７５年前の通州事件と在留邦人の保護

政府の尖閣諸島の国有化を受けて中国各地で反日行動が激化している。新聞に載っていたデモ隊の写真を見ると、日の丸にバッテンをして核弾頭らしき絵を描き、英語で”Fuck Japan"と書いてある。”Fuck"とは元の意は「強姦」で、中国語の”マーラカピー”（馬鹿野郎）と同様、最低の侮蔑語である。中国政府はこのようなデモを黙認し、野放しにしているという。何故、日本政府は抗議し、取り締まりを要請しないのか。

デモは中国各地に飛び火して、一部は暴徒化してきたが、政府の在留邦人保護は果たして大丈夫なのか心配になってきた。最近の統計によると、現在中国全土には１５万人の日本人が滞在、北京、上海、天津など１０か所に日本人学校がある。北京駐在の日本大使館はHPで在留邦人に注意を呼び掛けているが、大使館や領事館がない地に住む日本人は暴動が起きた場合、身の安全は保てるのだろうか。

今月２９日が日中国交正常化４０周年にあたる。日本政府は、それまでは事を荒立てず”冷静”に処理しようと考えているようだが、次期大使は病気で倒れ、今の大使は、暴徒に襲撃され国旗を奪われても”遺憾”の意しか言えない男である。事実上、現場の責任者が不在だが、外交の最高の責任者である玄葉外務大臣は過去に中国で通州事件があった事をご存知だろうか。

昭和１２年７月２６日、盧溝橋事件の３週間後だったが、北京郊外の通州にいた在留邦人２６０人が中国保安隊に襲撃され惨殺されている。この事件は戦後の市ヶ谷国際裁判でも無視され、歴史教科書にも出てこないが、シベリア尼港事件とともに在外邦人が惨殺された事件として僕らの世代は知っている。激しやすい中国人である。何が起きるかわからない、政府はいざという時に備えて邦人脱出の方法を検討したほうがよい。少なくとも子供や女性はもう帰国させるべきだ。