海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

沖縄戦から66年

2011-03-26 20:05:07 | 沖縄戦/アジア・太平洋戦争

 3月26日は66年前に、慶良間諸島に米軍が上陸し、座間味島と慶留間島で日本軍による命令・強制によって「集団自決」=強制集団死が起こった日である。27日には渡嘉敷島にも米軍が上陸し、28日にかけて砲撃や強制集団死により多くの住民が犠牲となった。4月1日に米軍は沖縄島に上陸した。日本軍とのあいだで激しい地上戦が戦われ、戦闘に巻き込まれた住民や日米両軍の兵士など20数万人が亡くなった。
 沖縄を占領した米軍は、今も巨大な軍事基地を置いて、沖縄島の約19%の土地を占拠している。そして、東アジアや中東への侵略拠点として活用し、日米安保条約や地位協定によって特権的な地位を維持している。3月26日付琉球新報に以下の記事が載っている。

〈「県民守らない」/被害者母 地位協定の不条理訴え/死亡事故の米軍不起訴〉
 「日米地位協定は県民を守らない。多くの県民にこのことを知ってほしい」。ことし1月、沖縄市の国道で米軍属男性(23)の運転する車との衝突事故で、成人式のため愛知県から帰省中だった與儀功貴さん=当時(19)、北中城村出身=が死亡した事故。米軍属男性は自動車運転過失致死容疑で送検されたが、「公務中」を理由に不起訴となった。母親の神谷真奈美さん(41)は「相手が軍人軍属だから仕方がないでは絶対に終われない」と声を震わせた。
 真奈美さんは3月24日、那覇地検から不起訴の報告を受けた。「耐えられませんでした。仏前で功貴にしばらく報告できなかった」
 仏壇のある部屋には功貴さんの写真が並ぶ。小学生からしっかり者。家庭を気遣い、高校在学中に愛知県へ就職先を決めた。「母の日に初給料でバッグを送ってくれたんです。手紙とかは入れないんです。照れ屋で優しい子でした」と涙をこらえる。
 告別別式には多くの友人、同僚が訪れる中、事故を起こした米軍属男性の姿もあったが謝罪はなかった。今日まで一度も謝罪はない。「不起訴となることが分かったから誠意も見せないのか」と怒りが込み上げる。
 軍人軍属との事故の被害者となって初めて気付く不条理。真奈美さんは「地位協定のせいで県民は何もできないということが許されるのか。どんなに時間がかかってもいい。功貴が生きた証とともに、このことを1人でも多くの人に伝えたい」と目を腫らして訴えた〉
 
 長い引用となったが、県民のみならず全国の人に読んでほしいと思い全文を紹介した。
 在沖・在日米軍は、辺野古新基地建設や高江ヘリパッド建設を進める宣伝材料として、東日本大震災への救援活動を利用したい思惑のようだ。また、福島第1原発事故への対応を見ていると、原発のない沖縄に基地を置くことへの評価を高めると同時に、辺野古新基地計画に津波対策の費用増加を求めてくることも考えられる。
 しかし、沖縄側が辺野古新基地建設を受け入れることはあり得ない。むしろ、沖縄戦から66年が経っても沖縄島中央部の一等地を占拠している米軍基地の撤去に向けて、今こそ力を入れるべきときだ。
 自衛隊が東日本の被災地で10万人体制をとり、在沖海兵隊の一部も東日本に移動している今、日本侵攻を狙うなら絶好の機会かもしれない。しかし、どこに日本侵攻を狙う国があるというのか。琉球列島の島嶼部に武力侵攻の危機が迫っているというのか。
 沖縄人を日々脅かしているのは、むしろ在沖米軍である。メア発言は「良き隣人」の正体を自己曝露したものだが、66年も続いている軍事植民地状態を1日も早く終わらせたい。それが沖縄戦で犠牲になったウチナンチューへの最良の手向けである。

 

 


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4 コメント

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スーミーしてました。 (北村加代子)
2011-03-26 21:42:49
はじめまして。那覇高27期です。
両親は大宜味村の出身、姉兄3人も北部で生まれした。

 「自衛隊が東日本の被災地で10万人体制をとり、在沖海兵隊の一部も東日本に移動している今、日本侵攻を狙うなら絶好の機会かもしれない。しかし、どこに日本侵攻を狙う国があるというのか。琉球列島の島嶼部に武力侵攻の危機が迫っているというのか。
 沖縄人を日々脅かしているのは、むしろ在沖米軍である。」

↑尤もですよね。
差支えなければ、Facebookにリンク、そしてgooの私のブログで紹介させていただきたいのですが、
よろしいでしょうか?
返信する
占領 (ゲンシケンのうえざと)
2011-03-27 19:02:17
 日本国は、いまだ占領されているかのようだ。地位協定がそれを物語っている。沖縄は、特に基地の存在が大きく、戦後はまだ続いている。戦中を知る世代が減り、戦後は、もはや終わったといわれているが、古い歴史的な話ではなく、歴史(現在)の積み重ねで今日があるから。NHKBSで「白州次郎」の物語を見ていたのだが、サンフランシスコに吉田茂と同行するところでチャンネルを変えてしまった。日本がやっと「独立国」となったとしている。日本国が米国とともに利益を得ることをはじめた年といっていいのではないか。しかし、それは巧妙な占領の始まりではないか。
 大震災は、テレビの画面で見ていると戦後の焼け野原に似ている。惨状である。ヘリで米軍が被災地に水や食料や子供たちへおもちゃを届けるところを見ているとかっこよく見えるのだ。危ないね。迷彩色が救いのヒーローに見える。とても危ないね。
返信する
北村さんへ (目取真)
2011-03-27 23:08:35
読んでいただき有り難うございました。
紹介の件はOKです。
返信する
「米軍犯罪被害対応マニュアル」の紹介 (京の京太郎)
2011-03-28 13:54:06
パンフレット:「米軍犯罪被害対応マニュアル~米兵による事件・事故の被害者になったら~」

発行日:2010年5月15日

編集・発行:米軍犯罪被害者救援センター

頒 価:500円+郵送費代

郵便振替口座番号:00910-1-193544
郵便振替口座名:米軍犯罪被害者救援センター

連絡先:〒540-0038
大阪市中央区淡路町1-3-11
シティーコープ上野402 市民共同オフィスSORA内

韓国の市民運動団体「駐韓米軍犯罪根絶運動本部」発行のガイドブック「米軍犯罪被害、このように解決してください。」2004年9月発行の「日本社会版」として編集されたパンフレットです。附属資料CD付、A4版、36頁

パンフレットには分りやすく、米兵が公務外の場合、公務中の場合と解説があります。
一人で悩まず、まずは救援センターにご相談ください・・・とのことです。

パンフレットが必要とされない社会の実現のために・・・パンフレットの活用を!


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