「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

油断大敵 海外日本人の身の安全

2016-07-06 05:59:05 | 2012・1・1
ダッカのテロ事件は改めて、海外滞在日本人の身の安全について問いかけている。外務省の資料によると2014年度、海外の在外公館に届け出のある長期滞在の日本人の数は125万人に上っている。一つの政令都市の人口に相当する日本人が海外で生活しているわけだ。今回事件のあったダッカでさえ、985人も長期滞在している。

古い話で恐縮だが、半世紀前の1966年、僕はインドネシアのジャカルタに新聞社の特派員として滞在していたが、白昼、市内の中心部の商店街で、ピストル強盗に会っている。当時ジャカルタは治安が悪く、特に華僑をねらった犯罪が多く、大使館から注意するよう達しが出ていた。僕らは外出の際、車のフロンントガラスに日の丸のステッカーを張ったりして注意をしていた。それなのに、僕はホテルから近く、安全だろうと一人でベチャ(人力三輪車)に乗り、果物を買いに行き難にあった。

今、考えてみると無茶な行動だった。赴任して6か月、自分では土地になれたと思っていたが、現地の言葉はできないし、一見して”金持ち”の外国人とみられた。やはり油断は大敵である。今回、ダッカで犠牲にあった方々にも、一種の油断があったのではなかろうか。イスラム圏に長期滞在した者なら、断食月(ラマダン)が終わる最後の金曜日の夜は、危険なのであまり外出しない。とくにバングラディシュでは、昨年暮治安悪化を理由に地方で働くJICAの青年協力隊員48人を帰国させている。大使館は、もっと在留邦人に安全を徹底すべきでは、なかっただろうか。