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美に溢れた映画、『利休にたずねよ』

昨年12月から公開され、見たいと思っていた
市川海老蔵主演の映画『利休にたずねよ』
を今回インドネシア出張の機内で観ることが出来た。



この映画は山本兼一による直木賞受賞の原作を
映画化したものだが、『火天の城』に続き、
田中光敏監督と2回目のタッグを組んだ作品。



わび茶の完成者として知られ、茶聖と称された
千利休の生涯の中で、16歳から切腹する70歳まで
を演じ切るのは市川海老蔵。
茶道を一つの件pまで極め、
美の世界を生涯追求したその姿を
映画では見事なまでに美しい描写で再現している。
景色や茶器の一つ一つまでもが日本美に溢れ、
件p性の高い作品になっているが、
織田信長、豊臣秀吉の生きた戦国から安土桃山
時代を華麗に生きた姿、そして様々な人々を
巻き込み、影響を与えたのか、
そして如何にひたすら美しいものを
求め続けた生涯であったかが見事に語られる。



基本的には史実に基づいた物語ではあるが、
一部オリジナルの解釈や恋物語などの
エンターテインメント性も盛り込まれ、
歴史ファンからは賛否両論はあると思うが、
色々な意味で楽しめる映画となっている。



僕は元々日本史の中でも戦国時代や
安土桃山時代が大好きなのだが、
戦国武将では無い、茶人の千利休の目を
通して描かれるこの時代の描写もなかなか
興味深いものがある。そして戦国武将や公家までをも
巻き込んで大きな影響力を持つようになる
千利休は天下統一を目指す豊臣秀吉には
脅威となり、最後は切腹を命じられることと
なってしまうのは何とも切ないが、
これも諸説有り、実際のところは謎も多い。
ただ、茶人があまりにも政治的な影響力を
持ち、ある意味妖術的な魔力を持つようになれば、
時の権力者にはとても邪魔な存在になって
しまうことも想像に難しく無い。



千利休が茶道を新たなる高みに引き上げ、
そして美しいものを捉える圧涛Iな力を
身につけて行った様子はとても興味深く、
歴史物語としても観るものを惹き付ける。

しかし、この作品の中で恐らく脚色されている
部分で史実に基づいていないと思われるが、
個人的には最も惹かれたのが、何と若い頃の
利休が高麗の派閥争いから日本に売り飛ばされて
きた悲劇の韓国美女との愛の物語が挿入
されている点だ。この高麗の美女がまた何と、
あの少女時代のユナにもかなり良く似た
韓国美女で、すっかり心を奪われてしまった。



女優の名前はクララ、本名はイ・ソンミン。
日本では殆ど知られていないが、韓国では
CMやドラマなどでも人気の若手女優らしい。
本格的な映画主演、しかも日本の映画に
出るのは初めてらしいが、映画の宣伝で
来日した際の姿を見ると、やはりユナにも
似て何とも美しい女性だ。



映画の中でもとても清楚な美しさを見せており、
若き千利休が恋してしまうエピソードが
回想シーンとして盛り込まれる。



そして、この初恋とも言える高麗の女性から形見と
して貰った香合を、利休は生涯離さず
大切に持っていたが、秀吉も気になるほどの
シンプルな美しさに満ちたその香合が
物語の中で象徴的に使われているのだ。



海老蔵もなかなか渋い演技を見せるが、
『一命』の時といい、なかなか時代劇でも
歌舞伎の見事な切れ味をうまく使い分けており好演している。
市川海老蔵以外の出演陣は、妻の宗恩に
中谷美紀、織田信長役に伊勢谷友介、
秀吉役に大森南朋、北政所に檀れいと豪華な布陣。
また海老蔵の父、市川団十郎も子弟役で
共演しているが、これが最後の共演となった。



『火天の城』もかなり好きな映画であったが、
今回の『利休にたずねよ』も個人的には
とても惹き付けられた映画となった。
千利休という人物に改めて興味を抱いたのと
同時に、日本美を追求するその卓越した
ミニマリズムのデザインセンスにも
改めて共鳴するものがあった。
6月にはDVDがリリースされる予定だが、
ぜひ購入してまたじっくりと堪能したい。

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