海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

高江の基地建設

2008-02-21 21:12:09 | 米軍・自衛隊・基地問題
 昨日の琉球新報夕刊に、高江でヘリパット建設の工事が再開された、という記事が載っていたので高江に行った。午前7時半頃に着いたのだが、しばらく様子を見ていて、すぐには工事関係者が来る気配がなかったので、新川に架かる橋の所まで歩いた。スミレや野いちごの花が咲き、早い木は新緑を見せ始めている。落ち葉が溜まった側溝をアカヒゲが進んでいくのを眺めながら新川橋まで行き、ダム湖と周囲の森を眺めた。風もなく澄み切った空気の中で聞こえてくるのは鳥の鳴き声だけ。ピヨーシ(ヒヨドリ)、チョンチョン(ウグイス)、ソーミナー(メジロ)、チューチューテンテン(シジュウカラ)、ヤマポートゥ(アオバト)、サンコウチョウ、アカヒゲの鳴き声と、ノグチゲラがドラミングする音が耳にできた。橋のたもとのウドの木は白い花が盛りで、あと二週間もすれば木々が芽吹いてヤンバルの森が一番美しい季節を迎えるだろう。
 子どもの頃、父に連れられて山に盆栽にする木を採りに行った。今では許されないことだが、日本復帰前は山採りもまだ当たり前に行われていた(そのために以前はヤンバルの山で当たり前に見られたケラマツツジも消えてしまったが)。山中から車の所まで木を運ぶのは難儀なことで、父に叱られながらの作業は面白いとはいえなかったが、木々に対する知識や自然への愛着など、今から振り返るとかなり多くのことを教えられたと思う。
 日本復帰後乱開発が進んで、今帰仁の自然もだいぶ失われてしまった。海であれ、森であれ、変わり果てた自然の姿を見ると胸が痛む。それだけに、辺野古や高江などのヤンバルに残された貴重な自然を、軍事基地建設のために破壊させてはならないと思う。
 無論、自然破壊だけが問題なのではない。現在もアフガニスタンやイラクに在沖米軍が派兵されている。どんなにきれいごとを並べたところで、軍事基地が人殺しの訓練をする場であることに変わりなはない。沖縄にこれ以上そういう場を増やしてはならいない。
 工事関係者が来なかったので、車で仮眠をとった。徹夜明けできたので体がきつく、午前中で引き揚げたが、連日座り込みを続けている人たちには本当に頭が下がる。
 今朝の県内紙には、米兵によるフィリピン女性への暴行事件の記事が載っている。それだけではない。西山太吉氏が国を相手に訴えた「密約事件」裁判の控訴審判決やイージス艦あたごと漁船の衝突事件、嘉手納基地の演習の記事など、米軍・自衛隊関係の記事が紙面を埋めている。新聞が重い。やりきれなさと怒りが募る。

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