クリケットは楽しい。
と言うと変人扱いされるかもしれない。
かのリンボウ先生は『イギリスは愉快だ』(林望,平凡社1991年)で,イギリス人の言葉を引いて
「イギリス人にとってはこよなく面白く,イギリス人以外の人々には全く理解できない種類のスポーツ」
と書いている。
先生は,大抵のスポーツは暫く眺めていれば概ねそのルール位見当がつくのだが,クリケットに限っては「半日眺めていても一向に何をやっているのか分からなかった」そうである。
野球の起源とされ,野球に似ているところがあるが,「大抵スコアは134対115とか途方もない点数」になり,「われわれから見ると「だらだら」といつ果てるとも知れない案配に,試合は進む。実際,クリケットの試合は多く三日にも五日にもわたって続行されるのだそうで,何という気の長い,不思議な(日本人向きでない)競技であろうか。」と匙を投げている。
というわけで,球技としてのクリケットは,私もよく知りません。冒頭に私が楽しいと言ったのは,実は私が最近はまっている,ダーツ競技の一種類なのです。
普通ダーツと言えば,初心者は「01」をします。301点とか501点から始まり,自分が投げたダーツの点数ずつ減っていく。そして,先に0にしたほうが勝ち,というわりあい単純なゲーム。
ただ,ゲーム終盤では,ピッタリ0にするのが初心者には難しい。結局,決められたラウンド(野球の回みたいなもの,301は10ラウンド制)内で0にできないまま終わるというみっともない決着になることもあります。
で,01に興じるわれわれ初心者の隣で,ときどき風変わりなルールで競技をしている上級者がいる。それが「クリケット」なんですね。
ソウル駐在中はやったことがなかったのですが,日本に帰ってからやってみたら,これが面白い。ルールは複雑なので,ウィキっていただくことで(→ダーツ,ここではチェイスという名前になっています),省略します。
さて,金曜日,大阪のダーツバーで,オーナーとクリケット勝負の約束をしていたので,仕事が終わるとバーに直行。
まずは301で軽くウォーミングアップして,クリケットに。その日,私はけっこう思い通りの方向には飛ぶものの,20点と18点の間の「1点」にささることが多かったりして,得点が思うように出ない。
上級者たちは,戦略のようなものがあるようなのですが,そこは初心者,行き当たりばったりでクローズしていくのはお互いさま。
なんだかんだ言って,初戦はあっさり負けてしまいました。20ラウンド制限というのは「01」の2倍。時間もかかり,それなりに頭も使うので,負けたときの悔しさは大きい。
珍しい勝沼産のオリジナルワイン(白)をあおりながら,休みなく連戦。途中からは韓国焼酎チョウムチョロムのペットボトルを生であおり始めたのが悪かった。しまいには足がふらついてきて,何回ゲームしたのかもよく覚えていないのですが,4~5回やって,1回しか勝てなかったという惨敗でした。
悔しい。
もちろん彼らは初心者。でもダーツが散っているのでトリプルに結構入る。結局、初戦は負けてしまった。
クリケットではトリプルを出せると大きいんですけどね。