが、日本語では「最終的に」と訳すとぴったりします。
「過去史問題」は歴史問題の韓国的表現。特に、日本が植民地時代の行った不法行為(慰安婦問題、徴用工問題、竹島問題)などを指すことが多いです。
「変数」もたいへんよく使われます。日本語では「定数」の対概念で数学用語ですが、「状況を左右する要因」といった意味。
…文大統領の参席に対する日本の態度が問題として作用している点から、訪日が霧散されうるという予想もあなどれない。両国が水面下の神経戦、いわゆる「ヌンチゲーム」を繰り広げている模様だ。
「霧散」もよく使われます。霧が散るようになくなる、水泡に帰す、なかったことになる、といった意味です。
「ヌンチ」というのは、韓国語独特の表現で、「相手の顔色を見る」というようなときに使われます。「ヌンチゲーム」は「互いに顔色をうかがいながらの駆け引き」というような意味。
私が韓国にいた1990年代後半、「温度差」という言葉もよく聞きました。当時の私にとって耳慣れない言葉でしが、2007年に帰国後、日本語でもよく使われることに気づきました。
2014年の三省堂国語辞典第7版には、第二語義として
あるものごとについての見解や熱意などに、ちがいがあること。「政党間の温度差」
とありますが、これは1994年版の第4版にはありませんでした。韓国語で先に使われるようになったのか、日本語の表現が韓国語に取り入れられたのかは不明です。
文大統領の来日については、日韓間の「温度差」が感じられます。
日本側は、どうせ韓国は「慰安婦問題や徴用工問題」など国際法違反状態にある案件について、解決策をもってくることはないだろうし、福島原発の処理水(韓国では「汚染水」)や、東京五輪ホームページの地図の竹島表示問題などで、うるさいことを言ってくるだろうから、別に来てくれなくてもいい、来たとしてもあいさつ程度にして長時間の会談はしたくない、と思っている。
一方、韓国は、当初目論んでいた、東京での南北頂上会談(首脳会談の韓国的表現)は金正恩の不参加で霧散したが、国内向けに「外交成果」をあげたいという気持ちもあるので、ぜひ韓日頂上会談を実現させて、すべての懸案について、日本側の譲歩を引き出したい。
韓国は、内心、東京五輪が日本にとってみっともない形で失敗することを望んでいます。コロナ対策に失敗し、参加国も減り、選手に感染者が出たり、無観客試合で大赤字が出たり…。
本当は、文大統領の参席どころか、「ボイコット」でもしたいところでしょう。
〈過去記事〉
CBSノーカットニュース2021年7月10日付(リンク、原文韓国語)
文大統領の東京オリンピック参席に関し韓日間の神経戦が過熱
2週間後に迫った東京オリンピック開幕式…文大統領の参席與否に青「決まったことはない」
両側水面下協商進行中に神経戦…青「日本が言論プレイ」と批判
関係改善意志大きい文大統領は結局参席観測も
日本の過去史問題への態度・東京コロナ19防疫状況が変数
韓国語の記事を、韓国で使われる漢字語のママ訳してみました。
「神経戦」という言葉は、韓国でよく使われます。神経戦は日本語の辞書にもありますが、戦争用語で、「宣伝や謀略などを使ってだんだんと敵の神経をつかれさせる戦法」(三省堂国語辞典)と説明されています。
韓国で瀕用される「神経戦」は、意訳すれば「心理的な駆け引き」といったところでしょう。
開会式は、韓国語では「開幕式」、出席は「参席」と表現されることが多い。
與否(ヨブ)は、可否、是非などと訳しますが、しっくりこないことも多い。可否は「できるかどうか」、是非は「すべきか否か」で少しニュアンスが異なる。「與否」は、「するかしないか」という意味です。
「両側」は、韓国側と日本側を合わせた意味で、日本語では「双方」でしょうか。
交渉は、韓国語では「協商」ということが多い。
「青」は青瓦台(大統領府)の略語
「言論プレイ」は、マスコミにリークするなどして情報操作をすることを意味しているようです。
「結局」は、日本語とほとんど同じ意味ですが、日本語では「最終的に」と訳すとぴったりします。
「過去史問題」は歴史問題の韓国的表現。特に、日本が植民地時代の行った不法行為(慰安婦問題、徴用工問題、竹島問題)などを指すことが多いです。
「変数」もたいへんよく使われます。日本語では「定数」の対概念で数学用語ですが、「状況を左右する要因」といった意味。
…文大統領の参席に対する日本の態度が問題として作用している点から、訪日が霧散されうるという予想もあなどれない。両国が水面下の神経戦、いわゆる「ヌンチゲーム」を繰り広げている模様だ。
「霧散」もよく使われます。霧が散るようになくなる、水泡に帰す、なかったことになる、といった意味です。
「ヌンチ」というのは、韓国語独特の表現で、「相手の顔色を見る」というようなときに使われます。「ヌンチゲーム」は「互いに顔色をうかがいながらの駆け引き」というような意味。
私が韓国にいた1990年代後半、「温度差」という言葉もよく聞きました。当時の私にとって耳慣れない言葉でしが、2007年に帰国後、日本語でもよく使われることに気づきました。
2014年の三省堂国語辞典第7版には、第二語義として
あるものごとについての見解や熱意などに、ちがいがあること。「政党間の温度差」
とありますが、これは1994年版の第4版にはありませんでした。韓国語で先に使われるようになったのか、日本語の表現が韓国語に取り入れられたのかは不明です。
文大統領の来日については、日韓間の「温度差」が感じられます。
日本側は、どうせ韓国は「慰安婦問題や徴用工問題」など国際法違反状態にある案件について、解決策をもってくることはないだろうし、福島原発の処理水(韓国では「汚染水」)や、東京五輪ホームページの地図の竹島表示問題などで、うるさいことを言ってくるだろうから、別に来てくれなくてもいい、来たとしてもあいさつ程度にして長時間の会談はしたくない、と思っている。
一方、韓国は、当初目論んでいた、東京での南北頂上会談(首脳会談の韓国的表現)は金正恩の不参加で霧散したが、国内向けに「外交成果」をあげたいという気持ちもあるので、ぜひ韓日頂上会談を実現させて、すべての懸案について、日本側の譲歩を引き出したい。
韓国は、内心、東京五輪が日本にとってみっともない形で失敗することを望んでいます。コロナ対策に失敗し、参加国も減り、選手に感染者が出たり、無観客試合で大赤字が出たり…。
本当は、文大統領の参席どころか、「ボイコット」でもしたいところでしょう。
〈過去記事〉
韓国が東京五輪に協力?(リンク)
東京オリンピックまで100日(リンク)
しかし、「バイデン政権が、アメリカが文政権念願の南北関係改善に協力するために、「日本との仲直り」という条件を突き付けている」、という観測もあります。文大統領も、アメリカから言われて、仕方なく…という気持ちかもしれません。
日韓両側は、お互い気乗りのしない「頂上会談」なのですね。
かつて、2014年に安倍首相が朴槿恵大統領に会ったとき、安倍首相が韓国語であいさつをしたのに、朴大統領は露骨に「外面(ウェミョン)」(無視)しました(リンク)。
もし文大統領が来日したとしたら、菅首相は、さすがに「外面」などという大人げない対応はしないでしょうが、「冷待(ネンテ)」(冷やかな態度で待遇すること、冷遇)することになるでしょう。
東京オリンピックまで100日(リンク)
しかし、「バイデン政権が、アメリカが文政権念願の南北関係改善に協力するために、「日本との仲直り」という条件を突き付けている」、という観測もあります。文大統領も、アメリカから言われて、仕方なく…という気持ちかもしれません。
日韓両側は、お互い気乗りのしない「頂上会談」なのですね。
かつて、2014年に安倍首相が朴槿恵大統領に会ったとき、安倍首相が韓国語であいさつをしたのに、朴大統領は露骨に「外面(ウェミョン)」(無視)しました(リンク)。
もし文大統領が来日したとしたら、菅首相は、さすがに「外面」などという大人げない対応はしないでしょうが、「冷待(ネンテ)」(冷やかな態度で待遇すること、冷遇)することになるでしょう。
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