「老人タイムス」私説

昭和の一ケタ世代も高齢になりました。この世代が現在の世相をどう見て、考えているかーそのひとり言。

             習近平と紅衛兵の時代

2012-09-21 06:43:06 | Weblog
中国の次期国家指導者、ナンバーワンに内定している習近平国家副主席が訪中したパネット米国防長官との会談で”日本の釣魚島(尖閣)国有化は茶番だ”と批判し、さらに”米国はこの問題に介入するな”と言い張ったという。習近平というと、大方の日本人には、2009年12月、民主党政権ができて間もなく訪日したさい、まるでゴリ押しみたいに天皇陛下にお会いした人物として記憶に残っている。

習近平は10月の共産党大会で胡錦濤に代わって中国国家主席に選出されるが、その割に日本のマスメディアには登場してこない。今回の”尖閣国有化”にからむ一連の中国反日運動の演出者は、野田総理が沈静化を訴えて親書を送った胡錦濤ではなくて習近平である。改めてwikipediaで習近平の経歴と人物を調べてみた。

習近平は1953年(昭和28年)6月うまれの59歳、父親の習伸勲が革命幹部だったとの理由で、文化革命の際、批判の対象となり1969年、16歳の時から7年間も反動学生として狭西省の田舎に下放されている。毛沢東の紅衛兵運動の風が強く吹きまくっていた時代だ。習近平は延川県の下放先で生産大隊の指導者に抜擢されている。そして紅衛兵発祥の清華大学の化学科を卒業している。その後共産党に入党、福州市、福建省長。上海市書記などを歴任している。

習近平の履歴を見て、僕はあの文化革命時代を思い出した。新聞社の外信部デスクをしていて同僚の北京特派員が送ってくる「壁新聞」に”苦闘”していた。「造反有理」「革命無罪」などの四字熟語を今でも覚えている。今回の反日運動のスローガンも「愛国無罪」だった。あの中国を荒れまくったた紅衛兵世代が、国家の指導者に登場してきたのだ。福田康夫総理と胡錦濤主席との間に結ばれた戦略的互恵関係も再検討しなければいけない。