「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

季節感もなく行事もすたれてきた東京のお盆

2016-07-17 05:51:22 | 2012・1・1
昭和10年代の遠い記憶の中に孟蘭盆(お盆)の行事がある。東京の区部ではお盆は7月11日から16日頃までで、昔はほとんど、どこの家でもお盆の入りには、ご先祖の精霊しょうろう)を迎え入れるため、オカラ(麻殻)を焚き、ナスとキュウリで精霊馬(牛)をつくって玄関前に置き、盆提灯を仏壇にともしたものだ。昨夕はその送り火の日だったが、わが家からは、いっさい行事はなくなってしまった。形式的に先日、老妻が娘とともに菩提寺へ墓参に出かけたにすぎない。

わが家からお盆の風習が消えたのは、40年ほど前転勤で札幌の移住してからだ。北海道では函館、釧路など一部では7月のお盆もあるそうだが、札幌は”月遅れ”の8月に行われていた。その違和感からか、わが家からお盆の行事はいっさいなくなってしまった。ただ、7月のお盆には東京の菩提寺へ「お布施」として送金していた。

わが家だけではない。昨夕買い物を兼ねて近所を散歩をした老妻の話では、門前で送り日を焚いていた家は一軒もなかった。昔、わが家の近くが農村地帯であった頃は、精霊馬(牛)などは、近くの小川に流したようだが、その”精霊流し”の習慣も、今は小川が暗渠になり出来なくなった。

もともと7月のお盆は明治6年、新暦に切り替わる際、行事もそのまま7月に残したため季節感が伴わない。それに列島改造によって東京の人口構成も変わり、8月のお盆に併せて、故郷に帰る東京人が多くなってきたので、ますます7月のお盆は意味のないものになってきた。町内会のかっては新暦にあわせて7月に行われていた盆踊りも8月に代ってきた。