犬鍋のヨロマル漫談

ヨロマルとは韓国語で諸言語の意。日本語、韓国語、英語、ロシア語などの言葉と酒・食・歴史にまつわるエッセー。

パスタって、いつから?

2024-03-14 22:40:11 | 言葉
写真:スパゲティーナポリタン(AJINOMOTO PARKより)

 私の子どもの頃(1960年代)、パスタというイタリア語起源の外来語は、使われていませんでした。

 もしかしたら、専門分野では使われていたかもしれませんが、一般家庭では使われていなかった。

 そのころの語彙を反映していると思われる『新明解国語辞典』(初版、1974年)に、パスタという言葉は載っています。しかし、それはイタリア語起源ではなく、ドイツ語起源

パスタ〔ドPasta〕①のり状の物。②軟膏

 食べ物ではなく、薬(軟膏)でした。

 当時、パスタの種類は少なく、スパゲティーとマカロニぐらいしかなかった。マカロニは、サラダかグラタン。

 料理学校に通っていた母が、天火(今でいうオーブン)を使って、学校で習ったばかりのマカロニグラタンを作ったとき、私と兄は感嘆したものでした(当時、オーブンレンジなどというものはありませんでした)。

 ペンネとか、ラザニアという言葉は聞いたこともなかった。

 私が大学生の頃、レストランなどで、パスタという言葉を聞くようになりました。

 このあたりの事情は、『三省堂国語辞典』(第八版、2022年)に書かれています。

 「三国」には、ドイツ語起源のパスタ/Pasta(ドイツ語の名詞は最初の文字を大文字で書きます)とは別立てで、イタリア語起源のパスタ/pastaが載っています。

パスタ〔イpasta=こねて作ったもの〕イタリア料理で、小麦粉をこねて、めんなどの形にした食材をまとめた呼び名。スパゲッティやマカロニのほか、種類が多い「ロングパスタ〔=スパゲッティなど〕」〔1960年代から例があり、目にする種類が増えた1980年代に特に広まったことば〕

 ドイツ語起源のパスタが、いまだに辞書に載っているのが不思議。私は聞いたことがありません。

 ついでに言えば、昔はspaghettiを、スパゲティーと書いていたように思います。

 今、「三国」に立項されているのは、スパゲ(ッ)ティ

スパゲ(ッ)ティ〔イspaghetti〕長いめんの形をした、代表的なパスタ。スパゲ(ッ)ティー。「スパゲッティミートソース・たらこスパゲッティ・スパゲッティサラダ」

 これはつまり、スパゲッティ、スパゲティ、スパゲッティー、スパゲティーという4つの表記法が存在することを意味します。

 わが家では「スパゲティー」と発音していましたが、明治生まれの祖母は、「ティ」の発音ができず、「スパゲチー」と言っていました。

 最近、専門店ではお目にかかれなくなった「スパゲティーナポリタン」(ナポリではなく日本発祥のパスタ)が懐かしくて、ときどき家で作ったりします。



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