安倍首相が、26日、電撃的に靖国神社を参拝しました。
予想通り、翌日には中国と韓国が激越な批判声明を発表。例によって、「軍国主義の復活」みたいに騒いでいます。
安倍さんも中韓の反発は想定内だったでしょうが、米国が「失望」を表明したのが、予想外だったのではないでしょうか。
韓国は、「全世界が批判している」みたいに報道していますが、批判の内容がちょっと違う。
中国と韓国は、靖国参拝そのものを批判しているけれども、米国やロシア、欧州諸国のほうは、「日本が中国、韓国を刺激したこと」に「失望」や「懸念」を表明しているにすぎません。
ところで、首相による靖国神社参拝は、小泉首相時代の2006年以来、7年振りのことなのだそうですね。
以前このブログでも、靖国関連の記事を書いた記憶があったので、調べてみると、まさに前回の小泉首相の参拝のときでした。
今読み返しても、私の考えは変わっていないので、以下にそのまま再掲します。
靖国神社参拝と韓国の反応(2006年8月18日記事)
小泉首相が8月15日の終戦記念日(韓国の光復節)に靖国神社を参拝したことに、韓国政府、野党、マスコミは激しく反発しています。靖国参拝とそれに対する抗議は、今や恒例行事といった観がありますね。
「日本の首相が、8月15日に過去の日本の軍国主義と侵略主義の象徴である靖国神社を参拝したことに深い失望と怒りを感じる。」(政府声明)
「光復節である今日、主権強奪と野蛮な植民地支配を指導したA級戦犯の位牌の前で頭を深く下げたことは、侵略戦争の傷がまだ十分に癒えていない周辺国の国民の心に刃物を突き刺したも同然の野蛮な犯罪行為であり、人類に対する精神的テロ」(与党ヨルリン・ウリ党、禹相虎スポークスマン)
「隣国と同時に最大の被害当事国の光復節の朝に挑発し、侵略戦争と植民支配を反省しているといえるのだろうか。我々は小泉首相の退任後にも不義の歴史にそむいて韓国人たちに精神的テロを加えた彼の行動を決して忘れないだろう。」(中央日報社説)
「小泉首相が終戦記念日の8月15日に靖国神社参拝を強行した。韓民族をはじめとするアジア人が日帝による侵略と虐殺と戦争の地獄から解放された光復節の朝、A級戦犯の位牌がある靖国神社で深々と一礼したのだ。」(朝鮮日報社説)
こういうのを読んでいると、なんか違和感を感じる。
靖国神社は戦没者、つまり戦争で亡くなった人を祀った施設です。戦没者をたたえることに中国が反発するのはわかる。われわれの国民を殺した人々をたたえるのは何事か、と。
でも韓国とは戦争をしていない。
韓国は日本の交戦国ではありませんでした(というか、そのとき韓国は存在せず、日本の一部だった)。あえて言えば、当時の韓国人は、日本とともに米英中その他連合軍と戦った戦友だったわけです。
靖国神社は出身地差別をしませんから、当然、いっしょに戦って戦死した韓国、台湾の英霊もいっしょに祀られています。日本軍には韓国、台湾からもかなりの志願兵が加わっており、太平洋戦争末期には徴兵制も敷かれて、国民の義務として戦場に赴き戦死した軍人、軍属もいた。
志願兵は別として、徴兵で行った人は、行きたくなかったのに行かされた、強制動員だ、というのでしょうが、それは日本人も同じこと。現在も、韓国ではたくさんの若者が兵役で軍隊に強制動員されています。
同情すべきは、日本軍の一員として戦った韓半島出身者に対する日本軍の側の信頼感が低かったため、前線よりも後方で、主に兵站、捕虜管理などを担当させることが多かった。その結果、戦死は少なかったものの、戦後、現地でのいいかげんな裁判の末、捕虜虐待などの罪でBC級戦犯として有罪になり、処刑された人も多かったということ(韓半島出身で将官にまで出世した洪思翊(ホンサイク)中将もその一人)。
そういう人たちのために日本政府に恩給を要求する、というのならわかるが、そういう人たちを追悼するための靖国参拝にこれほどまで激しく反発するのは、筋違いではないかと。
「隣国と同時に最大の被害当事国の光復節の朝に」(中央日報社説)って、韓国があの戦争の最大の被害当事国なんですかね。少なくとも戦死した人はきわめて少なかったし、日本本土が空襲で阿鼻叫喚に陥っていたとき、韓半島は空襲の標的になっていませんでしたから、平穏に暮らすことができた。食糧事情も本土よりましだったようです。
「韓民族をはじめとするアジア人が日帝による侵略と虐殺と戦争の地獄から解放された光復節の朝」(朝鮮日報社説)…。「侵略と虐殺と戦争の地獄」はちょっと大げさなのでは。そもそも韓国との戦争はしていないし、条約締結によって行われた植民地支配を「侵略」と呼ぶことは無理があるし、どんな「虐殺」が行われたのか。労務動員? 従軍慰安婦? 死んだ人はいただろうけど組織的虐殺はなかったはず。
日本の支配と戦争、労働への動員で犠牲になった直接的な死者は、私の試算では10万人を超えない。もちろんこれが少ないとはいいません。でも,日本は空襲で犠牲になった市民を含め300万人、中国は一千万人以上と言われているのを考えれば「最大の被害当事国」はいくらなんでも言い過ぎじゃないですかね。朝鮮戦争では南北合わせて130万人ぐらい死んだっていうし。
A級戦犯合祀が問題だというけれど「主権強奪と野蛮な植民地支配を指導したA級戦犯の位牌の前で…」(ウリ党声明)というのは無茶苦茶。A級戦犯で1910年の日韓併合に関わった人なんていないでしょう。
韓国に対する植民地支配を「侵略」と呼ぶ人は、日本の良心的(?)学者の中にもいますが、日本が韓国に侵略戦争を起こしたと言う人は一人もいないはず。
ところが韓国では、日清、日露も含めて韓国に対する「侵略戦争」と呼ぶのが公式見解。
この日韓の認識の溝は、気が遠くなるほどに深い……。
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今回の犬鍋さんの記事でその理由が理解できました。
戦後、韓国人としては何がなんでも敗戦国になるわけにはいかず、韓国人兵士は強制徴用されたものであり、韓国は日本に戦争協力などしてはいないという立場を取らざるを得なかったのでしょう。
韓国はあくまでも日本の被害者でなければならないわけですから、靖国神社に祀られることはありがた迷惑でしかないのかもしれません。
BC級戦犯の代表は、洪思翊中将ですね。
http://blog.goo.ne.jp/bosintang/e/6fc0da4797810bc7bf57c43a633fc503
ならば話は簡単。
敬う対象でないものを除去すればいい。
シンプルで分かりやすい。
分祀も一つの方法ですね。
東京裁判それ自体がはらむ問題はありますが。
本来、政治的な場ではないはずだと思いますけどね。