3月に入りしだいに暖かい日も増えてきて、
自分の住む関西の辺りでは梅の花が見頃を迎えている今日この頃。
とはいえ何日か暖かい日が続けばまだ寒の戻りで、
クローゼットの奥にしまいかけていたレッグウォーマーをまた引っ張り出してきたり、
寝る前に湯たんぽを布団にしのばせたりと冬のくらしに逆戻り。
寒くて家で過ごす時間が多い日は、コケの本をインターネットで探したり、
すでに買ってあった本を読んだりして過ごすのが楽しみの一つだ。
おこづかいがたまるたびにちょっとずつ海外のコケの本を買い足しているのだが、
先日買ったのは「Mosses and Liverworts of the Mediterranean(地中海のコケ)」(Jan Peter Frahm著)という一冊。
Preface(まえがき)によると、
「60年前、地中海エリアの沿岸部は船でしか行くことができず、内陸も悪路であったため地中海のコケの分布はほとんど知られていなかった。
しかし観光旅行の爆発的増加とインフラ整備により遠い地方へ足を伸ばすことも可能になり、
さらに地中海エリアにはコケ学者の興味をひく面白い種類がたくさんあったため、
とくにイタリアとスペインにおいては(ここ60年で)コケ研究が活発に進み、新しい種もたくさん発見されている」
…云々というようなことが書かれてある。
※ちなみに当方、辞書を引いてどうにか読んでいるという英語レベル。アバウトな要約である旨、ご容赦を!
この本をアマゾンで見つけた時から、とりわけ読みたかったのは「ミカヅキゼニゴケ」のページだ。
コケの中でも珍しい帰化植物といわれるミカヅキゼニゴケの原産地は地中海沿岸部。
つまり「この本に載っていないわけがない!」と踏んだわけだ。
そして予想通り、ミカヅキゼニゴケはしっかり写真付きで掲載されていた。
▲こちらがミカヅキゼニゴケ。つぶつぶの無性芽を入れるカップ(無性芽器)が三日月形であることからこの名がついた
多くの帰化植物がそうであるようにミカヅキゼニゴケも繁殖力が旺盛であるが、
そのほとんどが無性芽による無性生殖であるというのがこのコケを語る上で欠かせない大きな特徴の一つである。
胞子体をつけることは非常に稀で、日本でもいままで見つかったことが一例あったくらい・・・とか(すみません、うろ覚えです)。
それは世界レベルで見ても同じくで、ミカヅキゼニゴケは世界各地に広く分布しているコケにもかかわらず、
繁殖はほぼ無性芽まかせで、生殖器官をもった個体を見つけるのはなかなか難しいという。
しかし!やはりこの本、「地中海のコケ」とタイトルがついているだけあって、
地中海沿岸が原産のこのコケについてわりとしっかりした説明があり、超レアな胞子体の写真もしっかり載せているではないか。
▲左ページがミカヅキゼニゴケ。ほほぅ、胞子体ってこんな形なんだ!柄は白くてやわらかそう(興奮!!)
※本の中身をそのままスキャンして載せるのは倫理的にちょっとアレなので、見づらいですがこのような画像でご勘弁を。
さらに胞子体写真の左には雄器托(ユウキタク/雄株の生殖器官)と思われる写真も!
じつは数年前、自分もミカヅキゼニゴケの雄器托をつけていると思われる群落に
出会ったことがあるのだが、本当にそうなのか確証がもてないままであった。
残念ながらこの本の写真にはキャプションによる詳しい説明がないのだが、
本文に「雄株は葉状体にいぼのような構造を持つ」とあり(推察:構造=造精器を指している?)、
本全体の写真の載せ方のパターンを見るにおそらくこれは雄器托であろうと思われる。
▲こちらが以前出会った雄器托をつけていると思われる群落(東京都内、2012.4月撮影)。
▲さらにアップ。コケのからだの先端部分に盤状の雄器托があるのがわかる。色が白いのは…若いからかな?!
ちなみにこの写真を撮ったのは、東京のとあるお寺のそばにある庭園の日かげがちな湿った土上で、季節は春であった。
あのミカヅキゼニゴケの群落、いまごろどうしているだろうか。この春もまた雄器托をつけるべく準備をしている頃かな。
稀とはいわれているものの、もしかしたら無事にお嫁さんも見つかって、子ども(胞子)もできてたりして。
空想にふけるのも楽しい冬の終わりである。
自分の住む関西の辺りでは梅の花が見頃を迎えている今日この頃。
とはいえ何日か暖かい日が続けばまだ寒の戻りで、
クローゼットの奥にしまいかけていたレッグウォーマーをまた引っ張り出してきたり、
寝る前に湯たんぽを布団にしのばせたりと冬のくらしに逆戻り。
寒くて家で過ごす時間が多い日は、コケの本をインターネットで探したり、
すでに買ってあった本を読んだりして過ごすのが楽しみの一つだ。
おこづかいがたまるたびにちょっとずつ海外のコケの本を買い足しているのだが、
先日買ったのは「Mosses and Liverworts of the Mediterranean(地中海のコケ)」(Jan Peter Frahm著)という一冊。
Preface(まえがき)によると、
「60年前、地中海エリアの沿岸部は船でしか行くことができず、内陸も悪路であったため地中海のコケの分布はほとんど知られていなかった。
しかし観光旅行の爆発的増加とインフラ整備により遠い地方へ足を伸ばすことも可能になり、
さらに地中海エリアにはコケ学者の興味をひく面白い種類がたくさんあったため、
とくにイタリアとスペインにおいては(ここ60年で)コケ研究が活発に進み、新しい種もたくさん発見されている」
…云々というようなことが書かれてある。
※ちなみに当方、辞書を引いてどうにか読んでいるという英語レベル。アバウトな要約である旨、ご容赦を!
この本をアマゾンで見つけた時から、とりわけ読みたかったのは「ミカヅキゼニゴケ」のページだ。
コケの中でも珍しい帰化植物といわれるミカヅキゼニゴケの原産地は地中海沿岸部。
つまり「この本に載っていないわけがない!」と踏んだわけだ。
そして予想通り、ミカヅキゼニゴケはしっかり写真付きで掲載されていた。
▲こちらがミカヅキゼニゴケ。つぶつぶの無性芽を入れるカップ(無性芽器)が三日月形であることからこの名がついた
多くの帰化植物がそうであるようにミカヅキゼニゴケも繁殖力が旺盛であるが、
そのほとんどが無性芽による無性生殖であるというのがこのコケを語る上で欠かせない大きな特徴の一つである。
胞子体をつけることは非常に稀で、日本でもいままで見つかったことが一例あったくらい・・・とか(すみません、うろ覚えです)。
それは世界レベルで見ても同じくで、ミカヅキゼニゴケは世界各地に広く分布しているコケにもかかわらず、
繁殖はほぼ無性芽まかせで、生殖器官をもった個体を見つけるのはなかなか難しいという。
しかし!やはりこの本、「地中海のコケ」とタイトルがついているだけあって、
地中海沿岸が原産のこのコケについてわりとしっかりした説明があり、超レアな胞子体の写真もしっかり載せているではないか。
▲左ページがミカヅキゼニゴケ。ほほぅ、胞子体ってこんな形なんだ!柄は白くてやわらかそう(興奮!!)
※本の中身をそのままスキャンして載せるのは倫理的にちょっとアレなので、見づらいですがこのような画像でご勘弁を。
さらに胞子体写真の左には雄器托(ユウキタク/雄株の生殖器官)と思われる写真も!
じつは数年前、自分もミカヅキゼニゴケの雄器托をつけていると思われる群落に
出会ったことがあるのだが、本当にそうなのか確証がもてないままであった。
残念ながらこの本の写真にはキャプションによる詳しい説明がないのだが、
本文に「雄株は葉状体にいぼのような構造を持つ」とあり(推察:構造=造精器を指している?)、
本全体の写真の載せ方のパターンを見るにおそらくこれは雄器托であろうと思われる。
▲こちらが以前出会った雄器托をつけていると思われる群落(東京都内、2012.4月撮影)。
▲さらにアップ。コケのからだの先端部分に盤状の雄器托があるのがわかる。色が白いのは…若いからかな?!
ちなみにこの写真を撮ったのは、東京のとあるお寺のそばにある庭園の日かげがちな湿った土上で、季節は春であった。
あのミカヅキゼニゴケの群落、いまごろどうしているだろうか。この春もまた雄器托をつけるべく準備をしている頃かな。
稀とはいわれているものの、もしかしたら無事にお嫁さんも見つかって、子ども(胞子)もできてたりして。
空想にふけるのも楽しい冬の終わりである。